また、現代的なキャリア意思決定理論として、
ピーターソン、サンプソン、レンツ、リアドンさんらが提唱された
認知的情報処理アプローチ、CASVEサイクル、
これはC、コミュニケーション伝達、A、アナリシス分析、
S、Synthesize、統合、V、Value、価値、Execution、実行、
この頭文字がCASVEのサイクルを回していると、
具体的には伝達、自分が選択する必要性と、
自分は良い選択ができるということを知る、
分析、自分自身と自分の選択肢を知る、
統合、自分の選択肢のリストを広げたり狭めたりする、
価値、職業、仕事、学校を選択する、
実行、自分の選択を実行に移す、
このサイクルで意思決定が回っているんじゃないかというところが、
現代的なキャリア意思決定理論だということですね。
続いて社会的学習理論ですけれども、
クランボルツさん、ブランドハッピングスタンスという理論が非常に有名で、
これだけでも1本取れるぐらい有名な本ですけれども、
ご興味のある方はブランドハッピングスタンスを調べてみてください。
このクランボルツさんが代表的な社会的学習理論ですけれども、
職業選択は学習の結果であるという考え方が、
この社会的学習理論になります。
クランボルツさんは、職業選択構造は学習の結果であって、
過去に起こった出来事と将来起こるかもしれない出来事を結び付けて解釈した結果であるというふうにされています。
その要因を4つ挙げられていて、
1つ目が制徳的に持っている資質や能力、
人種とか性とか身体条件、性格、知能などですね。
もう1つが環境条件や出来事、求人数、雇用訓練機会、企業の採用、労働条件、労働市場など。
3つ目が学習経験、個人がやってみて得られた経験だったり、他人を観察することによって得られた経験です。
4つ目が課題アプローチスキル、問題解決能力、労働習慣、精神的構えなどです。
この4つが職業選択行動のプロセスに影響を及ぼすというふうに考えました。
社会的学習というのが、社会的に何かを学んで、その学びを基にして人間は動いているんだよという大きな考え方がベースになっているかなと解釈をしています。
人間は社会的学習をする生き物ですというところがベースになっているのかなと思います。
同じくクランボルツさんが提唱されたのが、先ほども申し上げたプランドハプンスタンス理論です。
これは人のキャリアは偶然の出来事によって左右されて、本にも予想しなかったことで興味が喚起され、学ぶ機会が得られ成長するものだよと。
したがって偶然に出会う機会を増やして、それを自分のキャリア形成に取り込み、その準備をするのが大切ですというそんな理論になります。
有名なので聞かれたことある方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
そんな偶然の出来事をキャリアに取り組むための資質が5つあって、1つ目が好奇心、2つ目が粘り強さ、3つ目が柔軟さ、4つ目が楽観性、5つ目がリスクテイキングだというふうにしています。
そんなハプンスタンス理論を発展させたのが、ハプンスタンスラーニング理論ですね。
この理論では4つのことが述べられています。
例えば、キャリアカウンセリングの目的は、クライアントの満足いくキャリアと個人生活を実現する行動を学べるように支援することです。
2つ目、検査・アセスメントは個人的な特性と職業的な特性を一致させるためではなくて、学習を刺激するために使用するんだということ。
3つ目、クライアントは予定外の有益な出来事を生み出す方法として探索的行動を取ることを学ぶようにする。
4つ目、カウンセリングの成功はクライアントがカウンセリングセッションの外で、現実の世界で何を成し遂げたかによって評価される。
こういった4つの命題をハプンスタンスラーニング理論では提唱されています。
クランボルツは、与えられた偶然の機会を主体的に捉えて活かして、新たな学習の機会を得られたり、キャリアが良い方向に向かうということを主張し続けた方ですね。
名言として、早く失敗し、たくさん失敗しろという、そんな書籍のタイトルであり哲学も掲げられたりしているぐらい、行動を偶然学ぶの大切さを提唱されていて、私も非常に共感するなと思います。
続いて、自己効力化理論で有名なのがバンデューラさんですね。
バンデューラさんは、死体という言葉を結果予期と効力予期というふうに分解をしました。
人は何かに期待をしてますけど、この期待って2つあるんじゃないということですね。
まず1つ目の結果予期、これはある行動が特定の結果をもたらす評価。
続いて、効力予期が結果を出すために必要な行動をうまく行えるという確信です。
つまり、期待の中の前半は、これやったらこんなことが起きるんじゃないかということですね。
後半がこれをうまくできるのかなということですね。
だから、なんか理論と行動みたいな感じですよね。
それが結果予期と効力予期ということで、この中で効力予期、後半の方ですね。
自分ができるんじゃないかということを思えるというのが自己効力観であるというふうに定義された。
