「ゆとり」と国語教育
2026-05-22 18:01

「ゆとり」と国語教育

元サンデー毎日編集長・潟永秀一郎と毎日新聞出版代表取締役社長・山本修司、2人のジャーナリストによるラジオコラム。毎月第四金曜日には、元作詞家志望だったという経歴も生かして、潟永秀一郎がヒット曲の歌詞を読み解く「この歌詞がすごい」をお送りします。

※RKBラジオで毎週金曜日に放送している『立川生志金サイト』内のコーナーです。

メール ⁠kin@rkbr.jp

番組ホームページ
⁠https://rkb.jp/radio/insight_fri/⁠

番組公式X ⁠https://x.com/rkbkin⁠

番組公式Instagram ⁠https://www.instagram.com/rkb.rkbkin/⁠
Learn more about your ad choices. Visit megaphone.fm/adchoices

感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

サマリー

この記事では、日本の国語教育が「ゆとり教育」から実用的なスキル重視へと移行し、さらにAI時代に対応するため文学的感性を育む方向へと変化している経緯を解説しています。PISAショックを契機に論理国語が重視されましたが、AIが論理的作業を代替する可能性から、再び文学の重要性が認識されています。筆者は、PISAの順位よりも基礎研究力の育成や、ゆとり世代から輩出された多くの才能に触れ、教育の多角的な評価と長期的な視点の重要性を訴えています。

