1. かいだん
  2. 【第251回】京都が誇る「いけ..
2024-11-13 30:48

【第251回】京都が誇る「いけず石」ってなに? 醤油からグルメ漫画まで杉村啓さんのマニアックな視点を味わう

spotify apple_podcasts

このポッドキャストは、Webニュース編集者のうすだと、ブロガー兼ライターのカイがITの話題から最近のお気に入り、個人的イチ推しなどを雑多に語る番組です。

第251回は、ライターの杉村さんをゲストに迎え、多彩な趣味の1つである「いけず石」と、これまでのライター人生についてお話をお伺いしました。

ハンドルネーム「むむ」で活動する杉村さんのXアカウントはこちら

むむ@9/26白熱日本酒教室増補改訂版(@mu_mu_)さん / X

▼ お知らせ

ポッドキャストの文字起こしは以下のURLからご覧ください。各種ポッドキャストアプリへも、番組のカバー画像の下にあるアイコンから登録できます。

かいだん - LISTEN

取り上げて欲しいネタ、過去配信回へのツッコミなど、以下のフォームからお気軽にご投稿ください。

お便りフォーム

SNSやコミュニティはこちらをどうぞ。

Twitterアカウント

● ハッシュタグ #kaidancast

Twitterコミュニティ

Discordコミュニティ

ニュースレターはじめました

登録していただくと、番組が配信された時にメールでお知らせします。

「かいだん」ニュースレター

取り上げた話題

◇ 醤油手帖

杉村さんのブログ。醤油の話はまた別の回で掘り下げます

醤油手帖

◇ いけず石

京都を中心として関西に多く見られる、曲がり角に置かれた石のこと。何のために置かれた石なのか、なぜそんなことをするのか、という話は本編をお聴きください。

家守る「いけず石」関西に集中 京都の厄よけ意識も影響? 掘り下げ!関西白書 - 日本経済新聞

杉村さんが出演しているこちらの動画もどうぞ。

京都 “いけず石”置くの なんでなん?|NHK 関西のニュース

◇ しんぶん赤旗のグルメマンガ

亀井三恵子の「台所剣法」のこと。亀井三恵子はサザエさんで有名な長谷川町子と並ぶ女性漫画家の草分け、らしい。

駿河屋 -<中古>台所剣法(1) / 亀井三恵子(その他サイズコミック)

この件について杉村さんが取材に答えた記事がこちら。

Xユーザーのジセダイさん: 「【掲載】11/26付「しんぶん赤旗」に星海社新書『グルメ漫画50年史』著者・杉村啓(@mu_mu_ )さん登場! 「グルメ漫画」の源流とした作品は1970年連載開始の3本があり、そのうちのひとつが「しんぶん赤旗」の「台所剣法」(著者・亀井三恵子)です(本書に同内容掲載)https://t.co/swJupEfieV https://t.co/KzrWxCLUGN」 / X

◇ ジオテクノロジーのいけず石地図

旧インクリメントP、MapFanの運営会社といったほうがわかりやすいかもしれない位置情報系の会社がリリースしたいけず石のユーザー投稿型地図サービス

京都の「いけず石」をユーザー投稿で調査へ、京大とジオテクノロジーズ - ケータイ Watch

◇ マジック・ザ・ギャザリング

世界初のトレーディングカードとも言われるカードゲーム。歴史も長く今も愛される

マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト

◇ ミスター味っ子

寺沢大介の代表作といえるグルメ漫画。窓に貼り付けてパスタのアルデンテ具合を確認する手法は当時読者だった子供はみんな真似したことがあるはず

ミスター味っ子 - 寺沢大介 / 【第1話】特製超極厚カツ丼 | マガポケ

◇ かたやきそばで作ったハンバーガー

ミスター味っ子の醍醐味といえるオリジナル料理のうちの1つ。その後も実際に再現した人もいるらしい。

『ミスター味っ子』の“味吉陽一特製ハンバーガー焼きそば”を再現! - 本がないならブログをお読み

コミックDAYSの該当回はこちら。

ミスター味っ子 - 寺沢大介 / 第4話 ハンバーガー焼きそば | コミックDAYS

◇ GyaO

USENが始めた無料の動画配信サービス。のちにYahoo!動画と統合して「GYAO」と大文字のサービスになる。広告型の無料視聴サービスとして2005年にサービスを開始したが時代が早すぎた

