リナの冒険の始まり
皆さん、こんばんは。マスクマンZPMのアウトプットチャンネルの時間です。
今日はですね、ナンバー9回目、朗読、4章の方を読んでいこうと思います。
朗読の前にちょっとですね、前回の収録でですね、対食代行のことをちょっと話しました。
対食代行を使うのはね、時と場合によって自分はアリだなと思います。
で、別に対食代行を使ったら悪いということもなければ、使っていいよとも言えないんですよね。
すごい回答は、イエスかノーで答えられないというね、すごいあやふやな回答になります。
こういう時、日本人の検討をするとかね、あやふやな回答を出せるというね、日本語的なニュアンスっていうのはすごい良いですよね。
そういうところはちょっと日本人に生まれてきて良かったなと。
海外のイエスかノーかで言われると、どうしようという話になるんですが。
自分の場合はですね、対食代行を使ってもいいかなと思う状況と、ここは使っちゃいけないよねがあったりするので、
そういうところの区別がついていれば対食代行って使っていいんじゃないかなと思うんですよね。
やっぱりこの4月、5月、6月じゃないですけど、なんだかんだ言いながらですね、一定数入ってはみたけど会社の雰囲気違うなって言って辞める人たちはいるんですよね。
早期に退職するんだったらね、早期に退職してくれた方が早いんですよ。
なんでかっていうとですね、1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月じゃないですけど、
教え込んで、さあここからちょっと頑張れるかなって言ったときにもう辞めますとか言われたらね、
こっちもお生存でいいか一応話にもなりかねないんでですね。
そういうこともあってですね、辞めるんだったら1日とか2日、3日ぐらいで本当に辞めたらね、
もう何言ったってね、毒が悪かったとか言う前に、その人がその会社に会わなかったというだけでしょう。
割り切れるじゃないですか。
1日行って雰囲気が嫌だったら誰だって行きたくないですよ。自分だって行きたくないです。
自分もね、言うてね、一社だけでずっと頑張ってきた人間じゃないんでね。
本当に何社も転職を繰り返しました。
あっちの水がいいかったらあっち行ってみようかとかね、そういうことを追い求めた時期もあります。
給料が安いから次のとこ移ったらちょっと上がったけど、結果あんまり変わってないんじゃないかなーとか思ってですね、
事実そこにいていいのかなーとかですね、そういうこともありましたけど、
そんなこともあるのでですね、あとはその人の気持ちがしっかりしてればね、ブレないと思うんですよ。
引き止められてやめるのやめますって言うぐらいなら、
使ってもいいと思います。嫌になるぐらいならね。
あとはそこの上司がもう何が何でも嫌いだとかね、
同性でも異性でも嫌いになったら最後顔も合わせたくないでしょうからね。
そういう意味を込めて退職代行を使うのはありなのかなと思っています。
ただ、退職代行を使うのが当たり前になってくるということになると、話はちょっと別なんでね。
なので、もうどうにもならない。
この状況の打開策がどこにもないっていう時は一つの選択肢としてありなのかなと思います。
ただ、会社の方がどんなに異流してきても、
もう一番最後の最終的な言葉というかですね、
もうそこで働く意欲がないです。意思がないです。働きたくないです。やめさせてください。
もう何が何でも通ると思うんですけどね。
あやふやな言葉を作ろっちゃうから、異流をされますよね。
会社の人間は、上司や特にブラック企業にと言われるようなところはですね、
一人でも多くの社員をコマとして使いたいわけですよ。
中間管理職になってそういうこと言う人ほどね、意外と人見てないですからね。
社員はコマだとかね、そういう考えを持ってますからね。
で、辞めたらまた人が入ってくるからなんとかなるよ。
