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スピーカー 2
その小田切さんが新刊東の怪談を出されたということで、今日はそれについて掘り下げていきたいんですけども、まずちょっと怪談語り上げ?
前怪談師って言ってたのに、今怪談語り上げになったんだよね。
スピーカー 1
そうですね、ちょっといろいろなことを思うこともあり、怪談師って言う時もあるんですけど、
ちょっと師匠の師ってつくほど偉くもないだろうなみたいな思う時がありまして、怪談語り上げって言って名乗る時が最近多いかもしれないです。
スピーカー 2
なんかあれですよね、怪談って世の中的にブームって言っていいんですかね?怪談師とか怪談とか。
スピーカー 1
そうですね、全く表になってない頃よりはもうだいぶいろんな人が聞いてるっていうのはあると思います。
スピーカー 2
そういう意味で言うと怪談師っていうのはよく耳なじみの良い肩書ではあるんですけど、一方で東のだと語り部って言いますよね?
スピーカー 1
そうですね、語り部さんって言いますもんね。
スピーカー 2
それをミックスしたような。
スピーカー 1
そうですね、ちょっと東のらしさも出るかなっていう思いもありつつ使わせてもらってます。
スピーカー 2
じゃあその怪談語り部のおたぎりさんの東の怪談なんですけど、これ出て僕初日に予約してたんでAmazonだと初日に家に届くんで、
スピーカー 1
とっくの前に折り目をいっぱいつけて読み終わっておるんですけども、今日の収録までどこにも関数を書かずに黙って。
不安だったんですよね。
スピーカー 2
溜めてたんで、今日いろいろお話を聞いていきたいと思ってるんですけども、
私がいきなり感想を言う前にこんな本ですっていうのを、まだメディアヌップのリスナーでお読みになられてない方まだ多いと思いますので、ちょっとご説明いただいてもよろしいですか?
スピーカー 1
はい。この竹書房怪談文庫から4月30日に発売されたこの東の怪談という本はですね、
私が岩手県の東の市に住みながら2年4ヶ月ぐらいかけて集めた、
現代の東のを生きている人たちが体験した不思議な話やちょっと怖い話をですね、まとめて本にさせていただきました。
いわゆる、現代の東の物語のような雰囲気を出せたらいいなと思って作った本でございます。
スピーカー 2
ありがとうございます。
これはなぜ、暫定第一、東の物語オブザイヤーって僕しか言ってないんで、そんなショーが世の中にあるわけじゃないですけど。
なんでそう思ったかというと、東の物語っていう本が1910年に出て、今から114年前に出ている本、柳田邦夫、そして佐々木季前が語った本として有名なんですけども、
それの続編というか精神的続編を歌う本って結構たくさんあるんですよね。
新東の物語とか新釈東の物語とか、そういったものってたくさんあるんですけど、
じゃあそういう新東の物語みたいなものがどの辺のコンセプトを継承しているかというと、民族学的な話だったりとか、そういうのを継承している本はいっぱいあるんですよね。
でもそもそも東の物語って、生まれ落ちた時には民族学の本じゃなくて怪談本なんですよね。
佐々木季前が未知の揚州に誘われて、泉強加とか柳田邦夫がやっていた怪談会に呼ばれていって、
東北の片田川、当時全然知られていなかった東のの話をめちゃくちゃ知ってる奴がいるっていう評判を読んで、
それを柳田邦夫が会ったその日に、これ絶対本にするって決めて出来上がった怪談本なんですよね。
その怪談本としての東の物語を受け継ぐ、続編として受け継ごうという人が、なぜか114年の間に現れなくて。
ついに怪談としてのオリジナルの東の物語のコンセプトを蘇らせる人がついに現れたということで、
これこそ東の物語の、現代版東の物語って名打たれている本って山ほどあるんですけど、
これがそれだろう、まず。だってあれ怪談本だったんだからって意味で、
よくこんな東の怪談っていうど真ん中のタイトルが空いてたな、他に無く。他に無いですよね。
スピーカー 1
無いです。
スピーカー 2
無いですよね。だからもう本当ね、コンセプト勝ちですね。もう一生、もう100年残るコンセプト勝ちな名前で。
ありがとうございます。
もうこれも東の物語オブザイヤだなと思ったゆえんです。けどこの辺りどうですか、そういう風に言われて。
スピーカー 1
そうですね、だから僕がその東ので怪談を語るっていうことをし始めたときも、
