39歳の教授ですからね。
ところがこの奴隷はですね、他の初期の研究者の研究については功績を認めるんですけれども、というか貢献を認めるんですけれども、奴隷のラボリの名前は出さなかったんですよ、その時に。
え、なんでですか?
これがよくわかんないんですけれども。
ラボリさんがやってたんやでって聞いたのにね。
そうのはずなんですけどね。ラボリの名前は出さなかったんですね。このラボリとこの陸軍病院の精神科の同僚とかをですね、この奴隷に怒って何年間もこのいざこざは続くことになります。
そりゃそうやと思います。
でも微妙なところもあってね。確かに聞いたのは聞いたけれども、やったのは自分やし、お薬を提供受けたのはその会社から受けてるわけやし。
直接そうか、指導も受けてないし。
受けてるわけではないしね。ただ時期的なところで言うと、確かにラボリの方が早いのは早かったみたい。
ただラボリ自身は精神科医とかではないので、こういう訓練を積んだ精神医学の流儀とかはわきまえてないわけですよ。
精神医学としては素人に当たっちゃうのでっていうことにもなるのかわかんないな。
微妙なところがありますね。それはそれとして。
発表した後、奴隷は論文を出します。
クロルクロマジンというのは統合症症とか僧病とか専門には効果があるけれども、鬱病にはどうも効果がないと。
大量投与でカチン性にはなり、カチン性というのは眠くなりすぎたりとか、無関心になったりとか、感情を抑えられすぎたりすることがあるようだということを発表します。
この時点ではまだ動物実験もしてないし、なぜ精神病薬として効果があるかという基準は全く不明なんですよ。
にもかかわらず、こういうことで発表していくということになります。
これが発表することで、フランス国内とかヨーロッパでは我々とみんな使いたがるわけですわ。
実際すごく流行ってくるんですね、この薬がね。
そんなに効果があるによったらみんな使ってみようかなという気になるんですけれども。
それを使うことで、実際病棟がどうなったかということを、看護師の視点で書いている本があるので、それをまた引用したいなと思うんですけどね。
第1回目で、精神科病院の状態がこんなんでしたよって言った人、あれじゃないですか。
あれがアンドレ・ルミューですけれども、この人の勤めている病院でクロール・クロマジンが導入したらどうなったかということなんですけど。
同じ人が書いているんですか。
同じ人が書いている本があるんですね。
そこでクロール・クロマジンを導入した直後、薬による静けさというのが出現したよというふうに書いていますね。
その本によると、投薬後の変化ですけれども、興奮とか厳格を訴える患者にクロール・クロマジンを投与すると、数時間後には落ち着いて眠って、翌朝には自分で起きて食堂に行く例が見られた。
看護師たちは、夜の病棟が静かになったことに驚いて、最初は奇跡のように感じた。
暴れる患者でも、まず薬を与えて様子を見ることが状態化していきました。
ルミーは初めて患者と話ができるようになったというふうに記載しています。
医師によったらですね、午後3時、M氏が厳格で怒鳴り始める。
主治医がクロール・クロマジンの注射を指示する。
1時間後、M氏は静かにベンチに座り、夕食時には腹が減ったと言った。
拘束医は使わずに済んだ。
まあ静かになったということですね。
良い効果のことが書かれていましたね。
高息位は使わずに済んだ
夜勤ではかつて聞こえていた連続的な叫びが消えて
初めて病棟に沈黙が訪れた
というように書いています
静かになったということですね
いい効果のことが書かれていますよね
いい効果ですね
それが次の10年後ぐらいにどうなるかというと
薬物療法をしっかり使うことで
病棟が開放化というか
鍵がかかっている病院というのが
鍵をかけなくてもよくなるということですね
この抑制室とか鉄格子付きの病室というのが
一部閉鎖されて
もう使わなくなったので閉鎖して
看護師と患者とが日中作業とか散歩とかをする時間が増えた
看護師さんによっては変化だと思うんですけれども
一方薬物の管理とか服薬の確認とか
副作用の対応といった新しい労働負荷も発生したよ
というふうに書いていますね
このリュミオは薬が暴力的な場面を減らしたけれども
同時に看護師を薬の管理人に変えたというふうに書いています
ノーベル賞で受賞されるべきなんですけれども
結局どちらも受賞はしませんでした
クロールクロマジンに関しては
ノーベル賞は受賞されなかったんですね
でもその代わりにそのノーベル賞に継ぐ賞って言われてる
ラスカー賞っていうのがあるんですけれども
医学生理学賞でね
結構有名な賞があるんですけれども
それはラボリとデニケルが受賞しています
これでも奴隷はしてないんですよ
そうですね
奴隷とデニケルとが共同であったんですけど
助手の方に受賞されるんですね
ラボリとデニケルが受賞するということになっています
奴隷はね受賞されませんでした
なんでやろう
直接手は下してないというふうに考えられたのかもね
実際どうなんですかね
でもラボリはラスカー賞を受けたものの
やっぱりですね
この医学からはちょっとこの後身を引いていくことになります
そうなんですか
正当な評価がされてないなっていうことをずっと考えてたみたい
医学というかラボリはですね
研究者というか一般的な著作家活動とか
知識人のサークルの中心人物として
活動もしたりとかします
本人なりのですね
科学に対する考え方っていうのが確立していくみたいですね
知識人の中の中心人物として有名になるみたい
ただその学問というか大学とかそういうアカデミアの中ではなくて
このもうちょっとこの私的なというか
中でのそういうサークル的なところでの人物として
活躍したりとか本を出したりとか
カナダとかの大学教授にもなるみたいなんですけれども
