舞台はアルプス山脈。雪山での軍事演習中、猛烈な吹雪に遭遇し、完全に道を見失って遭難してしまった。
二日間も雪の中をさまよい、食料もなくなり、寒さと疲労で、「もう死ぬんだ。」と全員が絶望し、動けなくなっていた。
隊員たちは諦めて、雪の中でただ最後を待つ状態になりかけていた。
その時、隊員の一人がポケットからクシャクシャになった地図を見つけた。
「地図があるぞ。」と分かった瞬間、パニックになっていた隊員たちは落ち着きを取り戻した。
「現在地はここだから、こう進めば帰れるはずだ。」と自分たちでルートを決め、テントを張り、翌朝から地震を持って歩き始めた。
彼らは無事に下山し、基地に生還した。
報告を受けた上官が彼らを救ったその地図をよく見てみると、それはアルプスの地図ではなく、ピレネー山脈、遠く離れた山の地図だった。
マネ会。ベンチャーマネジメントの不合理な真実。
皆さんこんにちは。マネディック株式会社CSOのしめきです。
同じくマネディック代表の川崎です。
この番組は、ベンチャーという環境下で起こりうる、マネジメントの不合理な真実に向き合う、そんな番組となっております。
はい。
川崎さん、冒頭のやつはどうしちゃったんですか。
そうですね。
そうですねってなって、そうすねもなんなんですかね。
そうですね。やっぱりびっくりされたと思うんですけど。
そうですね。大体でもよく自分語りしてるんで。
してないしてない。あんなことやってたら相当心配してもらっていいですよ。
センスメイキング理論ってご存知ですか。
センスメイキング理論。はい、なんすかそれ。
センスメイキング理論。英語でIt makes senseとかナンセンスとか言うじゃないですか。
ナンセンスって、意味わかんないみたいな。全く腹落ちしないみたいな。そういう意味なんですけど。
メイクセンスって、要するに腹落ちするとか納得する。
腹落ちするって意味なんですね。
It makes senseって英語で言うと、その通りだねみたいな。納得だよみたいな。そういう意味なんですけど。
センスメイキング理論っていうのは納得理論、腹落ち理論みたいなものだと思っていただいて。
経営の文脈で使われる言葉なんですけど。何を意味するかっていうと、
いろんな正解がわからない、特にベンチャーの中で、経営の中で、腹落ち感とか納得感みたいなものが一番大事なんですよ。
経営の成功において。事業の成功とか成長において一番大事なんですよって言ってる理論です。
その逸話になっているのが、さっき僕が冒頭に読み上げたアルプス山脈の話なんですよ。
あれ実際にあった話なんですか?
わかんないです。
わかんないんだ。あんなにかっこよく語ってたのに。
そんなのわかんない。しかも一発撮りですからね。一切噛まずに。いい声で。
あれって何を言ってるかっていうと、山で遭難したけれども、地図を見つけて、
地図があった!やった!みんなでそれに沿って、それを信じて下山できたと。
そしたら全然違う山の地図だったよと。
それって正解ではない。地図が正しくはなかったんだけれども、
みんながその地図っていうものをある種の指針にして信じて一体となって突き進んだら、下山できちゃったって話なんですよ。
山の降り方のルートがわかったことがよかったことじゃなくて、これでいけるんだっていうふうに一眼となって行動できたのが成功できた。
組織としての腹落ちです。
それがベンチャー経営において特に正しい正解とか正しい戦略とか、データとかファクトに基づく論理的な仮説、もちろん大事ですと。
ただどこまで行っても、それらが100%正解になることなんてありえないわけです。
じゃあそれを会議室でずっと悶々と正しいのかなって動けなかったら全く意味がないわけですよ。
それよりかは、ある程度のラフな仮説だとしても、組織としてそれに腹落ちして、みんなで信じて一体となってそこに突き進むこと。
これが大事なんですっていう話を今日はしたかったんです。
そうですね。それをしたいがために。
冒頭にちょっと様子がおかしくなったっていう。
ちょっと溢れすぎてますね、気持ちがね。
そうですよね。しかもまあまあ長くて。
いや、本当にそう。
いつ終わるんだろうなと思ったんですけど。
そうですね。どうしちゃったんだろうって多分聞いてる人が思ってたと思います。
そうですね。今日はそういうスタートにちょっとしてみましたけれども。
要は腹落ちが正解よりも大事。正しさよりも腹落ちが最重要であるっていうのが今回の話したいトピックになります。
なんで今日はこういうテーマにしたんですか?
