Ryota Matsuzaki
でもね、正直言うと、なぜこれがここまで遅くなっちゃったかって、
なんとなく自分の中でも、本当にこれはめでたいんだろうかと。
っていうのがそもそもあったんですよね。
いしたにまさき
なるほど、なるほど。
Ryota Matsuzaki
なんかこう、これって理解してもらえるか、すごく難しいんですけれども、
まあなんとなくこう、10年って黙ってても時間って過ぎ去っちゃう。
だから気がついたらもう10年も経っていたかっていうのが正直なところなんですよね。
いしたにまさき
その気持ちは若干実はわかるのが、
僕が実は最初のカバンを作って、実はもう12年経ってるんですよ。
Ryota Matsuzaki
すごい。
いしたにまさき
1回もモデルチェンジをしてないんですね。
あの一番最初に作ったのは、とれるカメラバッグっていう、
カメラバッグを最初にやったんですけど、12年経ってまして、一度もモデルチェンジ。
なんか5年ぐらいしたらモデルチェンジしたいですねとかね、初期のやつには書いてあるんですよ。
なぬ?みたいな、もう12年経ってんだけどみたいな。
でも、いまだに実は時々ひらくPCバッグシリーズほどではないにしろ、実はぽつぽつと売れているカメラバッグであって、
実際僕もガチ撮影行くときとか、
あと、主に推し活ですね。
ライブ会場行くときにはいろんなものを持っていかなきゃいけないので、
しかもこの辺に胸元にね、ものが収まっててほしいんですよ。
中村優子
推し活のときって?
いしたにまさき
はい。で、要は入るときに見せるんですよ、中身を。
Ryota Matsuzaki
中身チェック。
いしたにまさき
そうそう。で、中身チェック、はい、はい、何も入ってませんよって入って、
で、入ったらそのまんま床に置くっていう感じですね。
で、カバンは開けっぱなしにしておいて、いつでも何でも取り出せる状態にしておくっていうようなこと。
でも、何かいかにも最初からそんなのを狙ってたふうですけど、
全然そんなことも考えずに、ぼーっと漫然と10年経ってる。
中村優子
そんなことないでしょって、いやいや。
いしたにまさき
あれ、もう12年?みたいな。
中村優子
すごい。
Ryota Matsuzaki
でも、そう考えたら時間の経つのって本当は早いですよね。
いしたにまさき
恐ろしいですよね。
中村優子
恐ろしい。
10年続けるってそんな簡単じゃなかったんじゃないですか?
Ryota Matsuzaki
これは私ですかね。
中村優子
はい、松崎さん。
Ryota Matsuzaki
なんかね、やっぱり10年後残ってる会社って本当にごくわずかとかってよく言いますけれども、
そういった意味で言うと、そうですね、いろいろあったのかなとかって思っちゃいますけど、
あんまり何か、何でしょうね、こういう仕事してると後ろを振り返るってあんまり案外しないもんだなって気がするんですよね。
何か常に前に前に。
いしたにまさき
なるほど、なるほど。
Ryota Matsuzaki
と、なっていて。
いしたにまさき
今回ね、これをやるにあたって一つご縁になったのがViXionっていう製品があって、
KibidangoさんとあとGREEN FUNDINGさんで共催という形でファンやってる。
で、僕は一部分その中の人としてやってますし、実はゆう子さんも一部ViXionをお手伝いしていただいていたりとかして、
松崎さんはそのKibidango側の人として関わっていたりとかして、
で、僕もクラファンを支援する側で見たことはそれこそ死ぬほどあるんですけど、
自分が運営側に回ったことってあんまりなかったということだったんです。
要するにちょっと内情を聞くとかいう程度はあるんですけど、
本当にガチでスタートする前の日ちょっと睡眠不足になりますみたいなぐらいの感じで、
これ確かにやってると、終わるまでなんていうの、いい言い方じゃないけどチキンレースですよね、やっぱりね。
Ryota Matsuzaki
始まったらね、もう後には引けない。
いしたにまさき
ゴールに向かってチキンレースやってて、
で、それが、Kibidango側の人もそうじゃないですか、自分の担当しているプロダクト、
自分の会社で始まったプロダクトが成功するかどうかっていうチキンレースを同時進行でずっとやってるわけですよね。
で、終わりましたとなると、当然その製品は次のフェーズに移っていくわけで、
一部KibidangoさんはECやってたりはしますけど、基本的には次のフェーズに行ってしまう。
そうするとまた次の新しいクラファンの方がやってくるわけじゃないですか。
