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奇術積読宣言 ON AIR どうも、奇術愛好家のしゅうたです。このポッドキャストは、手品が好きすぎて本を死ぬほど積んでいる私しゅうたが、手品を趣味とする愛好家向きに、マジックに関するヨタ話をするポッドキャストです。
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はい、ということで、今回のテーマは、初心者は知っておきたいサーストンの三原則。
はい、ということで、今回は初心者向けというか、マニアックすぎない感じで、特にマジックを演じない方でも面白いと思っていただけるような、そんなエピソードにしようと思って話をします。
サーストンの三原則というのをタイトルにしましたが、これね、実は日本で非常によく知られているマジシャン、マジックを演じる人が、心がけておかなくてはならない3つの原則というやつです。
これ本当にGoogleといっぱい出てくるんですけれども、老舗のマジックのウェブサイトであるマジェイアの魔法都市案内さんにも、もちろん解説されておりまして、ちょっとそこから抜粋してですね、話をしたいと思います。
3つ原則があるんですね、マジックを演じるときに。
まず1つは原則1、マジックを演じる前に現象を説明してはならない。
原則2、同じマジックを2度繰り返して見せてはならない。
原則3、棚明かしをしてはならない、というこの3つの原則なんですね。
1つずつちょっと話していきたいと思いますけれども、1つ目ですね、マジックを演じる前に現象を説明してはならないということで、これも本当によく言われていることで、これからこれが起きますよ、みたいなことを言っちゃうと、
どのマジックの現象としてね、お客さんが身構えてしまったりとかね、見破ってやるぞ、みたいな感じの姿勢を誘発するということがあるので、基本的には現象を説明してはならないと言われています。
これね、ただ逆にね、もちろん現象を事前に言っちゃうことによって相手の期待を高めたりね、サスペンスを高めるみたいなことができるという実態もあるので、これ100%ね、この原則がどのマジックにも当てはまるかというと、ちょっと怪しい部分はあるかな、なんていうのは思っています。
そして原則2、同じマジックを2度繰り返して見せてはならない。
ということで、これもね、繰り返ししないということで、同じですよね、繰り返されちゃうと、また同じことをやっているんだったら、見破られやすくなってしまうということですね。
そのリスクをあえてマジシャン、マジックを演じる人がそのリスクを取る必要はないよということで、よく言われている現象というか原則ですね。
これも例外はもちろんあって、何度も繰り返すことによって効果が増大していくみたいな、バイバイゲームみたいな感じのマジックのトリックもありますので、実際ね。
ただ、大半のマジックというのは、あまり繰り返して同じことをやっちゃいけないというのはその通りかなと思います。
そして原則3、種明かしをしてはならない。
これはね、当たり前っちゃ当たり前で、やっぱりマジックの根幹にあるものは秘密性とか秘匿性みたいなものでして、これを明かすことによってですね。
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なんだ、そんな簡単なことだったんだとかね、お客さんをがっかりさせてしまうというところはやっぱりありますから、基本的には種明かしをしないということで、秘密は秘密のままで、
すごかったなぁと、どうなってるんだろうなぁとこういうふうに思ってもらってですね、不思議な体験ができたらよかったなと思ってもらうのが一番ですね、いいんじゃないかなと私も思っております。
と、ここまでですね、さらっとサーストンの三原則をまずお話ししたわけなんですけれども、
これちょっと冒頭で言った通り、日本で知られているという話で、実はですね、欧米圏ではなんかそこまで知られていないらしいんですよ。
これ私はあまり外国の、海外のマジシャンにこれ聞いたことないんで、実際本当に知ってるかどうかっていうのはちょっとわかんないんですけども、とにかく欧米圏では知られていないって言われているんです。
そしてですね、サーストンの三原則って言ってるからには、サーストンっていう人がいるんですよね。
実際サーストンっていうマジシャンがいるんですけど、これどうやらね、なんかサーストンが言ったはずであれば、
これ海外のマジシャン、まあこれサーストンってアメリカで活躍してたマジシャンなんですけど、海外のマジシャンも知ってるはずじゃないですか。
なのに知られてないっていうのがなんかおかしいよねっていうことで、結構なんかね、長年ね、日本のマジック界、特にマジックの歴史を研究している先輩方が、
一体どこから出てきた話なんだみたいなのを結構研究なさってたらしいんですよ。
ちょっと後半でサーストンって誰やねんって話はしようと思うんですけど、
私ちょっと近代記述師、日本の近代のマジックの歴史についてそこまで詳しくはないんですが、
私が調べた感じですと、このサーストンの三原則っていうものは、昭和12年にですね、
マジッククラブみたいな、TAMCというマジッククラブが当時あって、そこの開放史にですね、紹介されていたものが書出だと言われているそうです。
坂本種吉さんというですね、技術の愛好家、研究家が紹介したと言われています。
で、じゃあそのソース何なんだというところで、これいろいろ研究家の方々が調べた結果、
サーストンがですね、一般向けに販売したサーストンズマジックボックスオブキャンディという、
キャンディ菓子にマジック道具とかがちょっとついている、何ですかね、グリコのおまけみたいな感じですかね。
見たらそののがあったらしくて、そこの付録についていたその解説書に、確かに三原則らしきものが書いているということだったらしいです。
なのでこれが一番なんか説として濃厚ということですね。
なんか実際その、これよりも古い、モダンマジックと言われる、ホフマンというマジシャンが書いた本があるんですけれども、
そこにもちょっと似たような記載はあるらしいんですけれども、必ずこの3つがきれいに書かれているわけではないらしいので、
このボックスオブキャンディというのがおそらく情報の最初のソースだろうと言われています。
じゃあボックスオブキャンディには何て書いてあるのかという話なんですけれども、
これ実はさっき言った順番とも順番も違って、中身もちょっと書かれ方が違うんですね。
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どういうふうに書かれたかというと、まず一つ目、Never explain a trick that you have performed.