サービス開始を発表した当時の懐かしい記事がこちら

USEN、無料のブロードバンド放送「GyaO」。1,000万の会員獲得を目指す

◇ 溜池Now

GyaOが配信していたオリジナル番組の1つ。こちらも当時の懐かしい記事をどうぞ。

GyaO、増田ジゴロウと中川翔子が出演するバラエティ「溜池Now」を配信

◇ もやしもん

発酵をテーマにした人気マンガ

もやしもん - 石川雅之 / 【第1話】入学 | マガポケ

◇ 魚醬

名前の通り魚や魚介類で作った醤油。こちらに関しては別の回でまた掘り下げます。

魚醤 - Wikipedia

◇ たなか酒店の「あかし魚笑」

いかなごで作られた魚醬。相当レアなようでネットでは発見できませんでした

オリジナル商品|明石魚醤 | 株式会社たなか酒店|日本酒・ワイン・本格焼酎・KEG・発酵食品の業務用卸及び一般小売

◇ 神戸在住

最近はすっかりメジャーになった妹尾河童のピェンロー鍋を取り上げたマンガ作品

『神戸在住(1)』(木村 紺)|講談社コミックプラス

ピェンロー鍋が出てきたエピソードはこちらの模様

Xユーザーのkishimotoさん: 「最愛のマンガ、木村紺さんの『神戸在住』に出てくる鍋・扁炉(ピェンロー)を今年も食べました。干し椎茸と白菜がメインのシンプルな鍋。卵は入れないこちらも素朴なおじやはべったら漬と!https://t.co/Yiwl6f3Sy7 https://t.co/9P7D2yc9ll」 / X

◇ クラフトビールのマンガの監修

「琥珀の夢で酔いましょう」という作品のクラフトビールについて監修しているのが杉村さんです。最近はマンガ発のオリジナルビールも作ってたりしてとても飲みたい

琥珀の夢で酔いましょう - 原作:村野真朱/作画:依田温/監修:杉村啓(「白熱ビール教室」著者) / 第1話「Fly Me to the Amber Dream」 | マグコミ

◇ てしごとや

杉村さんが日本酒に目覚めたという居酒屋。まだ池袋にありました

てしごとや - 池袋/居酒屋 | 食べログ

◇ すず音

「スパークリング日本酒」とも呼ばれる、炭酸入りの日本酒。甘くて飲みやすくこの酒で日本酒のイメージが変わったという人も多い

一ノ蔵 発泡清酒 すず音 | 宮城県の伝統的な手づくりの日本酒蔵一ノ蔵

◇ インド映画

最近はすっかり日本でも市民権を得た感のあるインド映画も杉村さんの大好物です

C103で『印度映画手帖2023』を頒布します - 醤油手帖

編集後記

カイ

てしごとやは偵察行ってきます! 溜池NowのDVD2巻もしれっと購入したので週末にでも楽しく拝見します。

うすだ

魚醤を初めて知る素人ですが大変面白かったです。

杉村

先に感想というか補足ですが、『美味しんぼ』で紹介されていた「塩の真珠」をたまたまフランスに行ったときに買いまして。味わってみたらこれがとてもおいしく、塩は思っていたより(当時は食卓塩しかほとんど食べていなかった)味の幅があるのではと塩にハマり、ピェンローパーティーとかもやるようになって味比べを楽しむようになった、という感じです。そのあとに醤油にハマった、という流れですね。

そして、結構あれこれ喋っていますが、もうちょっと喋ればよかったなーというところもたくさんありました。とりあえず、今度関東にいったら池袋の「てしごと屋」さんには行こうと思っています。

サマリー

京都の文化であるいけず石について、ライターの杉村さんが自身の取材や興味を通じて深く掘り下げています。彼の経験やいけず石に関する著作を通じて、いけず石が地域の生活にどのように根付いているのかが語られます。このエピソードでは、杉村さんが「いけず石」とその半生を振り返ります。彼の経歴は、グルメ漫画から醤油や魚醤に関する執筆活動へと至り、多様な興味によって形成されています。京都の文化や伝統に関する興味深い話が展開され、特に「いけず石」の魅力や、それにまつわる杉村さんの人生が紹介されます。彼の趣味や日本酒、クラフトビールに対する情熱も感じられるエピソードです。

