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2024-11-21 1:06:30

#196『マン・カインド』(藤井太洋)の感想を語り合う

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サマリー

藤井太洋の最新作《マン・カインド》は、情報技術をテーマにしたSF作品で、特に事実確認プラットフォームやフェイクニュースへの対応が描かれています。作品に対する熱い感想や関係者の意見を交えつつ、読者がどのように楽しむかを探っています。《マン・カインド》は、2040年代のアメリカ合衆国の分裂と再統合をテーマにしており、情報空間と漁師コンピューティングの影響を受けたリアリティのある未来の社会が展開されています。また、物語は人間の存在や倫理を問い直す現代的な視点から描かれており、戦場ジャーナリストのジェイク・サコダが登場します。彼を通じて、特殊な能力を持つキャラクターたちの物語が展開され、テクノロジーと人間性の関係について考察がなされています。この作品では、近未来のジャーナリズムやフェイクニュースの問題が取り上げられ、戦場ジャーナリストの視点を通じて情報空間の複雑さと倫理的な課題に迫っています。ポッドキャストでは、『マン・カインド』についての感想や考察が交わされており、作品に登場する新しい固有名詞やテーマの多様性、さらに作家自身のスタイルやSNSでの振る舞いに対する尊敬が述べられています。

《マン・カインド》の紹介
スピーカー 3
2024年9月、政府作家藤井太洋さんの最新長編《マン・カインド》が発売されました。 これはすでに2022年に雑誌連載の時点で声援賞を受賞している定評ある作品だったんですけれども、
今年、この度単行本化されまして、手に取りやすくなりました。 そこで私は買ってすぐ読もうと思ったんですけれども、ちょっと1ヶ月ぐらい寝かせてしまって、
10月になって読み始めたんですけれども、その時点であまりにも面白いと思って、最高傑作だって大興奮してですね、SNSで大騒ぎして、周りの人に勧めまくりました。
でも実はですね、その時に5分の1ぐらいしかまだ読んでなかったんですけれども、結論から言うとですね、見切り発車ではあったものの、その面白さのまま最後まで走り切っていてですね、
最高に面白かった、素晴らしい作品でした。内容なんですけれども、SFはSFでもですね、ハードウェアもいっぱい出てくるんですけれども、どちらかというとソフトウェアとか情報技術が中心の、
インターネット大好きっ子にはたまらないような内容のSFでした。なので、私が元同僚ですね、スマートニュースの同僚とか、LINEとか内部団の同僚にぜひ読んでほしいと思ったのは、
みんながそれに関わる仕事をしているから、周りに勧めまくったというのがあるんですけれども、というわけで今回はですね、その元同僚の仲間、友人をお呼びしてですね、この藤井太夫さんのマンカインドの感想を語るということをやっていきたいと思います。
それではどうぞ。
メディアヌップ。
こんばんは、佐々木入です。
スピーカー 2
こんばんは、森一仁です。
スピーカー 1
こんばんは、遠藤です。
スピーカー 3
森一さん、遠藤さん、たびたびお越しいただきありがとうございます。
スピーカー 1
こちらこそ。
スピーカー 2
ありがとうございます。なんかだんだんインターバルが狭くなってきてる気がするんですが、大丈夫ですか。
スピーカー 3
そうですね、森一さんはですね、最初はこうインターネットのサービスとかメディアっぽい話のときにゲストに来ていただいたんですけども、だんだんとラーメンの話とかいろいろこの間も来ていただいて、遠藤さんは今年に入ってからポケ科の会議にたびたびお呼びしてるんですけども、
ポケ科だけじゃなくて、普段からSFとか海外ドラマのお話をよくする中なんで、別の話題があったらぜひ呼んでくださいってことだったので、今回ぴったりのテーマなということでお呼びしました。
スピーカー 1
ありがとうございます。
スピーカー 3
というわけで、お二人とはライブダー時代からのというか、元同僚という昔からの付き合いなんですけども、僕はお二人はSNSで情報発信してるのを見て、ちょくちょくSFを読んでるのを知ってたんで、これはマンカインド行けそうだなと思ってお勧めしたんですけども、
でもそもそも私がお勧めするより前にあれですよね、森一さんとか藤井さんの作品とか結構だいたい読んでらっしゃるんですよね。
スピーカー 2
そうですそうです。もう新刊出るって分かってたんでカレンダーに発売日って入れて。
スピーカー 1
すごい。
スピーカー 2
僕ね、お二人ほどそんなに普段本読む量が少ないけど、藤井さんの本は好きでだいたい読んでるっていう感じなんで、なんで、そういう意味では読む本の中の藤井対応率は高いんですよ。
なので、そういう意味では期待していて。
そうですね、Kindleに放り込んでいたんですけど、八浦ささきるさんが騒ぎ出したんで、これ早く読んだほうがいいかなって思って読んで、実際すごい面白かったです。
スピーカー 3
僕も1ヶ月寝かせたのは理由があって、これ読み始めたら1日2日ぐらい多分すごい集中することになるだろうなと思って、時間確保できるタイミングを狙ってて、
ちょうど新幹線に乗る時間、3時間半ぐらい時間があるときに、そのときに座って読み始めようと思って、東京駅に乗って座って、福島あたりでSNSに大興奮の投稿してるみたいな、仙台より前の時点でもやってるぐらいの感じだったんです、あのとき。
それがちょっと何人かに伝線していただいたようで。
スピーカー 2
豊かな移動時間ですね。
スピーカー 3
しかもね、5分の1って多分ね、もしかしたらもっと序盤だったかもしれない。かなり序盤のとこで僕もうぶっ刺さってしまいまして。
スピーカー 2
あの辺かなっていうのはなんとなくわかりますが。
スピーカー 3
ちなみにどの辺だって思いました?今。
スピーカー 2
これって今日ってネタバレありなんでしたっけ?
スピーカー 3
ネタバレはですね、ありにしましょう。
スピーカー 2
事前に話しとくよって感じの。
スピーカー 3
でもですね、僕ね、これに関してはネタバレっていうものがないような作品だと僕思いますね、これ。
作品のテーマ
スピーカー 1
あるかな?あるか?ちょっとあるか?
スピーカー 2
でもその辺、そうですね、なんか触れなくても面白く話せそうな気はしてきました。
スピーカー 3
むしろこの作品世界がどういうものか、準備運動っていうか、水に慣らしておくみたいなことがすごくこの作品の新しい読者にとっていい気がするんで。
結構喋ることがいいんじゃないかと思ったね、僕。
ちょっといきなりクイズみたいになりましたけど、僕序盤でかなりいきなり面白かったんですけど、どこだと思いました?今、森さん。
スピーカー 2
え、やっぱりメディアの話してますから、例の情報が世界に伝わらなかったところとかじゃなかったかなって思ったんですが。
スピーカー 3
そうなんです。
そこですそこです。
スピーカー 2
当たった当たった。
スピーカー 3
番組の前説のところでもあれしたんですけど、事実確認プラットフォームのCOBFEっていうサービスが出てきて、
そのフェイクニュースなんかを未練に防ぐために、メディアに投稿されるコンテンツ、記事とかは、その事実確認プラットフォームのスコアリングを受けなきゃいけないっていう世界観で、
そこに記事を投稿する記者がいるんだけれども、ちゃんと作った、その事実確認しっかりしたはずの記事が、なぜか事実ではないというか、事実度が低いというふうに判定されて、
世界にニュースが配信されなかったっていうところからスタートするんですけど、こういう情報技術、情報産業、ニュース産業って、僕たちがかつてしてた仕事にすごく馴染みがあるじゃないですか。
だからこういう話か、今回と思って、めちゃくちゃ面白いなと思ったんです。
まさにご名答ですね。
スピーカー 2
北野富士太陽さんの世界みたいな感じはありましたね。
しかも割と初期の方で、結構ブロガーとかメディアの記者とか出てきたので、あの感じかなって僕は思いましたね。
スピーカー 3
ブログの記者出たやつって何でしたっけ?オービタルクラウドもそうだっけ?
