過去の影響を探る
はい。さて今回はですね、ある現役の精神科医の方のライブ配信の記録から、非常にパーソナルな体験談を掘り下げていこうと思います。
はい。
子供時代の出来事が、今の結婚感とか子育て感、それから専門家としての視点にどう影響しているのか、その率直な語りを通して過去が現在にどう繋がるのか、ちょっと見ていきたいなと。
へー、専門家の方がご自身の生々しい体験を語るっていうのは、すごく視差に富みますよね。
そうですね。
その経験が、彼の見解とか価値観の根っこの部分をどう形作ってるのか、注目したいところです。
まず、現状なんですけど、ご本人は独身でいらっしゃって、一人暮らしに満足されている様子なんですよね。
はいはい。
なんかクックドゥーみたいなものも使いながら、簡単な自炊をして、家事もこなして、ネットで他の配信を見たりして過ごしていると。
なるほど。
複雑な人間観点は避けつつ、社会との接点は保っているように見えるんですが、このスタイルっていうのは彼にとってどういう意味があるんですかね。
うーん、そうですね。
一見すると、現代的な自己重則のスタイルにも見えますけど、
ただ、この後のお話を伺うと、もしかしたらこれは積極的な選択というよりは、過去の経験から身についたある種の、なんていうか、防衛的な戦略なのかもしれないですね。
あー、防衛的?
自分のペースを守ることが精神的なバランスを保つ上で不可欠になってるという感じでしょうか。
なるほど。その一方で、結婚とか子育てについてはかなり慎重というか、むしろ懐疑的ですらあるんですね。
はい。その理由がやっぱり子供時代のかなり強烈な体験にあると。
ふむふむ。
うわー、それは。
で、彼が子供心に別れないでほしいって答えたら、その後成人するまで断るごとに、あんたがそう言ったからお母さんは我慢してるんだよと、そう言われ続けたということなんですよね。
それは子供にとってはあまりにも重い十字架ですね。本当に責任を和わせて、こう罪悪感を植え付ける。
ええ、ええ。
これはまあ心理学で言うところの操作、マニピュレーションにかなり近い関わり方で。
操作ですか。
ええ。これがこう長く続くと、他者への信頼感とか感情のコントロール、あと自己肯定感にも深く影響を与えてしまう。
なので、後々複雑性PTSDのような状態につながることも、まああり得る話なんです。
まさにその経験が、子育ては医者になるよりよっぽど難しいとか、自分は子供を不幸にしてしまうんじゃないかっていう、すごく強い不安につながってるみたいで。
ああ、なるほど。
自分にはこう、親になる資格がないんじゃないかって繰り返し考えちゃうと、子供の頃の一言がそんなに長く影響するのかと、ちょっと考えさせられますね。
ええ、特に親からの言葉とか態度っていうのは、子供の世界観そのものを形作りますからね。
はい。
過去の傷が未来への恐怖を生む、まあ典型的な例とも言えるかもしれないし、あと精神科医として多くの親子関係を見てきた経験も、その考えをさらに強めてるっていう可能性ももちろん考えられますね。
じゃあ、そういう辛い経験とどう向き合ってきたのかということなんですけど、ちょっと意外だったのが、インターネットのライブ配信、ニコニコ生放送で語り始めたことが一つの転機だったとも話されてるんですね。
自己開示と安全基地
へー。
これは何かある種の自己開示が助けになったということなんですかね。
興味深い対処法ですよね。そして彼が配信の中でもすごく強調しているのが、安全基地の重要性なんです。
安全基地ですか。
はい。つまり、まあ親とか、そういう強いストレスの元になっているものから、物理的にも心理的にもちゃんと距離を置ける安全な場所、いわゆる環境調整がまず大前提なんだと。
なるほど、環境調整。
それがなければ、例えばアンガーマネジメントみたいな心理療法もなかなか効果を発揮しにくいと。まず安全な環境を確保するっていうのが回復の第一歩だっていう指摘は、これは非常に重要だと思います。
今回は一人の精神科医の非常にパーソナルな告白をたどりながら、過去の体験がいかに深く人生観とか専門性に影響を与えるかというのを探ってきました。
なんというか、痛々しいほどの正直さが、ちょっと胸に迫るものがありましたね。
個人の体験ではあるんですけど、そこから得られる、その安全な環境が鍵なんだっていう洞察は、本当に多くの人にとっても普遍的な意味を持つでしょうね。
そうですね。最後に、これを聞いているあなたに問いかけてみたいと思うんですが。
はい。
あなた自身の過去の経験って、意識しているかどうかは別として、今のあなたの価値観とか、人間関係に対する考え方にどれくらい深く影響を与えているでしょうか。
そして、もしその影響に気づいたとしたら、これからどんなふうに進んでいきたい、そう考えますか。