なんか結構やっぱりいろんなシーンがあるかなと思うんですけど。
さっきのとおりちょっと事業のトップとか。
あるいは事業の参謀、ナンバー2とか3とか。
あるいは別にミドルマネジメントとかでもいいんですけど。
なんか本当にそれ正しいんですか?みたいな。
その確からしさとか改善性とか本当にそうあってるの?みたいないう議論ってよく生まれるじゃないですか。
で、ある程度その突き詰めて得られる限りのファクトとかデータに基づいて予測を立てる。
これは大事なことです。大事な能力です。
ただもうそんな分かんないじゃんっていうもの。
それ以降はこれやってみないと分かんないよねっていうフェーズのものってあると思うんですよ。
その時に、だから行動を組織としてそれに腹落ちして行動し始めた方がいいんだけど、
そこがちょっと腹落ち感を作れていないことによって逆に組織の断熱を生んでしまったりとか。
むしろ事業の成果に紐づかないようなケースがたくさんあるなというのを、
我々300社ぐらいペンチャー企業さん相対してきて、やっぱり結構よく聞く課題なんですよね。
なんか事象としてはトップがこれで行こうって言ってるけど、ミドルレイヤーが不満を言うとかね。
そんなのあってるか分かんないじゃないですか。
あるいはトップ自身がちょっと心配性になりすぎちゃっているとか。
で、トップが心配になるとみんなを腹落ちさせるとか説得なんて絶対無理だし。
あとは仮説が合ってるか分かんないけど、営業の人がとりあえず売ってはくる。
まだないんだけど商品は。これが売れるかどうか確かめるみたいなフェーズもあるじゃないですか。
ないもの売らないと結構ペンチャーってダメじゃないですか。
でもそれでもないもの売るの怖いとかさ。
なんか開発の人たちがまだ作ってないもの売ってくるなとかさ。
で、営業の人たちは売らないと。売れるか分かんないもの作るのも良くないでしょうって考えもあるしさ。
よく聞く声ですね。
よく聞く声ですよね。
で、作る側と売る側の小競り合いとかさ。
そういうものって結局生まれてなかなか仮説検証が進まないみたいなことを憂いてですね、このテーマにしてる。
そうですね。確かにベンチャーってどうしても不確実性がある領域が広くなりがち。
データが少なかったりとか新しいやったことないことを実行するっていうふうな中で、ある程度経営だったりマネジメント側としては正しい。
正しいというか勝てそうな戦略を考え尽くすっていうのはすごく大事だと思いますけど、結局Aに行ってもBに行っても51%と49%みたいな。
そうですね。一番確からCってだけだからね。
そう。だからどっちかというとこっちっていう打ち手を思いっきりアクセル踏まなきゃいけないっていう確かに環境っていうのがあって、
それじゃあBの方がいいんじゃないですかみたいなこととかを言われても、確かにBの方がいいかもしれないけど、今はAでいくんだよっていうのを強く伝えなきゃいけないシーンってありますもんね。
あるある。それでみんなが納得できてAにまず向かいます。
ダメだったらダメだったで、Aはダメだったんだね。
なってBに行けばいいわけですよ。
だからその腹落ちをしてみんなで行動に移すまでの、Aの検証するまでのスピード、そしてAの検証が終わるまでのスピードっていうのがベンチャー経営によって本当に鍵というか、それがないと命取りになると思うんですよね。
結局競合がいつの間にかBをやっていた。
僕らは確かに最初Aって言って、AをやるかBをやるかみたいなの迷ってて、例えば行動できなかった。競合はBで成功していた。こんなの命取りじゃないですか。
だったら早くさっさとAで失敗してBに行くとか。
あるいはAが正解かもしれないから、Aに早く行けてたら、それで先んじてスピードで勝てたかもしれないのに、結局最初に参入されちゃって競合が割と市場の中で認知を取ってしまってってなったら、結構戦いづらくなるじゃないですか。
新規性の高いサービスとかだとね。
検証スピードっていうベンチャー経営で最も大事なものに関わってくるわけですよ。
で、起こっていることって内部の話なんでね。内部でのこぜり合いなんですよ。対立構造。
僕らが本当は大事にしないといけないのは、顧客が何を求めるか。競合よりも僕らが早くあるいは有意な価値を提供できるかの検証。
マーケットの中で起こっていることなのに、会社の中で腹落ちしていないことによって仮説検証が遅れてっていうのは、本当致命的ですよね。
確かに。AにしますかBにしますかみたいな話って、どっちのほうが正解ですかみたいな話になりがちですけど、今川崎さんがおっしゃっていただいたように、検証ですと。
そのスピードをいかに上げていきますかっていうようなことがベンチャーにおいて大事っていうふうに考えるときに、AかBかじゃなくて、AやったときにBやるんだよっていうふうにすれば、
それをそもそも議論していること自体が時間のロスになっちゃうというか、だったら早くやろうぜっていうふうに考えてやったほうがすごくシンプルでわかりやすいですよね。
だからベンチャーでは正解とか正しさよりも腹落ちが重要って言ってるのは、成果を見つけるまでの失敗の数、失敗するスピードが早いほうが早くたどり着く。
逆に最初から正解が致命なものなんて世界はない。あんまりないので。あればそれやればいいだけで。みんな腹落ちもするだろうしね。そこまで致命なら。
そうじゃないから、僕らって正解が何なのかって議論が続いちゃうわけだし、堂々巡りになっちゃうわけですよ。
だったらさっさとみんなで今に腹落ちして、早くさっさといろんな失敗をして正解に早くたどり着くほうが、最終的には勝つって話です。
なので、正しさより腹落ち。それが大事っていうのがセンスメイキング理論の本質って感じです。