地震前のいろいろ
サマリー
今回のエピソードでは、精神科医の体験や診断の難しさ、回復のプロセスに注目しています。医師自身の苦しい経験が、患者への理解や自己分析にどのように役立つかを探求し、デモラリゼーションなどの概念も紹介されています。
精神科医の体験
今回はですね、ある現役精神科医の語りを記録した音声ファイルがあるんですが、これをもとに心の健康とかその回復についてちょっと深く見ていきたいと思います。
この方ご自身も鬱病を経験されているんですよね。 そうなんです。
提供いただいた資料を読むと、その精神科としての臨床的な視点と、あとは、まあ元患者としての個人的な体験、
これがなんかすごく複雑に絡み合っている感じがしますね。
診断の難しさとか、回復への道のりとか、教科書だけじゃちょっとわからないそのリアルな部分が見えてきそうです。
ですよね。その診断って一体何なのかとか、あと心の不調から立ち直るプロセスには何が大事なのか、あなたと一緒にその辺の本質に迫っていけたらなと。
はい、ぜひ。
まずすごく印象に残ったのが、この医師の方がご自身の経験をかなり率直に話されている点なんです。
特に学生時代の鬱状態のこと、強いプレッシャーとか疎外感とかがあって、それが学業にも影響して。
定期試験の答案を破り捨てたっていうエピソードがありましたね。
そうそう、それです。その行動の裏にある苦しさ、なんか伝わってきますよね。
いや、本当に。で、その経験があるからこそ患者さんを深く理解できる、その共感のベースになってるんでしょうね。
なるほど。
ただ、同時にご自身の状態を精神化として冷静に分析もされてる。例えば、当時の自分を未熟型の鬱だったんじゃないかって。
未熟型ですか?
A、つまりストレスへの対処がまだ未熟な段階でのうつうつ反応みたいな、自己防衛のためにも殻に閉じこもるしかなかったんだと振り返ってますね。
経験が共感と自己分析両方につながってるんですね。
そういうことだと思います。
診断の難しさ
次にですね、精神化の診断がいかに難しいかという点も提起されています。
ああ、はいはい。
診断は絶対的なものじゃないと。ものさしのようなものだっていう表現がすごく象徴的で。
これは非常に大事な指摘ですよね。ないかみたいに、例えば血液検査とかで肺確定みたいな、そういう客観的な指標、バイオマーカーがないわけですから。
だから、どのものさし、つまりどの診断基準、DSMとかICDとかありますけど、それを当てるかで見たてが変わってくることがあると。
例えば、うつ病と診断されてきたけどどうも良くならないっていう場合に、背景にもしかしたらADHD的な要素があるんじゃないかって見て診断を変えることもあると。
つまり診断っていうのは、もう確定的な答えじゃなくて、治療をうまく進めるための一種の仮説なんだと、そういう側面があるんですね。
なるほど、仮説ですか。それはちょっと見方が変わりますね。
それともう一つ、現代のうつ病っていう診断が、昔だったらもしかしたら甘えとか未熟さみたいに見られてた状態まで含んじゃってるんじゃないかっていう問いかけ、これもかなり鋭いなと。
そうですね。診断基準自体が変わってきてますからね。それによって、本来はもしかしたら性質が違うかもしれない状態、
例えば、脳の機能的な問題としてのうつ病と、もっと環境とか体験への反応としての抑鬱みたいなものが、一緒にうつ病っていうカテゴリーに入っちゃってるんじゃないかと。
そういう専門的な問題点にも触れています。これがうつ病の原因を探したり、治療法を開発したりするのを難しくしている一因かもしれないとも言ってますね。
回復の過程とその視点
なるほどな。あなたはこの辺りどう感じますか?どこからが病気で、どこからがそうじゃないのか、その境界線って本当に難しいですよね?
いや、本当にそう思います。心の状態って白黒はっきりつけられるものじゃないグラデーションですもんね。どこで線を引くのかすごく難しい。
で、その回復の過程にもまた別の難しさがあると。病気の症状自体は良くなっても、なかなか社会に戻れないケースについて、デモラリゼーションという言葉を挙げてました。
ああ、デモラリゼーション。これは見過ごせない点ですね。意欲低下って訳されたりしますけど、単に気分が落ち込むのとはちょっと違う。
違うんですね。
病気で休んだり、引きこもったりが長引く中で失敗体験とか、自分はダメだみたいな敗北感が積み重なってしまう。
はい。
それでもう何をやっても無駄だっていう自信喪失とか意欲低下が二次的にこう深く根付いちゃう状態。社会から孤立している感じもこれは後押ししますし。
うわー、それは辛いですね。
そうなるとお薬だけではなかなか改善が難しい。つまり病気そのものは良くなったとしても、この自信喪失っていう第二の壁みたいなものが回復を邪魔してしまうことがあるんです。
なるほど。
だから小さな成功体験をコツコツ積み重ねていくような作業療法的なアプローチが大事になってくるという話でしたね。
回復には病気の症状だけじゃなくて、そういう自信とか意欲とかそういう側面へのアプローチも必要不可欠ってことですね。
まさに。
ただ一方で、そういう苦しい体験も決してマイナスなだけじゃないんだっていうそういう視点も示されていました。
ええ。人生の棚下ろしっていう言葉を使われてましたね。
あ、それですそれです。
うつ病みたいな苦しい経験が結果的に一度立ち止まって、自分の人生とか人間関係とか本当にやりたかったこととかを見つめ直す、ある意味で貴重な時間にもなり得るんだと。
うーん。
ご自身の経験としても、カウンセリングを受ける中で、昔の怒りとか憎しみのその奥底にあったすごく深い悲しみに気づいたと。
それが自己理解を深めて、今の医師としてのスタンスにつながっているとも語られていました。
苦しみが自己発見のきっかけになることもあると。
そういうことですね。
いやー、今回の資料をこうして深く掘り下げてみると、心の健康の問題って本当に多面的で、診断とか回復のプロセスも一筋縄ではいかない複雑なものなんだなっていうのは改めてよくわかりました。
本当にそうですね。
臨床医としての知識や視点、それから当事者としての生々しい体験、そして社会との関わり、いろいろなものが複雑に絡み合っている。
診断名っていうのは、あくまでその時の状態を理解するための一つの物差しに過ぎなくて、本当に大切なのはその背景にある一人一人の物語とか、その回復を支える周りの環境とか、そういう多角的な視点なんだなと改めて感じさせられます。
本当にそうですね。
最後にこれを聞いてくださっているあなたにちょっと問いかけてみたいんですが、ご自身の経験の中で過去に失敗したなぁとか挫折したなぁって感じていた出来事が後から振り返ってみると、実は自分という人間を深く知るためのあるいは何か新しい方向へ進むためのすごく重要な転機になっていたなんてことありませんか。
そんな視点でご自身の経験を少しだけ見つめ直してみるのも、何か新しい発見があるかもしれません。
07:11
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