スピーカー 2
オービタルクラウドがウェブディレクターみたいなブログを書いてるみたいな人でした気がしますね。
スピーカー 3
しかもあれですよね、渋谷のどっかのコワーキングオフィスとかでやってるフリーのウェブディレクターみたいな主人公でしたよね、確か。
スピーカー 2
大体ね、会社に入ってるよりフリーとかの人が多いんですよね、その主人公。
スピーカー 3
そうですね。
森さん、僕が面白かったっていうところを最初にちょっと喋っちゃったんで、森さんはどうでしたか?
スピーカー 2
全体としては、最近の作品がもう少し小さな世界でやってるのが多かったので、
オーグメンテッドスカイが鹿児島の高校生とか、第二海国あまみ大島とか、僕そっちもすごい好きなんですけど、富士山のもう一つの境地として好きなんですけど、
そっちに慣れていたので、あ、戻ってきたな、弾けた感じがきたなっていう感じが、
3人で隊を組んで戦うみたいな、独自ルールがいきなり出てきたところから、あ、SFきたなっていう感じで、
わりとわかりやすいエンタメとしてこれ面白そうだなって、
そのメディアのところももちろん個人的にもちろん面白いんですけど、普通にSFとしてこれは面白いやつがきたな、これは日曜日今日潰れるなみたいな感じで読み始めましたね。
スピーカー 3
確かに冒頭のプロローグは映像喚起力のあるロボットっていうか、戦闘シーンを含むちょっとエンタメ感のあるいいプロローグですよね。
なんかこれアニメとか映画になったらいいだろうなというような。
スピーカー 2
何でしたっけ、アチモフじゃない。
スピーカー 3
マスチフね。
スピーカー 1
マスチフ。
スピーカー 2
マスチフ。
あれの登場シーンとかすごい映画とかアニメとかになった時どうなるんだろうっていう感じですよね。
スピーカー 3
マスチフはなんて言うんだろう、四本足の機械の馬みたいな、なんて言うんだろう。
なんかね、デカいボストンダイナミックスをイメージで読んでました。
スピーカー 1
あれしかもイラストあるんですよね。知ってます?遠藤さん。
スピーカー 2
そうなんだ。
スピーカー 3
遠藤さん見てないですか。
昔出た攻勢的戦闘規範っていう短編集の表紙に実はマスチフが描かれていて映ってるんですよ。
あれそうなんだ。
スピーカー 1
そうそうそう。
スピーカー 3
今となってはあれがマスチフだったんだってわかるってやつだと思うんですけど。
スピーカー 1
あの時マスチフって名前出てましたっけ。
スピーカー 3
出たのかな。
スピーカー 2
僕ね、あそこで読み返したんですよ。
ちょっとこの収録まで時間あったんで、その短編を買って読んだんですけど、
もう同じでしたね、描写もそのルールも含めて。
だからすごいなと思って、そんな昔に書いた短編から始まるの、世界観から始まるっていう感じですね。
スピーカー 3
これそうですね。
これなんか、今日ができればそのワンカインドを読んでみようかなどうしようかなと思っている人へのちょっとしたステップになればいいなと思っているところもあるんですけど、
いきなり過去作との深い連携のところに入っていくと。
スピーカー 2
これ最後の方でいいかなと思った。
スピーカー 3
いやでも、話し始めちゃったんで僕も言いますと、まさに藤井さんがかつて描いてたいろんなアイディアの集合してきてる。
例えばボディエリアネットワーク、BAN、ローカルエリアネットワークのLANとかと同じような綴りの頭文字を取ったボディエリアネットワークのBANっていうのは出てくると思うんですけども、
あれも最初に出てきたのはいつだろう。
アンダーグラウンドマーケットか何かにも、アンダーグラウンドマーケットっていうのは2本目の長編かな、連作中編みたいな。
そこに出てきたアイデアとか、人体の魅力な電力っていうか、あれを使ってネットワークとか通信する、中継ハブになるようなデバイスとか身体デバイスとかそういうのが出てきたりとか。
あとマスチフもそうだし、あと何だっけ。
いろいろ出てて、藤井さんが長年考えられてたやつの全部入りみたいなのが今回だったから、それも面白かったですね。
贅沢ですよね、そういう意味ではね、全部盛りみたいな。
それで言うと、遠藤さんって他の作品も読まれてますか、藤井さん。
スピーカー 1
今本当にちょうどいいバランスだと思ったんですけど、実は私藤井さんの本は、公正的戦闘規範ぐらいしか読んだことなかったんですよ。
スピーカー 3
逆に?
スピーカー 2
逆にすごい。
こんなに代表作が長編あるのに面白い。
スピーカー 1
名前はたくさん聞いてたんですけど、たまたま手に取ってたのが公正的戦闘規範で、
この漫画園で読み始めてもすぐにいきなり公正戦出てきたんで、あれ、公正戦あれだよなっていうふうに、そこはすぐ繋がって、それしか読んでなかったゆえに。
スピーカー 3
むしろ正当な続編としてすんなり入ってた感じですね。
スピーカー 1
そうそうそうなんですよ。
なので、あのことを前提に置いてるんだなっていう、世の中のルールの作られ方がすんなり入ってて、私はそういう意味でも、
良い興奮状態で入れたんですけど、でも今のお二人の話と、特に佐々木さんの全部乗せみたいな話を聞いちゃうと、
逆に全部乗せ食べた後に他の具を探りに行く楽しみもあるなって思いました。
スピーカー 3
どちらかというと技術的な話の要素が集合しているだけじゃなくて、
スピーカー 1
まさに公正戦って技術の話っていうよりかは、戦争のルールの話じゃないですか。
スピーカー 3
戦争のための兵器が高度化して、人間不在で高度な戦闘、殺人行為ができるようになった時に、
それを公平なって公正なっていうか、資本だけで戦争が勝負がついちゃわないようなルールを決めようみたいな形で合意して行われる、
ルールのある戦争みたいなことなんだけれども、それは言葉で言うほどきれいなものじゃなくて、
結局それは別な形の資本とか、別な形の知的資源の差によって圧倒的な大差がついてしまう、
不利な不幸なゲームになっているんだけど、でもそれが浸透している世界での戦闘みたいなやつなんですよね。
そういう世界をイメージして過去の短編も出てたりするんですけど、それの最新長編版というかもう、
ですよね。
スピーカー 1
なんかやっぱり今ってこのウクライナの戦争から始まって、イスラエルの戦争もそうですけど、
もともとあればもっともっとずっとどこかで戦争はあったわけで、気づかれてなかったってところもあると思うんですけど、
戦争と皮肉
スピーカー 1
如実に戦争の時代に戦争のフィクションを書くっていうのって、なんかいろんな意味問われると思うんですけど、
そういう意味ではこの富士山の、もうすでに数年前に作られた構成線っていうモチーフというかルールというものが、
それ自体がなんか戦争への皮肉みたいな意味もあるし、
今になってめちゃめちゃ刺さるものがまた引き出されてきて、これは今刺さって当然だなみたいな感覚がありましたね。
スピーカー 3
ねえ、これ雑誌連載時、雑誌連載終了が2021年8月だから、
ウクライナとかガザの話はその後かな?
