点と点を結ぶ物語
シニアアップデート・デイリーシェア、この番組はスポーティファイ ポッドキャストをキーステーションに、アップルポッドキャスト、
ユーチューブポッドキャスト、スタンドFMを通して、日本全国のシニアへ向けてお届けする番組です。
はい、ということでですね、今日は点と点を結ぶ物語ということについて、お話をしたいと思います。
突然ですけど、皆さんたちは点と点を結ぶという言葉、よく聞きませんか?
2005年のスタンフォード大学卒業式でのスピーチ、そこでスティーブ・ジョブズが使った言葉ですね。
バラバラの過去の経験が将来どこかでつながって、 そして大きな成果や意味を成すよという哲学、考え方はですね、
過去のバラバラな経験がある日突然つながっていくよと、 そして一つの大きな意味を持つよということですね。
人生にはそんな瞬間というものがあるものです。 実はですね、これと似たことが世界遺産の世界でも起きているのをご存知ですか?
今日はですね、世界遺産の登録方式の一つである、 シリアルノミネーションという考え方についてお話をしたいと思います。
なんだか難しそうなカタカナ語ですけど、簡単に言えば、 バラバラな複数の資産を一つの大きな物語で結んで登録する手法というようなことなんですね。
実はですね、先日こんなメモを読み返していたんです。 シリアルノミネーションとは、複数の資産で一つの物語を紡ぐ手法。
地理的につながっていない二つ以上の物件が一つの遺産として登録される際の故障。
福岡の室方大社が世界遺産に登録された時のメモというふうに書いていました。
これすごく面白い視点だと思いませんか? 地理的には離れている。見た目も全然違う。
それなのにある一つの物語でつながっているから、 まとめて一つの世界遺産として認められるということですね。
今日はこのシリアルノミネーションという見方を通して、 世界遺産の新しい楽しみ方ということですね。
そして私たち自身の人生という物語の紡ぎ方といいますかね、 そういうものについて一緒に考えてみたいと思います。
それでは始めていきましょう。
シリアルノミネーションの基本
シリアルノミネーションとは何か。
さてまずは基本の記からですね。 シリアルノミネーション、これ直訳するとですね、連続的な推薦というような意味ですよね。
通常世界遺産というとピラミッドとか姫路城とかね、 薬師間とかここという特定の場所をイメージしますよね。
でもシリアルノミネーションというのは違うんです。 ここもあそこもそしてあっちもみたいなね、その感じなんですよ。
離れた場所にある複数のお子さんとか遺跡、これらをセットにするんですね。
そしてこれら全部で一つの価値がありますよと、 UNESCOにプレゼントするわけです。
これがシリアルノミネーションなんですね。
先ほど書いたメモというのは、2017年に上宿島、 村方沖の島と関連遺産群ということで登録をされた世界遺産の話なんですね。
これはですね、沖の島とか村方大社とかいう、 そういうものだけが登録されたわけじゃないんです。
恒星資産というものを見てみるとですね、 1つ目は玄関井などの真っ只中にある絶海の古都沖の島。
2つ目はですね、それから少し陸に近づいた大島にある神社。 そして3つ目は九州本土にある村方大社、越野宮と言われますね。
そして4つ目が古代豪族のお墓である古墳群。 これら全部でですね、合計8つの資産が海を挟んでね、バラバラに点在してるんですよ。
普通に考えたらですね、島は島とかね、 神社は神社とかで別々のものでいいんじゃないのって思いますよね。
でもこれらバラバラに見ていてはですね、 本当の価値というのは見えてこないと。
なぜなら、ここには古代の後悔と信仰というね、 壮大な一つの物語があるからなんです。
ちょっと考えてみましょうかね。 古代の人々って命がけで海を渡って、朝鮮半島とか中国大陸と交流をしていましたよね。
その後悔の道しるべとなったのが沖の島であったり、 大島であったり、本土の山々だったわけです。
人々はですね、海に浮かぶ島々を見て、 神様が降り立つ場所だと思って崇めたわけですよ。
そして後悔の無事を祈り続けたわけです。 この一番沖にあるのが沖の島の沖積み屋です。
真ん中が大島の中積み屋、 そして村方大社の閉積み屋ということなんですね。
この3つの支店というのは一直線に並んでいて、 まるで海上の祈りの道のようになっているというわけなんです。
