議会の「常識」
2026-09-11 17:16

議会の「常識」

元サンデー毎日編集長・潟永秀一郎と毎日新聞出版代表取締役社長・山本修司、2人のジャーナリストによるラジオコラム。毎月第四金曜日には、元作詞家志望だったという経歴も生かして、潟永秀一郎がヒット曲の歌詞を読み解く「この歌詞がすごい」をお送りします。

※RKBラジオで毎週金曜日に放送している『立川生志金サイト』内のコーナーです。

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サマリー

元サンデー毎日編集長の潟永秀一郎氏が、28年前の長崎県議会での連載「議会の常識」を振り返り、現在の福岡県議会の問題点との類似性を指摘する。当時の長崎県議会では、質問項目の事前調整、不適切な視察、政務調査費の不透明な使途などが問題視されていたが、これらの問題は程度の差こそあれ、現在の地方議会にも共通する課題であると警鐘を鳴らす。特に、情報公開の遅れや、議会と行政の馴れ合い、そして低い投票率がこれらの問題を放置する要因となっていることを指摘し、有権者に関心を持ち、政策能力で議員を評価することの重要性を訴える。

福岡県議会の現状と過去の連載
さて、最近はですね、まあ福岡って、例えば東京、まあもう横浜ですけども、福岡って言うと、まあね、あのっていう、あの前は福岡はね、おいしいものがいっぱいあってね、安くて、あの都会でいいとこだねっていうあのだったんですけど、近頃、ほんと恥ずかしくてしょうがない。
福岡県議会ね、なんかゴタゴタが、いまだになんかスッキリしない、僕ニュース見ててスッキリしないなあって思いながら、またあのね、それこそ本当に抽選になったじゃない、投票の結果。
これ何してんのって思う、自民党県議団とね、なんだろうっていうぐらいに、何回福岡の評判を落としてるあの人たちですけれども。やめたからもう関係ないじゃないんですよって。
これにまつわる話をしてくださるということで、元サンデー毎日編集長、がたなか修一郎さんです。がたなかさんおはようございます。
はいおはようございます。私も記者やデスクとして福岡県内で15年暮らして、子供たち少年時代の大半は福岡で過ごして、今も博多弁ですので、私鹿児島出身ですけども家族にとってのふるさとって福岡なんですね。
だから修一さんと同じく腹立たしく残念なんですけれども、今日はその福岡の話の前に記者当時の私の連載企画、その名も議会の常識という連載についてまずちょっとお話ししますね。
全6回で1回目の書き出しはこうです。先生、今議会で考えられる質問項目はだいたいこんなところです。年に4回開かれる定例県議会の開会が近づくと、財政課の職員が一覧表を持って議会議会室を御用聞きに回る。本会議で質問に立つ議員へのサービスだ。9月定例会の一覧表は次のような内容だった。
ということで、もちろん私は実物を入手して書いたんですけれども、A4用紙2枚に各部局別の計70項目ほどがもうびっしり書かれていて、ところがですね、その中にマスコミに叩かれたり市町村と揉めたりした問題、これこそ聞かなきゃいけないんですけど、これはね、どこにもなくてですね。
どうしても避けて通れそうにない問題はただし書きで、ちょっとこれはこの方向から聞いてほしいという文言が付け加えられていました。
記事の続きを見ます。
さらに続きがあってですね。
「議会の常識」連載内容(1回目~3回目)
県OBはこういう、議場で質問しない人に限って裏での頼み事が多かったりするんですよ。
ここまでが1回目でして、2回目のタイトルは原案通り可決でして、この年ですね、ある土地買収で本来は議会の承認が必要なのに、土地を3つに分けて議会の承認がいらない額に下げて審議逃れしたりですね。
補助金の支出要項を改正する前に、前の支出要項では上限を超えてしまう金額の補助を出したりですね。
厳密に言うと違法な支出をしていた者まで、追認という形で原案通り可決したという例を挙げてですね。
こうした緊張感のなさが居眠りに現れると、私が実際に控室で聞いた議員の自慢話を載せました。
審議中に居眠りする議員は大勢おるが、委員長で寝たのは俺ぐらいやろうって言ったんですね。笑うには笑えない話なんですけれども、その後もオンパレードでして、3回目のタイトルは視察天国、福岡でも問題になった視察です。