周りの人になんで今までそういうことをする人がいなかったんだろうねって何人かに言われて。
本当ですか。
なんでだろうって。
スピーカー 2
なんでだろうね。で、語り部山ほどいるじゃないですか。で、語り部さんがお話しする話で足したら1000話とか超えるじゃないですか。
でも怪談専門の怪談語り部、怪談師さんっていないですよね。
スピーカー 1
いないですね。
いないんですよね。皆さん結構怖いちょっと民話みたいな話を頼まれればするって人がいたと思うんですけど、それを専門でやってる人はいなくて。
ましてやその今生きてる人から取材をして新しく更新していくっていうことをしてる人はいなかったみたいなんですよね。
なんかあの研究者の方とかもすごいたくさんいるじゃないですか。東の時代の研究をされる方が。
スピーカー 2
すごいいっぱいいますよね。
スピーカー 1
その方たちもなんで今生きてる人が体験してる話っていうのを集めなかったんだろうっていうのもちょっと不思議なんですよ。
スピーカー 2
集めはしたんだと思うんですよね。
スピーカー 1
してたかもしれない。
スピーカー 2
例えば青鎖村孫子とか綾羽町孫子とか。
なんかこの100年ぐらいの間にそういう聞き取りの本とか山ほどあるかな。
スピーカー 1
確かに確かにありますね。
スピーカー 2
あるにはあると思うんですけど、それを階段に絞って、その階段っていうのがオリジナルのコンセプトなわけだから。
スピーカー 1
はいはいはいはい。
スピーカー 2
絞った人がいなかった。あの歪断?エッチなお話を集めた本もあるんですよね。
スピーカー 1
はいはいはいはい。なんかヨバイ話みたいな。
スピーカー 2
そういうのもあるのに階段がなかったっていうのが。
もうこれがら空きじゃんみたいなのはこの小田切さんの話聞いても思いましたし、本当にとってもなお思いましたねこれ。
スピーカー 1
なぜか空いていたのすっと入ってきてしまいましたね。
スピーカー 2
たとえばね、それがどんなように似てるかというと、東の物語、元祖ね、元祖東の物語も、本来佐々木季前から聞き取った名前を最初直接書いてて、黒塗りでつぶして、
スピーカー 1
はいはいはい。
スピーカー 2
で、後に出たバージョン、かなり後になって出たバージョンに一部の名前を復活させてみたいな配慮があるんですけども、
スピーカー 1
それはとりもなおさずその地域に今も住んでる人の個人情報、ゴシップだからですよね。
スピーカー 2
その辺の微妙さが東の物語っていうのを柳田邦をして、東の人には読んでほしくないって言わせた原因の一つでもあるんですけど、
それぐらいリアリティのある目の前の話だったんですけど、
これ小田原さんの東の階段読んでみると、イニシャルでお名前を隠されて書いてるんですけど、
おそらくというかもう全員に一人一人どの方からどの方からお話を聞いた小田原さんは分かっていて、
ただ差し支えあるものもあるだろうかなということと、
あとはその全体の統一感のために、名前公開しても差し支えない場合でも伏せ字にしてる、
伏せ字というかイニシャルにしてるとかって感じだと思うんだけど。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
その辺の名前がイニシャルになってるところが元祖にそっくりで、これぞ元祖だなと思いましたね。
スピーカー 1
某それがしみたいな。
某それがし。
東の東の村語りだと何々村の某市とかそういう感じでそれがしとか出てきますもんね。そうなんですよ。
スピーカー 2
これなんか聞き取りする中でその辺個人情報の扱いとか何と気にしたこととかありましたか。
スピーカー 1
そうですね。聞き取ってる時はもう本当に話をただ単にこう事実をそのまま集めて、
それを語るとか外に発信するっていう時には多分公にしてほしくない人もいるでしょうし、
商店とかそういうビジネスをやってらっしゃる方だと風評被害になる可能性もあるので、
一応飲食店の方とかだったりとかは事前にどこまで出していいですかみたいなお話。
でも東のでこういう飲食店やってるって多分1軒2軒しかないみたいな、
しおられちゃうけどいいですかみたいなこと言っても、
いいよいいよって言ってくれる人もいればやっぱりなんかぼやかしてほしいとか、
フィクションを織り混ぜて分かんないようにしてほしいっていう人もいたので、
その人とご要望に合わせていろいろと個人情報は取り扱いはありますね。
スピーカー 2
じゃあ本当は載せたかったけど許可が得られなかったっていうのも結構あった?