緊急告知と番組紹介
【関トモガズ】【藤原玉樹】【変身ラジオ】
【緊急告知】
【変身ラジオ】ですね、イベント化しようと。
びっくりしてる、びっくりしてる、びっくりしてる。
公開収録という話ですね。
5月の23日土曜日、昼ですね。
東京なんですけれども。
阿佐ヶ谷ロフトでですね、【超変身ラジオ】という公録をやりたいと思っております。
詳細はですね、今後決まってくれますんで。
SNS、ぜひ【空想大都市サラリーマン】と【藤原玉樹】と【関トモガズ】さんのXなどをチェックしていただきたいなと思います。
ということで、作戦司令部からの緊急告知でした。
国語教育の現状と大学教授就任
【岡田】さて、今日の学ぼう社会の鍵は、元三年毎日編集長、
ガタナガシ一郎さんにお願いをするんですけれども。
ガタナガさんはこの春からですね、大学の特任教授になられたということで。
あれだね、ガタナガさんなんて呼んじゃいけない。
ガタナガ先生だよ。
ということで、今日のテーマがですね、国語教育の今ということで、
どんなお話を聞かせていただけるんでしょうか。
ガタナガ先生、おはようございます。
【ガタナガ】おはようございます。
いやもう本当にすいません。申し訳ないです。
いやいやいや、すいません、お恥ずかしい話で。
肩書きこそそうですけど、実際のところはですね、前期と後期で1回ずつ授業するだけのですね、
講演会の演者みたいなもんですね。
【ガタナガ】いやいやいや。
メディアと経営みたいなテーマなんですけども、実は今月その1回目を終えて、
講義の最後にこの番組の話もしました。
【ガタナガ】そうなんですね。
聞いてねってお願いしたんですけども。
【ガタナガ】ありがとうございます。
ついでに余談で、この歌詞がすごいの話もしまして、
長く残る歌は歌詞がいいと。
本や新聞読んでほしいって言ったんですけれども、
それだけじゃなくて心に残る歌があれば是非歌詞も読んでみてほしいと。
そういう積み重ねが若い皆さんの心のヒダを増やしてくれるはずですという話もしました。
どこまで伝わったかわかりませんけれども、
私は10代から20代にかけて読んだたくさんの小説とか映画とか、
擦り切れるほど聞いた音楽とか歌詞とかに、私なりの感性を育ってもらったと思ってます。
お二人もそうじゃないですかね。
やっぱり青春時代にそういう見たものとか聞いたもの、読んだものって残ってるし、
あのあれですよ、僕の知り合いの方で会社の経営者、結構大きな会社、福岡でやってらっしゃるんですが、
ガタナガさんのコーナー楽しみに聞いてますっておっしゃってましたよ。
この歌詞がすごいよ。
ありがとうございます。
国語教育改革の背景:PISAショックとゆとり教育
いろいろしみじみ若い頃を振り返ってたらですね、毎日新聞にこんな記事が出てました。
高校の国語、再び小説重視、AI時代に感性をという見出しで、
論理的な文章や実用文を題材とする論理国語の方に偏った、
今の学習指導要領の構成を見直して、小説などの文学作品に触れる機会を増やすっていう案を、
文科省が中央教育審議会に示したっていう内容なんですが、
ちょっとピンとこないと思うんで具体的に説明しますね。
今の指導要領では国語で、1年生の一周は論理的実用的文章を学ぶ現代の国語と、
それから古典を中心に日本語の歴史や文化を学ぶ言語文化、この2科目ですね。
その後、主に2年生以降で学ぶのが、今言った論説文や評論、契約書などの論理国語、
それから小説などを扱う文学国語、古文、漢文を学ぶ古典研究、
それからディスカッションとかリポートなどを扱う国語表現、この4つで、
どの授業をするかは学校側に委ねられてるんですね。
ところが実際には解釈の仕方によって必ずしも正解が一つじゃないっていう文学作品の読解は、
大規模な試験には不向きということもあって、
大学入学共通テストで出題されるのは主に論理国語と古典探究の内容なんですね。
このため、特に新学校では文学国語を扱わない傾向があって、文科省によると、
論理国語と古典探究の履修率が7割を超えるのに対して、文学国語は5割を割ってるんですね。
つまり、高校3年間の国語の授業で小説や詩などの文学にほとんど接しない生徒が半数以上いるんです。
けれども今やAIの時代ですよね。
論理的な文書や契約書とか法的文書などの読解、それから作成はですね、
これAIが得意な分野で、実際私も契約書のリーガルチェックとか報告書の作成や要約などで結構生成AI使ってます。
一方でAIは理屈では割り切れない人情の機微とか揺れる思いとか、言葉とは裏腹な本音といったですね、
私たちが心と呼ぶ領域の理解や分析は必ずしも得意じゃないんですね。
なのでその前提に立つと多感な10代には、生成AIでどっちに代替されるかもしれない実務能力を高める授業、
こればっかりやらずに、人の心情を読み解いて考えて受け止めると、そういう力がつく文学の授業も増やそうと。
そういう話なんですね。先ほどのニュース。
ただ、高校の国語の授業が今の形になったのは4年前、2022年度からでして、
2018年に告示された新しい学習指導要領が、22年入学の高校1年生から適用されたんです。
それ以前は、国語総合という必修科目があって、論説・小説・古文・漢文を総合的にまず並んで、
他に現代文や古典漢文などが選択科目で設定されていました。
つまり、2018年の学習指導要領の改定前、教科書でいうと21年度入学の1年生までは、
国語の必修科目の題材に小説なんかの文学が入っていたんですね。
外れたのはここ数年で、2030年前後とみられる次の改定では、再び文学が必修科目の素材に戻ってくる見込みなんですね。
じゃあ、なんで前回2018年の改定で文学が必修科目から外れて、論理的・実用的な文章を学ぶ現代の国語に置き換わったのか。
これね、背景には大きく言って2つの事情がありました。
1つは産業界・経済界の要請です。
改定の議論が始まった当時、経団連などは、国語の授業が文学変調、なぜ主人公は泣いたのか的な情緒的な読解に偏って、
論理的に考えたり表現できる人材が不足していると訴えてですね。文科省の審議会にもそうした意見が反映された結果、
2018年改定のテーマは、社会に開かれた教育課程、あり程に言うと仕事に役立つ社会人としての基礎的能力に直結するっていう能力の育成に向けられました。
さらに、そうなった背景というか根拠の一つとされたのが、ピザショックです。
ピザじゃないですよ。
OECD、経済協力開発機構が2000年からほぼ3年ごとに実施している学習到達度調査でして、対象は15歳です。
