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スピーカー 1
[音楽]
「かれこれ」2年半ぐらい下書きにしたまま公開できずにいるニュースレターがあるんですけれども
そのタイトルがですね 「さらば、愛しきロザンよ」というタイトルなんです
これは何かというとロザンという食器屋さんが閉店したんです 近所にある食器屋さんなんですけど
それがあまりにもショックでその追悼文を書いて 3000字ぐらい書いたんですけど
その先がどうにも書けなくてずっと下書きにしてあるんですけども なんで書けないかっていうとあまりにも思い出が多いので
文字数が長くなりすぎるんで時間が取れなくて放っておいてるんですけども これそろそろいい加減供養させないといけないなと思って
そうだ!ポッドキャストでしゃべってみようと思いまして 今日はですね聴き手に宮本さんを迎えてですね
ひたすら食器の話をしてみたいと思います
メディアヌップ
こんばんは佐々木優です こんばんは宮本です というわけで今回は〇〇一本食器の話をしようと思うんですけども
もうね 聴き手がいないともうしゃべれないと思って
いや本当にもう書ききれないぐらいの量っていうかすごいですね そんなに重いのこもったロザン
スピーカー 2
まずそもそもさお店が閉まった時にニュースレター発行しようと思わないじゃないですか そうですね確かに
あのコロナ禍で閉店したお店って まあね世の中にたくさんあって残念だなって思うことあると思うんですけども
スピーカー 1
私の場合は一本のニュースレターにしようとして3000字ぐらいまで書いて その後の2章以降の見出しが10個くらい書いてあって
これ一つ一つに2、3000字書いたら2、3万字になるなんていうのはもう見出しの時点でわかって でも長いわと思って書いてないんですけど
あのねー ちょっと冒頭読んでみます?もう書いてあるからちょっと冒頭読んでもいいですか?お願いします
2020年8月22日10時50分 西尚行久保ロザンの閉店セール初日
オープンの10分前に店頭に着くとすでに20人ほどの行列ができており 開店間際には目測で100人を超えてまだ伸び続けていた
新型コロナウイルス感染防止のため一度に店内に入れる客数を制限してその日の営業がスタートした
ファーストロットから漏れた私が店外の先頭集団で待っていると 通りがかりの男がこれは何の行列ですかと尋ねてきた
私は答えた 食器屋です
私がそう答えると男は重ねて食器屋に行列ができるんですかと簡単とも質問とも取れる声を出した
それがもし質問だったとして十分な時間を与えられれば私はそれに答えることができた
路山がいかに伝説的なお店か 店主大島文彦がいかなる人物かそれが閉店を決めるとはどういうことか
そして私たちはどういう気持ちで初日に駆けつけたか しかし語るには時間がなく
通りがかりの人に演説をぶつほど熱かましくもなかった私には無難に頷いて見せることしかできなかった
みたいな感じで演説くんすごいでも読みたい今の感じですごい読みたくなりますね すごい気になるよねもうちょっと行くよもうちょっと行くよ
ところが列に並びながらあれこれ考えを巡らせてみると ただの食器屋であることそしてそれに行列ができること
これ以上に語るべきことなどないように思えてきた 路山はお高く泊まった民芸店でもアンティークショップでもなく
毎日の食卓に並ぶ普段使いの食器屋だし その価値観を定義し長年にわたって広めてきた店だからこそその影響を受けたチルデレンたちがこうして
集まってくるのである だからあえてただの食器屋というふうに表現するが
路山はただの食器屋でありただの食器屋がこのような影響力を持っているということに ただ驚いてほしい
スピーカー 1
だんだんとそのお店の中にいると なんかただ元のただ元じゃないオーラがあらゆるものから漂ってきて
え?これなんなの?って思うんですよ
そうすると店主の大島さんっていうのは 僕のレジのところにお仕掛けてて
お客さんいない時は自分の作品制作をしてるんですよね
相応いい人ではないので あとペラペラ売り込んだりすることもないんですよ
初めて来たお客さんだったら 初めて来た人だなってもちろん顔でわかると思うので
僕もその時初めて入って これなんだろうと思いながら
ただそのゆったりした空間ではあるんで 一個一個お皿とかカップとか手に取りながら
見てたんですよ 僕その時作家物の器を買うのは2回目だったんですよ
スピーカー 2
元々興味はあって ただやっぱり高いじゃないですかカップ1個1000円とか
スピーカー 1
ハッスン皿1個3000円とか4000円とか
なかなか 若い時には買うのも大変だし
家族増えたからといって家族のセット分買うのもすぐお金かかっちゃうから
綺麗なものだな欲しいなと思ってたけど あんまり買う機会がなかったんだけど
初めてそういうお店に行ってビリビリって衝撃を受けて
結果1時間ぐらいいて全ての皿を触ってみて
最後1個これくださいって言ってレジに持って行ったんですよ
その時には真剣に吟味してるから ついつい話しかけたくなって
これ一体どうやって作ってるんですか?って聞いたんですよね
なんとかマスプロダクトじゃないから
ヒビ割れ1つとか釉薬のあれ1つとっても
どうやってこれやってるんだろうと気になったので1つ聞いたんです
そしたら色々丁寧に教えてくれて
その話の中で初めてこの人はただレジに座ってものを売ってる人じゃなくて
自分自身も作品作るしその器に関してはプロデュース業をやってる
つまりそうなんですよ作家さんが作ったものを並べてるんじゃなくて
次こういうものを作ろうよとか
お前こういう技法にチャレンジした方がいいよとかっていうのを話しかけたり提案したり
あるいは俺の店で売るにはこのレベルに来てもらわなきゃ困るとか
この方向性をやってみないかとか
もちろんその関係性によって指導するって関係もあれば
一緒にやろうっていう関係性もあるのかもしれないけど
とにかく単なる店長じゃなくてプロデューサーなんです