その間のつなぎまで追ってほしいよね、みたいなことを思う人が当然いますんで、
それか、そんなことにならなかったら、そこの上司がぎっちりやってるんだったら、
だいたい辞めないですからね。
まあ他にも辞める理由はいっぱいありますけどね。
まあでも、およその場合ですね、面と向かってね、
もうそこで働きたくないです。辞めさせてください。
辞めたらね、もう会社の方も言わないでしょう。
それを無理くり働かせたらね、ブラックドコの話じゃないですよ。
っていう時はね、退職願いから退職届にしてね、
もう何が何でも出社しないぐらいの構えでいいんじゃないかなと思います。
そうして退職代行使うならありですけどね。
乗っけから言うのが怖いとかね、引き止められるから切り返すことができないとかね、
そういうことだったらちょっと退職代行どうなのかなって思います。
それでもこれは自分の意見ですからね。
だから何て言ったらいいですかね、退職代行を使えたら使ってくださいと。
で、後の処理はなんだかんだ言いながら、もうね、学生じゃないんでね、
18歳で辞める人はどうか別ですけどね、
20歳してるから大人なんですからね、そこはそこで、
何て言うかね、自分のケツは自分で拭きましょうとやっていくしかないですね。
まあでもそういうのも経験していって、
どんどんどんどん経験値を増すしか今のところ方法はないのかなと思っております。
ちょっと前置き長くなりすぎましたが、
トーマスの店とその乱雑さ
それでは朗読の4章いってみましょうかね。
今日はですね、マイクを前に置いてやっておりますので、読みやすくはなっております。
ちょうどですね、今日も速読のトレーニングをしてきたんですが、
ちょっと最近ですね、
その本の記憶の方が少し移れてきてるんでですね、
朗読の方も全部完遂させたいなと思いますので、
やっていこうと思います。
では行ってみましょう。何十分ぐらいになるかな。
20分ぐらいで読めたらいいのかなとは思っております。
じゃあちょっと前置き長くなりましたが、ちょうど7分になりましたね。
行きましょう。はい。
朗読第4章。
バカメとトーマスのいる店。
次の日、リナはトーリーをケンタウロスが走り去るのを見た。
そしてナータの向かいの店から小人が6人、
頭の上にボートを両手で抱えてよちよち出てくるのを見た。
キャンディーをくれた小人のことと言い、
もう驚くことも忘れてしまった。
リナ、次は6冊ばかり海に鑑した本なんだけど、
トーマスに貸してるの。私が本の整理をしてる。
トーマスの店からもらってきてくれない?とナータが言った。
トーマスって向かいのお店よ。
私が行くと必ず喧嘩になるからリナの方がいいと思って。
喧嘩?リナが尋ねた。
大丈夫よ。リナなら手加減してくれるから。
ちょっと変わってるんだ。
ナータに励まされてリナは向かいの店へ近づいた。
店の前に立っただけで塩の匂いがした。
薄暗い店の中に網やロープ腐り、
錆びついてしまった怒り、
ナイフなどがベタベタと置かれてあり、
天井から埃にまみれた浮きがぶら下がっていた。
ごめんください。
リナの声に網の陰からぬーっと大きな男の人が姿を現した。
リナがその人を見上げ、その人はリナを見下ろした。
優しそうな茶色の目をしてとても綺麗な金髪だった。
わしまなでぎゅっと閉じられた口にパイプが挟んであった。
紫色の煙が辺りに立ち込み始めた。
リナには塩の香りと煙草の匂いが
共に心よく感じられた。
リナが口を上げようとすると、
店に一人の中年の男が入ってきた。
いつからこの店ができたのかね。
確かこの港にこんな店はなかったはずだが、
と不思議そうにトンはそう見た。
船長さんだとリナは思った。
白い帽子と白い背広。金のモールがついている。
そしてやっぱり口にパイプ。
わしゃは海の男だ。
父も祖父もみんなそうだった。
海が好きでたまらんのじゃ。
わしゃは念願かなってやっと自分の船を手に入れた。
小さいが頑丈でよく走る。