「議会の常識」連載内容(4回目以降)と長崎県議会の改革
当時この県では国内の視察費が4年の任期中に議員1人当たりおよそ300万円。海外視察分がまた別に330万円。行き先は県外では北海道と東北、県内でも観光地の視察が多いんで、議会事務局になんでですかって聞いたらですね。
だって、もっと行かなきゃいけないとこあるでしょって思ったんですけれども、事務局は決して物見予算じゃありませんと。計画書に基づいて行動して、各委員会の初活事項に関する視察先で説明を受けて、終了後は報告書も出ていますというので、私議会図書館で報告書を閲覧したんですね。
結構呆れたんですけど、中にこんなのがありました。東北視察の中で岩手県の運転免許センターを訪ねてるんですが、報告書に書かれていたのがですね、業務内容①試験大型不通大徳大型二輪…②更新、県内に住所を有する者、有効期限の1ヶ月前から受理。これが報告書にあったんですけど、これ岩手行かなくても全国一緒なんですよ。
それでもですね、まだ視察は報告書が義務付けられていますけれども、4回目で書いた政務調査費は、当時で年間2億円近くが議員や会派に配られた板にも関わらずです。その使い道は議員に委ねられて一切非公開でした、当時は。
ネタバラシしますけれども、この連載を私が書いたのは1998年、今からもう30年近く前のことでして、舞台は長崎県議会でした。
ですから、今回の福岡県議会の問題を知って、私が最初に感じたのは、何も変わっていないということ。そして、程度の差こそあれ、似た問題は今も少なからぬ地方議会が抱えているんじゃないかなという思いでした。
その後、長崎県で政務調査費の使い道が窓口で見られるようになったのは2001年から、ネット公開は2014年からです。視察報告書がネットで見られるようになったのは2016年分からでした。
一方、福岡県議会は政務調査費が窓口で見られるようになったのは、長崎県から1年遅れの2002年から、ネット公開も同じく1年遅れの2015年から。
海外視察報告書に至っては、現職の議員になって以降の2023年度分から、ようやく今年8月までにホームページ上で見られるようになりましたよね。
情報公開の遅れと地方自治法改正
ただ、これらの情報公開は2000年の地方自治法の改正に追うところが大きくて、必ずしも議会の事情作用とは言い難い面があったんですね。
改正は、それまで法的根拠がなかった政務調査費について交付できる根拠を国が法的に定めたもので、
その代わりに自治体側は支給する額とか公開する方法なんかを条例で定める必要性が生じた。
ところが、このタイミングで一気に情報公開を徹底した件もあったんです。
この時、鳥取です。全国に先駆けて情報公開を進めていた当時の片山よしひろ知事の下で、2001年から1円以上のすべての領収書の添付と窓口公開を義務づけたんですね。
北川正康知事の下で議会改革を進めていた三重県では、2007年から同じく1円以上の領収書添付と公開を義務づけて、しかもこの時同時に議員の海外視察の開始までも踏み込んだんです。
もう20年以上前にそういうことをやってる件があるんです。
知事による議会改革の推進
私が尊敬する二人の知事なんですけれども、改革はお金の問題にとどまらず、私が28年前の連載で書いた議会と役所の慣れ合い、緊張感のなさについても、お二人はすでに当時改革に取り組んでいました。
例えば鳥取の片山知事は、議員からの質問と行政側の回答を事前に擦り合わせる事前調整をやめると宣言して、議場の外での寝回しを拒否しました。
結果として本会議や委員会はシナリオのない緊張感のある政策論争の場になって、議員も役に頼れないので独自の調査権力を磨く必要に迫られた。
また三重の北川知事も同じく事前調整を禁止した上で、2000年の議会から、今から26年前に議員の質問通告が出たら、その人が質問する前の日の午後には、県のホームページで公開する仕組みを作ったんですね。
そうすると寝回しのないガラス張りの論争が実現するだけじゃなくて、県民が質問内容を知るので議会に関心を持ってもらうという効果もある。
さらに感覚するのは、お二人はこうした改革を進めながら、トップが長く権力の座に留まる、派遣の弊害を自らずっと言ってらっしゃったので、ともにものすごい人気があった知事だったので当選確実なのに、2期8年ですっぱり引退したんですね。