ですから、あなたが演じたトリックを説明するな、要は種明かしするなということですね。
ちょっと説明も書いてあって、You are just giving it to someone else and your audience thinks less of your ability.
と書いてあるので、やっぱり種明かししちゃうと、能力がなかったんだって思われちゃったりとかね、
そういうふうに思われちゃうか、やっぱりがっかりさせちゃうよということを言っているんだろうなと思います。
2個目、Never under any circumstances repeat a trick involving sleight of hand.
だからこれ何ですかね、スライトオブハンド、テクニックを使うようなトリックを繰り返してはならない、
どんな環境においても繰り返してはならないということですかね。
ですから、これはさっき言った同じマジックを2度繰り返して見せたらならないというところだと思うんですけど、
ポイントはinvolving sleight of handと書いてあるので、テクニックを使うトリックは繰り返さない方がいいよということですね。
ここまで限定的に書いているのは意外でした。
やっぱり繰り返しちゃうと、またお客さんがもう一回見せてみたいな言ってくると思うので、それはちゃんと拒否しましょうというようなことが書いてあります。
3つ目、Never tell beforehand what you are going to do unless the directions say so.
ですから、あなたがやろうとしていることを前もって説明するな、
ディレクションズ説明にそう書かれていない限り、みたいな感じですね。
Unless the directions say soという風に書いているので、そういう風な解説じゃない限りは事前に説明するなという正しがけをやりますね。
だから、やっぱりこういうこと起きますっていう風に、物によっては、トリックによっては、先に言っちゃうんですよね。
その方が期待感をしっかりと持たせられますし、予言マジックとかって結構そうじゃないですか。
事前に今日は予言しますみたいなことを予言するって言っちゃってますから、
Unless the directions say soという正しがけがあるので、ちょっと日本語で訳されて伝えられているものと若干ニュアンスが違う部分もあるかなと思っています。
やっぱりただ原則としては伝えない方がサプライズになりますから、その方が面白いでしょうということですね。
ただ、このBox of Candyに書かれている3つの原則も、そもそもサーストンって結構超うれっこマジシャンで、
彼が当時発売していた別の本とかもほとんどがゴーストライターって言われていて、
本当にサーストンが書いたのが怪しいというところもありまして、本当は誰が書いたのかは神のみぞ知るという感じですね。
ということで、実はマジシャンっていうのは若干英語と日本語のニュアンスは違ったものの、
このサーストンの3原則っていうのは、特に日本のマジシャンっていうのはちょっと学び始めるとどっかで必ず触れるものでして、
意外と私たちはこれを頭の片隅に持ちながらマジックをしているかなと思いますね。
ところで、サーストンって誰やねんという話なんですが、ちょっと簡単なサーストンの経歴みたいなのをご紹介できればと思います。
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ハワード・サーストンというお名前で、20世紀初頭にアメリカで活躍したマジシャンです。
年は1869年に生まれて、1936年で亡くなったので、67歳というのはちょっと早め、でも当時の寿命からするとそれぐらいですかね、のマジシャンです。
ご本人は、決してお父さんお母さんがマジックしてたとか、親戚にマジシャンがいたとかっていう感じではなく、
全然普通のご家庭で育って、普通っていうのは言わない、非マジシャンの家庭で育って、
どうやら7歳ぐらいにアレキサンダー・ハーマンという当時の超大物マジシャンのショーを見る機会があって、
自分もプロになりたいなって憧れて思って、そしてまた14歳から15歳ぐらいの時にアレキサンダーのショーを見る機会があって、
大興奮して俺は絶対マジシャンになるぞと思ったらしいですね。
ただね、これ本当マジシャンあるあるなんですけど、すげえ家族にやっぱり反対されてらしくて、
マジシャンになることもそうなんですけど、そもそもマジックを趣味としてやってること自体反対されてらしくて、
特にお母さんがね、サーストンの場合は反対してて、
なんかデビルズワークだとそれは、悪魔の書業であるというふうに言われてね、めっちゃ反対されてたらしいですね。
当時このサーストンの愛読書は、さっきちょっとお話をしたホフマンという人が書いたモダンマジックという本が愛読書だったと言われているそうです。
