おはよう、こんにちは、こんばんは。
薬と健康に関するラジオ、略してくすけんラジオのうっちーです。
このラジオでは、薬剤師である私、うっちーが、薬のことや健康のことなどで、
ラジオ置きの方や患者様からの質問などを紹介しながら、
質問に答えたり、薬や健康についてお話をしていくというラジオです。
どうぞよろしくお願いします。
今回、リスナー様よりテーマをいただきました、まことでございます。
テーマをいただきました方からメールをいただいたんですけども、
お名前なんてお呼びすればいいですか?ということの確認が取れておりません。
なので、申し訳ございません。匿名様とさせていただきます。
いただきましたメール、早速読ませていただきますと、
コナン君がなぜ生産狩りをペロッとして平気なのか聞かせていただきました。
よくあるネタみたいなことでも、ちゃんと科学的な解説を聞けて面白かったです。
そのコナンのネタに関連してになるかもしれませんが、
ツイリモノの作品でクロロホルムとかの薬品を浸したハンカチを使って人を眠らせる。
これ嘘だよというのはよくネットで見ますけども、
本当に嘘なのか、嘘ならなんであんなにも有名なのかというのを聞いてみたいです。
というメッセージいただきました。まことでございます。
ということで、今回話をさせていただきますタイトルはこちら。
クロロホルムで気絶というのは嘘なの?
改めまして質問者様、まことでございます。
今回、ツイリ小説や漫画やアニメ、ドラマなど様々な作品出てきますけども、
悪人が人を誘拐する際に薬を浸したハンカチ、よくクロロホルムとかそれで薬品ですね。
そういうのハンカチとかに染み込ませて、それを人の口元に当てると。
で、ハンカチ当てられた人は意識を失うというネタがよくあります。
ただ今回メッセージの中でもいただきましたけども、
このクロロホルムのネタは嘘だよというのもよく見かけます。
でも確かに嘘であるならなぜこんなにも浸透しているネタなのか、
そういったのを今回話させていただこうかなと思っております。
まずクロロホルムとはどういうものかという話をさせていただきますと、
このクロロホルムは1831年に発見されました麻酔薬でございます。
当時19世紀の前半頃には麻酔を使った外科手術が行われるようになっておりました。
その際にはエーテルというものをよく使ったんですけども、
このエーテルは発火しやすくて危険だよということで、
新たな麻酔薬の開発が必要だよということで様々な研究がされておりました。
その中でこのクロロホルムが発見されました。
ただ1831年に発見されてからも人に使うまでには様々な動物実験とかを繰り返しまして、
1847年に初めて人体に使用しています。
その後1847年の11月には本格的に臨床の場で使われるようになっておりました。
主にとしましては婦人科での無痛分娩に使われるようになっておりました。
その後1853年と1857年にヴィクトリア女王の無痛分娩にこのクロロホルムが使用されました。
それによりましてクロロホルムという麻酔薬が一気に有名になりました。
ただこのクロロホルムですけども肝臓への負担が強いとか不清脈を起こしやすいとか、
発火とかを感じやすいよということで使用することにリスクがありました。
そこから新しい麻酔薬の開発とかもされまして、だんだんとクロロホルムは臨床の場から消えていきました。
ということで使われることはだんだん減っていったんですけども、
ヴィクトリア女王に使われたということに有名ですし、
さらにと言いますかコナンでお馴染みですけどもコナンドイル。
シャーロックホームズの産みの親でありますコナンドイルが自身の小説内で
クロロホルムを用いて人を眠らせるという描写をします。
推理小説の大巨匠でもありますし、またコナンドイルは医学の勉強をしていたということでも有名でした。
ということであのコナンドイルが使っていたネタだということで一気に広まりました。
特に推理小説使われるようになっていきました。
ただ実際にクロロホルムで気絶するのは嘘なのかどうかと言いますと、
クロロホルムを使って気絶というか眠るのは麻酔薬というものがありまして、
絶対眠らないというわけではないんですけども、
ドラマや漫画であるようなあんな一瞬で眠るというのは無理ですというのが実情でございます。
クロロホルムは確かに吸い続ければ眠りにつくんですけども、
普通にハンカチに染み込ませて眠りにつくかと言われますと、
そのクロロホルムを浸したハンカチを口や鼻に当てまして、
そこから最低でも数分間は呼吸をし続けないと眠らないと言われます。
そのハンカチの薬品を数分間は吸い続ける必要があります。
なので、よくある作品とかのように一瞬で眠るということではないです。
ただ、ハンカチに染み込ませるという描写、
言うほどみんなそんな薬品にちょっと欠けてるぐらいという描写が多いんですけども、
仮にですけども、ハンカチに浸す薬品の量を増やしたらどうか、
ビチャビチャにしてみたらどうなのかと言いますと、
ハンカチに染み込ませる液の量を増えすぎますと、
それで一気にクロロホルムを吸い込むことになるんですけども、
それはそれで吐き気とかひどい咳、頭痛などを起こすことがありまして、
よく作品とかでスーッと眠るようなあんな描写ではないです。
またクロロホルムを一気に吸い込みますと、
心臓への悪影響とかも懸念されます。
なので、気絶ではなくて死を迎えるリスクすらあります。
なので正直ドラマとか漫画であるような、
ハンカチを当てられてスーッと一瞬で意識を失うというのはありえないと言われます。
ただじゃあクロロホルムの描写、
よくあるハンカチ当てられてという描写が全て嘘なのか、
全くありえないのかと言いますと、
昨今やや本当にありそうな描写をする作品も増えております。
例えばハンカチを当てて眠るまでに暴れるというシーンを挟む作品、
見かけるようになっております。
これはすぐ気絶しないで時間かかるという演出でもありますし、
またクロロホルムというものは肌に触れると、
刺激を感じて痛みとか赤みが出やすいものです。
そして人間の顔というのは手足とかに比べますと、
皮膚が薄く刺激を受けやすいです。
なのでクロロホルムを浸したハンカチを顔に当てますと、
刺激を感じて痛いと感じたりもします。
そういった意味でその痛みとか刺激もあって暴れるというのは、
ある意味正しい描写だったりもします。
また気絶から明けた時に頭痛とか重い感じ、
そういったのを描写している作品も見かけます。
気絶の際には普通の睡眠と違いまして、
交換神経が活性の状態から急に眠ることで、
脳への血流が一時的に滞りやすくなってしまいます。
それによって頭の機能は一時的に低下することがあります。
なので意識が戻るまでに時間がかかるとか、
記憶が混濁しているとかそれでぼーっとしやすくなったり、
そんなことがよくあります。