だから常にチキンレース状態ですよね、ある意味ね。
Ryota Matsuzaki
そうですね。
いしたにまさき
そうすると、それは昔のこととか過去とか振り返って、いろいろ考えてみるタイミング、確かにないよなっていう。
Ryota Matsuzaki
なんか今の話を伺いながら、ふっと頭の中に戻ってきたのが、やっぱり今のこのKibidangoを始めるとき、
ちょうど直前ぐらいに、いろんなことを考えたんですね。
こんなことやろうか、あんなことやろうかっていって、
アイディアとかっていっぱいあるじゃないですか。
何もない状態なので何でもできちゃう。
で、いろんなアイディアを日々日々考えて、それをいろんな人に壁打ちをするんですけれども、
自分がすごく頼りにしてたのが、アメリカにいるベンチャーキャピチャリストの人がいて、
彼とはずっと仕事で付き合いがあって、いろんな相談とかいろんなタイミングでやってたんですけれども、
彼にいろいろとこういうアイディアあるんだけどどう思うとか、ああいうアイディアあるんだけどどう?とかって壁打ちをしてもらっている中で、
ふーんと聞いてくれるわけで、いろいろこんなこと考えてるんだけどとかっていうと。
で、ふーんがずっと続いて、最後にKibidangoのアイディアを伝えたら、
いやいろいろお前今まで話してくれたけど、今話してくれたこのアイディアが一番いいんじゃない?と。
で、その心は何なの?って言うと、お前新しいもん好きだろ?と。
新しい人に会うの好きだろ?と。
いしたにまさき
なるほど。
Ryota Matsuzaki
それを天職にできるっていいんじゃない?っていうんですよね。
で、まあいいアイディアっていうのは、確かに今まで聞いたアイディアもどれもいいアイディアだったから、うまくいくかもしれないと。
ただ本当にうまくいくのはアイディアでもチームでもなくて、そのやりたいとずっと思えるかっていう。
そこに尽きるんだよね?みたいな話。
誰よりもそのサービスというか、やりたいことを続けられる人が勝つんだよみたいな話をされて、ほーっと思ったんですよ。
なのでそういった意味で言うと、本当に自分自身がこうやって日々新しい人たちと新しいアイディアと触れていられるっていうことは、本当に自分がずっと好きなことだったので、それを続けていられる一つの大きな理由なんじゃないかなという気がします。
いしたにまさき
なるほど、ちなみに僕が10年ぐらい前に書いた本が「ネットで成功するのはやめない人である」っていう本。
Ryota Matsuzaki
ほー、そのまんまですね。
いしたにまさき
やめない奴が勝つっていう。で、意図的に続ける人が勝つとは書かなかったんですね。
やめないでいいっていう。だからなんかその続けなきゃっていうと、例えば毎日やんなきゃいけないとか。
Ryota Matsuzaki
ちょっと頑張ってる感じしちゃいますもんね。
いしたにまさき
そうそう、頑張ってる感が出ちゃうんだけど、例えば途中で一回休憩してもいいんだよと。
でもやめないという姿勢が結局、今のところネットではやっぱり強いようになって。
で、やっていくうちに結果的にね、毎月やってました、毎週やってました、毎日やってましたっていう形になっていった人が良くて。
はい。で、なんかみんなね、これはね、ブログ始まった頃もそうだし、実はYouTubeも同じなんですけど、
うまくいった人たちってだいたい黙って3年毎日やるんですよ。でも3年を目標にはしてないんですよね。
毎日やってるうちに気づいたら3年経ってました。3年経ってみたら、あれ、なんかうまくいきだしたいろんなことがあるっていうパターンが実は非常に多くて。
Ryota Matsuzaki
おもしろーい。
中村優子
でも頑張ろうともしてないってことですね。
いしたにまさき
なんかね、たぶん一つは、これはね、どこまで話戻ればいいのかな。何らかの枯渇みたいのがないとダメなんですよね。
で、僕の場合はまずブログの話はできるので、ブログの話をすると、ブログ以前と今って、ごめんなさい。
ちょっとこれ、最近大学でこの話をしたばっかりなんで頭が整理されてる状態なんですけど、ちょっと小難しい話しますと、
ブログが流行ったことで何が一番流行ったか。XMLが流行ったんですね。
要するにXMLっていうのは、あるフォーマットなんですよ、インターネットにおける。で、XML自体っていうのは実は大昔からある。
大昔からあるんだけど、昔は手で書かなきゃいけなかった。面倒じゃないですか。
で、ブログが流行ったことで、システムで書くっていうことがみんな日常的になりましたよね。