スピーカー 1
あ、そうか。
スピーカー 3
直後だと思うんですけど、両方ね。
でもその直近の大きなこと、以前にもなんかいろんな技術があった戦争のやつとか問題とかってたくさんあったと思うんで、
それ以外にもね、そういう戦争があったところだと思うんですけど、
でもそういう意味で時代にぴったりなテーマですよね。
スピーカー 2
なんか構成的戦闘規範では、舞台は中国なんですよね。
遠藤さんも読んでるって知ってから話ができるなって思ってるんですけど。
ウイグルとか少数民族を鎮圧するためにみたいな、そういうのが舞台だったりして、
この戦争のルールが初めてリリースされて、こんなものが普及するのか?みたいな問いみたいな感じで終わった気がするんですけど、
その後がこれか?みたいな繋がりがあって。
だから普通のほとんどの人はこのぼくどんな順番で後から構成的の短編読むと思うんですけど、
遠藤さんからするとその先の世界がっていう感じで、ここは繋がってるのがすごいですね。
スピーカー 3
なんか構成性のアイディアをなんか最初に書いたかなんかこの短編で書いたかなんかしたときに、
誰かの感想で、いや人ってそんなに賢くないから、賢くないというかそんな構成性なんかに納得して、
なんかその戦争かルールのある戦争みたいなのが行われるなんてことを全然イメージできないみたいな感想を言ってた人がなんかいたんですけど、
それはそれでなんか一理あるなと思いつつも、今回の最新作のマンカインドの中で描かれていることって、
構成性って言葉は構成って言ってるけど、実はそうじゃない、そうじゃないものの資本で圧倒的に差がついて勝敗がついちゃってる、
そういうゲームになってるみたいな皮肉ごとを含んで描いてたから、藤井さんそんなの100も承知で描いてるっていうその世界観の奥深さというか皮肉さみたいなのが、
多面性みたいなのが丸ごと描かれてたんで、その前作への回答になっててすごい面白かったなと思いました。
内戦の描写
スピーカー 3
なんかごめん、なんか真面目な感想かみたいになってた。
スピーカー 1
いやほんと、同じ短編集に内戦の話も書いてたんですよね。
スピーカー 3
第2内戦ですよね、そう第2内戦。
スピーカー 1
あれもだからアメリカ大陸のシビルウォーの話ですもんね。
スピーカー 2
そうなんですよ。
スピーカー 3
そうですね、これ聞いてる人に頑張って僕説明しないといけない。
この作品の舞台はですね、2030年代、2040年代だったかな、どっちかな、2040年代か。
スピーカー 1
2040年代だと思う。
スピーカー 3
ですね、2040年代なんですけども、それは一旦アメリカ合衆国が2つの国に分裂して内戦を経て分裂した後に再統合した状態を、
このマンカインドでは描いてるんですけども、この短編集の第2内戦では、
その最初の内戦じゃない、2回目の内戦が起こる時のその瞬間、ちょっと昔のエピソードを書いてると。
第1内戦っていうのはご存知、よく知られている南北戦争シビルウォーのやつで、
それに続く第2内戦っていうのが2020年代の後半に、
銃の禁止っていうのを法律で通った後に、それに反対した中西部というか、東部でも西部でもないアメリカの真ん中の州が、
その銃の処置禁止に反対して、独立するというか反対をして、内戦状態になってアメリカが2つに分裂するっていう設定なんですけども、
その第2内戦、最初のやつが書いてあるんですよね、この短編の中に。
スピーカー 1
そのどちらもが行われた後っていうか、内戦を経て経た状態だし、あとその後世戦に関しても、
森生さんがおっしゃったように、終わり方としては問いだったのが、
多分おそらくそれが定着していって、境界化した状態にまでなって描かれてるっていう、
前提条件にしてしまってるのもまた、その贅沢な歴史のある作家さんだからできることなんでしょうね。
未来の情報空間
スピーカー 3
これ、いつ出たんだっけ、後世的戦闘記号。
すごい時間で、10年ぐらいかけて、僕らはそれを味わえてるのかな、これ。
スピーカー 2
そうですね。短編が出たのが17年。
スピーカー 3
10年かかってないよね、2017年。
スピーカー 2
でもなんかすごいですよね、第2内戦とか、17年の短編で書いてて、
で、今年2021年からの連載でも書いてて、で、この単行本が出た時に、
アメリカの大統領選挙がちょうど終わってみたいな感じで、
なんかやっぱ想像しちゃいますよね、いろいろ。
スピーカー 3
確かに、そう考えると2017年って、
トランプ大統領が登場したのが2016年だから、その翌年、その直後っていうかね、
で、2021年っていうのはトランプが再選せずに、
で、今年っていうのはトランプ再選、再選っていうか2回目になるみたいな、
確かに4年って区切りで出てくると、なんかそういうふうにヒットしますね。
スピーカー 1
なんかちょうどこのマンカインドの出たあたりで、
今はまだやってるのかな、劇場で。
アレックス・ガーランドっていう人のシビル・ウォーっていう、まさにそのままの映画がやっていて、
で、あれはまさにその第2内戦的なものを描いてるんですよね。
だからそれと、それもそうなんですけど、
実はアレックス・ガーランドって人って、いろんな映画とかドラマ撮ってる中で、
あんまりちょっと有名じゃないんですけど、デブスっていうドラマシリーズ撮ってるんですけど、
そっちは漁師コンピューターがめちゃめちゃ重要な役割を果たすっていう作品で。
スピーカー 3
どっかで聞いたような。
スピーカー 1
そうそうそうそう。なんか藤井さんとの符号を感じざるを得ないようなところもありました。
スピーカー 3
今回漁師コンピューティングがいっぱい出てきますもんね。
そうなんですよ。
僕なんかちょっと全然違う感想なんですけど、今回2つの意味でなじみのある世界観でだったんですけど、
1つは情報空間とか情報産業事実確認プラットフォームとかですね。
そういうのがメインに据えられてるって意味で、自分が関わってたような仕事に近しいジャンルで関心があったっていう意味で親しみがあったんですけど、
あともう1個は直接的に地理的にすごく親しみがあって、1つ目は高校生の時にテネシー州に1ヶ月ぐらい交換留学みたいなやつありますよね、高校生の。
それで初めてアメリカに4週間ぐらい行って。
テネシーって南北戦争、シビルウォーの激戦区って最後のあの辺りなんですよね。
たくさん南北戦争の遺産というか遺跡、戦場みたいなところに連れられて見学したりとかしてて、
結構まだ生々しいというか、この1つの国が分裂してここでまさに最後の激戦が行われたんだなみたいなものを見てきたんですよね。
しかつそれが最初のアメリカ体験だったんで、ラジオつければカントリーが流れてるし、
メンフィスっていうとカントリーミュージックとエルビス・プレスリーね。
白人と黒人との間で音楽が混ざり合って大ヒットしていくとか。
あとちょっと南の方に行くとアトランタがあって、今アトラントは音楽の首都みたいな感じですけど、
当時すでにTLCとか出てきてて、黒人音楽の新しいものはニューヨークとかサンフランシスコじゃなくて、
アトランタから出てきてるみたいな、そういうのを最初に味わって、これがアメリカかと思ってたんですけど、
後にというかインターネットがすごい大きな産業になって、出張でサンフランシスコとかに行くようになると、
作中の中にも出てくるテンダーロインっていうホームレスとかがたくさん保った場所が、
漁師コンピューティングのデータセンターがある場所になって、今ではクォンタムヒルって呼ばれてるみたいな話が出てくると思うんですけど、
あの感じも出張でよく行ってて馴染んでたんで、第二内線の中に出てくる2つの国っていうか、
2つのアメリカみたいなものを、どっちもすごく知り合いもいるし、歩いたこともあるしで馴染んでて、
そういう意味でもすごい楽しみました、僕なんか。今ちょっと全然別の感想なんですけど。
結構ディテールがね、風景のディテールが結構書いてあるんで、そうだったなと思うんだよな。
スピーカー 1
あんまり藤井さんの本読まないっていうのもあるんですけど、
こういう、私はすごい海外ドラマ好きなので、情景がめっちゃ浮かべたなと思って読んでたんですけど、
スピーカー 3
浮かびますよね。
スピーカー 1
どうなんですか?他の作品でもこういう感じなんですか?