スピーカー 1
3話ぐらいですかね。
なんかなるべく取材してる時に基本は載せてもいいですかとか、
今後何か本とか語りとかにする時に発表してもいいですかって聞いて、
いいですよって言ってくれたものを選んだつもりだったんですけど、
あらか、なんかちょっと微妙な反応だった人にはもう一度聞くようにして、
その中で最初はいいよって言ってくれてた人でも、
やっぱやだって言ってくれる人が3名くらいいらっしゃって、
ちょっと載せられなかった話もある。
スピーカー 2
いやそうですよね。
小田切さんに聞いてほしいと最初思ったけど、
えっ本になるのって言われるとちょっと構える人も出てくるってことですかね。
スピーカー 1
そうですよね。
スピーカー 2
僕折り目いっぱいついてるんで、
細部入っていくと聞きたいこといっぱいあるんですけど、
まず書きながら苦労した話とか何かありますか。
スピーカー 1
まず最初にこの本のオファーをいただいた時に、
出版社の方からは最初東野の階段もしくは岩手の全体の階段どちらかで
本を書いていただけませんかって言われたんですね。
でその時に東野の階段って別に今世間で好かれているようなものすごく驚々しかったり、
怖い話ってそんなたくさんあるわけじゃなくて、
ただすごい東野という場所で起きてるからこそ面白いって感じれる話がたくさんあるので、
まず最初に世間一般で今流行っている階段みたいなお話ではなくて、
スピーカー 1
その東野物語というものを楽しんでいただいた人がこれを読むと楽しいし、
これを読んだ人が東野物語を読むと楽しいみたいな、
そういうちょっと他の階段本とは違う本になってしまうかもしれないですけど、
そういう東野階段かすごい怖い話を集めた岩手の階段かどっちかになりますって出版社の人にお返事したら、
出版社の人がじゃあ東野階段でお願いしますっていう。
スピーカー 2
そっちでいいって言ってくれたんですね。
スピーカー 1
そうなんです。
できればその東野という土地で長く愛される本にしてほしいので、
そんなに怖いとか恐ろしいということには執着せずに書いてくださいっていうお返事をいただけたので、
じゃあその意図に合ったセレクトをしようと思って、
自分が今まで集めた話の中から選ぶのもまず大変でしたね。
スピーカー 2
なるほどね。今ね、それを聞いて私自身腹落ちしたのと、
これリスナーの人にぜひお伝えしたいのは、
これ良い意味で必ずしも怖くないんですよね。
良い意味ですよ。良い意味で。
それはそういうコンセプトを持って作ったということですね。
怖い話だけ集めることもあるいはできたかもしれないけれども、
もっとその東野の土地とか東野物語と関連して読んだときに面白いようなものっていう、
そういう編集方針というかエピソードの選び方になっているんですね。
そうですね。
スピーカー 1
初打点もなるべくちょっと東野物語のワードとかを使いたいなって思って、
でもなかなかそれに合わないもありつつ、ちょっと苦労しましたね。
本当にこれで良いのだろうかとか思いながらショーを作ったりしました。
スピーカー 2
ちなみにこの怪談の話っていうか、
私もですね、怪談がこんなに流行ってるって、
小田切さんから怪談誌の話聞くまで実はそんな意識していなくて、
私は1980年生まれ、今年44歳なので、
私が子供の時にはもちろんYouTubeみたいなものとかってのはないので、
民放のテレビ局でオカルトとか心霊とかを扱う番組が、
夏休みあなたの知らない世界っていうのがあったり、
また平日の夜の水曜スペシャルとかなんか、
そういうのの中でよく取り扱われてて、
で、それがオカルトブームが一段落した後に、
そのYouTubeとかニコニコ動画みたいなものが出てきて、
あと2チャンネルとかかな、シャレコアみたいな、
ネット怪談みたいなものが投稿されるようになって、
それがだんだん音声とか映像でやる人が出てきて、
そこまでは一個人として楽しんでたんですけど、
ちょうど社会人として忙しくなるタイミングぐらいから、
YouTube見る時間あんまり確保できなかった時から、
YouTubeの中で起こってる怪談ブームみたいなものだとか、
竹書房さんとか門川さんが仕掛けてるような、
怪談のいろんなセレクションとかあまり知らなかったんですけど、
そういう第何時かのムーブメントがあるんですか、今ちょうど。
今ちょうど?もう10年以上前から?
スピーカー 1
そうですね、何かあってますね。
本当にこの10年って言う方が多くて、
そうですね、2013、14年ぐらいからまたブームが来てるねって、
おっしゃってる方がいらっしゃいましたね。
多分本当にササキルさんの世代の人たち、
それこそあなたの知らない世界とかを見て育った人たちが、
発信メディアを得たことによって怪談を語り始めたっていうのが大きくて、
本当に今活躍第一線で活躍されてる方っていうのは、
40代の方が多いんですよね。
その人たちが起こした語りのブームっていうのに影響されて、
スピーカー 2
多分次の僕らの世代が今出てきてるみたいな感じだと思います。
その40代ぐらいのシーンをリードされている第一人者で言うと、
お名前としてはどういう方々なの?
