このスーパーも先ほどのホランドさんと同じか、 それ以上キャリコンの試験ではよく出てくるお名前かなと思います。
代表的な職業発達理論の研究者かなというところですね。
このスーパーさんですね、膨大な研究でキャリア心理学に対して貢献されたんですけども、 全体像をざっくりと分けると、一つ目が自己概念の発達、
二つ目がライフステージと発達課題、 三つ目がキャリアの幅と豊かさという形で全体像を分けて捉えることができます。
まず自己概念の発達ですけども、先ほどご紹介した銀ズバグさんの考え方を含めて、 様々な研究者の発達理論を整理して、この3つの大きな考え方を提唱されたんですね。
一つ目が、個人は多様な可能性を持っており、様々な職業に向かうことができる。
二つ目が、職業発達は個人の全人的な発達の一つの側面であり、 他の知的発達、情緒的発達、社会的発達などと同様、発達の一般原則に従うものである。
三つ目が、職業的発達の中核となるのは自己概念であるということだったり、 この自己概念を発達させて、それを職業として実現していくことが目指されているということを提唱されました。
ちょっと難しい表現ですけれども、自己概念というのは、自分のことをどのように認識しているか、 自己認識と近い言葉の意味として言われているかなと思います。
自分のことを自分でどう思っているのかというところを職業を通して実現していく、 自分の認知と実際の仕事を合致させるというんですかね、そういった考え方になるんじゃないかなと思います。
続いてライフステージと発達課題ですけれども、発達段階を5個に分けました。
まずは成長期、これは14歳までの過程で、身体的認知的社会的情緒的な発達に伴って、 観察とかロールモデルを通じて仕事の世界を学び始める、真似する、みたいなフェーズですね。
ここがうまくいくと、初期の職業的自己概念を確立して、 将来への現実的な方向感を持つことができるとされています。
続いて短給期、これは14歳から24歳で、 仕事の世界で自己概念、自己意識を実現できるのかっていうのを試していく段階ですね。
ここでうまくいくと、計画性ができたり、 うまく知識を持って決断できたりするというところです。
続いて確立期ですね。これは25歳から44歳、 結構長いですよね。20年近くを指していて、
当初の暫定的な職業コミットメントを、 安定したキャリアパターンに変換することが必要となるフェーズとされています。
ここでうまくいくと、安定した自己概念を反映した 成功パターンを確立することができるというふうにされています。
続いて維持期、これは45歳から65歳とされていて、 自分の成果を維持する段階です。
ここをうまくこなすと、積極的に仕事の活動を維持・更新して、 経験とか知識を若手に伝えるメンター的な役割になったり、
自己概念を実現するアイデアを仕事以外にも移し始める、 自己実現を仕事以外でもやっていく、みたいなところに入っていくようです。
そして最後、開放期、衰退期とか離脱期とも言いますけれども、 65歳からですね。これはリタイアを伴う年齢であって、
現役の労働力としての参加を減速させて退出していく、 そんな課題があるようです。
この段階で成功した場合は、自分の自己概念を 趣味的な活動で実現していくフェーズに入っていくということで、
まさにこの一生をかけたキャリアの発達段階を、 この5段階で整理されたのが、このスーパーさんの一つの功績かなというふうに思います。
そしてこのスーパーさんの活動の3つ目、 キャリアの幅と豊かさについては、
ライフキャリアレインボーという、 これまた有名な考え方で整理されました。
人は生涯において9つの大きな役割を演じて、 この役割を演じる舞台は家庭、地域、学校、職場で、
一つのこともあるし複数のこともある。 いろんな役割を人は人生の中で演じながら生きているんだよというところを提唱した形になります。
この9つの役割、具体的に何なのかというと、 子ども、学生、与家人、市民、労働者、配偶者、家庭人、親、年金生活者、この9つとされています。
いろんな分け方があるんですけども、この書籍ではこのように紹介をされていて、 このライフロールが被っていくんですね。
例えばですが、私で言うと今34歳ですけど、 親のライフロールもあるし、家庭人、配偶者のライフロールもあります。
労働者、市民、与家人のライフロールもあれば、キャリアコンサルタントの学びをやってますので、 学生というライフロールもあるし、子どもというライフロールもあります。
与家人というのは、あの与家を楽しむ、そんな側面も当然ありますから、 年金生活者以外の実に8個のロールを掛け持ちしているという、
そりゃ忙しいわなという感じですけども、 皆さんもこの9つのロールのどれを今掛け持ちされているフェーズにあるのか、
収入・教育水準が結びついているってことを 感じ取っていくらしいです。
意外と敏感に子どもも感じ取っているんですね。 こういったことをね。