スピーカー 3
いや今回結構豊かに書いてると思いますね。
スピーカー 2
僕パッと思い浮かぶのはわりと東京とか渋谷とかね、海外、外国人の人たくさん出てくるんですけど、
結構舞台は日本の街だったり、あとはイランとかもあったけど、だから今回結構特別かもしれないですけど、
スピーカー 3
僕ね、途中からスタートアップの会社がパッとシーンが変わって出てくるじゃないですか。
スピーカー 2
あそこを転換して、サンフランシスコ、僕行ったことないですけど、自転車でパッとかけて、
エリートが自転車で通って、スタートアップ、少数生のスタートアップがっていう、
そこは僕すごい好きですね。
ただのSFじゃなくて、結構身近ではないけど、なんかよくドラマとか、それこそね、スタートアップのメディアとかで見てるようなシーンが出てくるので。
スピーカー 3
僕もね、あそこ好きですね。
スタートアップの働いてる感じも好きだし、あと富士山が自転車乗りなんですよね、多分。
スピーカー 1
そうなんだ。
スピーカー 3
だからアンダーグランドマーケットとか過去の作品とかでも、自転車で都心をうまく移動したりする道路の描写とか、近くをビュンビュン走る車とのコミュニケーションの描写とか細かくて、
だから結構未来を描いたハイテクなSFの中に、すごくフィジカルな人間が恋で空間を移動してみたいなのが、かなりのリアリティーで混ざってくるっていうのは、すごい良い塩梅なんですね。
あれがすごい良いですよね。
スピーカー 2
そんな優秀なスタートアップが、この小説の一番深いところとどう関係するのかみたいなのが見えてくるじゃないですか、途中から。
スピーカー 3
そうですね。
スピーカー 2
最初分かんないじゃないですか。
スピーカー 3
そうなるのかみたいなところはまた、確かにこれは言わない方がいいと思うんですね。
スピーカー 1
いやー。
スピーカー 3
確かにこれは言わない方がいいと思うんですね。
確かに。
それはそうかも。これは確かに自分で読んだ、自分で知ると楽しいですよね。
でもそれじゃないディテールで言うと、僕は対数とか挙数を暗算しているあの人たちの会話が面白かったですね。数学トークが面白かった。
スピーカー 1
なんかそういう見た目とか考え方とか話す言葉とか行動とかのディテールを書くことにすごい意味がある作品だったんだなっていうふうに思わされましたね。
スピーカー 3
そう僕ね、ネタバレとか関係ないんじゃないかと思ったのは、冒頭から面白かった理由でもあるんですけど、ディテールが全部面白いんですよね。
出てくる技術も面白いし、人の振る舞いも面白いし、つまりそういうことですね。そのディテールに意味があるみたいな、そういうようなことですよね。
スピーカー 1
とかあとは、すごい細かい違いを書くわけですよね。ちょっとした仕草であったりとか、癖であったりとか。
それって世の中を細かくつぶさに描写していくとそうなるわけなんですけど、そうである状態が物語の革新とつながっていくわけですけど、
そのあたりをですね、ポリティカルコレクトネス的な話の仕方をするんではなくて、違いをただそのままあるものとしていろいろ描写していくことが、
すごい意味を持たせるっていうのが、なんかすごいスマートだなって感じがしたんですよね。
あとは、そうですね。これどんどんネタバレに踏みかけてきて。
スピーカー 3
いいんじゃないですか。
スピーカー 1
ブレーキの書き方があれなんですけど。
一つこの物語に出てくる、ワンカインドっていうぐらいなんで、人類を超越した存在みたいなものが現れてくるわけですけど、
物語の背景とテーマ
スピーカー 1
その話がすごく私の好きなアメコミのX-Menのベーシックなラインとやはり近しいんですよね。
スピーカー 3
全然見たことない。
スピーカー 1
X-Menはミュータントって言われるぐらいなんで、突然変異で人類とは違う能力を持った人たちが出てくるっていう物語を、
それこそ80年くらい前かな。結構前から存在しているのを何回も何回もアメコミって作者が改めてリブートするみたいなことがザラなんで、
いろんなシリーズがあったりするんですけど、
基本的には人類という地球上の支配者的な存在に対して、それを超える能力を持った変異体が現れたときに、
社会がどういうふうに受け入れるのか、拒むのか、どう共存していくのかみたいな話を延々してるんですけど、
その感じは全くある意味一緒で、かつこの物語の中で出てくる人たちが使う能力的なところも近しいものを、
特にクライマックスのあたりに使われるものが、あの方の能力ですねみたいな感じのところがあったりしてて、
何ていうんですかね、すごい練りに練った現代性、社会性とか、あとはさっきのたたきさんが言ったようにディテールへのこだわりもあるんですけど、
この普遍的な王道を行くような物語でもあったなっていうのは、
超人類的なものの描き方のX面的な感じはすごくそうだなと思いましたね。
スピーカー 3
さっき遠藤さんがおっしゃったディテールに意味があるって言ったのは、物語の進行自体はなんかすごい奇抜なことをしてるというわけではなく、
ある種王道っぽいんだけれども、それがどのようになされるか、どのようにリアリティを付与するかみたいなものが、
すごく最新のというか、今僕たちが生きてる戦争とか経済とか情報技術の中でリアリティがあるっていうようなことですよね。
スピーカー 1
そうですそうです。倫理とかもそうだし。だからすごい本筋は、
そういう人間の存在とか倫理とかあり方みたいなところをすごく問うてる部分はもちろんあるんですけど、
私も佐々木さんと同じようにディテールすごいいちいちすごくハマっちゃって、
例えば人工的に能力を付与させるみたいな倫理を問うようなところがあったとしたときに、
でもその能力ちょっと欲しいなとか、そういうことをいちいち思ってしまうというか。
スピーカー 3
思いますよね。
スピーカー 1
これだけは別にバレてもいいだろうなってところなんですけど、
人類を超える描写の一つに虫歯にならないようにしてやったぞみたいなところがあったときに、
めっちゃいいって思ったんですよね。
スピーカー 3
そこで?
スピーカー 2
似てるや。すごい似てる。
スピーカー 3
そこか。そこで?
スピーカー 1
そこだって喜ぶべきラインで出てこないんですけど、
その話は全然めちゃめちゃいいなって思っちゃったんですよね瞬間的に。
スピーカー 3
僕ね、虫歯のことは思い浮かばなかったけど、
僕が今遠藤さんの話聞いて、この能力っていうか欲しいなっていうか、
これって意識してないけど結構人間にある能力だなと思ったのが、
記憶退避、ヒープメモリー。
すごい辛いことに出会ったときに一時的に感情を逃すっていうのかな、
シャットアウトするっていうのかな。
一番基本的なところとしては、
事実確認プラットフォームに投稿された残虐な映像とか何とかっていうのをチェックするっていう仕事。
これUGCやってるとそういうのモニタリング、パトロール、モデレーションする仕事をしてる人たちってたくさんいて、
フェイスブックでも何でもフィリピンとかに外中してて、
心理的外傷を受けてる人たちがたくさんいるみたいな報道って山ほどあると思うんですけども、
そういう人たちがどういうふうにそこから逃れるか身を守るかみたいな、
心を守るかみたいな話として出てきて出会ったと思うんですけども、
このマンカインドっていうか、
そういう特殊なかなり強い能力を持ってる人たちはそれをかなり意識的に使えて、
しかもその能力がかなり強いっていうの。
中に記憶対比っていうのがあるって書いてあって、
これはすごく実用的な、なるほどっていうね、と思いましたね。
スピーカー 1
そうなんですよね。
ちょいちょいいいなって思っちゃう瞬間ありましたね。
スピーカー 3
森さんはありました?