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 1
山優さんとか田中俊幸さんとか、
1978年生まれたのかな?
スピーカー 2
ほぼ同期ですね。
スピーカー 1
そうですね。
その78年組みたいな人が他にもたくさんいて、
隅倉カオスさんという人だったりとか、高田孝太さんとか、
みんな同じ年生まれの人が実際に第一線で活躍されてる方たちで。
スピーカー 2
その方たちは本も書くし、YouTubeもやるし、
イベントに行っても喋るしみたいな、
とにかく語りのいろんなメディアでやってるってことなんですね。
そうですね。
スピーカー 1
本も書かれて、その方たちは本当に皆さん本を書かれていて、
その方たちがちょうど30代だか20代後半だかの時に、
そういう超コアみたいな小説の会談ショーみたいなのがあって、
毎月ショーが発表されるみたいな形で、
皆さんそれに応募してたらしいんですよね。
その同期世代みたいなのが今度語りにどんどん入っていってとか、
あったみたいな話も聞いたことがあります。
スピーカー 2
雑誌で言うとカイというとかに書かれてる方も結構いますよね。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
僕は割と同世代というか、
京奥直彦さんとか小説とかで大人気になって、
カイという、もともと別々の雑誌だったんですけど、
そういうのはどんどん人気になっている時と近かったので、
今第一線で会談している方っていうのは、
そういうメディアの中でずっと活躍されてきた方なんですね。
そうですね。
スピーカー 1
確かにU時代にそういう会談実話のグランプリというかコンテストもあって、
そこでやっぱり受賞された方が今、
会談作家さんとしてかなり一線で活躍されてたとかしますね。
スピーカー 2
ちなみにそれでグランプリって言うとちょっと気になってきたんですけど、
そこで言う会談っていうのは創作なんですか?実話なんですか?
グランプリっていうことはどういうことなんですか?
スピーカー 1
実話ですね。
自分たちで取材した実話会談を自分なりに文章に起こしたもので競っていたっていう形ですかね。
スピーカー 2
じゃあある種ジャンルとしてはノンフィクションなんだけども、
ノンフィクションの書きっぷりに腕が出ると、
取材対象とかその表現方法に腕が出るみたいなことなんですね。
そうですね。
そうですね。
スピーカー 1
なんかよく会談作家は取材力が大事だって言われていて、
本当に一つのお題があったとしたらそれに10本ぐらい出せるぐらいストックを持ってないとダメだみたいな言い方をされていて。
スピーカー 2
なるほどね。
多分ね、おそらくこの辺が多分私と同世代でこの10年ぐらい会談を追ってない人との多分ギャップだと思うんですけど、
僕はネット会談とか2チャンネルのシャレコアみたいなところで泊まってるんで、
ああいうのは創作じゃないですか。
スピーカー 1
はいはい、そうです。
スピーカー 2
基本的には創作。
まあ基本的にはっていうかまあ創作ですよね。
で、創作なんだけれどもあまりにもメジャーになったんで、
逆輸入されてっていうかメジャーな妖怪になったようなね、
やつなんかもいっぱいありますけども。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
あれとは違うわけですよね、ジャンルとしては。
スピーカー 1
そうですね。
基本的に今ブームと言われてるのはその実は会談と呼ばれてる体験者が明確に存在する話を楽しんでる人が多いと思います。
スピーカー 1
なんかそう考えると柳田邦夫がやってた100年前と似てますよね。
そうですね。
あの時代に皆さん集まってお化け話をしてたっていうのと本当に似てます。
スピーカー 2
ね、集まってお化け話してるのって、
あれ別に創作話を持ち寄ってたわけじゃなくて、
本当の話、聞いた話、目前の話を持ち寄ってたんで。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
そこから東の物語が生まれたように、
スピーカー 1
あ、そっから小田切さんも生まれてきたんだなんていうか。
確かに。
納得しましたよ、なんか。
スピーカー 2
いや僕ね、今ね、細部のエピソードに入っていきたいのは今さっきから我慢してるんですけど、
