1. 社労士久野勝也の「労務の未来」
  2. 第31回 経営者は「解雇」を2つ..
2023-06-30 13:33

第31回 経営者は「解雇」を2つの視点で抑えよう!

【毎週金曜日/朝8時配信】
社会保険労務士の久野勝也が、混迷を極める「労務分野」について、経営者と労働者のどちらの立場にも立ち切り、どちらの立場にも囚われずに、フラットな視点でお届けする番組です。

●番組への質問はこちら
https://ck-production.com/kuno_q/

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こんにちは、遠藤勝家です。久野勝也の「労務の未来」久野先生、よろしくお願いいたします。
お願いします。
さあ、ということで、今日はですね、前回ツイッター社の解雇報道を前提として、
解雇と退職勧奨の違いというお話で、実はあれは退職勧奨だったんだよという話があったんですけれども、
その終わりの方で、改めて、何で日本では退職というのがそもそもしにくいのか、できないのか知っているとか、
いう話をしていきたいなと思っておりますので、引き続きテーマは解雇ということでいきましょう。
日本は基本的には不当解雇で訴えられるとか、解雇に対して非常に厳しい規制が敷かれています。
もともとの解雇の基本的な考え方は、日本で就寝雇用制度と、年効序列型賃金。
今、年効序列型賃金が微妙な形になっていると思うんですけど、基本的には、就寝雇用で60歳、65歳まで雇ってくれます。
年効序列型賃金というのは、我慢すれば我慢するほど、お給料が上がっていくという仕組みなんですね。
互相洗断方式ですね。
そうですね。ってことは我慢している最中に、間でブチッと梯子を外すみたいなことは、
これはもうあってはいけないよねってことが基本的な考え方なんです。
だから労働者は特別な理由がない限り、会社を辞めさせることができないってところが、
日本の、特に就寝雇用年効序列型賃金から来てるんだろうというふうに言われてる。
なるほど。
その戦略で日本全体を経済発展させていくぞっていう前提で作った労働法なので、
見にくい。
そうですね。当時はそれがすごく当たって、自動車業界なんかは雇用の流動化が低かったので、
当時めちゃくちゃ伸びたっていうふうに感じますよね。
それが今多分、逆に言うと雇用を流動化しろと。
解雇は使わずに流動化しろっていうような形になってて、
少し世の中が歪になってるなと思いつつ、
それがそのときの流れかなというふうに思います。
解雇を考えるときに、これ意外と皆さん知らないんですけど、
視点が2ついるんですね。
法律的な話をすると。
視点が2つ。
労働基準法の20条っていうのがありまして。
いきなりちょっと難しそうな雰囲気がこもし出しましたね。
もう一個労働契約法の16条。
労働基準法の20条っていうのはですね、
解雇予告っていうのがある。
労働基準法の20条の中に解雇予告というのがある。
これは使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、
少なくとも30日前までにその予告をしなければならない。
ああ、はいはい。
30日前までに予告しない使用者は、
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30日分以上の平均賃金を払わなければならないという法律があるんですね。
これを払わなかったらさすがにアウトなんですよ。
訴えられる、訴えられない問題は別として。
これ絶対守らなきゃいけないので、
罰則で6ヶ月以下の懲役とか50万円の罰金みたいな感じで、
労働基準法の特書からも強く言われちゃうような形です。
これはみんな知ってるんですよ。
逆にこれを知ってるっていうよりも、
30日分前に行って、
払えばいいんでしょ的な理解をしてしまってる気がしますね。
そうですね。払ってやめさせたからという連絡がたまに来るんですよ。
やっぱあるんですね。
それまずいですみたいな話になって。
あるんだ。
でもその認識の方が近しい気がしますね。
だからこれは絶対避けなきゃいけないよ。
これだけじゃないよって。
仮にでもこれに何もなければ、
それはそれで終わってっちゃうんですよ。
成立しちゃったと。