そうすると、単純にもちろんCMSとしてブログが便利だっていう話と、もう一個が出力されたものがXMLにのっとったもので記述されてるんですね。
いしたにまさき
だからブログシステムを使ってる限り、例えばタイトルはちゃんとタイトルの文字情報が入ったテキストがインターネットに流通してる。
だからGoogleが見に来たときに、タイトルはこれね、書き出しはここね、太字になってるからこれ重要ね、みたいなことが、
ある一定の統一されたXMLというフォーマットで書き出す人たちがブワって増えたっていうことが大事なんですよね。
ということは、コンピューターから見たときに文章がわかるってことなんですよ。
ということは検索されやすくなるし、それから情報を横展開していく。
昔はマッシュアップなんて言い方をしましたけども、他のところで使うっていうことも可能になって、
そうやってテキストを書く人が爆発的に増えた。
要は整理されたテキストが爆発的に増えたっていうのが一番実はブログでは大きいところで、
だから例えば後からそれを全部違うタイトルのブログに書き換えることも可能なわけですよ。
要は整理されてるんで。
それを今思えば、頭おかしいんですけど、昔僕らは全部手書きでやってたんですよね。
中村優子
そうなのね。
いしたにまさき
ある一定のインターネット老人会以上の年齢はみんな普通にHTML手書きでできるっていうのは、
簡単にいうのは昔はそれしかなかったからそれで書いてたんですよ。
そうするとみんなマイルールになっちゃうんですよ。
適当に書くんですよ。
今でいうと例えばタイトルはH1コードが入ってたりとかタイトル構文が入ってたりとかあるんですけど、
それを適当にやってるからみんな適当に書いてるんですよ。
だから昔ってリンクはトップに貼ってくださいっていう常識だった文化があった。
なぜかっていうとトップから見てもらわないとわかんないから。
すごくみんな適当にやってるから。
だからトップから順番に見てってくださいっていうことが重要だったんですけど、
ブログシステムによって整理されるので発見されやすくなるからいきなり記事、本題ドンって構わなくなった。
で、YouTubeも同様で、それ以前に動画の配信の仕組みっていっぱいあったんですけど、
要は一番安定して一番それなりの画質で、そしてそれなりの視聴者数でやれるサービスっていうのは結局YouTube以降。
いまだにYouTubeがほぼ唯一ですけども、
そうすると今までできなかったことができるっていうのは誰も見てなくてもやるんですよ。
だってできなかったんだもん、今まで。
そうすると、うわーできるぞーっつってうわーってやってる。
だから何人かのYouTube、僕が直接知ってるYouTuberとかはやっぱりYouTube以前からそういうことをやってる人たちだったりするし、
要するにYouTubeが始まってからやってないんですよね、映像というものをね。
元々やってて、そこにYouTubeというのが来たから、そこに乗っけるようになったら流通していくようになった。
なのである一定のやっぱり枯渇みたいなものって結構大事かなって思いますよね。
クラウドファンディングもその軸線上にあるといえばありますよね。
買えなかったものが買えるようになったっていう。できなかったことができるようになった。
お金がないからできなかったっていうだけみたいな。
Ryota Matsuzaki
そうですね。クラウドファンディング、ルーツっていうことで言うといろんな諸説あるんですけれども、
例えばニューヨークの自由な女神像っていうのはクラファンの元祖だみたいなことを言ってますよね。
あれってフランス政府から自由な女神を寄贈されたんですけど、乗せる台座がなかったんですよね。
台座作るのも金かかると。どうしようって話になって、
当時のニューヨークの新聞王のピューリッツァーっていう人がいたんですけれども、
彼がおっしゃ、じゃあ俺が自分のところの新聞の自社広告ですよね。
売って支援を募るから、それでお金集めようよと。
広告自分で売って、そこに自由の女神を俺が立てたいんだと。
でも台座がないので、それをみんなからの寄付で募りたいんだと。
寄付をしてくれた人にはいろんな得点を差し上げますよと。
例えばミニチュアの自由の女神像とか、寄付してくれた人たちの名前を台座に刻みましょうとか。
いろんなことをやって、今のクラウドファンディングのルールとは全然違いますけれども、
それで何回かやったのかな。きちんと必要なお金を集めることができたっていうのは有名な。
いしたにまさき
それ確か、古くなってきて掴んでるタイマツを作り直すときにもやってませんでした?