気になったディテール。
スピーカー 2
ディテールじゃないんですけど、
さっきサンフランシスコの事実確認プラットフォームの超エリートスタートアップの話をして、
彼らはどっちかというと、良い方というか悪者か良い者で書いていくと、
どっちかというと物語の中では良い方、感情移入できる方だと思うんですけど、
もう一つ、悪い組織も出てくるじゃないですか。
悪いエリートの悪い博士というか出てくるじゃないですか。
その陰謀がどんどん明かされていくみたいな感じなんですけど、
その中で僕が1個だけこの本を読んでいて、
Kindleでメモした言葉があって、
それが事実上の標準を取りに行く計画だ、みたいなくだりがあって、
これ全然このSFというか、スタートアップがやりそうな、やって正当化するみたいなところの、
結構リアルな言葉だなって思って、そこにマーカーを引いたんですね。
あんまりそれが何かというとネタバレになるかもしれないんですけど、
その辺はすごく一番リアルだなと思って、
スタートアップは特にアメリカのジャイアントテックとか、
色マスクとかもそうだと思うんですけど、
彼らが世界を変える何かを作っているみたいなんだけど、
結構わりと強引なこともやっているみたいなところを一番突き詰めて、
悪い感じにするとこういう感じになるんだなみたいな感じがして、
SFだけどそういう現実とつながっているかもしれないリアルが出てくるのが、
本当そこが僕、藤井さんの真骨頂というか、一番他のSF作家と違うところで、
めっちゃリアルなんじゃないですか。
スピーカー 3
そうですね。ひきなれに引き寄せると、今の日本だとループとかタイミングの話ですよね。
そういう日本のそういう引きな、スタートアップの話にもあるし、
スペースXとか、それこそオープンAIにこそあると思うんですけど、
そういうようなやつですよね。ビジネス上の話も面白いですよね。
それの一番近異に触れたことをやっている設定を物語にしているみたいな感じじゃないですか。
その対象は人間の肉体とか心にしているという意味で、
スピーカー 2
最も過激なやつですよね。その対象になっているテーマがね。
でも彼らの計画が成功したら、本当に事実上の標準を取れたかもしれないことも
スピーカー 3
できるようなストーリー展開じゃないですか。考えさせられるなというところはありますね。
スピーカー 1
X面もそうなんですけど、裏を返せば、いかに人間が愚かみたいなところって見えてくるわけじゃないですか。
物語を第三者的に読んでいると、たまにそういうミュータントとかマンカインドみたいなものに
肩入れしていくと、人間が滅いたほうがいいんじゃないのって思うようなこととかを。
スピーカー 3
古典的な議論ですね。
スピーカー 1
そうそうそうそう。
なんかそういう話も、そういう意味での王道さもありましたよね。
うん、ありましたね。
スピーカー 3
そこがちょっとアップデートされて感じたのは、マンカインドの人たちがカラッとしている部分なんかちょっとありませんでした?
これね、富士山スタイルだと思うんですよね。
スピーカー 1
そうそうそうそう。
スピーカー 3
あ、そうなんだ。
そうなんですよ。
どの作品を書いても、これは富士山の味なんですよね、たぶん。その味がすごいみんな好きで読んでるんだと思うんですけど。
スピーカー 2
そうそうそう。カラッとしてる?そうそう。
スピーカー 1
逆に言うと、なんか人間身でしっとりあんまりしてこないみたいな。
そうそうそう。何をあぶしにしようと思えばいくらでもできるわけじゃないですか。
スピーカー 1
なんかそこがすごくノイズがない状態というか、だからこそこういうふうにガジェットに目が行ったりとかいろんなことに視点を置けるというか、なんかそういう感覚はあったんですよね。
もちろん前描くみたいなのを読み取ることはできるんですけど、もちろんいろんなところにその当事者意識みたいのをどこに置くかによっては受け取り方って全然違うんですけど。
物語の全体の感覚としては、なんかすべて後ろ向きになることもないし、変に虚勢を張ることもないみたいな感覚を持って読み終わった気がしますね。
スピーカー 3
これもう完全に読んでない人今から聞くのやめてほしいんですけど。
スピーカー 1
ついについにコラッキーが出てくる。
スピーカー 3
読んでない人はどうぞこの先聞かないでほしい。いいですか。もう今止めるなら今です。
で、そういう意味だとラストシーン最高だと思ったんですよ。
もう本当に僕、王道なんだけど、まさにエンドゾンネってことを繰り返しになるんですけど。
王道だけど、味わいがさっぱりしててすごい良いというか、何て言うんだ、機関意識?分岐意識?になって死んでしまった相棒が最後マスチフにトランクかな?
トランクというか分岐意識かな?
それがもう一回成長し直していく過程にあると。
で、その相棒の名前忘れちゃった、そのマスチフに機関意識が移った相棒と一緒に残りの巡礼をしていく。
虐殺された残りの人たちにビットコインを渡していく。
途中で終わっちゃったその巡礼というか、亡くなった仲間たちへの挨拶の続きをしていくってところにスッと戻っていくシーンがあると思うんですけど。
あの辺もあんまりウェットじゃないですよね。スッと終わってその辺がすごく気持ちよかったですね。
結構終わり直前激しいじゃないですか、この試合もあるから。
だから終わり方によっては傷口がじゅくじゅく残ったまま終わる終わり方もあったと思うんですけど、最後テンポ良くスッと終わり方したのがすごく良かった。面白かったですね。
スピーカー 1
同感ですね。これでも藤井節なんすね。
スピーカー 3
結構味わいに似てますよ、そういう意味では。結構好きなノクターノクター。
その前はね、ワンモアヌークっていうこれは原子力のテーマを使った作品なんかもね、すごく好きだったんですけど、それにもね、ちょっとそういう意味では味わいという意味で似たとこあって。
オービナルクラウドはやっぱり本格SFとして今言ったような爽やかさがありますか?
これはさかのぼるしかない感じになってきましたね。
あとディテールであっちゃこっちゃ話言ったんですけど、今手元で折り目つけたとこパラパラ見てて目に止まって、これクスッと笑うやつなのかな。
特殊な能力と倫理の探求
スピーカー 3
さっきの森内さんの言ってたのに近いんですけど、途中充実やってるんだって言ってるセリフがあって。
あ、サンフランシスコのエンジニアがよくやりそうなやつねとかって。
その返す会話があるんですけど。
僕そんなところでも笑ってました。
小池さんって充実やってる次第がいるんですけど、都市に住んでるデスクワークしてる人が一生懸命充実やってしまう感じ。
これだわ、159ページ。
うまいね。充実やってますので。
なるほど、さすがサンフランシスコのエンジニアだ。
さすがっていうのが、やゆなんですけど。
しかもね、こういう会話山ほどあるんですよね。
だからディテールとして。面白かったな、そういう意味でも。
スピーカー 1
そういう意味では、サコダっていう、ある意味我々っぽい感じの、族っぽい感じの人間の視点を通すっていうのが、そういう会話に通じてますよね。
スピーカー 3
主人公ですよね、ジェイク・サコダ。
ジェイク・サコダはジャーナリストで、この物語の冒頭から出てくる戦場ジャーナリストで、その戦場に入り込んでいって、
物語の結末と評価
スピーカー 3
後世戦だから、ちゃんとそのジャーナリストですって証を持っていれば、殺されることなく取材ができると。