参加している国は当初32カ国でしたけど、今80カ国以上です。
科目は国語というか読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシー、理科のほうですね。
日本の学科で言うと国語、数学、理科で、知識というよりもそれをどう実生活に活かせるかという活用力を重視しています。
日本は全体に常に上位にあって、特に数学と科学に関してはずっとほぼ追い得ないという高い成績を収めています。
ただ国語、読解力は他の2科目よりは低めの結果が続いてるんですね。
例えば2000年の第一回、数学は1位、科学は2位だったんですが、読解力は8位でした。
ただこの時は意外に低かったくらいの受け止めだったんですが、2003年の第2回では読解力が14位に急に落ちて、ここでピサショックという言葉が生まれたんですね。
2006年の第3回はさらに順位を下げて15位、しかもこの時は数学も10位、科学も6位に落ちて、
日本の学力低下は本物じゃないかという危機感が教育関係者の間で高まったんですね。
原因扱いされたのがゆとり教育です。
98年から99年にかけての学習指導要領の改定では、授業時間や学習内容をおよそ3割減らして、
総合的な学習の時間を設けるなど、知識の詰め込みから、自ら考える力のシフト、個性を伸ばすといったようなことを目指したんですけれども、
これによって基礎学力が落ちたという批判ですね。
結果2004年から文科省や中央教育審議会でゆとり教育見直しの議論が始まって、
第1次安倍政権間の2006年に、学校評価を義務化するなどを含む教育基本法の全面改定が行われて、
聞こえてますでしょうか。
大丈夫ですか。ごめんなさい。
翌2007年から全国学力テスト、学手学手といいますけど、これが始まりました。
2008年に告示された学習指導要領では、授業時間や内容を増やすなど、脱ゆとり路線がここで打ち出される。
じゃあこの間、国語読解力の順位はどう推移したかなんですが、2009年の第4回は8位と上昇するんですね。ゆとり教育見直し後。
2012年の第5回では4位へ急上昇しました。ゆとり批判派はこれやっぱり見直した結果だと言います。
ゆとりを推進した側からはですね、いやいや考える力を育てる教育が時間を経て身を結んだんだと言うんですが、どっちが正しいかは分かりません。
ただ、脱ゆとり教育が全面実施された後の第6回、2015年には再び第8位に下がって、2018年の6回ではまた15位に急落しました。
これが2回目のピサショックなんですね。話は最初に戻りますけども、この2回目のピサショックを受けて2018年に告示された今の学習指導要領で、
高校生は論説分野、評論や契約書などを素材とする現代の国語がこれが1年生の必修になってですね、小説などを題材とする文学国語は選択科目になったんですね。
繰り返しになりますが、より実用的な国語教育に重点が置かれたと。
AI時代における文学教育の再評価
記者の結果はどうなったかというと、22年の第7回では過去最高の3位に急上昇する。
要因は様々言われますけど、学習の面では記者の出題傾向に近い全国学力テストが定着して、
あと今の学習指導要領で記者が求める主体的対話的学びとか、論理的読解力を重視したことなどが言われています。
ごめんなさい、何かクドクドしたんですけど、日本の国語教育は2度のピサショックを受けて大きく変わって、
今は社会的な要請もあって、論理的な思考や実用文を重視しているわけですが、今度はAIの急速な進歩という想像を超えた社会の変化で、
AIでは代替できない人間性、人の心情を読み解き、考え受け止める力がつくとされる文学の授業を増やす流れに戻りつつあるわけです。
ただね、右を曲折上げましたが、私はこの人間性回帰とも言える流れは歓迎する一人です。
というか、そもそもピサの順位に一流するのもどうかと思っていましたし、
その対策みたいな授業やテストをして順位を上げてもあまり意味ないんじゃないのとすら思っていました。
それよりも山中信也さんが、日本では研究者の地位があまりにも低いと嘆いたり、
大墨よしのりさんが、このままじゃ日本からノーベル賞受賞者は出なくなると心配するなど、
歴代のノーベル賞受賞者が訴える大学の基礎研究力の低下の方が、私はピサの順位なんかよりよほど問題だと思っていますよね。
ゆとり世代の功績と教育への提言
最後に余談ですけど、学力低下で批判の矢表に立ったゆとり教育なんですが、
これ、世代的には1987年から2004年生まれ、ここがゆとり世代と言われています。
学校の周期2日制が月1回で始まって、10年後に完全導入されたのもこの時代でした。
特に1989年から1996年生まれがど真ん中の世代とも言われて、じゃあどんな人がいるんだろうと調べて驚きました。
まずはスポーツ選手がすごいんです。代表格はご存知、大谷翔平選手で94年生まれ。
鈴木聖弥選手も同学年ですし、テニスでは西郷慶選手、体操では内村浩平選手が89年生まれ。
格闘技ではボクシングの井上直弥選手が93年、フィギュアスケートの羽生譲選手が94年。
サッカーでは香川慎二選手が89年、柴崎岳選手が92年、南野巧選手が95年生まれなどなどですね。
これもう世界に羽ばたいた人ばっかりですよ。
ゆとり教育良かったんじゃないっていう。
ミュージシャンがまたこれがすごい。
米津玄師さんやオフィシャルヒデダンディズムの藤原聡さんが91年。
以下92年がキングルーの常田大輝さん、94年が夜遊びの綾瀬さん、95年があいみょん、96年がミセスグリーンアップルの大森茂さん。
その下には藤井和さんと。すごいでしょ。
この他ね、サッカーではインザメガチャーチで今年の本屋大賞を受賞した浅井涼さんが89年生まれ。
漫画家では呪術廻戦の悪民ゲゲさんと知恵相曼の藤本達希さんが92年生まれなどなどですね。
これまさにクールジャパンの代表格の方々ですよ。
人は世代で簡単にくくれませんけど少なくともスポーツやカルチャーの分野ではこれもゆとり万歳ですよ。
ここから見えるのは教育は記者の順位とか点数とかある一面だけで見ちゃいけないということ。
そして改めて教育人材育成は国の未来と直接結びつく大事な仕事だと痛感します。
山中さんが訴える大学の基礎研究の支援も含めて政治家の皆さんにはどうか目先にとらわれず国家100年の体系として教育を考えてほしいと心から願って今日は閉じたいと思います。
18:01

コメント

スクロール