別に向こうも不当解雇と訴えてないし、
別に転職先もあるからいいよって話もたまにはあるんですね。
めちゃくちゃ問題にならないんですけど、
でもただ家族がいるとか、
ここでしか働き場所がないって話になると絶対に揉めますので。
どこでみんな揉めてるかって話が次なんですね。
労働契約法の16条がありまして、
一般的に解雇権濫用法理と言いまして、
労働基準法であくまでも経営者が強いっていう観点で作ってるので、
解雇権濫用しないように労働契約法で作ってるんですね。
解雇は客観的に合理的な理由を書き、
社会通年上相当であると認められない場合は、
その権利を濫用した者として無効とするという、
そういう条文があるんです。
つまりこれを想定に争ってくるんです。
よくある、社会通年上相当であると認められないという、
全く理解ができないワーッとしたやつですね。
客観的に合理的で何かというと、
例えば過去の労働犯例で、
同種の事案に対して同じように解雇を受けてて、
それが裁判所で認めているとか、
あと就業規則に書いてあって、
それが普段から周知されてて、
当然周りもそれはクビだよねって分かってて、
本人がやったとかですね。
社会通年上、例えば遅刻に対してクビなんかいったら、
社会通年上も明らかに相当とは言えないんですよね。
周りがそれは解雇だよねって言えるところまでの、
立証が会社としてできるかとか、
エビデンスがあるかとかですね。
そんな話になってくるんです。
ここの要は解釈の範囲が巨大で、
いろんな判例とかで出来上がっている状態になっていると。
そうです。
なので、例えば突然解雇、
例えば先ほどの話、
30日までやっぱり払ったと。
これでOKだと思って辞めさせたと思ったら、
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労働者の方から弁護士さんを使って、
いやこれ解雇権のライオンじゃないですかと。
不当解雇を訴えますみたいな感じで。
全くもう客観的に合理的な理由はないですよねみたいな。
なるほどね。
労働基準法の20条でしたっけ。
解雇予告って点においてはクリアしてるけど、
もう1個の視点の契約法の16条の方での乱用って観点で、
基本全然赤いのそれってなっちゃうってこと?
そうです。
意外とそっちは知らないです。
だから労働基準法だけ調べて、
いけるでしょみたいな感じでやってしまうと、
後から痛みに遭うよというような話です。
そうするとこの契約法の乱用っていう範囲がすさまじく広いんで、
ここはもうたぶん番組やりだしたら、
たぶん20回でも30回でもできちゃうような事例がいっぱいあるわけですよね。
そうですね。
過去の経営者で過去の裁判例とかも、
たまに触れたほうがいいと思うんですね。
別に社労士のセミはたまに受けるぐらいの形でいいと思うんですけど、
やっぱり有名な判例とかに関しては結構社労士の人が挙げてくれるんで、
そこぐらいだけカバーしておけばいいと思うんですけど、
ただほぼ認められないんですよ。
そう思っとけばいいんですね。
そうなんですよ。相当厳しい。
特に、例えば、
労働基準法ってですね、
遅刻とお金盗むことに関しては結構厳しいんですよ。
遅刻とお金盗む?
あと無断欠金とか。
なんでかというと、もともと工場をベースに作ってるんですよ。
機械製造みたいなところ。
そうすると、現場に来ない限りは労働力提供できないんですよね。
そんな不安定な人がいると会社収益を上げられないっていうところと、
作ったものを持ってっちゃうとか、
お金っていうのは経営の根幹なんで、
そういうのを盗む人に関してはやっぱり制裁は厳しいんで、
過去の裁判例とか見ていくとそういうのが解雇認められてるケースがあるんですけど、
なるほど。
能力不足とかに関してはこと全然認めてくれないんですよ。
ちなみに今の話もあえてですけど、
お金はダイレクトなんでわかる。
遅刻とかも結構厳しいんですか?
遅刻も厳しいですね。
遅刻とかでさすがに解雇認められるっていうのは無理ですよね?
いきなりは無理ですね。ただもう直らないとか。
でもそんなに直らないと解雇いけるんですか?
例えば始末書出しましたとかですね。
そこから何回も積み上げていかなきゃいけないんですけど、
指導もしたと。3年経っても。
そういうレベル?