ちゃんとメディアの監視が入っている中で、ちゃんと戦争するからその後世戦が保たれるんだみたいな、そういう仕組みの中でやってる戦場ジャーナリストなんですけど。
ジェイク・サコダがいろいろ目撃していって。
ジェイク・サコダ自体は、どっちの側でもない、メディアの目を持った人として、この物語を最初から最後まで見届ける人なんですけど。
僕ね、途中からね、ただ疑り深くなって。
あれ、これジェイク・サコダももしかして。
つまりこれはあれなんですよ、ブレードランナー的な感じで言うと、ハリソン・フォードもレプリカントなんじゃないかって思いながら見る感じがあるじゃないですか。
いつかジェイク・サコダ開眼しちゃうんじゃないかって思いながら読んだんですけど、これはまあ開眼しないんで安心して読んでほしいんですけど。
そんなことも思いながら読んでましたね。
スピーカー 1
そういえばあれですが、さっきちょっと冒頭の方で話したアレックス・ガーランドの映画の方のシビル・ウォーも実はジャーナリストというか戦場カメラマンが主人公なんですよ。
スピーカー 3
確かにそうやっぱり主人公になりますね。
スピーカー 1
ただその、やっぱり世の中の理、映画の中のルールの設定が全然違うから違うなと思ったのは、
スピーカー 3
映画の方はいわゆる戦場カメラマン的な人で、戦地でのいろいろな激しい出来事に興奮を覚えていってのめり込んでしまうみたいな、ちょうどあれなんですよね。
スピーカー 1
国用のワークサイトのメルマガで若林さんがそれをちょっと批判する的な文章を今週出してたんですけど、古臭いって言って。
スピーカー 3
みんな同じもの読んでますね。僕も読んでます。
スピーカー 1
で、それと対照的にやっぱりこのジェイク・サコダが置かれた環境ってやっぱり戦場のジャーナリストが法制戦っていう環境であったりとか、
あとはそのコブフェのあるジャーナリズムがフェイクニュースが成り立たない時代の中で生きているっていう前提があるから、
なんかジャーナリスト的な振る舞いも独特じゃないですか。
スピーカー 3
そこ結構冒頭から面白いところですよね。
スピーカー 1
なんか本当に同じような内戦というかシビルウォー的なものを扱っていても、
未来の舞台設定もそうなんですけど、いろんな設定によってここまで違うかってくらい、くっきり違った要素でしたね、そこは。
スピーカー 2
サコダで言うと、一切記事を書かない、写真も自分で撮らないジャーナリストっていう、
え?って思うけど、僕らからしたら、まあありえるなって感じじゃないですか、もう近い未来に。
だからそういう設定を作ってくるの、これも藤井さんの作品そういう感じなんですけど、
なんかありえる未来を、SFだけどなんかもうありえそうな未来を描くっていうところが絶妙で、
じゃあジャーナリストが全部そうなったら、記事の良し悪しをシステムが判断するようになったらどんな世界になるだろうか、
スピーカー 3
ちょっと本を閉じて考えたくなるみたいな。
これ連載バージョンと単行本バージョン、読み比べないとわかんないのかもしれないですけど、
連載しているときには生成アイ、トランスフォーマーはあったけど、
今のようなチャットGPTみたいな触りやすいアプリケーションとしてはなかったときだと思うんで、
映像からその記事を生成するとか、あるいは土地用のノートブックLMを使っているのに近いような描写ありますよね。
いろんなドキュメントをそこに食わせていくと、それを取材しながらどんどんツリー化していったりしていくみたいな。
あの辺ってノートブックLMとかを使いながらインタビューしたりしていくと、ああいう感じになると思うんですけど、
それっぽいのがあったりして、どの時点でこれを書いているんだろうと思ってびっくりしながら読んだんですけど、どうなんだろう。
でもそういうのも面白いですね。自然だし、お話の中だと無理に入れているわけです。
スピーカー 2
リアルなんですよね、あり得るから。
スピーカー 1
だからこそ、故にフェイクニュース的な、今のまさにポストトルース的な、
大統領選挙なんかまさにそうだったと思いますけど、状況を一旦解決した世の中を作るのに、
ものすごいハイレベルな量子コンピューティングが解決するっていう前提を置かなくちゃいけなかったっていうのが、また意味深だなってちょっと思いましたね。
スピーカー 3
僕確かにそういう意味だと、そこは、特にスマートニュースに限らないんですけども、
SFとしての描写とリアリティ
スピーカー 3
フェイクニュースみたいなものの判断をどうするかって、世界中の人が、メディアが考えている難しい問題で、
ものすごい計算力を持ったコンピューターをぶん回したら、うまくいくかっていうと、あんまりそういう感じも持ててないのですが、
そこはフィクションとして、そこにリアリティを自分が感じられなくても面白く読んだんですけど、
現実にはそれがあったらいいかっていうと、そういう気もしはしないんですけどね。
スピーカー 1
それはあれですか、そういうツールがあること自体に結構ネガティブなこともあり得るって感じですか?
スピーカー 3
そういう人もいますね。
でも、ニュースって特に、新しいことに価値があるものだから、学習の素材が少ない状態のものにすぐ答えを出さなきゃいけないというか、
すでにたくさん解かれた問題を解くんじゃなくて、今起こった新しいことを、その妥当性を解くみたいなものって、
すごく計算力があったらできるのかっていうと、あれそうなんだっけみたいな。
確かに。
でもね、僕専門家じゃないから、いやできるんですよって言われたら、そうかもしれませんけど。
スピーカー 1
そうですよね。そういう意味では本当にフィクションだからできる、前提条件を作るっていうのは、まさに作家だからできることだと思うんですけど、
それ自体はすごく良かったかなと思いますけど、そこ自体も今まさにものすごく重い問題として目の前にあるものだから、そこも向き合わせることもできそうですよね。
スピーカー 3
本当に未来の話ですけど、すごい現代の話ですよね。情報空間が分断しているような、今の話でもあるし、8年前の話でもあるし、別の感想なんですけど、
藤井さんが日本に生まれた日本人として、これだけこういうアメリカの作品を書くことに執念を持っているってことに僕、面白いなと思うと同時に、
アメリカすごい遠いようで海を隔てて隣の国っていうか、海によって繋がってる一つの国っていうか、それは地理的な話だけじゃなくて、歴史的にもすごく近い国じゃないですか。
文化的にもそうだし、政治とか経済とか、しかも情報空間でもすごく結びついている国として、すごい身近な国じゃないですか。
だから、そこへの関心が藤井さん持たれてるっていうのを通して、僕もすごいアメリカに関心があるんだなって改めて思いました。
何て言うんだろう。あまりにも近いから、あまりアメリカのことを普段考えないじゃないですか。
でも考えるか、今。今ちょうど考えるためかもしれないけど。
普段そう思わないと思うんですけど、すごいアメリカって日本にとってすごい近しい、近しいって言うんだろうな。
一つのって言うとものすごい語弊を含みますけど。
あれだなと思いました。
スピーカー 1
私、どストレートにアメリカかぶれ人生を歩んでるんで、めちゃめちゃすごいぶっ刺さりましたよ、今回のは。
スピーカー 3
それはあれですか、カルチャー的な意味でですか。
スピーカー 1