かわいいやつじゃ。長年の夢だったんじゃ。
父も祖父も自分の船を持てないで死んでしまった。
祖父はいつか自分の船が持てたら船長室に置くんだといって
一つのランプを大切にしていた。
しかし夢が果たせないで
父にそのランプを譲った。
そして父もそれに火を灯すこともなしにわしにくれた。
それをわしゃはある後悔で死気にあってなくしてしまったんじゃ。
今やっと自分の船を持つことができたんじゃが
あのランプがないことにはどうにもしっくりとせん。
どうもいかん。どうしてわしはこんなにしゃべるんだろう。
ランプ一つのことで人は笑うかもしれんが
わしには大切なこの世にたった一つのものだったんじゃ。
ついふらっと入ってきたんじゃが
ここはランプ屋じゃないな。
いやどうしてこんなにしゃべるんだろう。
船長さんは不思議そうに何度も首を振って
どうも邪魔したなといって帰りかけようとした。
そのときはじめとうまつは口をひらいた。
ランプなら一つだけ置いてありますよ。
ガラガラした声だがやさしい響きを持っていった。
船長さんは振り向いた。
とうまつがぶら下げているランプを見ると
船長さんはランプに吸い寄せられるように駆け寄った。
そうだこれだ。まったく同じだ。
ここにネプチューンの像がついている。これだ。
と手に取ってうれしそうに眺めた。
いくらだね。
船長さんはランプをなであじながら聞いた。
とうまつはいりませんよ。あんたのものなんだから。
と答えた。
とうまつの茶色の目はキラキラ光った。
ナータと同じだ。同じような目をしている。
ありがとう。
船長さんはランプを大事そうに抱えて出ていった。
リナはもうとうまつを怖がっていたことを忘れていた。
ナータのとこから来たんです。
本の整理してるから。
お貸ししてあった本6冊返してくださいって言っています。
そう言うと、ああとうなずいて奥の部屋へ入っていった。
しばらくして手ぶらで戻ってくるとぶっきらぼうな調子で行った。
すまんが探し出して持って行ってくれ。
奥の部屋へ入ってすぐ、リナは何かにつまずいて転んでしまった。
なんという乱雑さ。椅子のカバーはずり落ちているし、クッションは四方八方に飛び散っている。
灰皿にはスイガラの山のようにたまった椅子の下からチェスのテーブルの上に置いてある。
もう一つのテーブルの上には飲み残しのコーヒーが入った茶碗がゴタゴタと積んであった。
6冊もの本をここから探し出すのはナータの店の本の海から探し出すよりも大変だとリナは思った。
リナとトーマスの対話
灰皿をひとまとめにして台所へ入ったリナはまたびっくりした。そこはもっとひどかった。
とうとうリナは汚れっぱなしの食器も灰皿と一緒にガチャつかせて洗い始めた。
その音を聞きつけてトーマスが飛んで来た。
何してるんだ。お前はただ本を探して持って行けばいいんだ。
ものすごい懸幕だった。リナは怖くなかった。ピコット婆さんにチクチクいじめられるよりはずっとやりやすい。
だって探すだけ探してこのままにして帰ってはいられないわと叫んだ。
台所までかき回さないでくれ。トーマスがまた怒鳴った。
リナは濡れた手をおもむろにエプロンで拭くとテーブルの上の汚い皿の下から一冊の本を引きずり出した。
とにかく片付けないことには本がどこにあるのかわからないんですよ。
トーマスはちょっと顔をあからめて俺は我慢するがバカめが何と言っても泣き言を言わないでくれよともそっと言って台所を出て行った。
誰が泣き言なんて言うもんですかとリナは思った。
それから半分は意地になって台所をピカピカに磨き上げた。
午前中台所にかかりっきりで三冊見つけ出しお昼はトーマスのものすごい顔を避けるようにしてナータの店に逃げ帰った。
ナータはたくあんにマヨネーズをたっぷりかけて幸せそうにかじりながら
トーマスはあまり人に自分の生活には入ってもらいたくないらしいの。
時々私が行って掃除してくるんだけど大嵐の海みたいな声でどなるの。
そこで引き下がったら負けよう。