杉村さんの紹介といけず石の説明
kai3
うすだです。カイです。杉村です。今回は久々のゲスト回ということで、京都にお住まいの友達の杉村さんに来ていただきました。よろしくお願いします。
杉村
よろしくお願いします。
kai3
早速なんですけど、杉村さんにちょっと簡単に、この番組を聞いている人に向けて自己紹介いただいてもよろしいでしょうか。
杉村
そうですね。ライターとか、ちょっと最近は少し編集もやったりしている杉村です。
何を書いているのかっていうと、これはいろいろなんですけども、たぶん一番直近で出た本で日本酒の本ですね。
白熱日本酒教室という本が、2024年の9月末に発売されました。星海社新書ですね。
他にも醤油手帳というブログをやっておりまして、調味料のこととかいっぱい語っていたり、本を出していたり。
年に2回のコミックマーケットでは基本的には調味料関係の本を出したりしています。
あとは、そうですね、最近はやたらと京都のですね、いけず石に関する取材が多くて。
はい。今年はですね、日経新聞、京都新聞、NHK関西に取材があって、この後もまだ多分年内にいけず石関係の露出がある感じですかね。
そんな感じでいろいろやっております。
kai3
ありがとうございます。これどこから聞いていいかぐらい、本当に多趣味な人なのですごい悩むんですけど、
おそらく今この自己紹介中でまずキョトンとするのがいけず石だと思うんですけど、いけず石とはなんぞやってのを解説していただいてもいいですか。
杉村
これは細い路地ですね。車とかがギリギリ通れるような細い路地の角とかに石が置いてあるんですね。
しかも大きい石が。この石に車が曲がろうとすると、当然ぶつかっちゃうじゃないですか。
で、その家の人になんてところに石置いてるんだって文句を言いに行くと、ああそうなんですか、石に当たったんですねって京都の人にあしらわれてしまうからいけず石なんていうふうな呼び名ができたっていうものなんですけども、
これがなかなかどうしてなぜそういう石があるのかとか、そういったものがですね、非常に奥が深くてですね。
もう何年でしょうね。結構ハマっていて、ひたすら写真に撮ったりだとか、あと本も作ったりしたらですね、ようやく、ようやくっていうと語弊がありますね。
なんか世間が追いついてきたようで、今年、去年の年末から今年に入ってめちゃめちゃ取材やら問い合わせが多いっていう代物でもあります。
kai3
あれは京都の独自の文化なんですか?他の地域にはないんですかね?
杉村
いや、他の地域にもありますよ。東京で見つけたいけず石だとか、その他の県で見つけたものもありますし、
やっぱり、どこまで深く今話していいですかね?もうどんどん話しちゃっていいですかね?
基本的に現在の建築基準法では起こられる代物なんですね。
なんでかっていうと、今は細い路地とかの角は隅切りと言いまして、車とかの見通しが良くなるように角の部分に三角形の空き地を作って、曲がりやすく見通し良くしなきゃいけないんですよ。
だけど、もうその法律ができる前にある古い町ですと、その角ギリギリまで家とか塀を建てちゃっていたんですね。
そうすると、車がもちろんその建てた当時なんかこんなにいっぱい頻繁に通ると思っていないので、ギリギリ前に建てた結果、何日かに1回ですね、交通量が多いところだと車がぶつかるわけですよ。
で、それをトラブルになるわけですよね、当然。
杉村
車ぶつかった人はごめんなさいって謝りに行けばまだ良い方で、謝りに行かないでそのままスルーしちゃったりだとか。
杉村
そうすると修理費は家の方の側が塀とかを直さなきゃいけないじゃないですか。
で、万が一ぶつけてるところを見つけても、きちんとなんとかなるとは限らない。
そうなるとですね、じゃあもう石を置いておけば先に石にぶつかるし、傷つくのは石だし、向こうの車が傷ついてもそれはそれという感じで石が置かれるようになったんですね。
いけず石の人気と今後の展望
杉村
そんな感じなので古い街並みにしかない。
現在のその隅切りとかがしっかりあって、車が通るところを考えて都市設計をされているところでは、よっぽどいけずな人じゃないと石を置かない。
kai3
いけずっていう言葉がまた良いですよね。
杉村
そうなんですよね。
杉村
これがなんて言いますか、本当にもう結構前でハマったのが、何年前だろう。