これ、自己肯定観と自己効力観の説明でよくお話しされることかもしれませんが、
自己肯定観というのは、自分をあるがままで受け入れる、肯定するということで、
効力観は、やればできる人間だというふうに思えるかどうか。
バンデューラさんは、この期待を二分した中で、こうやればいいんじゃない、こうやればいいよう実行できるんじゃない、
この後者の方を自己効力観というふうに定義したということですね。
自分はある程うまく行えるという良き期待のことを自己効力観とバンデューラさんは呼びました。
そして、この自己効力観を高めるための4つの情報源も提唱されているので、ご紹介しておきます。
1つ目が、遂行行動の達成、自分の力でやり遂げた経験です。
2つ目が代理的経験、他者の行動を見聞きして学ぶ経験でモデリングとも言われます。
3つ目が言語的説得、言葉で示唆されたり励まされたり認められることです。
4つ目が情動的喚起、自分の情動に気づき心身ともに落ち着かせること。
この4つの情報源が非常に自己効力観を高めるために大事だとされているので、
ぜひご自身の自己効力観を理解して、そんなに高くないよという方はこの4つですね。
自分の力でやり遂げた経験をもう一度棚下ろしてみたり、何か他者の行動を見て学ぶことはできないか、モデルはいないかと考えてみたり、
誰かの言葉だったり文章で励まされたり認められることはできないか、
最後に自分の中の情動に気づいて心身を落ち着かせることはできないかという風に考えてみていただけたらなと思います。
では最後の大カテゴリーですね、多文化社会正義論についても理論家のご紹介からしたいと思いますが、
リチャードソンさん、フワードさんとビンガムさん、ナンシーアーサーさん、ワッツさん、ブルースティングさん、この辺りの方が述べられています。
まずはリチャードソンさんが提唱したのが多文化キャリアカウンセリング論になります。
リチャードソンさんは先に紹介したスーパーさんのキャリア発達理論はあくまで白人男性の中流階級を対象にしたものだという風に批判したんですね。
そして非主流の文化、少数派の考え方や価値観は社会の中心的な文化から理解されにくいということから、こういった多文化のキャリアカウンセリングの考え方が大事なんじゃないかという論に発展していったというところですね。
アメリカなど先進各国で国内の人種構成が多様になったところに担保して、1990年代から伝統的なキャリア理論に対しての批判が起こって、その代表的なのがリチャードソンさんのスーパーの理論の批判であったというところですね。
一般的なキャリア理論はアメリカ白人の主流の考え方に偏っていて、合理的、論理的、直線的な問題解決や長期的な目標設定を強調しすぎである。こうした議論をもとにフワードさんとビンガムさんという方がCACC、文化的に適切なキャリアカウンセリングを提唱しました。
具体的には7つのプロセスをたどっていて、クライアントと文化的に適切な関係を築く。キャリアの課題を特定する。文化的な要因の影響を評価する。適切な目標とプロセスを設定する。文化的に適切な介入支援を決定する。文化的に適切な意思決定を行う。計画を実行しフォローする。この7つのプロセスをたどっています。
そしてフワードさんが特に重視するのが、クライアントの文化をカウンセラー自身はどう考えているのかっていうメタ認知を非常に重視した。すなわちキャリアカウンセリングを提供する側のものの見方、カウンセラー側の中にあるバイアスを十分に意識するというのが文化キャリア支援の基礎となるよということを提唱したんですね。
なのでプロセスの5つ目と6つ目なんかに文化的な適切な介入支援だったり文化的に適切な意思決定を行う。要するに自分と相手の文化の違いを加味した上でバイアスを考えた上で支援をしましょうね、意思決定しましょうねということを述べているんですね。
これそうですよね。今別に日本の中で人種が一緒だとしても文化が違うとか考え方が違うっていうのは大いにあることかなと思うので、何も文化が違うということだけではないような気がします。続いてナンシーアーサーさんのCICCモデル、文化を取り入れたキャリアカウンセリングモデルの紹介もされています。これは4つの領域を示しています。
1つ目が自分の文化的アイデンティティを知る。2つ目、他社の文化的アイデンティティを知る。3つ目、作業同盟に対する文化的な影響を理解する。4つ目、文化的に対応した社会的に公平なキャリア支援を行う。ここでもCACCと同じようにキャリアカウンセラー自身の文化的なアイデンティティの自覚の必要性を説いていますよね。
クライアントとカウンセラーの共同関係を作るときに文化的な影響があるよということを意識するということがこのモデルのポイントかなというところですね。
さあ、このような多文化キャリアカウンセリングの論を日本ではどのように受け止めるべきかということもこの書籍の中では述べられていて、日本も他の先進国と同様に外国人の方が増加している。バブルを機に100万人を突破して以降、2020年には288.5万人まで急増しているみたいです。