基本パリで活躍して亡くなるんですけどね
これがラボリの生涯
79歳で亡くなります
奴隷のその後ですけれども
奴隷はですね
フランスのみならず世界の精神医学者としてまさに君臨します
彼はですね
第一回世界精神医学会を組織して
世界精神医学会WPAを設立します
WPAって今もありますよ
4年に1回避けられていますね
アメリカ世界ですね
世界の中で最も大きな精神医学の学会ですわ
そのWPAは3年ごとにジャンドレーションを作って授業していますよ
だからもう本当にその創始者になるわけですね
すごいですね
1970年に奴隷は医学会を引退するんですけど
それまで三反病院に勤めました
ただですね
実はこの奴隷さんですね
生物学志向というか研究志向だったので
患者を診察はほとんどしてないと言われています
患者さんを診察すると帰れば苛立つんだって
なるほど
臨床医ではないと言うんですね
臨床医ではなかったようですね
今は考えられへんけどね
今は臨床の先生というのは必ずどの科でも診察するのは当然なんやけれども
この時代は教授先生というのはそんなことも許されたのかもしれんね
なるほど
あとですね
ちょっとこの奴隷さんは辛い思いをするんですよ
1968年にですね
革命派の学生が彼の研究室を襲撃するという事件が起こります
この時代ですね
いわゆる学生運動っていう日本でもあったんですけれども
フランスでもあるんですね
世界的にそうやったんですね
世界的にあるんですよね
この当時ですね
反精神医学っていう考え方がその方々に普及しててですね
精神医学っていうのは医者が作り出したものだと
医者が作り出したんだ
この病気はこんな病気は存在しないんだっていう考え方があって
そういう考え方を持ってた人があるんですよね
それに影響を受けた
この革命的な学生グループ500人が奴隷の研究室を襲撃した
今でいうところの東京大学の医学部の先生のところに襲っていったってことですよ
学生たちは抗精神薬は拘束医であると主張し
お薬っていうのも結局患者さんを拘束してるだけだっていうことで
精神医学を医学から切り離すように要求とかね
いうようなことをして
奴隷は結構辛い目に遭うんですよ
でそれから奴隷は医者を引退して
以降画家としての活動に専念しました
作家さんになるんですよ
いろんなそういう文学的な作品をこの後することになります
すごいですねお医者さんやけど文学的に描けるんですね
そうなんですこの人も元々文学者だったん
なりたかったんちゃうかなと思うんですけどね
で作家さんとして晩年は過ごします
この記憶の前にとかっていう自然的性格を持つような
重要作品もできてたりとかして
最終的に領事のネール勲章とか文化勲章とか国家功労章とか
衛星拘束衛星勲章とかって多くの勲章も授与されています
で1987年5月にパリで執教されます80歳
だからまあちょっと辛い思いはしたのだが
成功はすることはしたという人生だったんですね
あとちょっと嫌なニュースがニュースというか噂話があるんですけど
このクロルクロマジンに関わる研究者が
ノーベル賞を取れなかった理由っていうのが
噂話レベルで伝わってて
当初このノーベル財団はアンリーラボリに
ノーベル賞を与えようと考えてたようですが
当初ですねその当時ですね
ノーベル賞の先行委員であったと思われる奴隷が
ラボリへのノーベル賞授与に強く反対したのじゃないか
っていう噂話があります
先行委員に自分が入ってしまってたんですね
でもねノーベル賞の先行委員なんて実はわからないです
発表されないのでわからないんですけど
でもまあ奴隷の経歴からして全然おかしくないんですよ
確かにね
だからこれもまあアナガチもしかしたら本場かもしれんけれども
まあ単なる噂かもわからないんですけどね
なるほど
まあまあそういうこともあったようですね
まあまあいずれにしても二人とも
そんなことを毎日ずっと好きなことして
成功してなくなったっていうことには間違いないかなと思うんですけどね
すごい功績ですよね
続きは次回お送りします
とも言えるかなと思うんですね
まあもうちょっと非近なことで言うと
これのせいで僕たち精神科医とか
あるいは精神科病院とか精神科看護師とかっていうのは
地位を与えてもらったっていうのも言えるかと思う
もしこの薬が開発されてなかったら
今のような精神科医とか精神科病院というのは
なかったんちゃうかなとも思うんですけどね
だから社会も大きく変えた薬剤の一つなんかなと思うんですけどね
いや私はもう身近にこの統合失調症っていう人たちがたくさんいるので
この薬の効果っていうんですか
は目の当たりにしてます
やっぱりねきっちり飲めてる時は
すごく安定してるんですよ
まあ多少眠たいからお昼寝する方が出現したり
あるんですよ
ちょっと薬効きすぎみたいな
でもすぐに主治医の先生に共有したりとか
っていうのはあるんですけど
でも本当に調子の悪い時っていうのを見てると
お薬があるのが本当にありがたいだろうなって思います
周りもそうだしご本人もきっとそうやと思う
問題はたくさんあるんでしょうけど
得る幸せ度とか
人間らしく生活していく上では
やっぱり必要なもの
必要な時はあるだろうなとは思いますね
そうですね
それの加減ね
だからやっぱり精神科の薬っていうのは
一定の役割を果たしてるっていうこともあるし
そこが大切なところかなって確かに思うんですね
あと同じく
この薬と同じように言葉っていうか
人間関係というか
そういうのも結構精神疾患には大切で
ということも同じく強調して言うと
バランストレーヤーかなと思うんですけど
これは僕の前の教えてもらってた教授が言ってたことなんですけどね
最近医学っていろいろ進歩はしてて
今まで医学の一番の問題
精神医学の一番の問題っていうのが
実験でけんっていうのが問題なんですけれども