イミプラミンが開発された1958年に、
その当時30歳だった人の話をちょっと言いたいと思うんですけど、
ドナルド・クラインさん、ニューヨーク出身の精神科医です。
アメリカの方。
この方がイミプラミンをパニック症に効くということを発見する先生なんですけど、
この方も30歳の頃ですね、
アメリカのヒルサイド病院というところに精神科医として勤務します。
またまた若手、超若手の研究医として働くんですけどね。
30歳ね。
この1958年という年は昭和で言うと33年ぐらいで、
東京タワーができたぐらいの昭和の中期ですね。
このドナルド・クラインが勤めた病院というのは、
ロングアイランド移住メディカルセンターの精神科部門です。
大きな私立病院のいろんな、内科とか外科とか小児科とか、
精神科もあるようなところの精神科の部門です。
ここの病院というのは精神薬理の研究拠点にもなっていて、
研究をするような総合病院だったんですよね。
精神科部門は200床しかなかったんですけど、
急性の神経症の患者さんが多かったようです。
アメリカでもこの当時ですね、
万世紀の統合視聴症の患者さんとかを主に集めるような
でっかい精神科病院というのは増えてたんだが、
このクラインが勤めてたヒルサイド病院というのは、
急性期の神経症の人とかが割と多く行ってた病院だったんですね。
そこでクラインはこの薬理の勉強をしようというか、
精神科の薬を開発しようという先生として赴任されるんですけど、
このイメプラミンってできたばっかりの抗鬱剤をですね、
万世の不安とか抑鬱とかを持っているんですよ、
こういう不安、パニックの人って。
それの目的でイメプラミンを投与してみたらどうなるかというのを見てみたというわけですね。
クラインが発見するのは、イメプラミンは残念ながら不安には効果がない。
が、イメプラミンを飲み続けた人っていうのは不安発作のみが改善するということを発見するんですね。
1964年にクラインはイメプラミンが不安発作に効果があるということを論文発表します。
1964年で、これは前の前の東京オリンピックが開発されたとしてもですね、
に発表します。
クラインがどんな症例報告をしたかというのが残っているので、
それをちょっと振り返ってみましたら、
これも30代の女性で突然の強い不安発作を持っていました。
その患者さんというのは不安が急に起こるんですね。
その発作というのは動機とか呼吸困難、めまい感を感じ死ぬと思う。
その後同様の発作が何回かあって、1週間に数回あることもあったということですね。
外出した時にそんな発作が多かったから、自宅から出れなくなって一人で出かける不安があって、
バスに乗れなかったりとかお店に入れないような状態になって不安神経症と診断されました。
現在の診断でいうと不安症パニック発作を伴うという診断になると思うんですけど、
割と典型的な方かなと思うんですけどね。
このヒルサイド病院に入院してクラインが担当するんですけど、
イメプラミンを投与するんですけどね。
当初は変化がない。つまり不安も高いし発作もあったんですよ。
ただそれを飲み続けてたら不安発作がなくなるということを発見するんですね。
ところが慢性的な不安、つまり一人で出かけられないとかね、
そういう広場恐怖というのは継続する。
ただやっぱり不安発作が長く続いていると、だんだん外出も可能になってきました。
イメプラミンというのは不安は残るけれども、不安発作だけは消滅するんだということをクラインが発表します。
すごいんですけど、当初はこの発表というのはあまり受け入れられませんでした。
え、なぜ?
やっぱりイメプラミンというのは抗鬱剤だったんですよね。
抗鬱剤なのに、なんでそんなパニックとか不安に効くってことがある?みたいな会議的な感じ。
確かにね。
飲んでも、実際患者さんが飲んでも寝たりすることってあんまりないんですよね。
だから鎮静薬ではないし。
しかもこのイメプラミンって三角形の抗鬱薬でどれもそうなんですけども、結構副作用が強いんですよ。
口が乾いたりとか便秘になったりとか、眠気が出たりとか、起立性低血圧とか心電図異常等々。
結構大変ですね。
結構ね、飲み続けるの大変なんですよ。
意外とない人もあるんですけれども、中にこれが強く出て飲めないという人もあるんですけどね。
何にもないから飲んどきましょうみたいな薬ではないんですよ。覚悟して飲んでいただかなあかん感じの薬なんですよね。
なるほど。
だからこれすごいんですよ。
つまり飲んでもすぐに何でもよくはならないけれども、数週間これ副作用我慢して飲み続けてたらパニックがなくなるかもねっていうことなんですよ。
だからなかなか誰しもあんまり試したがらないんですけれども。
確かに。
ただやっぱりですね、再現実験とかをすると発作自体は止まるということが分かってきたと。
いうことが言えますが、ただ再現実験をすると副作用も強くて半分ぐらいしか継続できないという事実もあるんですね。
これは現実そうだろうなと思いますわ。
現状でこの酸化抗うち薬をパニックオーストラリアに出す先生はいてないです。
なるほど。
最近どうなるかというと、酸化抗うち薬から進化した薬があるんですけどね。
SSRIっていうタイプの抗うち剤なんですけど、こいつは副作用があんまりないんですよ。
酸化抗うち薬に比べて劇的に少ない副作用は。
それに比べて抗不安効果もあったりして、パニックオーストラリアにも当然効くという薬が1990年代に開発されます。
最近はそれを主に使いますね。
はい。
でもSSRIにしても、飲んですぐに効果が出ないのでね。
1週間、2週間飲み続けていただかないと効果が出ないという事になるけれども、
でもこれを飲むと結構効くよという事が言われていて。
最近パニックオーストラリアの第一選択というのはこのSSRIです。
パロキセチンとかセルトラリンとかエースシサロプラムとかっていう現代のよく使われるSSRIなんですけどね。
これが第一選択になっているという感じかな。
いろいろ薬ができてるんですね。
できてるんですよ。
それだけニーズがあるって事よね。
ニーズがあるって事だと思います。
やっぱりこの薬ができたおかげで助かる人がたくさんいたと思うし、
僕も一時期半年くらいパロキセチンを飲みましたね。
そうなんや。
効果活性に感じますわ。
癖もあるのであれなんやけれども。
三間経口薬みたいにめっちゃしんどい薬ではないので、
不安が少なくなったりとかパニックが少なくなるんだったら飲んでみようかなっていうのは当然、
メリット・デメリットで考えるとメリットの方が高い薬かなって現在思いますね。
それって半年くらい飲んだら、もうその後は飲まずにもキープできるものなの?
