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フェスティナレンテ、この放送はSWC、Source with Creators、コミュニティメンバーのマスコットがお送りします。
今日のテーマは、AI時代の手作りの価値、ということについて話していきたいと思います。
AI時代、クリエイター像というのは、いくつかパターンがあると思うんですが、
その中の一つに、手作りのクリエイターというのがあるんじゃないかなということを僕は思っています。
手作りの価値って、まだAIが現在、人間のように手を動かして様々なものを作るという技術がロボットにない、
AIとかができる状態ではないということが一つ。
もう一つは、もし人間のようにロボットが動けるようになったとしても、
手作りの価値、人間が作ったという価値があって、そこに温かみがあったりだとか、
あとはそこに手触り感みたいなのが生まれているという部分もあると思うので、
もしできるようになっても、人間が作る価値があるんじゃないのかなというふうに僕は思っています。
そんな中で、最近ですね、コテンラジオ番外編の中川雅七商店の話を聞いています。
これはその当時、今ちょっと前なんで、もしかしてもう会長はお辞めになっているかもしれないですが、
その当時会長を務めていた中川隼さんと社長の千石綾さんがコテンのメンバーの方々と対談しているような様子のポッドキャストです。
僕はそれを聞いていて、もともと中川雅七商店というご存知の方もいると思いますし、僕自身も知ってはいました。
めちゃくちゃ詳しく知っているというわけではなくて、お店として工芸の、いろんな日本の工芸をいっぱい集めて、
そういったものを販売していて、しかもただ単に工芸というのはいろんなものがあっているんですが、
現代の人たちにも受け入れられやすいようなシンプルだったりだとか、あとはおしゃれというか、女性客が9割ぐらいというふうにおっしゃっていましたけど、
そういったおしゃれな雑貨とかですね、そういったものを日本の昔からある工芸を作っている、
職人さんたちが作っているものを実際に販売するというようなことをしているという会社です。
僕もそういうふうな認識でいて、それ以上にビジョンだとか、どういうふうな会社なのかということ自体はよく知りませんでした。
ただ、確か中川純さん、会長さんの中川純さんが出された本とかもあったりとかして、
あと建築、建物、店舗を頼むときに結構有名な建築家の人にお願いしていたりしていたので、
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そういった意味で浅く、なんとなく知っていました。
すごい対談が面白くて、僕まだ最後までは行けていないんですけれども、ほぼ聞いていて、
本当にすごいなと思う点はいくつかいっぱいあるんですけれども、
まずそもそも中川純さんって、中川正七商店というのはですね、300年ぐらい続く、
めちゃめちゃ優秀あるというか、長く続いてきたお店なんですよね。
昔は業務形態というか違って、布とかそういった系のものをやっていたりして、
詳しくは聞いていただきたいんですけど、
だけど現代になって会長であった中川純さんが、ある時期から会社に戻ってとか入って、
そこから全国に店舗を増やしていって、すごく有名になったというふうな形なんですけれども、
そもそも中川純さん自体が、自分が会社を継ぐというふうに思っていなかったという話をして、
しかもお父さんも会社を継げみたいなことは言っていなかったらしいですよね。
本当は継いでほしいと思っていたみたいですけど、それ自体がまず珍しいなと思って。
300年も続く会社って、子供が生まれれば継いでくれるだろうみたいな感覚が、
どこかにそういう心理性だとよりあるなというイメージがあるんですが、
そういう縛りというか、ある種生まれた時から決まっているというものではなくて、
そういう自由をお父さんがそういうふうにしてくださっていたこと自体が、
まずその寛容さみたいなのがすごいなと思います。
その上で本人が自分の意思で会社を継ごうと決めてやるというのもすごいと思います。
そもそも働くところは別の会社で働いていた、進属では別のところで働いて、
何年か働いた後に戻ってきたみたいなんですけど、それ自体すごいなというのがまずありますね。
なおかつすごいなと思ったのが、今回話をそれでされていたんですけれども、
そもそも社長を千石綾さんという方に今お願いしているということ自体もびっくりしました。
つまり13代目が中川淳さんなんですが、14代目が千石綾さんということで、
苗字からもわかるように別に家族とかそういった中川家の人とかというわけではないんですよね。
その話もすごい面白くて、そもそも中川家でずっと13代続いてきたものを