その前に全体的なとこでなんかアピールしておきたいことないですか、なんか。
スピーカー 1
あ、でも本当に僕は最初だからそのコンセプトとして怖くなくていいっていうのと、
本当に自分が見聞きしたものをそのまま書くっていうことで、
あまりにも本当に淡々とそれだけを目指して書いてたので、
本当にこれって面白いのかが全然わかんなくて、
これ面白いのかなみたいな、
なんか書いて読んでいくうちに自分でもなんか当たり前のことに感じてきてたんだ。
これ本当に読んで楽しいって思う人いるのかなって思いながら、
もうなんか編集者の人も別に特に感想も面白いですよとかいただけるわけでもなかったので、
本当に自分を信じて、はい。
スピーカー 2
でも例えば会談会とかで実際に人の前で喋ったことがある話なんかもあるわけですよね。
スピーカー 1
あ、そうですね、あります。
スピーカー 2
そういうのはまだ反応はわかるけどってことですか。
お披露目してない話も多くてってことですか。
スピーカー 1
そうですね、お披露目してない話も多くて、
これを本当に、だからただ1話だけこれをポンと出してもきっと面白いと思ってもらえないから、
累話とか、100年前の道の物語の話とかを比較して、
だからこれ僕面白いって思ってるんですよってちょっと説明口調になっちゃってるんじゃないかとかも思いつつ、
なんかちょっと悩みましたね。
スピーカー 2
あ、今ね感じ入りましたね、今私。
あ、本当ですか。
私ね多分同じことを柳田邦夫迷ってたと思いますよ。
これマジで意味伝わんのかなみたいな。
これ面白いんかなって思って、
で単純にそのエピソードだけ乗っけたんじゃあれだから、
累話を前後になるべく寄せて、
ちょっと河童の話寄せておこうとか、
らしきわらしの話寄せておこうとか、
あとはたまに客中で解説するじゃないですか、
柳田邦夫本人が。
はいはいはい。
字の文、字の文というか伝承の部分の文章に、
現代の柳田邦夫がツッコミ入れてるコメントとか入ってくるじゃないですか。
ああいうの入れずにいられなかったんだと思うんですよ、不安で。
スピーカー 1
多分その気持ちを小田切さんが今ね、味わったんだと思うねこれね。
面白いですねそう考えると。
スピーカー 2
いや確かにそう言われて見てみたら、
結構説明してくれてますよね。
例えばその、僕今思ったのが、
例えば130ページのバケネコっていう話がある中で、
これ聞いたバケネコの話だけしてても良いのかもしれないんですけども、
東野間あたり週175話の下組町の箱石家のバケネコの話なんかを、
スピーカー 1
ちゃんと割と説明して、
スピーカー 2
もしそれが今も長寿化してバケて生き残ってたら、みたいな。
そういうのはちょっとわざと挟んでというか、膨らまして説明してくれてますよね。
スピーカー 1
結構丁寧に書いてくれてるなと思いました。
そうなんですよ。
必ずしも想像の余地を奪うつもりはないんですけれども、
バケネコの話でも、昔からバケネコの話ってあってね、みたいな。
僕が面白いって感じたのはこういうところなんですっていうのを、
ちょっとだけ付け加えさせてもらったというか。
ちょっと皆さんにもその気持ちを味わってほしかったっていうのがあったので、
スピーカー 1
はい、あ、そっかそっか、ダム恐怖症。
スピーカー 2
これは結構ストレートに怖い、ちょっとストレートに怖いような話だと思うんですけど、
このダムってどこですか?
スピーカー 1
えっとですね。
スピーカー 2
花巻ってことは多瀬ダム?
スピーカー 1
いや、あの花巻の温泉の奥なので豊沢ダムですね。
スピーカー 2
あ、そうなんだ、じゃあ私行ったことないわ。
はい。
じゃあ今勘が外れて、勘が当てたら面白いなと思ったんですけど。
スピーカー 1
あ、いえいえ。多瀬ダムのお話も載せてはないんですけど、何個かはあるんですけど。
スピーカー 2
なんかあの、昔、あれはね、1600、17世紀の頭ぐらいに、
遠野が暗黒時代って呼ばれてた阿蘇沼市と南部市が治めていない27年間の暗黒時代に、
いろんな犯罪が山ほどあって、
その中でも特に記録に残っている、多瀬湖近辺に住んでる馬泥棒とか、
20何人住んでるお家が全員斬殺されて、で馬10何頭が盗み出されたっていう、
なんかすごい事件があって、いろんな記録に残っているのがあるんですけども、
なんかそういう、なんとなく不吉なイメージがあって、
そのダムというかね、多瀬湖のあたりの。
なんかそういうのの、もしこのダムの怖い話が、