そんなこんなでですね、彼はマジシャンになりたいという夢を捨てきれず最終的にマジシャンになってですね、
とはいえ実は結構遅咲きで1902年に初めてワンマンショーをやったということです。
それまではボードビルショーとかに出たりとかしながらね、経験を積んでいたらしいんですけども、
1902年ですから彼が何歳だっけ、33歳で初めてワンマンショーデビューをして、
そして1908年には当時ね、これも本当一世を風靡していたハリーケラーというね、超大物マジシャンがいるんですけれども、
彼からですね、後継者として指名されて、ハリーケラーの引退から引き継いで、
サーストンがですね、超大物マジシャンになっていたということがあります。
彼はキングオブカーズという別名、通り名が付いていた通りカードの王様ということで、
カードマジックを結構当初はやっていて、特にカード投げが得意だったらしいです。
現代のマジシャンでいうと、ジェフ・マック・ブライドとかがカード投げでめちゃめちゃ有名な気がしますけど、
あんな感じだったんですかね。
当時は専用のカード、広告カードですね、自分のサーストンというのが描かれたりとか絵が描かれたりした広告カードをカード投げしまくってですね、
客席にカードめちゃめちゃ落ちますから、お客さんがそれを拾ってお土産として帰るというのが一つの恒例行事みたいになっていたらしいです。
ただカードだけだとやっぱりちょっと派手さも欠けてしまうので、サーストンその後いろんな演目をやっていったし、
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ケラーからも後継者に指名されましたから、ハリー・ケラーが得意としていたマジックをそのまま引き継いで演じたりして、
以前ポッドキャストでも話しましたが、スピリットキャビネットというお化けの恒例術みたいなキャビネットができるキャビネットがありますけども、
それももちろんやっていたし、トランクから脱出するようなイリュージョンもやっていたし、
あとは人体切断ですね、みたいな私たちがパッとイリュージョンって聞いて思いつくようなことは当時結構やっていたそうです。
やっぱりすごい有名なところ、ケラーから引き継がれたところでいうと、空中浮遊ですね。
女性を横に寝かしてそれがマジシャンの前で空中に浮いていくということで、
マスケリンというすごい昔の有名なマジシャンですが、ケラーに引き継がれてサーストンに引き継がれてみたいな感じで、
どんどんみゃくみゃくと引き継がれていた空中浮遊というマジックであったりとか、
あとサーストンをすごく有名にしたのがライジングカードという、これはカードマジックなんですけれども、
これ別名クイーン、クイーンオブザイエアーですかね、と呼ばれていて、オブザエアー、オブザイエアーと言われている通りですね、
ライジングカードというのはカードが上に上がってくるマジックなんですよ。
お客さんの言ったカードがグラスにね、ワイングラスにトランプのデッキを入れて、
オマージュラインをかけるとお客さんの言ったカードがスッと上がってくるという、結構不思議なマジックなんですけど、
サーストンの場合はですね、クイーンオブザイエアーと言われているタイトルの通りエアーまで行くんですね、そのカードが。
それでカードがデッキからちょっとピョンと出てきたと思ったら、そのまま空中にそのカードが浮き上がってですね、
サーストンが上の方で手を置いているので、そこの手の元にスッとカードが飛んでいくということで、
これがサーストンを非常に有名にしたカードマジックと言われています。
これめちゃめちゃ余談なんですけれども、現代ですね、アメリカに活動しているマジシャン、レビットというマジシャンがいるんですが、
レビットがですね、サーストンのショーを再現するということを一時期、今もやってると思いますけれどもやっていて、
私はそのクイーンオブザイエアーをですね、再現したライジングカードですね、空中まで上がっていくライジングカードをレビットが演じているのを生で見たことがあります。
めちゃめちゃ不思議でしたね。やっぱりちょっと上がってくるんじゃなくて、空中までスーッと上がっていくのをすごい見ててね、本当に幻想的でめちゃめちゃ素晴らしかったです。
ということで、サーストンの簡単な歴史についてお話をしましたが、今回はですね、マジシャンが、特に日本のマジシャンが絶対聞いたことある、
意識しているサーストンの三原則というところと、サーストンというマジシャンについて簡単にお話をさせていただきました。
全然マジックやらない方もですね、マジシャンってこんなこと意識してるんだ、知らなかったと思っていただけたかなと思いますので、
またですね、毎回非常にマニアックな回が多いんですけれども、なるべくこういった回も今後増やしていきたいなと思っておりますので、
引き続きPodcastをよろしくお願いいたします。それではまた皆さんお会いしましょう。バイバイ。