シリアルノミネーションとは何か。
さてまずは基本の記からですね、シリアルノミネーション。
これ直訳するとですね、連続的な推薦というような意味ですよね。
通常世界遺産というとピラミッドとか姫路城とか薬師間とか、ここという特定の場所をイメージしますよね。
でもシリアルノミネーションというのは違うんです。
ここもあそこも、そしてあっちもみたいなね、その感じなんですよ。
離れた場所にある複数のお子さんとか遺跡、これらをセットにするんですね。
そしてこれら全部で一つの価値がありますよと、UNESCOにプレゼントするわけです。
これがシリアルノミネーションなんですね。
先ほど書いたメモというのは、2017年に上宿島、村方沖之島と関連遺産群ということで登録をされた世界遺産の話なんですね。
これはですね、沖之島とか村方大社とかいう、そういうものだけが登録されたわけじゃないんです。
恒星資産というものを見てみると、一つ目は玄海などの真っ只中にある絶海の古都沖之島。
二つ目はですね、それから少し陸に近づいた大島にある神社。
そして三つ目は九州本土にある村方大社、越野宮と言われますね。
そして四つ目が古代豪族のお墓である古墳群。
これら全部でですね、合計8つの資産が海を挟んでね、バラバラに点在してるんですよ。
普通に考えたらですね、島は島とかね、神社は神社とかで別々のものでいいんじゃないのって思いますよね。
でもこれらバラバラに見ていてはですね、本当の価値っていうのは見えてこないと。
なぜなら、ここには古代の後悔と信仰というね、壮大な一つの物語があるからなんです。
ちょっと考えてみましょうかね。
古代の人々って命がけで海を渡って朝鮮半島とか中国大陸と交流をしていましたよね。
その後悔の道しるべとなったのが沖ノ島であったり大島であったり本土の山々だったわけです。
人々はですね、海に浮かぶ島々を見て、神様が降り立つ場所だと思ってあがめたわけですよ。
そして後悔の無事を祈り続けたわけです。
一番沖にあるのが沖ノ島の沖積み屋です。
真ん中が大島の中積み屋、そして村方大社の閉積み屋ということなんですね。
この3つの支店というのは一直線に並んでいて、まるで海上の祈りの道のようになっているというわけなんです。
つまりこれらっていうのは別々の神社じゃないよと、海を渡るための強大なシステムの一部だったんだよというわけなんです。
だからどれか一つかけても意味がないわけですね。
例えば沖ノ島って確かにすごいんですよ。
だって沖ノ島ってですね、島全体が五神体なんですよ。
そして出土物が8万点もあるんですけど、それら全部が国宝なんですよね。
その国宝が手つかずで眠っている奇跡の島と言われているんですから、島そのものが神だしね。
4世紀後半から9世紀末ぐらいまで500年間と言われているんですけど、その間の祭祀の跡が手つかずで残っているんですよ。
すごいですよね。
なんで沖ノ島すごいから沖ノ島だけ登録しようっていうのじゃダメなんですよ。
この大島と村方大社、この3つが揃って初めて古代東アジアの交流の歴史というものが物語として語れるんですよというわけなんですね。
これがシリアルノミネーションの真髄だと言われています。
点ではなく線で見る、物ではなくこと、つまり物語で見るというわけです。
そうすることで今まで見えなかった大きな価値が浮かび上がってくるというわけですね。
物語を編む力。
このシリアルノミネーションという考え方なんですが、世界中でどんどん増えているようです。
例えば有名な建築家にル・コルビジェという方がいますよね。
東京の上野にある国立西洋美術館ってありますよね。
これ世界遺産になったんですけど、実はあれも単独で登録されたわけじゃないんですよ。
これちょっと長い名前なんですが、ル・コルビジェの建築作品、近代建築運動への顕著な貢献というそういう名前なんですね。
それで登録されているんですね。
実はこれすごいことになっていて、フランスとかスイス、ベルギー、それからドイツ、アルゼンチン、インドですね。
そしてこの日本、なんと7カ国です。
3つの大陸にまたがる17の建築作品。
これが1つの世界遺産として登録されているわけです。
国境も大陸も超えてますよね。
普通ならフランスの遺産とか日本の遺産って国ごとに分けるのが当たり前のような感覚ですけど、
でもここでは国とかいう枠組みを超えて、近代建築という新しい概念を世界中に広めた証拠という物語で、
これらをまとめて1つの作品群、この作品群のことをシリアルと言うんだそうですが、そうやって捉えたということですね。
これこそまさに物語を編む力、つまり編集の力というようなことなんです。
地理的な距離なんて関係ないと、国境も関係ないと。
そこに近代建築の伝播という1つの強いストーリーがあるなら、地球の裏側にある建築同士でも1つの遺産として結びつけることができるよということなんです。
過去のバラバラな経験というものを、どんなストーリーで結ぶのかと。
この編集長みたいなもんですよね、これね。
そういう視点を持ってみるとですね、私たちの人生の価値というのは結構高まるんじゃないかなと思いますね。
私の好きな言葉に冒頭で触れた、スティーブ・ジョブズのコネクティング・ザ・ドッツというのがあるんですけど、
彼はね、こう言ってますよ。
未来を見て点を結ぶことはできないと。
ただね、過去を振り返って初めて点は結ばれるんだということですね。
私たちは今ですね、目の前の点を打つことに一生懸命ですね、それが何に繋がるかというのは分からずに一生懸命になっています。
でも時々ね、やっぱり振り返るんですよね。
振り返った時に、これとこれが繋がっていたんだとかね、気づく日っていうのは必ず来るわけです。
そしてですね、もう少し能動的にね、これとこれを繋げていってこういう物語しちゃおうみたいな、
そういう企みもね、することもできるようになるかもしれませんね。
なので、今聞いているあなたが、自分のやってることってのはバラバラで不安だなって感じていたらですね、
もしかしたらその構成資産を集めている段階なのかもしれないですね。
そしてですね、あなたが自分だけのテーマ、物語ですね、それを見つけることっていうのがね、あるかもしれないですね。
いやー、その時ですね、その散らばった点ですね、それらが繋がって、一気にオセロがね、黒から白にバーンと変わるみたいに、
一気に裏返って世界遺産へとね、もう変わるみたいな見え方をすると嬉しいですね。
はい、いかがだったでしょうか。点と点を結ぶ物語、シリアルノミネーションということですね。
世界遺産という壮大なテーマから個人の人生論までね、かなりの広がりを持って話をしたわけですけど、
でもですね、結局のところ、歴史も人生もどう語るかということにかかってくるんですよね。
これナラティブって言うんですけど、どう語るかですね。
大学の時にね、僕はサイクリング愛好会っていうのに入ってたんですよね。
毎週練習があるんですけど、何十キロも走るんですけどね。
学校からね、胸形大社まで走ってました。
そして行ったら、みんなで手を合わせて帰ってきてましたね。
その頃の僕っていうのは胸形大社っていうのは、ただの神社だったんですよね。
でもこの神宿島っていうストーリーを知った後に行ってみると、
わー、海を渡った古代人たちっていうのがやっぱり見えてきましたね。
その祈りのリレーみたいなね。
そういうののここは終着点なんだなーとかいうことがね、見えてきました。
資座の違いというのをね、実感しましたね。体験の深さっていうのがね。
はい、というわけでですね、あなたもですね、これシリアンノミネーションじゃねえと、
これとこれ実はつながってるんじゃねえみたいなね、そんな発見があったら楽しいんじゃないですかね。
それではまた次回の放送でお会いしましょう。リュウスタイルでした。
良い物語を。