つまりこれらというのは別々の神社じゃないよと、 海を渡るための強大なシステムの一部だったんだよというわけなんです。
だからどれか一つかけても意味がないわけですね。 例えば沖の島って確かにすごいんですよ。
だって沖の島ってですね、島全体が護身帯なんですよ。 そして出土物が8万点もあるんですけど、それら全部が国宝なんですよね。
その国宝が鉄かずで眠っている奇跡の島と言われているんですから、 島そのものが神だしね。
4世紀後半から9世紀末ぐらいまでですね、やっぱり500年間と言われているんですけど、 その間の祭祀の跡が鉄かずで残っているんですよ。すごいですよね。
なんで沖の島すごいから沖の島だけ登録しようっていうのじゃダメなんですよ。
この大島と、それから胸形とは一緒、この3つが揃って初めて、 古代東アジアの交流の歴史というものが物語として語れるんですよというわけなんですね。
物語と意義の創造
これがシリアルノミネーションの神髄だと言われています。 点ではなく線で見るんですね。
ものではなくこと、つまり物語で見るというわけです。 そうすることで今まで見えなかった大きな価値が浮かび上がってくるというわけですね。
物語を編む力。 このシリアルノミネーションという考え方なんですが、世界中でどんどん増えているようです。
例えば有名な建築家にル・コルビジェという方がいますよね。 東京の上野にある国立西洋美術館ってありますよね。
これ世界遺産になったんですけど、実はあれも単独で登録されたわけじゃないんですよ。 これですねちょっと長い名前なんですが、
ル・コルビジェの建築作品、近代建築運動への顕著な貢献という、そういう名前なんですね。
それで登録されているんですね。 実はこれすごいことになっていて、フランスとかスイス、ベルギー、それからドイツ、アルゼンチン、インドですね。
そしてこの日本、なんとですね7カ国です。 3つの大陸にまたがる17の建築作品。
これが一つの世界遺産として登録されているわけです。 国境も大陸も超えてますよね。
普通ならフランスの遺産とか日本の遺産って国ごとに分けるのが当たり前のような感覚ですけど、
でもここでは国とかいう枠組みを超えて、近代建築という新しい概念を世界中に広めた証拠という物語で、
これらをまとめて一つの作品群、この作品群のことをシリアルと言うんだそうですが、そうやって捉えたということですね。
これこそまさに物語を編む力、つまり編集の力というようなことなんです。 地理的な距離なんて関係ないと。国境も関係ないと。
そこに近代建築の伝播という一つの強いストーリーがあるなら、地球の裏側にある建築同士でも一つの遺産として結びつけることができるようということなんです。
これ星座で考えるとわかりやすいかなと思うんですね。 本来、星というのはバラバラですよね。バラバラの点です。
でもこれが線で結んであげることで物語が生まれますね。 そして星座が生まれる。そういうようなものだと考えたらわかりやすいんじゃないでしょうかね。
日本国内においては明治日本の産業革命遺産というものがありますよね。 23の施設が九州から東北まで八つの県に丸がっているんですよ。
そこは製鉄所もあれば造船所もある、炭鉱もあるということで、一見バラバラのような工場の集まりに見えるかもしれないんですけど、
でもこれらを西洋の技術を、西洋じゃない国がどうやって取り入れて産業化を成し遂げていたかという時間の流れで串刺しにしていくと一つのドラマになるよという、そういうことなんですね。
ここがシリアルノミネーションの難しいけれども面白いというところですね。 そういうのがここにあるわけですね。
ただ有名な場所だけ集めただけじゃダメだよということなんですね。 なぜこれとこれがセットなのとか、これを繋ぐ意図って何なのっていう、それに答えられること、
つまりコンセプトとかストーリーとかが明確じゃないとUNESCOは認めてくれないわけですね。 逆に言えば強力なストーリー、
これがあればどんなに離れていても、どんなに小さくても世界的な価値を持つことができるというわけですね。
私たちの人生もシリアルノミネーション。 これって私たち個人のブランディングとかコンテンツ制作にも通じるような、すごく勇気づけられる話だとも言えるわけです。
人生の点を結ぶ
ということで、この視点を世界遺産から私たちの人生ということに戻してみようというわけですね。
私たちもこのシリアルノミネーションの手法を自分の人生に応用できるんじゃないかなということを考えたわけです。