そうですし、さっきチラッとお話しましたけど、すごいアメリカ描写の解像度が高いっていうのは、佐々木さんの体験もそうですし、
私はすごいドラマをめちゃめちゃ見てるので、めちゃめちゃサンフランシスコなんかすごく典型的でしたし、
あとは、それこそ食材で回るような旅路もそうですけれども、結構あらゆる描写がすごく映像を想起させるようなもので。
スピーカー 3
しますよね、確かに。
スピーカー 1
なんか、すごい日本人の作家の方が、あとは私、アメリカの翻訳小説みたいなのもすごい読むんですよ。SFも翻訳小説が多くて、
スピーカー 3
ある意味途中から翻訳小説読んでるような感覚を覚えるみたいな。
スピーカー 1
そういうところもあったんで、どストレートにふんなり入ってきちゃいました。
スピーカー 3
さっきの僕の感想、もうちょっと踏み込んでたのが、母国アメリカみたいなことを思いましたね。
スピーカー 1
それはすごい。
スピーカー 3
今読んでるときに思ったわけじゃなくて、遠藤さんの話を聞いて、僕が思った感想をちょっとオーバーに表現すると、
自分が生まれてない国のはずなのに、いろんなコンテンツを浴びてる、音楽を浴びてる、文学も浴びてる、経済的にも歴史的にも、
ビジネスとしての情報空間としてはもう切っても切り離せない状態に一体化してると思うんですよ。
生まれた国でもないのに。
だからこんなに関心があるんだなと思って。
それを藤井さんが執着して書いてるのを通じて、僕もそういうアメリカに関しての関心がすごく引き受けるような感じになりましたね。
アメリカの影響と文化
スピーカー 1
面白い。森内さんどうですか、そのアメリカ的なものっていう文脈。
スピーカー 2
なんか今、飲み屋で真剣な会話をしてる2人を横でアイコンとしながら聞いている人になってたんですけど。
スピーカー 1
いいね。
スピーカー 2
僕個人はアメリカ、特に2人ほど思い入れなくて、どっちかというとヨーロッパが好きなので、なんか普通に舞台として見てましたけど、
スピーカー 3
でもその描写、ロードムービーみたいな描写とか、アメリカ自由連邦領内に行くときに自動運転が効かなくなるみたいなところとか、
スピーカー 2
あの辺の描写とかはすごい、アメリカでその銃がどうのこうのみたいな話とか、すごいリアリティもあったし、アメリカっぽさがすごい出てるなって思いましたしね。
スピーカー 3
ちょっと僕今、短編の第二内戦と混ざってるんですけど、そっちもすごいアメリカの話がどんどん出てくるんでお勧めです。
あのシーン良かったですね。
名前なんだっけ、旧アメリカじゃないけど。
スピーカー 2
自由連邦。
スピーカー 3
自由連邦か。ここに行ったとこの戦闘シーン、車が近寄ってきて、曲斜弾、ステアビュレット、曲がる弾丸の位置を計算したりしながら脱出したりなんかみたいな、
あの一連の地的アクションと肉体的アクションがアメリカの、浮かびますよね、砂漠のっていうか、家がポツンとあって、水が溜まったタンクが外にあって、
ブラッドピットのセブンで言えばラストシーンみたいなところで、なんかやってんのかなみたいな、あのシーンとかすごい良かったですけど。
スピーカー 1
それとね、そう遠くないところにトランプタワーみたいな、
そうそうそうそう。
なんかその辺もね、本当にすごい映像が思い浮かぶし、リアリティとフィクションの王道感と両方あるんですよね。
スピーカー 2
映像で見たいですよね、これ。
スピーカー 1
そうですよね。
スピーカー 3
これなんかされるんじゃないかな、なんかされるっていうか、したいっていう人現れるんじゃないかな、これ。
スピーカー 2
しっかり予算取ってほしいですよね、でもこれ。
スピーカー 1
そう、むしろハリウッドにやってほしいかもしれないみたいな。
スピーカー 3
後戦戦とかも面白いもんな、多分映像で見ても面白いもんな。
スピーカー 2
なんかちょっと幼稚な話をしますけど、最後のどんどんチェリー・イグナションのいるところににじり寄っていく最後のクライマックスのとこあるじゃないですか。
なんか僕の中では割とキングダムの戦闘の漫画読んでるときと同じ感覚で興奮しながら読んでましたけどね。
2つのタイが山を登って奇襲してみたいな、これキングダムと一緒やなって思いながら読んでました。
スピーカー 3
確かに。
スピーカー 2
そういう楽しみ方もできるので、普通に読んで楽しい。
スピーカー 3
そうですね、物語の序盤で出てきたキャラクターとその謎の提示が、ちゃんと終盤に折りたたまれていって、戻るべき人のとこ、会うべき人のとこに戻っていって最後終わりますもんね。
そのチェリー・イグナションのところに行って。
すごい分かりやすい、読みやすいですよね、これお話がね。
スピーカー 2
すごい男の子っぽいSFとしても読めると思いますよね。
スピーカー 1
なんかその最後のところとかって、ちょっと俯瞰したマップで見る感じもありませんでした?
スピーカー 2
そうですね。
スピーカー 1
なんかファイアー・エンブレムみたいな、こういう陣を取り合っていくような。
スピーカー 3
思ってなかったけど、今分かりました。思ってなかったけど、今ガッチしました、今。
ファイアー・エンブレムね。
スピーカー 2
そうですよね。で、戦ってる舞台以外にメディアの舞台とかも上陸したりするじゃないですか。
スピーカー 1
知らぬ間に近づいてたりとか、後はマスを飛び越えていく能力が使われたりするわけじゃないですか。
その辺のゲーム的な感覚もすごく巧みに取り入れられてる感じがしましたね。
スピーカー 3
イグナションの相棒が、意外とって言ったらですけど、すごい強いやつだっていうのが面白かったな、漫画っぽくて。
スピーカー 1
神色。
スピーカー 3
そいつも能力者で強いっていうのが、序盤には強いこと分かんないじゃないですか。
いや、あれ面白かった。漫画的にも。
スピーカー 2
いや、漫画ですよ、最後の。
スピーカー 3
そう、最後漫画。
スピーカー 1
そうそうそうそう。
作品の魅力とテーマ
スピーカー 2
こいつは俺に任しとけ、お前は行けみたいな、もう漫画じゃないですか。
スピーカー 1
そうなんですよね。一人ずつ五重塔を登っていくような展開っていうか。あれも王道ですよね。
スピーカー 3
そうですね。今あれか?ブルースリーの話ですか?五重塔って何の話なの?
スピーカー 1
ブルースリーとか、ハンター×ハンターとかもそうですけど、ダンジョンを一人一人置いていっていくみたいな。
取るものの王道フォーマット。
そうそう。占い場マンとかもそうでしたよね、確かに。
スピーカー 3
ダンジョンを登るのね。すごい序盤ですって、すごい序盤ですね。
なんかでもそういう本当にごちゃっとしたジャンプ的な価値観から、最近のFPS的なノリから、あとはめちゃめちゃ国際政治みたいなところまで幅広いですよね。
でもそうですね、今日訴えたい、締めとして訴えたいことがあるとすると、プロローグのところでいきなり結構新しい固有名詞が出てくるんですよね。
ブルーガンとかコウセイセンとかコブフェとかクシュブとか。
確かに。
ただ、それでなんかわかんないと思って脱落しちゃう人がいるとしたらとてももったいなくて、これ要は僕らがさっき熱狂してたみたいに最後ジャンプ的な海外ドラマ的なコテコテの最高の感じで、しかもシュッと爽やかに終わる。
これ絶対誰が読んでも面白いと思うので、ぜひ読んでいただきたいと思います。
藤井太洋の作家としての評価
スピーカー 3
最後いいですか?