杉村
位置情報ゲームがポケモンGOが発表された時があったじゃないですか。
kai3
はいはい、だいぶ前です。
杉村
まだ出る前じゃなく、ゲームがリリースされるんじゃなくて、発表された時に、なんかもうあまりにもポケモンGOをやりたすぎて、なんかじゃあ京都の街を歩いて何かを集めるなんとかGOをやろう。
その時に思いついたのが、いらすとやのイラストを見かけたら写真に収めるいらすとやGOと、
杉村
あと京都の街って、すごい石碑が建ってるんですね。
杉村
ここは何とかの新撰組がここでどうこうとか、坂本龍馬どうこうとか、そういうメジャーなところだけじゃなくて、ここは何々藩の藩屋敷があったところですよとか、平安時代にはここに検非違使がありましたとか、そういうような石碑がすごいいっぱいあったんですよ。
あるんです、今も。そこで石碑GOをやろう。語呂は悪いんですけど。
その石碑GOをやるために、道のですね、下の方を見れたら、なんかいっぱい石がある。
これ何なんだろうと思って、その京都に住んで、昔から住んでる友達とかに聞いたところ、あれはいけず石だと。
で、これはなんて素晴らしいんだと。こんな文化が京都にはしっかり残ってるんだ、みたいな感じでですね、感動いたしまして、そこから石碑GOのことは半分忘れて、ひたすらいけず石を通るという趣味に目覚めたんですね。
なので、何年前って正確には言えないんですけども、ポケモンGOの発表があった年というのだけは覚えてると。そんな感じですね。
あともう一つ、それを本にしよう、同人誌を作ったんですけど、今までに3冊ほど。本にしようと思ったのは、多分法律的にグレーなので、消える文化であろうと。
本来のその人の敷地内に置いてあったら全然いいんですけれども、たまに敷地の外の道路にはみ出て石を置いてる人もいるわけですよ。
それは完全にグレーというかアウトだったりするので、そういうのは消えてしまうであろうと。これはもうきっと平成までの文化なんだろうと思って、平成から令和に切り替わるまでに何か記録に残しておかなきゃいけないと。
kai3
そこで同人誌を作ったんですね。
杉村
同人誌はいつ頃ですか?
kai3
同人誌は一番最初のが、だからその令和に切り替わる時だったと思うんですよね。
杉村
結構前ですね。
そうなんですよ。
この趣味は、あんまり人に言っても理解されないだろうと思ったので、ずっと内緒にしてたんですよ。
なんですが、たまたまグルメ漫画の本を出したんですね。
何年だったっけな?
2016、7、8年ぐらい。
18年ぐらいだったかもしれないですけども。
その時にグルメ漫画というような形で料理が出てくる漫画の走りとして、1970年にしんぶん赤旗で連載された新聞漫画の話をちょっと書いたんですよ。
杉村
それも当然取材をして、そしたら本が出た時に赤旗の方が逆に取材をしてくれたんですね。
杉村
わざわざ京都までいらしてくれて、撮影とかインタビューとかをされて、グルメ漫画のことばかり喋ってたはずなんですけど、最後に気が緩んでたんですよね。
杉村
この後どうされるんですかって聞かれた時に、ついうっかり石を見に行きますと言ってしまったんですよ。
杉村
で、ちょっとそれを向こうも当然けげんな顔をするじゃないですか。石って何ですかと。
そういう話をちょっとしたら、なんかちょっと面白いですねって言われて、もしかしたら話せば理解してもらえる趣味なのかもしれないと思って、ちょっとだけ人に言ったら、3人に1人ぐらい面白いと言ってくれたので、じゃあちょっとなんかやろうみたいなそんなノリだったんですね。
それで同人誌を作ったりだとか、やってたというわけですね。
kai3
いやー3人が3人面白いって言うと思うけどな。
杉村
どうでしょうかね。
名前からして最高ですもんね。
kai3
あれですね、いけず石は杉村さんに教えてもらって、そっから知るようになり、ちょいちょい京都に行くたびに、杉村さん僕のお酒の先生でもあるので、美味しいお店を教えてもらいながら、今いいいけず石どこですかっていけず石観光ツアーやってもらって、おーいいっすねこれって言って感動するからすごい楽しいんですけど。
杉村
そうなんですよ。
kai3
いやもう本当にすごい文化ですよねいけず石。めちゃくちゃ面白い。
杉村
そう面白いんですね。
なんかでも最近は京都大学と地図とかのジオテクノロジーズさんか。