違う方に託すという判断ができるのもすごいし、そこにじゃあなぜそういうことがあるのかというと、
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ビジョンをベースでやっているからだと。
ビジョンというのは日本の工芸を元気にするというビジョンがあって、
そのために何が一番いいかということを考えていたときに、
中間層の人たちが全然育っていなかったみたいなんですよね、中川さんが社長だったとき。
中間層が育っていなくて、どうしたら中間層が育っていくのかな、大きい会社になればなるほど
トップダウン式に上の人が下の人、下というか社員の人に指示を出してやっていくというのは
数が小さければ成り立つんですが、ただ大きい会社になってくるとなかなか社長の負担も増えてしまうし、
指示する側の負担も増えてしまうので、中間層というのを育てないとなかなか難しいというのがあります。
その中で、すごい規模がどんどん大きくなっていく中で、
ご本人がキレキレですごい仕事もなされる方だと思うので、
だからトップダウン式でも成り立っていたけど、
このままだと長く続けるというビジョンの日本の工芸を元気にするということを
未来、ずっと続けていこうというふうに考えると、
このまま自分が社長でトップダウン式にやっていくというのがいいわけじゃないということを思ったらしいんですよね。
だからどうしたら中間層が育つかって考えたときに、
自分が辞めることが一番いいって思ったみたいなんですよ。
まずその判断するのもすごいし、実際に辞めると。
辞めるときに千石さんという方が選ばれるんですけども、
なぜ千石さんを選んだかというと、本当にいろんな様々な理由があるみたいですけど、
コミュニケーション能力が高かったりとか、あとは人望みたいな部分があったりとか、
それも聞いていただきたいですけど、
つまりそのビジョンが一番ベースにあって、
そのために一番どの人が社長になるといいかっていう、
それも役割だという話もされていたんですけども、
そこから選んだと。
だから別に自分の仲良くしてたとか、会長派だ、社長派だとかっていう、
よく大きな会社にありそうな、
そういったもので、忖度とかそういったもので決めるんじゃなくて、
ビジョンがベースにあって、そこに最適な人は誰だというふうに選んで、
社長を千石さんにお願いしたいという話をされたそうです。
千石さん自体も最初びっくりして、
なんで私が?みたいになったみたいですけど、
でもそれが役割なんじゃないかという話を聞いて、
周りの人たちもそれを受け入れるような体制だったので、
私がやりますみたいな話をされていて、
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それもすごいなと思います。
日本の工芸について、僕もめちゃくちゃ詳しいわけではないんですけども、
木工の学校、木で家具を作る学校にも1年間くらい通っていたことがあって、
職人さんになろうかなと思った時期があったんですよね。
その時に職業訓練校というところに通っていました。
職業訓練校ってめちゃくちゃ面白くて、
18歳、高校卒業した人から35歳くらいまでというふうに決められていて、
そこで男女問わず募集して、
1年間で木で手で作る家具だったりだとか、
そういった商品みたいなのを作ったりすること、
もちろん機械も使うという、
機械のやり方も教えてもらうみたいな形で1年間やっていました。
その中でいろんな先生がいて、
僕は江戸差し物師という、
釘とか金物を一切使わない職人さんが先生でいらっしゃいました。
その先生が工房とかも見学させてもらったりしたんですけれども、
その先生が言っていたことがすごい印象的で、
差し物師ってすごい技術があって有名なんですけれども、
その先生自体も実際、天皇工房とかの天皇家とかに納める家具とかを
実際作ったりされている方でした。
ただ結構ご高齢でいて、話を伺っていたら、
後継者とかは考えてないんだみたいな話をされていました。
息子が後継ごうかみたいな話をされた時に、
もうやめとけって話をしたそうなんですよね。
なぜかというと、商売として実際すごく技術があっても、
そこで商品を買ってくれる人とか、
そういったサービスなんですかね、
お金を上手に計画的に資金を稼ぐというか、
そういう方法というのがなかなかうまくできていなくて、
単純に言えば、儲からないから息子には継がせないようにしたんだという話をされていました。
それを聞いた時には、本当にもったいないなというか、
だってすごく有名な優秀正しい家具を作ったりとかできるような技術があって、
しかも世界的にも評価されているような技術なのに、
それを継承できないというか、それも金銭的な理由でできないんだというのが衝撃的でした。
でもやっぱりなぜ難しいかと言えば、