どうぞどうぞ。
スピーカー 2
これ佐々木さんに聞きたいんですけど、作家として藤井さんの作品読んで、正直僕とか両方作品読んでるので、近いところとか似てるところとかもすごいあると思って読んでるんですけど、
どういう感じで藤井太陽さんを読んでるのかなって答え難しいかもしれないですけど。
スピーカー 3
いやいや、僕そんな同列に質問されて、今もうこのマイクの前で顔真っ赤になってますけども。
いやいやいや。
いくつかの文人で答えると、読者としては出た小説全部読むって決めて実際に行動してる作家って何人かしかいないんですけど、その5人くらいのうちの1人で、もう出たら絶対読むって決めてる作家の1人ですと、これ読者として。
で、あとは同じように小説を書いたことのあるっていうか書いている人としては、ほんとストレートに尊敬してます。ちょうど10歳ぐらい違うんですけども、何か同じようにやっぱIT業界にいて、技術とかビジネスとかの知識をもとに小説作品を書き続けている。
しかも書き続けているってのはすごいところ。しかも僕すごいなと思うのが、藤井さん普段SNSでもよく発信されるんですよね。今だとスレッツとかでもよく書いてるかな。
そのSNSでの振る舞いがすごくダンディーっていうかスマートっていうか、はっきり物も言うし、でも攻撃的じゃないっていうか、ダンディーとしか言えないな。何も言わないのが大人のたしなみであるって意味での大人っぽさじゃなくて、言うべきことをはっきり言うっていう意味での大人な振る舞いがあって、そういうのも含めてすごいかっこいいなと思って尊敬してるっていうのが。
あって。これ何が質問されてるのか。ただ僕が書いてるものとの似たところもあるけどっていうふうにおっしゃったと思うんですけど、確かに扱ってるテーマみたいなところに似ることあるかもしれないんですけど、やっぱり藤井さんの持ってる、僕数学とか得意じゃないですよ。化学も得意じゃないし物理も得意じゃないし。
藤井さん結構そういうのも何でもございで書くじゃないですか。ああいうのは自分にないもので憧れを持って読んでるし、そういうとこがすごい面白さだなと思って。
スピーカー 2
生き方がかっこいいっていうのは確かになって。確かに僕は全国学科側じゃないですけど、なんかそのかっこいいお兄さんみたいな、あんまり応募書みたいな遠い存在の作家というよりは生き方がかっこいいお兄さんと言ったら、口を勝手に言ったらあれですけど、そういういい意味の親近感はあって。
僕、前の作品オーギュメントスカイをポッドキャストで声日記で感想を喋ったのをツイートしたら、それにちゃんとコメントしてありがとうございますとか言ってくれて。
すごいカジュアルにそう言ってくれて、しかもポッドキャストですよね。だからそういう感じがスマートで、なんかでもなんかこうベタベタにいろんな人にエゴサーチしてコメントつけてるというよりは、なんかスマートな感じがして、すごいかっこいいし、また次のやつ普通に読まなきゃなっていうみたいなって思いましたね。
今後の作品についての期待
スピーカー 2
僕の感想ですけどそれは。
スピーカー 3
いやでも、そう思いますね。さっき言ってたSNSの振る舞いがいいっていうのは、僕すごくポイントとしては大きいですね。
小説作品って書くのに時間かかるから、読めるペースって少ないから、普段よく意見とか考えを目にするので、むしろそっちのSNSの方なんですけど、それがかっこいいなと思って見てますね。
それでは最後にちょっと本日ご出演された皆様にご出演の感想をいただいて締めにしたいと思いますが、森内さんからいかがでしたでしょうか。
スピーカー 1
想像はしてたんですけど、いろんな本とか読んでる遠藤さん、特にアメリカへの造形が深いところで、途中で僕は居酒屋状態になっちゃったんですけど。
スピーカー 2
でも、これから遠藤さんがいろんな富士山の作品を、これからこの状態から読めるっていうのがすごい羨ましいなっていうのが、まずこの3人で話した感想かなって思いました。
あと僕はその弾けた今回のSFもいいですけど、詩小説のような地元を舞台にしたような作品も大好きなので、今度はまたそっち側の作品も楽しみにしたいなって思ってます。
スピーカー 3
それで言うと、第2回国が奄美大島の舞台になっている小説なんですけど、地域おこし協力隊とか出てくるんですよね。
そうなんです。そういう意味でも面白いんですよ。
スピーカー 1
なるほど。
スピーカー 3
おすすめです。じゃあ遠藤さんいかがでしたでしょうか。
スピーカー 1
いやーまず第一にこれは前作読むんだろうなという楽しみが増えたっていうのが一番大きいんですけど。
やっぱりでもお話してて、このマンカインドっていう作品の多義性っていうか、いろんな見方ができるし、いろんな楽しみポイントがあるのに、一つの作品として成立してるってのすごいバランスだなって、なんか改めて思わされましたし。
スピーカー 3
確かに。
スピーカー 1
珍しいんですけど、もう1回読み返したいなって思いました。改めて。何度か読み返せそうな作品だなってすごい思いました。
なのですごい、もともと直感的に好きになる作品なんですけど、それをまた何度も楽しめそうだなっていう機会になってすごい楽しかったです。
ありがとうございますという気持ちと、あとちょっと今度じゃあアメリカと私みたいな話もしたいなというふうに思いました。
スピーカー 3
いやー。
スピーカー 1
暴国。
僕もアメリカと私みたいな、江藤潤の本にある。僕は江藤さんと違ったのは、アメリカにすごく影響を受けてるとか好きだっていうことをストレートに認めずにいたなと思って。
スピーカー 3
今日どんな話をするか、あまり決めすぎずに3人でのおしゃべりを楽しみにこの収録に臨んだんですけど、なんか気に入ったシーンとか抜き出しておくぐらいで特に何を思うか決めなかったとか決まってなかったんですけど。
なんかアメリカにすごく影響を受けてるんだなっていうことを改めて受け止めて、受け止めたんですね。
発見とか喋りながらとか聞きながら発見して、いやそんなの言われるまでも当たり前じゃんみたいな政治的経済的な状況として、情報空間としても地下シーンだからそうじゃんと思いつつも、あんまそういうふうに積極的に思ってなかったんで。
そういうのを発見したのがなんか、今日収録して収穫だったなと思いました。
普段僕いつも日本の古い民族学とか歴史の話ばっかりしてるから、僕アメリカってこいつ頭どうしたんだろうみたいな。
なるんだけど、でもなんかそういう自分もまた発見しましたね。
もしかしたら、ポッドキャストとしてはもしかしたらとてもどっちらかった内容になっちゃったかもなっていう反省はあるんですけども。
もしかしたら何年かして聞き直すと、あ、あの時に僕アメリカに舵を切ったなって思うかもしれないな。
そんなことまで思いました。
スピーカー 1
舵を切った。
スピーカー 3
舵を切った。
スピーカー 1
いや本当にちょっとまた折に触れてこういう話もしたいなと思いました。
スピーカー 3
そうですね。ありがとうございます。
スピーカー 2
いいですね。一つの本を魚にこうやって振る話すってなんか楽しいなって思いました。
スピーカー 3
そうですね。
スピーカー 1
またなんか見つけてやりましょうよ。
スピーカー 3
そうですね。
うん。
あ、そうだ。最後に告知っていうか自慢なんですけど、私最近文庫版の僕らのネクロマンシーっていう小説を出したんですけども、その帯に富士山からの推薦の言葉をいただいておりまして。
すごい。
帯のところに。
スピーカー 1
ここに来て。
スピーカー 3
推薦、富士太陽、SF作家って言葉を入れさせて、ご許可をいただいて、入れさせていただいたんですけども、その本が今月から東京とか岩手の東野の書店で並び始めまして、東京だと鬼窪のタイトルとか下北沢のB&Bとか、また不動前のフラネル書店さんとか、
あと東野だと内田書店とか旅の蔵、風の丘、富川屋とかでお買い求めいただけますんで。
スピーカー 2
なんか手に取りやすいサイズになってるんですよね。
スピーカー 3
そう、文庫でね、サイズが手に取りやすいんだけど金額的にも手に取りやすくて。
あと今日下北沢のB&Bで並んでるところの写真送られてきたんですけども、富士太陽さんのマンカインドの下に置いてました。
スピーカー 1
最高の締めじゃないですか。
スピーカー 3
狙ってこれ今日撮ったわけじゃないんですけど。
スピーカー 1
これはすごい。
これもう笹木裕さんが自分で置き直したんかなって思いましたよ、あの写真が。
スピーカー 3
書店に納品したら書店員さんがその本の中身、内容、表紙とかから判断して、この辺に並べようって決めてくださるわけですけども、
やっぱり帯に推薦、富士太陽さんってこう、あった陣通力のおかげだと思うんですけども、富士太陽さんのマンカインドの下に置かせてもらうって光栄なことが起こりました。
スピーカー 1
素敵。
スピーカー 2
置かれるべきして。
いいですね。
スピーカー 3
はい、これそうですね、告知、自慢、わかんないけど。
大事大事です。
よかったらですね、書店取扱いとこ増えるのと、あとそのお近くでない方のために、11月末あたりからですね、バリューブックスさんとかで通販もできるようになりますので、ぜひそちらも見ていただければと思います。
はい、というわけで、いつもお二人と喋ると長くなってしまう。
今日も1時間にしようって言ってたのに、1時間を遥かに越えてしまいました。
スピーカー 1
ごめんなさい、すいません。
スピーカー 2
前回3人で会った時は、ここからポケモンバトルが始まりましたからね。
スピーカー 3
そうですね、さらにね、そうですね。
はい、というわけで、今日はこれぐらいにしたいと思います。
というわけで、メディアヌープでは、いつものようにディスコードサーバーとかニュースレターの方でいろいろ情報を配信していますので、よかったらそちらも見てみてください。
それではまた来週お会いしましょう。おやすみなさい。
スピーカー 2
おやすみなさい。
スピーカー 1
おやすみなさい。
01:06:30

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