そんなレベル。
今日明日の話じゃまさかない。
いろいろ手を尽くしたけどやっぱりダメでしたってことは、
合理的な理由みたいなところになる可能性あるんですけど、
やっぱりどうしてもエビデンスを結構積まなきゃいけないし、
お金の応料なんかでも証拠もないようにやってしまったら間違いなく訴えられるし。
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でも一番難しいのは能力不足の解雇は難しいので、
なので前回のポッドキャストでやったときに退職勧奨って話したと思うんですけど、
退職勧奨に関してはやっぱり自由度は割と高いので、
そういったところでまず退職勧奨をやって、
いきなり解雇っていうことには持っていかない方がいいよっていうのが私たちの基本的なアドバイスの方針です。
なるほどですね。
退職勧奨する分にはこの労働基準法20条、契約法16条の乱用みたいなものには当てはまらない。
そうですね。そこには当てはまらないですね。
ただ退職勧奨なんか毎日やると。
そうそう。なんかちょっと退職勧奨だったらいいんだっていう解釈されると怖いなと。
それは常に。
退職勧奨毎日やるってちょっとまずいやつですね。
今度ハラスメントの方に行くんじゃないですか。
そうですね。そういうのはまた別のところでアウトになる可能性あります。
全部がつながってるんで、じゃあ退職勧奨ならいいかって話でもないということですね。
そう。でも退職勧奨で仮に本人が続けてってことになったらやっぱりそれはそれで今度しっかり目標設定をして、
そこに対してやれてるかやれてないかってところで例えば給与が下がるとかそういうことも含めてやっぱり総合的にやっていかないといけない。
それが多分経営だと思うんで。そういったところも含めてどうしていくかってなかなか難しいですよね。
ちなみに解雇の、なんていうんですか。撤回やめるって言うんですか。
はい。
そういうのってできるんですか。
基本的に解雇の撤回っていうこと自体はできるかどうかっていうのは諸説あるんですけど、
解雇の撤回っていうのは一つすごく有効な手段というか、もし仮に訴えられましたってことになったら、
いろいろ訴えが来ましたと。その時にですね、やっぱり解雇やめますと。
よかったらもう一回働きに来てくださいって言うとですね、正直相手の向かいの弁護士さんは困るかなって思います。
なるほど。
これは私法律じゃなくて人間感情的な話なんですけど、解雇の話進んでて揉めまくって、
いざ、いいよじゃあ撤回で戻ってきていいよって言われたら戻れなくないですか。
そうですね。戻ってきたら困る。
揉めようと思ってたのに戻ってきてって言われちゃったよっていう。
でももともと日本の法律って、解雇を無効を争って職場復帰をしてるわけですね。
それに、要は解雇想定にですね、本当はお金って取れないことになってるんですよ。
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だから解雇って想定がなくなったら、そもそもお金の揉めるポイントがなくなるんですね。
だから揉めてる中で復帰してって言われて、復帰してって言われちゃうとですね、向こうの弁護士さんも揉める論点がなくなっちゃうんですよ。
あーなるほど。
だからめちゃめちゃ困るんですね。ただ会社側も戻ってきたら困るってことがあるんで。
確かに。
そうなったタイミングで、いくらで和解するかっていうところに金額が下がる可能性があるのと、ただ逃避は本当に戻ってくるケースもあるので、その時はその時にまた考えなきゃいけないところはあります。
この辺はあれですね。実務上いろんな駆け引きの話が出てくるようなところなので、一概に言えない話を最後の方にしていただきたい。
少し具体性がなくて申し訳ないんですけど。
言いづらいです。
どっちの立場とね、シーンとか状況によっても多分やり方が変わってきますよね。そこは。
ということで、開講。
法律的に言うと論点は実は2つあって、結果的に言うと、基本的にはやっぱり認められるという前提があるということだったんですけれども、その中でどういうふうにやっていくかという話もありましたのでね。
ぜひちょっと分からない論点ありました。また聞き直していただいて質問等々もお待ちしております。
ということで今日は終わりましょう。ありがとうございました。
ありがとうございました。
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