でもトーマスには喧嘩しながらもまだ我慢できるんだけどバカめがねと困ったように言った。
そういえばトーマスがバカめがどうしたとか言ってたわ。
鳥よオウムものすごい口が悪いの。
私とバカめで悪口の言い合い。
結局私かなわないのよ。
悔しそうなナータを見てナータよりもおしゃべりな鳥なんてどうしたらいいのかしらと不安になった。
私鳥って苦手なんです。かわいいと思うけど触れなくて。
と言うとつついたりは絶対にしないの。ただ口が悪いだけとナータが言った。
午後になるとリナはバケツと宝器を持ってトーマスの店へズガズガ入って行った。
トーマスは店の椅子に腰かけて諦めたようにリナをちらっと見た。
リナが床に散らばっていたクッションをかき集めて窓でドタバタと振っていた時だ。
ああうるせえ。今は俺の昼寝の時間だぞ。そんなに音立てたら眠れねえじゃねえか。
と勘高い声がした。
声は壁の隅の方から聞こえてくる。
リナは近づいて行った。
大きな丸い物にかかっていた黒い布をおそるおそる引き下げた。
真っ白いオウムが大きな鳥かごの中にいた。
おめえは誰だ。
向かいのおしゃべりババアじゃねえな。
おしゃべりババアはもう少し、こし、もう少し静かに掃除するぜ。
おめえと来たらガチャガチャバタバタひっかき回すばかりで。
ほれ、あのクッションにまだほこりが溜まってるぜ。
女のくせに掃除の仕方もろくに知らねえらしい。
雑巾はもっと固く絞るもんだぜ。
力ありそうじゃねえか。
トーマス、トーマス、このぷくっと膨らんだ小娘は何だ。
ふくら思考をでも壊したのか。
カンジュウみたいにしゃべり続けるオウムだ。
人間が話すように自分の考えが話すみたいだ。
自分の考えで話すみたいだ。
これじゃあなたも叶うはずがない。
オウムの口の悪さには腹が立つ。
腹は立つが、リナは無視することにした。
鼻歌を歌いながらおしゃべりオウムめと心の中で思うと、
雑巾をオウムに見立ててぎゅっと締め上げた。
そうよ、脱せば力も出るもんだぜ。
なあ、娘っ子。
おい、トーマス、こいつはお前の娘か。
カカアニにしては若すぎる。
オウムとの交流
バカめと見せ先からトーマスの怒った声が聞こえた。
ふん、いつもバカめだ。
トーマスはバカめとしか言えねえと来てる。
とうとうそいつが俺の名前になってしまった。
それにしてもふくらしこの娘っ子よ。
おめえは姿も悪いが声も悪いな。
おまけにひでえオンチだ。
リナはついに我慢ができなくなった。
両手を腰に当ててくるっと振り向くと、
余計なお世話よ。あんたの方がもっとうるさいじゃないの。
ベラベラベラベラ。
しゃべることしかできないくせに。
と大声でどなった。
何をしゃべることしかできねえだと。
はばかりながら、
この俺はおめえより上手に歌うぜ。
歌ってみなさいよ。
さあ私より上手に歌ってみせてよ。
リナももう黙っていなかった。
オウムをきっとにらみつけて、
前よりも大声でどなった。
ああ歌ってやるよ。よく聞け。
オウムはえ、え、ともったいぶった咳払いをして歌い始めた。
外国の言葉でリナには意味はわからなかったが、
とてもきれいな優しい歌だった。
リナは腹を立てていたことも忘れて、
椅子に座り込んで聞き惚れた。
オウムが歌い終わったとき、
リナは思わずパチパチと手を叩いた。
素敵な歌ね。とっても上手よ。
船が海に沈む太陽目指して進んでいくところ、
想像してしまった。
リナがうっとりしたように言うと、
オウムはキョロキョロしてリナの方を見ないようにしながら、
まあこういう風に歌うんだなと言い、
あとは黙ってしまった。
掃除しながらこの部屋で2冊見つけ出したが、
あと1冊がどこを探しても見つからない。
ゴミ箱の中まで探してみたのに、
ああああと息をついて目を見上げると、
目の高さのトリカゴの中に、
塩れた野菜やパンクズにまみれて小さな本が入っている。
リナは何とか笑い顔をつくってトリカゴに近づいた。
あのオウムさん、俺はなバカめって言うんだ。