kai3
ジオテクノロジーズ、なんか出しましたねいけず石マップ。
杉村
はい、いけず石マップを作るっていう話が出てて、あれはあのやり方だと多分全てのいけず石を網羅できないと思うんだよなっていうのをどうにか関係者に伝えたいと思いつつ。
まあそれは知り合いにいたらって言われますけど。
kai3
それはどういう意味でですか。あれってほらユーザー投稿型ですよね基本的に。
杉村
ユーザー投稿型なんですけども、基本的に道の角にしか注目をしてないんですよ。
kai3
なるほど。
杉村
で、実は兵とかを守ったりだとか路中に対する行けずをするためだとか、そういう道路の真ん中にある石とかにあのシステムだと対応してないんじゃないかなっていうのがちょっとあって。
kai3
なるほど。そういうのもいけず石なんですね。
杉村
そうなんですね。曲がり角以外でもやっぱり市内のところとかで結構そのあったりだとか、あと一個多いのはその溝ですね。下水道じゃないのかなんて言うんでしょう。
杉村
あの道路の端に溝が掘ってあって、蓋がないところも意外とあるんですよ。
京都とか。で、そういうところに置いていたりだとか、あとお店の前にその路中を防ぐために石を置いていたりだとか、
ここは出入り口なんでみたいなところに車止められると困るから石で固めるとか、そういう類の石に角だけに注目をしてると対応しきれないんで、
多分相番ユーザーから俺はあの石が載せたいのにって苦情が来ると思うんですよね。
それは僕だけかもしれないんですけど。
kai3
いやもうちょっと是非ね、ジオテク話しといて、話を通してほしいですね。
いやー面白い。杉村さん僕は本当に聞きたいこと多数というか、本当にたくさん趣味のお持ちの方なので色々お伺いしたいんですけど、
せっかくなんでちょっと紹介はですね、なぜ杉村さんがこの道に踏み込んだかっていう振り返りをちょっと聞いてみたいんですけど。
杉村
そうですね、石の話ずっとしてる場合じゃないですね。
kai3
いやもう石もすごい楽しいんですけど、今色んなライターとして活動されてるってことなんですけど、
そもそもはどういうきっかけで学校を出て働く時にどういう経緯で今このライターに立っているんですか?
杉村
一番最初に書いたのは、商業で書いたのはマジック・ザ・ギャザリングというカードゲームの本なんですね。
杉村さんのライティングキャリア
杉村
で、95、6年ぐらいに、1995、6年ぐらいにマジック・ザ・ギャザリングにハマりまして、
で、そこで当時知り合ったメンバーと同人誌とかを作ったりして、
そこで当時、今もあるんですけども、
マジックの本を出版していた新紀元社さんから声がかかって書いたのがライターデビューですかね。
kai3
それは学生の時とかですか?
杉村
もう学生の時ですね。
kai3
学生の時から商業ライターとしても活動してられることなんですね。
杉村
そうなんです実は。
kai3
なるほどなるほど。
で、そのままこれはもうライターでいこうかなって思って、ずっと。
杉村
そうですね。いろんなことをやったりとかもしてるんですけども、
杉村
基本的にはライターを続けているっていう感じで、
で、その時々に興味のあることに飛びつくタイプなので、いろんな本を作ったりもしました。
醤油との出会い
kai3
僕のイメージでは、まず醤油だったんですけど、僕のイメージでは。
その醤油にたどり着くまでにどんなのがあったんですか?
マジック・ザ・ギャザリングも初見で結構面白いんですけど。
杉村
そうですね。ゲームの本もそうですし、コンピューター系もちょっとやったりだとか、
自転車の本とかも。
kai3
へー。
杉村
ロードレース、自転車ロードレースとあれにハマった時には自転車の本も商業でやったりしましたし、
杉村
なんかその時々に興味があることに飛びついていって。
で、一番大きな転機になったのは、その醤油とかすべてはグルメ漫画の趣味ですかね。
kai3
あーなるほど。
杉村
えーとですね、別件でミスター味っ子の料理を再現するという方がいまして、
その取材に行ったんですよ。
kai3
見たことある気するな。
杉村
僕もめちゃめちゃ味っ子は大好きなので、
その企画の後もちょっと仲良くなりまして、
その人の料理を実際に寺沢大介先生作者の方が食べに来るって時もちょっと読んでもらったりとかして。