よく私たちは言うじゃないですか、自分には何の実績もないとか、私みたいにスキルが散らかっていて自分が何者かわからないとか、そういうことで悩んだりしますよね。
私なんかは、昔は教師をやっていて、その後プロのコーチをやって、今はウェブの仕事をしているわけですね。
一見すると全然脈絡のない、天の集まりみたいですけど、本当に一貫性がないなぁと、自国嫌悪に陥ったりすることもあるわけですよね。
でも世界遺産を見ると、さっきのような絶海の古道と陸の神社と古墳群とか、全く違う、これらが古代の信仰と後悔というテーマで結びつけられて、世界遺産になっていますし、
フランスの民家と上野の美術館とインドの庁舎とか、全く違うこれらが近代建築への挑戦というテーマで結ばれて、世界遺産になっていますよね。
だから私たちの人生の点も実は結びつけられるんじゃないのということです。
例えば私の場合だったら、人に教えるのが好きだった教師時代と、人に質問をしてその人の思いを引き出してあげるコーチ時代と、
そして読者にわかりやすく教えてあげるコンテンツクリエーター時代というような、バラバラの職歴として見るんじゃなくて、
複雑な物事を噛み砕いて相手に届ける翻訳者としての人生というような、ちょっとかっこいいんですけど、そういうストーリーで口差しにすることができるんじゃないかなというわけですね。
そうすると不思議なことに、バラバラだったキャリア、これは一つの強力な物語として見えてくるわけですね。
これが自分だけのシリアルノミネーションですよというようなことなんです。
過去のバラバラな経験というものをどんなストーリーで結ぶのかと、この編集長みたいなものですよね、これね。
体験の深さと発見
そういう視点を持ってみると、私たちの人生の価値というのは結構高まるんじゃないかなと思いますね。
私の好きな言葉に冒頭で触れた、スティーブ・ジョブズのコネクティング・ザ・ドッツというのがあるんですけど、彼はこう言ってますよ。
未来を見て点を結ぶことはできないと。ただ、過去を振り返って初めて点は結ばれるんだということですね。
私たちは今ですね、目の前の点を打つことに一生懸命ですね。それが何に繋がるかというのは分からずに一生懸命になっています。
でも時々やっぱり振り返るんですよね。振り返った時に、ああこれとこれが繋がっていたんだとかね、気づく日っていうのは必ず来るわけです。
そしてですね、もう少し今度、能動的にね、これとこれを繋げていってこういう物語しちゃおうみたいな、そういう企みもね、することもできるようになるかもしれませんね。
なので、今聞いているあなたが、自分のやっていることっていうのはバラバラで不安だなあって感じていたらですね、もしかしたらその構成資産を集めている段階なのかもしれないですね。
そしてですね、あなたが自分だけのテーマ、物語ですね、それを見つけることっていうのがね、あるかもしれないですね。
いやーその時ですね、その散らばった点ですね、それらが繋がって、一気にオセロがね、黒から白にバーンと変わるみたいに、
一気に裏返って世界遺産へとね、もう変わるみたいな見え方をすると嬉しいですね。
はい、いかがだったでしょうか。点と点を結ぶ物語、シリアルノミネーションということですね。
世界遺産という壮大なテーマから個人の人生論までね、かなりの広がりを持って話をしたわけですけど、
でもですね、結局のところ、歴史も人生もどう語るかということにかかってくるんですよね。
これナラティブって言うんですけど、どう語るかですね。
大学の時にね、僕はサイクリング愛好会っていうのに入ってたんですよね。
毎週練習があるんですけど、何十キロも走るんですけどね。
学校から胸形大社まで走ってました。そして行ったらみんなで手を合わせて帰ってきてましたね。
その頃の僕っていうのは胸形大社っていうのはただの神社だったんですよね。
でもこの神宿島っていうストーリーを知った後に行ってみると、まあ海を渡った古代人たちっていうのがやっぱり見えてきましたね。
その祈りの履歴みたいなね、そういうののここは終着点なんだなーとかいうことがね、見えてきました。
資座の違いというのをね、実感しましたね。体験の深さっていうのがね。
はい、というわけでですね、あなたもですね、これシリアルノミネーションじゃねえと、これとこれ実はつながってるんじゃねえみたいなね、そんな発見があったら楽しいんじゃないですかね。
それではまた次回の放送でお会いしましょう。リュウスタイルでした。良い物語を。