なんかそういう、そこと繋がったら、面白いって言って失礼ですよね。
でも、面白いなと思って読んだんですけど、
まあそこじゃなかった、そこじゃなかったってことにしました。
いやでもこのダムの話、普通に怖い系のやつですよね。
スピーカー 1
そうですね、なんか僕もこれ多分集め始めて、
本当に2ヶ月後とか3ヶ月後にこの話を取材して、
普通にびっくりしましたね。こんな体験した人いるんだみたいな。
当然のように剣を持ってお祓いしている人が出てくるっていう。
どの市民にそんな人いるんだって思って。
めちゃくちゃ面白いなって。
スピーカー 2
なんですよね。これってもしかしたら、
こういう怪談話とかを読み慣れている人には、
もしかしたらありきたりな話に聞こえるかもしれないけど、
これが例えば、本当に身近な人、
すぐ隣に住んでいる人とか、近所に住んでいる人に、
ボソッと急にこの話されたら、マジかよってなる怖さがありますよね。
スピーカー 1
そうですね。
スピーカー 2
たぶんそういうことって普通に暮らしていると喋ってくれないと思うんですけど、
小田切さんが怪談師ですと、お話何でも聞きますよって言ったことで、
じゃあっていうので心開いて話してくれたってことなんですね、これ。
スピーカー 1
そうですね。
このダムのお話に関しては本当に、
フリーマーケットみたいなイベントの隅で僕が怪談師として座ってたら、
本当に絶対このブースのこと一切興味ない女性2人が通りかかって、
僕がなんとなく怖い体験とかあったらお話聞かせてくださいって言ったら、
2人がこうくるって振り向いて、
なんかこそこそ、お兄ちゃんあの話あるじゃんって言って、
え、あの話するの?みたいな。
スピーカー 2
それを見て僕は、ぜひぜひ聞かせてください、聞かせてくださいって言って、
スピーカー 1
ブースに座ってもらって、
話、始めたのがこの話で、えーって僕は驚いたっていう。
スピーカー 2
怪談買い取りますみたいなのでしたっけ?
スピーカー 1
そうですそうですそうですそうです。
スピーカー 2
怪談買い取りますやって、2ヶ月分くらいでこれ収穫できたら、
すごい大収穫ですねこれ。
スピーカー 1
そうですね。
僕、やっぱやれば集まるんだっていう。
本当に。
スピーカー 2
僕あの、今日じゃなかったの?
去年か一昨年か、おたぎりさんである怪談会に参加させてもらって、
そうやって人に怪談を聞きに行くっていうことが、
自分は怪談師ですとかね、
怖い話を教えてくださいって言うってことは、
相手もすごい安心しますよね。
自分の体験したことって、飲み会の席で言ったり、
あるいはなんか知らない人に言ったら、またそんな馬鹿なこと言ってとか、
嘘ついてるとか、
なんかそういうふうに自分が信用されないようなことも多々あるかと思うんですけど、
相手は怪談師さんで、何でも聞きますよって言うと、
本当に思ってること言ってくれますよね。
すごい貴重なことを、
尊いことされてるなって思いましたね。
スピーカー 1
そんなに言っていただけるなんて、恐縮ですね。
スピーカー 2
いやいや、僕もなんか生まれ変わったら怪談師になりたいですね。
あんまり変わらなくてもいいか。
スピーカー 1
今からでもなれますよ。
スピーカー 2
そうそうそうそう、なんかどっか知らない土地で怪談書いております、
本当にやってみたいですよ。
スピーカー 1
うんうんうん。
多分でもなんかニヤニヤしちゃうかもしれない、面白くて。
スピーカー 2
多分ニヤニヤすると、僕はいつもニヤニヤしてる。
スピーカー 1
なんか本当に持ってないよって言う人でも絶対思い出して話してくれたりするんで、
スピーカー 2
ちょっとしつこく聞いたりとかもしてるんですけど。
怪談集めてるときに、なんか面白かった話、印象的だったことってあります?
スピーカー 1
それこそ、序文、序文って書いてあるんですけど、
序文でも書いたんですけど、
当の人が本当にあまりにも当たり前に怪異に遭遇してて、
それはもう本当に面白さしかなくて、
だから序文にも書いた通り、
とあるお家族にバーベキューに誘われて、
バーベキュー、お肉食べながら、
おかげで行くんですよ、怪談やってんだよって息子さんがお母さんに言って、
お母さんが怪談?みたいな。
そうなんですよ、もしお母さん、病院で働かれてるって聞いたら、
なんか怖い話ありますか?って聞いたら、
いや、なんか怪談なんてないよ、怖い話なんて。
幽霊見たことあるくらい?みたいな感じで。
くらい?