kai3
すげーな。作者本人食べたんだ。すごい。
ちなみにどんなメニューか聞いていいですか?
僕結構前回読んでるんで。
杉村
味っ子のですか?
kai3
その寺沢先生が食べたメニューどれだったの?
杉村
え、当時食べたメニューなんだったっけかな。
お花見の季節だったので、
再現料理の中でもお花見に合わせて、
型焼きそばで作ったハンバーガーのやつとか、
そういうのを中心に用意をして。
当時、今でこそいっぱいいろんなブログやら、
YouTubeとかで再現やってますけど、
杉村
本当に再現ってなくて、
寺沢先生のミスター味っ子も、
やはり少年漫画風に高等向けな味付けがされてるけれども、
杉村
ベースがものすごい取材しっかりされているので、
料理がうまい人が作ったら絶対おいしいというのが、
どうにかして証明できないかと、
寺沢先生自身も思っていて。
杉村
それで、再現したのがおいしそうに見えるし、
杉村
おいしいということでちょっと話題になって。
杉村
その方のその記事自体は今見られないんですけども、
kai3
そうなんだ残念。
杉村
そういうことがあったときに、
杉村
その料理を再現している方のもとに、
杉村
ユーセンのGyaO。
kai3
懐かしいGyaO。
杉村
今はもうU-NEXTになってますけども、
杉村
当時GyaOの時にGyaOの番組から依頼があったんですよ。
杉村
溜池Nowっていう番組なんですけれども、
中川翔子さん。
saku sakuのジゴロウ。
ジゴロウでいいんでしたっけ?
kai3
懐かしいな、saku saku。
杉村
の番組で、
そこでその人は料理する側でオファーが来たんですけど、
大学の研究とか、大学院の研究忙しくて出られない。
杉村
で、なんか他にその料理漫画に詳しくて、
杉村
喋りがうまい人いませんかっていう話になり、
僕に白羽の矢が立ったんですね。
kai3
はいはい。
杉村
で、そこに出演しまして、
今もというかDVDにも収録されているので、
それが多分僕の映像デビューですかね。
kai3
それは何のDVDなんですか?
杉村
溜池Now。
kai3
溜池NowのDVD。
杉村
のDVD2巻に収録されていたと思います。
kai3
今も手に入るのかな?
杉村
その時に料理漫画研究家っていう肩書きを付けられて、
その中の企画の料理の鉄人28号という、
料理の鉄人のパロディーの企画で、
僕は要は服部先生の役だったわけですね。
漫画ではこうで、この料理の手法はこうで、
とかっていうのをすごい喋る。
そしたらいろいろとその料理漫画の仕事だとか、
テレビで料理漫画について喋ってほしいみたいな仕事が
ちょっとちょくちょく来るようになってみたいな。
杉村
で、料理漫画について好きだった、
もともと好きだったんですけど、
杉村
ますます傾倒するようになったっていうのがあって、
杉村
そこがまず第一ですよね。
で、その後に当時やってたもやしもんっていう作品があるんですけれども、
もやしもんでちょっとお醤油の話が出ていまして、
杉村
その醤油がですね、全国にはこういう醤油があるって中に、
魚醤の話とかもあって、
関西の方にいかなごという魚醤があると。
その日本三大魚醤というのがあって、
その日本三大魚醤が、秋田のしょっつる、石川県のいしり、兵庫、香川のいかなごだと
杉村
ところがいかなごって、
杉村
その京阪神の方はご存知だと思うんですけど、
春に小さい一魚の段階のものを、
つくだ煮みたいにして、
いかなごのクギ煮っていうのが名物になってるんですね。
そのクギ煮は食べたことがあるので、
これは魚醤って聞いたことはないぞと。
うちの親も神戸出身だったりしますし、
その関西の方にも友達がいたので、
当時は関東に住んでいたんですけど、
杉村
ちょっと聞いてみたんですけど、
杉村
誰も知らないいかなごという醤油のことを。
杉村
何なんだろうと思って、
杉村
思っていた時に、
杉村
赤市ですね、兵庫県の赤市市に行ったら、
そこの商店街に、
杉村
今は名前は、
たなか酒店っていうお店があるんですけども、
そこでお酒を買おうとしたらですね、
たなか発酵物研究所って別名も持っていて、
杉村
発酵食品をいろいろやってるお店だったんですね。
杉村
そこでいかなご魚醤というものがあって、