それが人それぞれですね。
一過性でよくなる人もあるんですけど、再発を繰り返す人もあるし、なかなかよくならんっていう人もいてる。
だいたいわかってるのが慢性的には経過するだろうと言われてて、
一過性に一生のうちで一回だけっていう人もないことないんですけど、
割と少数派かな。
そうなんや。
3、4割くらいの人っていうのは繰り返す人が多いかな。
それってずっと継続して飲み続けるってこと?
飲み続けた方がいい人がいてますね。
そうなんや。
飲み続けないと、後から言うと思ったんですけど、割と合併症が多いと言われてて、
パニックを繰り返す。悪い時期が数ヶ月続いて、その後なんてもない時期が来て、
何かの時にまた悪くなってっていうのを繰り返すのが一般的なんですけど、
それを繰り返しているうちに鬱病も併発してくるという人が中にいてて、
鬱病を併発しちゃうと割と仕事ができなくなったりとかっていうこともあるので、
SSRIとかを継続して飲んだ方がいいかなっていう意見もあります。
ただ中に治る人もいてるので、もう僕みたいに飲まないっていう人もいてるから、
そこの加減はちょっと難しいんですけどね、この病気もね。
ただあんまり油断したらあかん病気ではありますけどね。
なるほど。
そういうのが最近わかってますからね。
クラインさんとかが初めにですね、このイミプラミが効くっていうのがわかった後、
でもSSRIはまだこの当時出ないんですよね。
クラインはその後何をしてたかっていうと、
パニック症の脳の病態とか病態を研究する先生になりました。
パニック症が起こるっていうのは脳とか神経はどうなってるのかな、
なぜそういうのが起こるのかなっていうことをいろんな実験とかで明らかにしていきます。
そういうののおかげで結構今のところですね、
パニック発作っていうのはどんなふうに脳がなってるかっていうのはわかってはきています。
一応ね、クラインとかが初期に説明した仮説でいうと、
このCO2仮説っていうのがあるんですよ。
窒息警報仮説って言われてて。
脳っていうのは体が窒息しそうになったら警報を出すと。
当然ですけどね。
首絞められたら脳にも警報出るでしょうっていうことなんですけど、
脳がCO2が溜まってやばいっていう風に感じる装置があるんだけれども、
それが誤作動するんじゃないかなっていう理論を出しました。
クラインが見つけたのは、このパニック発作が起こるときに
多くの患者さんが呼吸困難とか息が詰まる感じとか空気が足りないっていう感じを訴えることに注目しました。
で、通常の脳っていうのは窒息を感知する回路っていうのは
CO2が二酸化炭素の血中濃度が上がって
危険だっていう風に感じて呼吸数を増やすと
いわゆる危機を逃れるための脳には回路があるんですけれども
その回路っていうのが、この病気になる人、パニック発作を持つ人っていうのは
CO2の過敏性が上がっちゃって、わずかな上昇で窒息と確認して
パニック発作になるんじゃないかなみたいなね。
そういう仮説を立てました。
でもこれは正しかったみたいですけどね。
二酸化炭素濃度の空気を吸うとパニック発作になるっていう人が
何人かあるっていうことがわかったりして
逆に過呼吸になる人もいてますやんか。
そうそうそうそう。
それを今思ってました。
過呼吸って息をはぁはぁするんですよね。
で、はぁはぁするっていうのは逆にCO2が下がるんですよ。
うんうん。
空気の中に呼吸をさらしていくので
体の中にあるCO2はどんどん下がってはくるんですけど
CO2が下がると手足が痺れるっていうことになって
手足が痺れると恐怖感を感じてパニック発作を起こすっていうことが結構あるんですけどね。
おー、なるほど。
で、このCO2が上がってもなるし下がりすぎてもなるしって言われてて
CO2を過敏に感じやすい脳の一部になっているのと違うかなって言われてます。
はぁー。
実際それもあるんですけどね。
はぁー。
ここ近年21世紀になってからパニックの脳内神経回路っていうのはわかってて
まずこの感覚刺激、塩水とかいろんな脳の下部にある器官があるんですけれども
そこから思想っていう脳の部位があるんですけど
そこに到達して
一番不安の元となる脳の部位っていうのは返答体って言われる部位なんですけど
この返答体っていうのが脳の警報装置
こいつが暴走することでパニック発作が起こるって考えられています。
これが暴走することで今度いろんな脳の各神経に指令が行って
汗かいたりとか同期したりとか覚醒度が上がったりとか不安感を感じたりとかってするって言われてる。
この返答体っていうことを中心とする回路が暴走するということが最近わかっています。
まあわかったところでどうやらということがあるんですけど
こういうことがわかっていることが今後の新しい治療にもつながってくることにもなるしね。
このSSRIが効くっていうところも割とここで特定されてて
セロトニン神経とかノルワドニン神経っていうのがこういうところに効くなっていうこともわかってはきているので
実際治療にも役立ちますのでね
そういう機能解明っていうのが大切と言われています。
すごいですね。