外国人労働者の方も2021年時点で173万人もいるというところで、ベトナム人、中国人、フィリピン人の皆さんが特に多いよというところですね。
さらにLGBTについては、デンツーダイバーシティラボの調査によると、2020年12月6万名を対象に調査を行った結果、8.9%の人がLGBTQプラスに相当しているということのようです。
さらに貧困については、子どもの貧困率というのは13.5%なんですけれども、一人親世帯の子どもの貧困率は48.1%にも上ると、生活意識が苦しいとした世帯は54.4%だったということです。
日本も他の先進国と同様、ある程度まで多文化の国になりつつあると考えることができるんじゃないかとこの本でも述べられています。
そんな多文化キャリアカウンセリング論を一歩進めたのが、社会正義のキャリアカウンセリング論です。
これはこの本の著者でもある下村秀夫さんが提唱されている論になります。
この社会正義のキャリアカウンセリング論でよく引用されるのは、OECDのキャリアガイダンスの3つの目的になります。
このOECDは3つ、まずは労働史上より効果的に機能させるという目的。
もう一つが、教育訓練のミスマッチを防ぐという目的。
そして社会正義、社会的な平等や社会的な法説を推進するという目的。
この3つの目的でキャリアガイダンスが行われているんじゃないかというふうに述べたのが下村先生でした。
そんな社会正義のキャリアガイダンス論に大きな影響を与えた研究者は、ワッツさんという方です。
このワッツさんは、キャリアガイダンスの4つのイデオロギーの図式を述べられました。
縦軸・横軸で4証言のマトリクスが提示されていて、
まず縦軸が変革と現状維持、横軸が社会個人に焦点、変革現状維持の軸と社会個人に焦点の軸、この4つで証言を分けた。
歴史的に最も古いのが、現状維持×社会に焦点に位置するコンサバティブ・社会統制。
次に現状維持に焦点を当てながら個人に焦点を当てたリベラル・非支持的という証言がある。
続いて変革×個人に焦点を当てたプログレッシブ・個人的変化の証言があって、
最後にこのワッツさんが重視したのがラディカル・社会変革の証言。
つまり変革×社会に焦点を当てた部分ですね。
個人を対象とするのではなく、社会に働きかけ、社会をより良いものにすることで問題を解決する。
この視点をワッツさんは重視し、下村さんはそこに影響を受けているということのようですね。
一方でアメリカの社会正義論で最も重要な研究者はブルースティンさんという方です。
このブルースティンさんの提唱された社会正義論、ここで最も重要なのが社会階層です。
社会階層はブルースティンさんは忘れられた半分の声、学校から職業への移行における社会階層の役割という論文を出していたり、
キャリア意識が社会の階層によって全くとなるということをインタビューを行った結果として示しています。
例えば職業の意味を問うと、普通の若者は自分の能力に合った仕事というのがあってそれをやるということ、
自分がやりたいキャリアの領域があって自分の最大限の能力を生かすこと、これが成功だと思うというふうに語ったのに対して、
ローは社会的階層が低い若者は職業の意味はお金だと思う。浅はかだけどお金は大きな部分を占める。
重要なのはお金であり、それこそここから出かけて職業、仕事をする理由であるというふうに語っているということなんですね。
アッパーな若者にとっては自分の能力に合った仕事をすることが重要ですけど、ローは若者にとっては仕事をする理由はお金だと考えられている。
こういう社会階層によって違いが大きくあるんだよということも考慮すべきとしているのがこのブルースティンさんの提言でした。
他にも社会正義フレームワークというフレームワークが紹介されていたり、米国のカウンセリング学会の倫理要項なんかもここで触れられています。
この倫理要項の中には人の発達、ニアリー・イコール成長を考え、多様性を尊重し、その上で社会正義を進めるということが出てきていて、
多文化社会正義論、非常に抽象度が高い理論でしたけども、今の日本においても非常に重要な考え方が示唆されているかなというふうに思いました。
非常に長くなったんですけども、キャリアコンサルティング理論と実際の6定番の主にキャリア理論のところを取り上げて、
少し自己理解と途中絡めながらご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
キャリアコンサルティングを学んでいる方にとっては少しでもこれが参考になればなと思いますし、
キャリアコンサルティングに関心のなかった方もこれを機にキャリアっていうのは非常に人生の中で意味を持つものですし、
これまでの人生だったり仕事の棚下ろしからこれからの未来を作っていく上で重要な考え方だと思いますので、興味を持っていただけたら嬉しいなと思います。
今日はここまで聞いていただいてありがとうございました。また次回の放送でお会いしましょう。さようなら。