でも改革の姿勢は県民が強く支持してましたから、どちらも後継者に引き継がれてですね。
とりわけ三重県では、その続いた呪わき彦知事時代に、全国の都道府県議会で初めて、議会の責務とか執行部との関係性などを定めた議会基本条例を制定してですね。
これ今や全国1000以上の自治体が制定してるんですが、そのベースになっています。
中身で特筆すべきは、議員の質問に対して知事とか答弁に立つ側が、その質問の根拠は何ですかといったふうに、逆に質問できる反問権を導入したことです。
これで議場はガチンコ勝負になります。こうして議会側にも厳しく対峙する一方、それまで行政側が勝手に決めてた県の基本計画などについてですね、議会の議決を必要にしたんですね。
これで議会も一緒に県のビジョン作りを考えるという仕組みを作ったんです。
また、その次の知事、就任当時36歳だった鈴木英恵知事時代には、議会の回帰中以外でも、議員が県政の問題や疑惑などについて正せる文書質問制度を作りました。
質問書が出たら知事は必ず回答書を出して、どちらもネットで公開しなければならないという仕組みなんですね。
福岡県議会の問題点と他県との比較
かたや福岡県ではご存知の通り、つい最近まで高額な海外視察が繰り返されて、それどころか任意の集まりである議員連盟に対して毎年度上限1200万円の補助金を出していたことも発覚しました。
全国で福岡県だけ公開義務のない第2の政務調査費、もっと言うと裏金とも言えるかもしれないですけども、出し続けてたわけですね。
一方で福岡県議会は九州の県議会で唯一議会基本条例を持たず、ですから執行部の判問権もなく、文書質問制度こそあるものの質問書と回答書がセットで公開されてもいません。
もっともですね、議会基本条例を制定していないのは福岡だけじゃなくて、他に東京、埼玉、山口など14都県あって、政令指定都市でも仙台、大阪、熊本の各市は未制定だったりするんですね。
ただ福岡県議会で今回これだけの問題が紛失したのは、制度の不備をおっしゃることながら、それ以前に議会と行政の慣れ合い、緊張感の無さが大きいと私は思います。
28年前の長崎がまさにそうでしたし、今長崎は違うと信じたいんですけどね。
投票率の低さと有権者の役割
最後に28年前の連載の最終回で、当時の若手議員は、有権者も頼み事への対応や観光総裁への出席とかじゃなくて、議員を政策能力で評価してほしいってこぼしたんですけれども、
ただそうした特定の利害や関係性で議員が当選できる最大の要因は投票率の低さです。
前回2023年の福岡県議会議員選挙の平均投票率は35.5%。福岡市内では30%切ってるところもあるんですね。
こうした無関心が慣れ合いや議員の特権を30年以上放置して、改革を進めてきた自治体との差がここまで広がってるんです。
今回西日本新聞さんのスクープをきっかけにほぼ全メディアの報道合戦となって、次々に問題が明るみに出たという意味では、メディアの役割も大きいわけで、
私長崎の後、福岡でも議会のことをちゃんと調べればよかったと不明を恥じるんですけれども、
ただ、あの程度の差こそあることは、おそらく福岡県議会だけのことじゃないと思います。
皆さんの住む市区町村はどうなのか、県外で聞いてくださっている方があれば、皆さんの県はどうですか。
議員だけじゃなくて、知事や市町村長は行財政改革や情報公開に熱心ですか。
来年統一朝鮮の年ですけれども、どうか関心を持ち続けて、確かな情報に基づいて投票にぜひ行ってほしいと思うんですね。
福岡に限らず、後ろぐらいところがある議員や首長が今一番望んでいるのは、きっと有権者が今回のことを忘れてくれることだから。
無投票当選の問題と今後の展望
忘れないぞ。
本当に投票に行かなきゃいけないというのと、もう一つは、無投票当選の人たちが多いんですよね。
投票する人がいないという、選ぶ人がいないという、これも一つ問題なので、こういうところもちょっと考えていかなきゃいけないと思います。
はい、ということで、がたがたしゅういちろうさんでした。どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
17:16

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