これは、なんかよくわからなかったやつと思って、
杉村
聞いてみたら、
いかなご魚醤というのは、
実は50年近く、戦後ほとんどすぐの頃ぐらいから、
杉村
あんまり作られてなくて、ほぼ途絶えていたと。
それをそこのお店の人たちが勉強会を立ち上げて、
作ったんですよと。
そんな幻のものを復刻させたみたいなノリ、
買うじゃないですか。
kai3
買いますね。これだ、田中商店見つけた。
杉村
ありますが、
あかし魚笑、魚笑って書くやつが売ってると思うんですけども、
それで味わってみたら、
これめちゃめちゃ美味しいんですね。
杉村
その魚醤とかって、
やっぱり当時はそんなに、
杉村
2007、8年、6年とか7年とかだと思うんですけども、
そんなにメジャーなものではないというか、
杉村
日本の魚醤って、
杉村
そこまでいろんな風に使われてなかった時代でもあるので、
その使い方の紙とかももらって、
杉村
それこそこういう料理に使うといいですよから、
杉村
エースコックのワンタン麺に数滴垂らすと、
味が膨らみますみたいな、
杉村
そんな使い方まで紹介されていて、
杉村
びっくりしたんですよ。
ブログと同人誌の制作
杉村
これはすごい美味しいなと。
その前に、
塩に実はハマっていまして、
この塩も結局漫画由来ではあるんですけども、
どの辺が先だったか、あれなんですけど、
神戸在住という、
昔アフタヌーンで連載されていた漫画があって、
そこの中で、
杉村
妹尾河童さんのピェンロー鍋が、
杉村
今はもうすごいメジャーになりましたけども、
紹介されていたんですね。
結構バズりましたね。
そのピエンローナベをやるにあたって、
たまたまその当時、
友達が全国に出張する仕事だったりとかもあったので、
いろんな塩を買ってきてくれたりとかして、
杉村
うちでよくピェンローパーティーをやって、
いろんな塩の食べ比べとかもやっていたんですよ。
その塩の味の幅っていろいろあるんだなと思っていたんですけども、
杉村
それよりも魚醤の味の幅の広さというか、
当時は醤油と魚醤もあんま違いがわかってなかったので、
なんてすごいんだと思って、
杉村
そこから醤油を集めるようになったんですね。
杉村
それで醤油の道に入り、
たくさん集めていろいろやっていた時に、
杉村
いつだったかな、
多分ブログを調べればわかるんですけれども、
じゃあ友達とご飯を食べている時に、
なんかそんなに醤油いろいろやってるんだったら、
杉村
醤油を紹介するブログとかをやればいいじゃん、
杉村
みたいなこと言われたわけですよ。
杉村
そこで醤油手帳っていうブログを作って、
杉村
当時は毎週1本醤油を紹介していこうみたいなことをやっていたんですね。
杉村
そしたらせっかくだから、
杉村
同人誌にしようっていう風な話になって、
杉村
同人誌を作り、
そうするといろいろ醤油のお仕事が入ってきて、
醤油の道に入ったのはそんな感じですね。
kai3
基本すごいですね。
普通ライターでフリーランスとかで活動していると、
どっちかというとお仕事のためにある程度ジャンル決めて、
もちろん好きだからやるんだけど、
仕事のためにいろいろ勉強とかすることが多いのに、
杉村さんの場合、好きなものひたすら掘っていって、
結果それがちゃんと仕事として整理しているっていう。
杉村
そうですね。
そういう順番はそっちかもしれないですね。
kai3
やっぱりブログが醤油手帳っていうだけのこともあって、
醤油は一つ大きな転機なんですね。
杉村
そうですね。
醤油にはまるきっかけっていうのも、
やっぱりグルメマンガとかがあって、
塩にはまるきっかけも、
杉村
グルメマンガか。
美味しんぼだ。
kai3
基本グルメマンガですべてはね。
なるほど。
それはわかりますね。
僕もグルメマンガ大好きだから、
読むと同じもの食べたくなるし、
調味料とか紹介すると買っちゃうし。
杉村
そうなんですよ。
いけず石の魅力
kai3
それが突き詰めるとここまでいくんだなって。
極端な例ではあるけど。
杉村
そうですね。極端な例かもしれないですね。
kai3
結局、発酵ということで、
醤油も詳しいけど、
そのまま日本酒も詳しく、
さらにお酒で、
クラフトビールも詳しく、
最近ではクラフトビールの漫画の監修までしているという。
杉村
はい。
杉村
お酒は、
杉村
はまったのは、