いや、幽霊見たことあるなら、その話聞かせてくださいみたいな。
なんでそんな当たり前みたいな感じで言うんだろう、この土地の人はみたいに。
スピーカー 2
それは面白かった。
幽霊ね、僕自身は見たことないですけど、
いや、見たことあるって人の話も直接は聞いたことないけど、
やっぱりそれは聞く耳を持ってる人にしか多分喋んないんだろうな、そういうのは。
スピーカー 1
うーん、そうかもしれないですね。
なんか、おとといとかも、驚か温泉って東京にあるじゃないですか。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
あそこの天の湯をお風呂入って出て、一人でぼーっとしてたら、
おかみさんが隣に座ってた女性をなんか紹介してくれたんですよ。
この人、釜石から通ってきてくれてるんだよ、みたいな。
で、小田切さんって言ってね、今度怪談の本出すのよ、この子、みたいな。
言ったら、その人が、え、私怖い話大好きなのよって言って、
私も体験したことあってね、って言って、
ばーってその人に体験いろいろ聞かせてくれて、
最後に、いやでも、こんなの誰にも言ったことなかったって。
初めてよって言って、
あ、そんな急に話してくれるもんなんだと思って。
スピーカー 2
怪談が寄ってきてるじゃないですか。
寄ってきてるし、小田切さんがいなかったら話せなかったことを話してもらって、
尊いことしてますね、すごい。
怪談誌ってあれですね、地域に1人以上絶対必要ですね、これなんか。
スピーカー 1
そうかもしれないですね。
絶対街が面白くなるんじゃないかなとは思います、本当に。
スピーカー 2
あれでも怪談ってそういう意味だと、みんな楽しんでくれてるんだろう。
なんかその、いやなんか怖いものだから、なんか嫌な噂になると嫌だなとか、
そう思う人も多いんでしょうか、どうなんだろう。
スピーカー 1
そうですね、なんかそれこそ本当に楽しんでくれてる人もたくさんいますし、
怖い怖いって言いながらも聞いてくれる人もいるんですけど、
いざ自分ごとになった時に、
私の話はやっぱり怪談として発表されちゃうと嫌なのでとか、
世に広まった時に家族に何て言われるか分かんないので、みたいな感じで、
ちょっと怪談として発表しないでくださいみたいなのとかはあったりまして。
でもそんな人でも聞く分にはすごい好きですって言ってくれてたりするので、
スピーカー 2
かなりのビッグエピソードじゃないですか?これ。
スピーカー 1
はい、そうです。
スピーカー 2
ちょっとどういうお話か、
ちょっと教えていただいてもいいですか?
スピーカー 1
そうですね。
東雲の市街地にある架けの上稲荷って、
結構高い丘の上にあるお稲荷さんなんですけど、
ここの神様が霊言が新たかなということで、
とある方からそこの霊言にまつわる話を3つ聞いて、
1つはその方のお母さんが、
お父さんと喧嘩して昔出て行った時に、
釜石まで歩いて行かなきゃいけなくて、
女性の峠越えなんて危ないけれども、
途中で背の高い男性が突き沿ってくれて、
峠を越えたところで朝になって、
私はこちらだからといなくなったと。
そしたらその後釜石に着いたら親族の方から、
あなたがついてきてくれた男の人は、
架けの上稲荷の神様だったんだよと言われて、
そんな男の人がついてきてくれたなんて言ってもなかったので、
このお母さんが言うことって本当なのかなって思ったっていう話と、
お父さんが戦争に行った時に乗っていた船が座礁しちゃって、
魚雷が目の前まで来た時に、
あ、もう死ぬって思って架けの上稲荷に乗ったところ、
船の目の前で魚雷が爆発して助かったというお話と、
最後は架けの上稲荷の宮司さんが火災を予知できるっていう能力を持っていらっしゃって、
市民に赤い光を灯して火災が起きやすいことを伝えていたら、
戦時中だったので、
それは市民を誘導している、
煽動しているというふうに捉えられて交流されてしまったと。
そしたら宮司さんを交流した時の警察署長の奥様が発狂して自殺なさって、
警察署長自身も病気ですぐ亡くなってしまったと。
人々はパタリだったんじゃないかと、
お話をしているというお話3つを載せてますね。
スピーカー 2
架けの上稲荷ってなかなか行かないところですよね。
行かないところですよね。
今寂しいところというか、なかなか名物になってないじゃないですか。
スピーカー 1
はいはいはい。
絶対観光客は行かないところですよ。
スピーカー 2
地域の人もなかなか行かないですよ、あそこは。
でも今も宮司さんがいるんですね、あそこ。
スピーカー 1
えっとですね、宮司っていうのかわからないんですけれども、
トリーが、でっかいトリーがあるんですけど、
トリーの横にお家があって、そのお家の人が管理されているらしいんですけど、