オウムさんだとよ笑わせやがるぜ。
この俺がそんな妙な呼び方をされると今日は最悪の日。
呼び方をされるとは今日は最悪の日だぜ。
オウムはぺっと唾を吐いた。
バカめさん。
リナは言い直した。
うん、今度はバカめさんかよ。
俺はバカめでいいんだよ。娘っ子。
私はリナって言うのよバカめ。
リナはトーマスが言うようにバカめと呼んでしまった。
なんだよリナとバカめは案外おとなしく答えた。
あなたのトリカゴに本があるんだけど取ってもいいかしら。
ああ取れよ。さっさと取っちまえ。
バカめは扉の壊れたトリカゴから出てくると、
白い大きな翼を広げて店の方へと飛んでいった。
おおバカめ、お前もついに追い出されたのか。
さすがのお前もダメだったってことだな。
トーマスの呆れたような声が聞こえた。
リナはトリカゴも掃除してあたりを見回した。
きちんとしていかにも気持ちの良さそうな部屋になった。
でもリナは考えた。
当人と一羽は迷惑があっているようだ。
トリカゴと本
余計なお世話だったかな。
リナはさっぱりしすぎてしまったトリカゴに目をやった。
バカめの餌だけでも入れといてあげなくちゃ。
リナは裏口から抜け出すとピコット屋敷に駆け込んだ。
ジョンに訳を話すと。
まあ、自分の良いと思ったことを一生懸命やりなすったんだから、
こうしようと思っても何にもできない人もたくさんいるんでさ。
それじゃああの辺いくつバカめの気に入るような餌でも見つけますかね。
ダイドコロを行ったり来たりして、
汽車とビスケットを用意してくれた。
リナはトリカゴに餌を入れ、本を抱えて店に戻った。
トーマスは四角い木を掘っていた。
バカめはトーマスの頭の上に止まって。
人魚がいいに決まってるぜ、トーマス。
メドウサなんかも。
人魚かビーナスだなと喋っていた。
余計なことをしてごめんなさい。
人魚がいいに決まってるぜ、トーマス。
メドウサなんかも。
俺は変わってて好きだが、
娘っ子にはやっぱり人魚がビーナスだな。
人魚かビーナスだなと喋っていた。
余計なことをしてごめんなさい。
余計なことをしてごめんなさい。
リナはピコリと頭を下げてから、急いでナータの店へ戻った。
ナータは、外戦将軍の帰りだわと眼鏡をずり上げて、
嬉しそうに叫んだ。
六冊全部持ってくるなんて、バカめを打ちまかしたのはリナが初めてよ。
このロビンソン・クルーズソーの本がバカめのお気に入りね。
私が返してって言うと足で本を踏ん張って、
どうして俺の鳥かごに本があるなんて言うんだ。
鳥が本を読むとでも言うのか、
それともおめえの店では鳥かごに本を並べて売ってんのか、とこうよ。
ナータがあんまりバカめそっくりに言うものだから、リナは笑い出してしまった。
トーマスにとってくれるように頼んでも、
鳥かごはバカめの病群だ。
お前とバカめで解決しろって知らんぷりなの。
バカめって人間と同じように話すでしょう。
本も読むんじゃないかしら、とリナが言うと、
ナータは本を取って、話すことにかけては人間以上だけど、
本を読みはしないわ。
表紙にあるオウムの絵が気に入っているの。
ほら、バカめと同じような真っ白い素敵な羽を持っているんでしょう。
バカめは自分の白い羽がご自慢なの。
一本でも抜けようものなら、すごい騒ぎよ。
表紙の絵をリナに示した。
売ってあげればいいのに、バカめならナータの言う代金は絶対払えるもの。
とリナが言うと、
そうね、私もそう思うんだけど、自分から欲しいって言わないのよ。
会えばいつでも喧嘩腰だから、そんなこと絶対言いたくないのよ。
仕方がないからあげるわって言った時なんかはものすごかったのよ。
俺はおめえからそんなものをもらう筋合いはねえって欲しいくせに、
もうこの本は忘れるつもりでいたの。
店に並べても、もうバカめのものみたいで、他の人に売る気になんないわ。
今日はリナも疲れただろうし、あと少しだから帰ってよくってよ。
ナータはため息をついて行った。
夕食時になってもリナはバカめのことが気にかかって仕方がなかった。