2000年代の頭ぐらいだったと思うんですけども、
当時、友達と池袋でよく飲んでいて、
杉村
僕はお酒めちゃめちゃ弱いんですよ。
kai3
意外。
杉村
で、当時の方がもっと弱くって、
杉村
で、たまたま入った、
今もちょっともう何年も行ってないから、
杉村
今もお店があるかわかんないんですけど、
杉村
てしごと屋っていうお店ですね。
杉村
池袋の北口にある。
そこに行った時に、
杉村
一ノ蔵さんのすず音というお酒が、
杉村
そのお店にあったんですね。
杉村
で、そしたらその友達が、
杉村
これなんかテレビで見たやつだから飲もうって言って、
それを頼んで2人で飲んだら、
まあこれが美味しくて。
杉村
で、その時に、
お酒弱い人あるあるなんですけども、
杉村
ちょっと甘いお酒を少ししか飲めなかったんですけども、
なんかこんな日本酒があるんだと、
杉村
ちょっと驚いて感動しまして、
杉村
そのお店自体結構日本酒充実してるお店だったので、
じゃあなんか他の日本酒もなんかこういうのがあるんじゃないか、
というわけで、
なんか行くたびに1杯ずつぐらいしか飲めなかったんですけども、
いろいろ飲むようになっていって、
杉村
わーいろいろある種類があるなーっていう風になって、
杉村
日本酒にはまっていったんですね。
kai3
うんうんうん。
てしごとやとはまだありますよ。今度行ってみよう。
杉村
行くしかない。今度関東に行った時には。
そうなんです。思い出のお店ですね。
杉村
そんな感じで日本酒は、
で、さらにそのお酒に弱かったので、
杉村
本当に1杯飲むとダウンしちゃってたんですよ。
一合とか日本酒は。
杉村
なので逆に言うと、
杉村
他の人がじゃあ3杯飲んでる間に、
こっちは1杯しか飲めないわけだから、
値段が3倍するようなやつも飲んでいいよねっていうことになり、
割り勘的には。
杉村
で、それでその高いお酒だろうと、
その値段の安いお酒だろうと満遍なく、
杉村
ちょっと試してみたっていうのが、
そのお酒の原体験ですね。
杉村
両親ともお酒弱いし、
杉村
自分自身もお酒本当に弱かったので、
お酒にここまでハマるとは思ってなかったんですけども、
やっぱりスズネが人生を変えた1杯ですかね。
杉村さんの趣味と情熱
kai3
すず音はそういう位置づけのお酒だなっていうのは、
確かに日本酒の価値観、イメージ変わりますもんね。
そうなんです。
先入観というか。
杉村
ちなみに昔、何年か前に、
そのことを読売新聞で書いたら、
一ノ蔵の人がえらく感動して、
うちにすず音の一番上のやつをたくさん送ってきたことがありまして、
大変ありがたくいただきましたね、あの時は。
kai3
今はそういう意味では、
クラフトビールの監修とかもされているので、
そこもやりつつ、
未だに多分全部お好きだと思うんですけど、
いけず石、クラフトビール、日本酒、醤油とかなんですかね。
杉村
そうですね、そういうのもあるし、
杉村
趣味で言うと、他にもインド映画が大好きで。
kai3
そうだ、インド映画だ。
杉村
ひたすらインド映画しか見ないぐらいの勢いで、
お前は映画はインドにしかないと思っているんだろうが、
他にもあるんだぞって怒られたりだとか、
するぐらいにはインド映画を見たりだとか、
あと最近、力を入れてるってあれなんですけど、
ここもう何年も、せっかく京都にいるんだからということで、
お茶を習っていまして、
茶道ですね、江戸千家というちょっとマイナーな流派ではある、
関西ではマイナーな流派ではあるんですけども、
そこのお茶会でお手前を先日してきましたし、
kai3
すごいな。
杉村
はい。
kai3
すべてがかなりの趣味を超えたレベルまで突き詰んだところがすごいですね。
杉村
まあ、余人には理解されないような変な細かい趣味もいっぱいあるので、
kai3
なるほど。
杉村
なんかすべてが何かにつながっているわけではなく、
本当に喋りはできるけど見せられない趣味だとかもありますよ。
kai3
面白い。
じゃあちょっとせっかくなんで、
その趣味のいくつかを深掘りしたいので、
それはまた別の回にするとして、
一旦ここは、僕はいろいろ杉村さんの今までが振り返ってすごくうまかったので、
ありがとうございます。
杉村
はい、ありがとうございます。
30:48

コメント

スクロール