Ryota Matsuzaki
本当ですか。それは知りませんでした。
いしたにまさき
で、それお金出した人は古いタイマツのパーツの一部をもらえるみたいな。
Ryota Matsuzaki
いいですね。
いしたにまさき
あと僕も手元にありますけど、もう今ないですけど、
銀座のソニービルが解体するときにクラウドファンディングのことをやってましたよね。
それやると、ソニービルって表面の波打ったような壁がすごく印象的だったはずなんですけど、
それの一部を切り取ってもらえるっていうのがあって、今ここにあるんですけど。
中村優子
そんな感じなんですね。
いしたにまさき
そうなんですよ。
Ryota Matsuzaki
面白いですね。
なんでしょうね、さっきの自由の女神像の話に戻ると、
そういうクラウドファンディングっぽいもの、何かやるときにお金が足りません。
みんなからお金を集めて何かやりましょうっていうのは昔からあったんだけれども、
1997年とか、
違うな、もうちょっと後か。
2007年とか9年とかですかね。
いわゆるそのキックスターターとかが注目を浴びるようになった背景としては、
ネットが普及して、SNSが普及して、
直接知らない人に対してもネットを通じて相手を信頼して、
そのストーリーを信頼してお金を先にあげようっていう大それたことができるようになった。
っていうのはやっぱり非常に大きかったんじゃないかなっていうふうに思いますね。
いしたにまさき
今たまたま名前が出ましたけど、キックスターター。
Ryota Matsuzaki
なるほどとずいぶん違うなという感じだったんですけど、その時に彼らが面白いこと言っていて、
でもそんなにお前がそれやりたいんだったら、自分でやればいいんじゃないっていうことを言われたんですよね。
で、その時に、まあでも本当にそう言われたかどうかも覚えてないんですけれども、
言われた時にハッとして、なるほどなと。自分で始めるという方法もあるのかと。
いしたにまさき
そうか。彼らとしては別にクラウドファンディングみたいなアイディアっていうのは別に自分たちの専売特許ではないから、
やりたいんだったらやればいいじゃんって感じですよね。
Ryota Matsuzaki
自分たちは自分たちの流儀でやっていて、他の人たちが他のやり方でやるのを別に止めもしないし、むしろそれはいいことなんじゃないみたいな感じだったんですよ。
いしたにまさき
でも、まあそういう話は実になんていうか、なんかこういう話するとあれなんですけど、
なんか僕もニューヨークなんて2,3回しか行ったことないのにこういうことを言いたくないんですけど、ニューヨークっぽいですね。
Ryota Matsuzaki
でもね、すごい本当にその通りだなって思って、割と独特な感じ。
いしたにまさき
マンハッタンってそんな広くないじゃないですか、実は。だから本当に歩いてるといるんですよ、そういう人が。
だから僕一番ショックだった、ショックっていうかすっげえびっくりしたのが、何だっけな、いつだ、何年前だ、もう覚えてないけど、
サマーシーズン終わると、要はみんなお休みに行っちゃって、ニューヨークの画廊が一斉にオープンの日ってあるんですよ。
要するに秋のシーズン始まるよってこの日からっていう。で、みんなその日に今シーズンのことバーンとオープンして、で、その日はみんなが要は扉を開いていて、その画廊をいくつも、
要するにニューヨークのあの辺、何でしたっけ、場所忘れちゃったな、海沿いのあたりを、もう要は一晩中画廊を開けてて、で、みんなぐるぐるぐるぐる回るっていう日があるんですよ。
Ryota Matsuzaki
いいですね、楽しそう。
いしたにまさき
で、僕その日があるのを教えてもらってたんで、日程にその日を入れて、結構ぐるぐる回ってたんですよ。
で、何か特にあまり気にせずに、何だっけな、何かその時も僕そうだ、盛られたんだよな、何か日本のネットのことはこの人に聞くのが一番っていう。
中村優子
二人目。
いしたにまさき
盛られて、で、何かそのニューヨークタイムズで、日本人なんだけど記事書いてる、アート系の記事書いてるっていう人とお話したりとかして、で、せっかく来たんだからあそこも行かなきゃダメよみたいな。
で、何かちょっともう疲れたなと思って、ちょっと外タバコ吸いに行こうと思って、外でタバコ吸ってたら横でポールオースターがタバコ吸ってるんですよ。
ポールオースターだ、本物だ。
そしたらポールオースターが、ちょっとライター貸してとかって言うわけですよ。
中村優子
洗えない洗えない、洗わないか。
いしたにまさき
洗わない。
中村優子
すごい。
いしたにまさき
で、出しながら、ごめん、僕、あなたの小説最後まで読み切ったこと一度もないんです。
思いながら、実はすいません、でもお名前はよく存じておりますみたいな、とか言うの。
でも何かそういうことがよく起きる街なんですよね。
なんかちっちゃいからギュッとしてて、本当、だから画廊だけでも一体何件あるのかよくわかんないぐらい大量にあって、
そこに、別にポールオースターは小説家だから、関係ないっちゃ関係ないじゃないですか。
でもいるんですよね、そこに。
っていうのはそうだよね、キックスターター、そうかそうかニューヨーク発だっていうのはなるほどなという感じがしましたね。
日本のクラファンは若干物に寄りすぎてるところがあるといえばあるので、その辺の感覚が伝わりにくいかもしれないですね。