バカめったら、なぜあんなに素直に取れって言ったのかしら。
トーマスがまた借りに行くのかしら。
トーマスは買ってあげればいいのに。
ううん。
ナータはトーマスが本を大事にしないのは知っているから売りはしないわ。
お気に入りの本のないさっぱりしすぎた鳥かごで、落ち着きなくうろうろしているバカめが目に浮かぶようだった。
悪いことをしたなあと思って、おんやりしているリナに、
リナ、ナータの店は明日で終わりだよとピコット婆さんの声が飛んできた。
もう行かなくていいんですか?とリナが尋ねると、そうだよとだけ言う。
でも働きなさいっておっしゃったでしょう。
誰がもう働かなくていいって言ったね。
だって今、
なんて言ったんだい?また意地悪に聞き返してきた。
リナは唇を噛んだ。
働くところはたくさんあるんだよ。
ピコット婆さんがピシッと言った。
リナは浮かない顔で、いっちゃんの部屋へ入って行った。
リナ、君は今日何をしに来たんですか?いつもと様子が違っているけど。
いっちゃんはストーブに石炭をくべながら心配そうにリナを見た。
リナは通りに面下、一番涼しい窓に腰掛けて今日のことをいっちゃんに話した。
おお、あの人間嫌いが部屋の中へリナを入れて掃除までさせたんですか。
あそこへ入れてもらえるのはナータだけかと思っていましたよ。
それもナータのものすごい県幕に押し切られた形でね。
いっちゃんはびっくりしてリナを見た。
トーマスはみんなと付き合わないの?
ええ、変わるものでしてね。
怖いんですよ。みんなが怖がっているんじゃないかな。
リナの嬉しい経験
あら、どなるけどとっても優しい茶色の目をしていたわ。
リナは船長さんにランプを差し出した時のトーマスの目を思い出した。
そして、私もどなってきちゃった。とつけ足した。
私たちはお互いをよく知らないから怖いのかもしれない。
正面からぶつからないで遠くから見ているだけだから、
リナのように飛び込んでいった方がいいんでしょう。
リナがやったようにトーマス流に棚に散らしてね。
いっちゃんはにやにや笑いながらリナを見た。
そうかもしれない。リナは照れたように言った。
今日はトーマスとバカめと隣り合ってばかりいたようで。
でもリナは喧嘩しても素直にバカめの歌を褒めたんでしょう。
バカめは嬉しかったんじゃないかな。
バカめはきっと褒められたことなんてなかったんですよ。
トーマスは無口だし、口を開いても少したくさん喋る時は
決まって何かに腹を立てた時だけなんだから。
でもピコット婆さんみたいにチクチクやられるよりは
のられた方がさっぱりするみたい。とリナが言うと。
同感ですね。いっちゃんはうなずいて。
そういえばリナはさっきもやられていましたね。
と言った。なんて言ったんだい。
二人は同時にピコット婆さんが言うように
言葉尻を上げて言うと吹き出した。
リナは何かしら気になってチラチラとトーマスの店の方を見ていた。
トーマスもバカめも落ち着かないんじゃないかしら。
リナはクレパスを削るナイフを知りませんか。
どこかに紛れ込んだらしい。探してきてください。
気がつくといっちゃんがリナを見ていた。
えーっとリナは元気よく窓から飛び降りた。
リナはナータの店で最後の本の山を仕上げていた。
ネズナイカとナータが読み上げた。
探してみたらあの写真だった。
図書館で借りて読んでみたら面白かった。
買おうと思ったのだが本屋にあるのは写真が違っていたのだ。
この本欲しいなとリナは思った。
次の本が読み上げられてリナはそれを本棚に収めた。
収める前に撫でてみた。
手放しがたかった。
最後の一つが終わると。
今日で終わりよ。
リナ、ピコット婆さんの言う食い口は稼いだってこと。
本当にありがとうとナータが言った。
ずっとここで働きたかったのに。
私もずっといてほしいけど。
リナを独り占めするわけにはいかないわ。
そうだ、リナ。
どれでも好きな本を一冊あげる。
本当に?