このお話をしてくれた人は、昔壮大だった家の方の方ですね。
神社の壮大だった家の。
スピーカー 2
じゃあこれは私も知らなかったんですけど、
こうやって尾上さんが残してくれたおかげで、
これ多分100年経っても残るんで、
スピーカー 1
これは何か偉大な仕事をされたらと思いますよ、これは。
よかったです。
確かにともすれば誰にも忘れ去られて消えていくようなものだったかもしれないですけどね。
これで残ったら嬉しいですけれども。
スピーカー 2
いやこれ僕ね地味だけど、俺すごい心に残ったのが、
あの笛吹峠を通って釜石まで行くって、
だいたい道のりで44キロぐらいあるんですよ。
で当時ですよ、絶縁した、絶縁というかその戸継いだ家を飛び出て、
40キロって大人の男の足でほぼ休みなく歩いて1日みたいな距離で、
しかも上りであることを考えると8時間とか、1日って8時間とかなんですよ。
8時間とかじゃ行かなくて、
十数時間歩き詰めで峠越えないと、釜石まで行かないと思うんですけど、
その間ずっと横にいた男の人ですよ。
一瞬の見間違いとかじゃなくて、
十何時間山路ともにした人が、
え、人じゃないのってすごい体験だと思う。
スピーカー 1
人じゃなかったみたいな。
スピーカー 2
人だったかもしれないけど、
なんか普通の人が発揮できる優しさを超えてますよね、それ。
スピーカー 1
そうですね。
よっぽど加護大将だったというか。
スピーカー 2
あの距離感とあの道の感じを知ってると、
この何気ないエピソードのとんでもなさが、
スピーカー 1
なんかしみじみにくるんですよ。
はい。
確かに。
スピーカー 2
これはすごいよ。
ちなみに小谷さん一番お気に入りの話とかありますか?
スピーカー 1
お気に入りの話。
スピーカー 2
なんか選ぶとすると。
スピーカー 1
全部基本好きなんですけど、
僕でも集め始めて、結構初期の方に
集まって、これお話すごい好きだなって思ったのは、
28ページから始まる二度目の別れっていうお話なんですけれども、
なんかこのお話は本当になんか、
現代の東野だなって、なんか思うような、
こう脈々と東野の人ってこういう体験してるんだなって、
思わせてくれるようなお話だったので。
スピーカー 2
これどんなお話ですか?
スピーカー 1
えーとですね、お父様が亡くなられた方が、
ご葬儀の後、一人で夜ウィスキーを傾けていたら、
2階から降りてくる足音が聞こえて、
誰だろうって思ってたら、隣の部屋に入ってたと。
今の隣の部屋に入ってた。
そしたらその隣の部屋からゴホンと、
亡くなったお父様の声で咳払いが聞こえていたと。
で、あ、親父まだ死んだけどこの家にいるんだなと思っていたと。
それからしばらくはこう生活の端々に雰囲気というか、
声というか音というか、
お父さんの存在を感じて生活していたんですけれど、
ある日夢の中にお父さんが出てきて、
まあイッチョーラのスーツを着て、
ネクタイを鏡の前で締めていると。
で、親父どうしたんだっていうと、
くるっと振り向いて、
じゃあなって一言言うと玄関を出ていったと。
で、親父を追いかけるように飛び出そうとしたところで、
目が覚めて、
その日がお父様の49日だったということに気づいたというお話です。
スピーカー 2
これ味わい深いですね。
クラシックな、
なんかピアノの商品を聞いたような。
なんか1回目読んだ時に折り目つけなかったんですけど、
全体としてどれお気に入りですかって時に、
これあげられた時に、
この良さが今しみじみきました。
スピーカー 1
良かったです。
スピーカー 2
これいいですよね。
なんかクラシックっていうか、
しかも、
スピーカー 1
そうですね。
なんていうの。
スピーカー 2
初めて聞いたかと言われると、
初めてでもないような気がするんだけど、
これを2022年とか2023年に、
なんか階段ないかなって聞き始めたら、
ポンってこれ出てくると、
ここ生きてるじゃん。
この土地に階段生きてるじゃんって感じする。
いいやつだねこれ。
スピーカー 1
そうですね。
いいやつですよね。
スピーカー 2
これいいですね。
スピーカー 1
ありがとうございます。
逆に笹切さんが好きな話とかあるんですか。
スピーカー 2
僕ね好きな話いっぱい、
確かにね、
今そういう観点でちょっと見直しております。
今まであげたやつは、
スピーカー 1
なんか質問してみたいと思って、
スピーカー 2
折り目つけてたやつなんですけど。
でもこれ2回目読むと違う感じするだろうな。
今49日の話。
しかもね、
私今小田切さんが話してくれるのを、
文章を読みながら聞いたんですけど、
やっぱり文章にするのと話すのとちょっと違いますね。
スピーカー 1
なんか、
スピーカー 2
例えば文章とかだと、
階段を降りてくる、