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職人さんであって、物を売るためのプロフェッショナルじゃないからだと思うんですよね。
実際どういうふうにお金を稼ぐかというふうに考えた時に、
経営的な能力が必要だったりだとか、
マーケティング的な能力が必要だったりとか、
プロデュースする能力だったりとかというのが必要だけど、
その人、職人をずっとやってきて、
職人さんってイメージからも、皆さんイメージでよく分かると思うんですけれども、
結構無口でコツコツと淡々とこなすみたいな方が多いんですよね。
だからそうすると結構口下手というか、
コミュニケーション能力もめちゃくちゃ高いわけではないので、
やっぱりそういった人と一緒にやるとか、
あるいは現代だったら、そういうのもあったんですよね。
東京都が主催しているデザイナーの人と職人さんを結びつけるみたいな機会もあって、
そういうのも参加したことがあるんですが、
やっぱりそういうふうに、物を売るためのプロフェッショナルと物を作るプロフェッショナルって全然違う能力なので、
そこはやっぱり難しいよなというふうに思いました。
だから日本の工芸ってどんどん衰退してきちゃってるっていうのもあったんですよね。
もちろん近代化していって、
家とかにそういった工芸のものがなかなか合わないよとかっていうものもあったりもするし、
合わないとかなじみにくいといった理由とか、さまざまな理由があると思うんですけども、
そういうものがありました。
だからやっぱり中川正七商店みたいに日本の工芸を元気にするってことは、
この実感として絶対必要なことだなと思うし、
それを実際にやられていることが本当にすごいなと思います。
で、AI時代のっていうふうに最初に言ってるので、
そこは戻りますが、
まさにそうやって今の日本の工芸を元気にするとか、
中川正七商店がやっていることって、
AIに絶対置き換えられないですよね。
だからこれは手作りのそういった文化を継承するということなので、
もちろんAIを使って何か、
よりそういった日本の工芸を元気にするという方法を考えることとかに使うツールとしては、
用いられたりすると思うんですが、
実際に職人さんに話を聞いたりだとか、
そこでどういう問題点があってどう解決した方がいいかとかって考えていったりとか、
あとは現場の目とか、そういう細かいところとか考えたりとか、
職人さんとの接し方とか、
千石さんが選ばれた理由といえばコミュニケーションみたいなところが大きいという話があったみたいに、
やっぱりそこってAIとかロボットとかに奪われるものじゃないと思うんですよね。
だからこそやっぱりAI時代に手作りの価値というのは絶対にあるだろうなというふうに僕は思いましたし、
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何ならそういうところを狙ってやっていく方がいいのかなと思います。
デジタルなものであればあるほど、
デジタルなものであるほど、
あと効率的にできるものであればあるほど、
AIに奪われてしまうのは確かなので、
なのでそこからもう完全に離れて、
手作りのものをやるっていうのもいいんじゃないかなというふうに思いました。
僕もスロースクの木彫りで一回作ったことがあるんですけども、
それってもうめちゃくちゃ、
僕の場合、手彫りをすごいやってきたわけじゃなくて、
のみとか、
彫刻刀とかちょっとは、
もちろんさっき話したみたいに家具の学校に行っていたので、
一応一通り作れたりはするのでやっていましたが、
やっぱりすごい時間かかるんですよね。
でも僕の学校で行っていたときの仲間を見ると、
職人さんになったりしている人が一番多いんですが、
木彫りの作家になっている人も何名かいて、
でも結構本当に有名になっている人もいるんですよね。
その人とかはコケムス木工という名前でやっているんですが、
インスタでも10万フォロワーぐらいいて、
すごい雰囲気というか味というとちょっとあれですけど、
何年も前から作っているような、
そういったアウラをまとっているような動物たちを木で彫っていて、
それめちゃくちゃ人気があって、
そういうのをやっていてコツコツ続けているから価値があるし、
センスがあるからというのもあるんですけど、
そういうのをやったりしている友達とかもいたりして、
あと職人さんになっている人もいるので、
やっぱり手作りって強いなというふうに僕は思いますし、
AIを道具として使ってその手作りをどう逆にもっとより活かせるというか、
より良くできるかということを考えることはできると思うんですが、
それでもやっぱりそういった価値はあるよなということを僕は思いました。
今日も最後まで聞いてくださりありがとうございます。
それでは皆さんスロースロースロース。