ええ、どれでもよくってよ。
リナはねずない顔をちらっと見たが、
違う本を引き出した。
それでいいの?とナータが不審そうに聞いた。
いいんです。ありがとう。ナータ。
と言うと、リナは本を持ってトーマスの店へ入った。
ごめんください。どういうわけか。
ここに来ると声が大きくなる。
トーマスがぬぐっと出てきた。
リナは、
これバカめにやってください。素敵な歌。
聞かせてくれたお礼です。と
ロビンソン・クルーソーの本をトーマスに押し付け、
またすぐ店を飛び出した。
心の重りが取れたみたいにほっとした。
そして嬉しかった。
これでバカめとナータは、
あの本のことでは喧嘩しなくて済む。
ピコット婆さんはリナを見ると、
なんだい、この子は今にも笑い出しそうな顔をして、
ナータの店の仕事は終わってそんなに嬉しいのかね。
と言った。
そんなんじゃありません。
リナはもうくれていった。
あさってからは失家の店だからね。
ピコット婆さんはリナに釘を刺すように言った。
これで朗読の方が終わりました。
朗読の課題
一応、だいぶ前に読んでからちょっと遠ざかってたので、
記憶がかなり残っているなと。
この4章に関しては読みながら思い出しもできてたんですけど、
意外と思い出してない場面があってるんですよね。
読み間違いはしょうがないとしても、読み間違いをしないように、
言葉を切らさないように、朗読の一種なんでですね。
あーとかえーとかなるべく言わないようにして読みたかったんですが、
意外と記憶がない状態で読むというのは、
結構文字を目で追ってるんですけどね。
やっぱりちょっと詰まりますね。
なのでそういうところがまたちょっと課題なのかなと。
何を言ってもですね、今日の即読のセミナーを受けてきたことによってですね、
本を見るスピードとか読むスピードというのは上がってるようですが、
全く記憶にない本を読むときの朗読ってなると、
表情が固くなるというか、読み方が固くなるというかのが起こりますね。
なので、朗読から遠ざかってた分、
本当はだんだんと全部続けていけばよかったんでしょうけど、
またこの収録終わってからですね、いろいろと読み直してみようかなというのもあります。
やっぱりこの本を使い続ける以上はですね、何回か読み直しとかないとですね、
本当にそうですね、やっぱり記憶の中に強い印象に残るものはあれど、
その端の弱い印象のところは意外となかったりするんですよね。
だから今のところ思い出しながら読めたかというと、ちょっと難しいところでしたからね。
そういうのもあってですね、あとは読み進めていく中で、
ちょっとまた朗読の方は慣れてきたかなと思ったんですけどね、
ちょっとそうでもなかったみたいなんで、ちょっと愛があくとですね、また元に戻ってしまうのか、
別に声優とかの成り割をそっちに持って行ってるわけじゃないんでですね、
自分の拙い朗読ですけども、これぐらいで今日は終わりにしようと思います。
あと4章分ぐらい残ってますから、きっちり読んで一旦完成をさせたいと思います。
それでは皆さんお休みなさい。また次の収録でお会いしましょう。