そして14歳以降、青年期に入って内的な固有の自己、 性別と職業維新で区分けされた範囲内から興味などと照らして職業を選んでいくということみたいですね。
この段階では発達過程でいろんな価値観だったり、 さっきの社会的評価みたいなところで制約を受けているので、
何らかの妥協を含んでいくということから、 このゴッド・フレントソンさんはこの理論名に
妥協という言葉を入れて、制限妥協理論という風に されたというところになります。
以上がキャリア発達理論の代表的な理論のご紹介でした。
続いてナラティブアプローチまたはキャリア構築理論という部分を ご紹介していきたいと思います。
ここで紹介されているのがスーパーさん、ジェプセンさん、 コクランさん、ブロッドさん、サビカスさんですね。
またですね、先ほどキャリア発達理論でご紹介した スーパーさんが登場しますが、
現在のナラティブアプローチ及びキャリア構築理論にも 影響を与えたというところですね。
具体的には1954年に発表した 主題外相法TEMという理論を提唱されたみたいです。
このTEMですね、ちょっとややこしいので詳しくは触れませんけども、
過去を理解することで将来を予測していくという 発想で提唱した論みたいですね。
このナラティブというのはですね、 語りという意味の英語だったかなと思いますが、
その本人が自分のキャリアをどのように解釈して どのように語るのか、
そして未来に向けてどのようにキャリアを構築していくのかという その主観に主眼を置いた理論だと私は捉えているんですけども、
このスーパーさんのTEMではですね、 過去を理解して将来を予測していくという発想を打ち立てたというのが スーパーさんだったみたいです。
1951年当時ニューヨーク州の小都市に住んでいた中学2年生138人、 中学3年生142人を20年間追跡する計画を立てるということみたいですね。
実際にこれを実現されたのかどうかはここには書いてませんけども、
そういう過去を追跡して未来を予測するという考え方を 研究したというところじゃないかなと思います。
続いてジェプセンさんのストーリーとしての キャリア構築という理論が紹介されています。
これはスーパーさんのTEMに影響を受けたジェプセンさんが よりクライアントとカウンセラーの間の共同、一緒に働くことを重視しました。
これまでの生活の中で現れてきたテーマが その人の中でどのように今後展開していくかという点を重視したということなんですね。
ジェプセンさんは物語は常に時間的な側面、 つまり始まりから終わりまでの変化を伴う。
語り手としてのクライアントは時間的連続性の中で 場面、目標、活動、個性を関係づけるというふうに述べました。
またこういった例えもしてるんですね。
キャリアはノンフィクションの仕事経験小説であり、 小説や物語と共通するいくつかの要素で構成される。
例えばキャリアには著者がいる。 キャリアは時の経過とともに進展する。
キャリアはある場所を舞台として展開する。 キャリアには主役と脇役が登場する。
キャリアには筋書きがある。筋書きには問題の発生、 解決方策、主役の行動という3要素が必要である。
キャリアにはいかんともし難い障壁、重大な事故が伴う。 こういった要素を発見したというところなんですね。
続いてコクランさんという方のナラティブアプローチです。 これもこのジェプセンさんのストーリーと意味が近いですけれども、
物語、ナラティブということに意味を加えて強調した。
コクランさんはキャリアカウンセリングはあるキャリアの筋書きの中で どのような主人公を演じるかに関心を持たれました。
適切な声音は単にマッチングするだけでなく、あるドラマの中であるキャラクターを 演じることができる適切な乗り物のことでもあるというふうに述べたんですね。
まさにこの意味のある物語を構築して実践するのを支援するのが キャリアカウンセリングだというふうな態度を取ったのがコクランさんでした。
この物語があることによって関連する様々な出来事、エピソード、特性、特徴、 その他の要素が一つに統合されていくというのがナラティブアプローチの核となる考え方のようです。
コクランさんはキャリアカウンセリングにおけるナラティブアプローチの具体的な技法として アセスメントを進めていって、例えば職業カード相当、ライフライン、ライフチャプター、
評価グリッド法とラダリング、描画法、エピソード、ことわざモットー、成功体験、 ロールモデル、アーリーコレクション、ガイデッドファンタジー、
一つ一つちょっと説明は時間の関係でできませんけれども、 いろんなアセスメントの技法を用いてこのナラティブ物語を引き出していこうというふうに考えているのが コクランさんのアプローチかなと思います。
そしてもう一人ですね、ブロットさんのストーリードアプローチ。 こういった理論もご紹介されています。
このアプローチはですね、クライアントとカウンセラーが共同して人生のストーリーの意味を明らかにしていく というところをナラティブアプローチよりも強調しているというところで、
具体的には共構築、コ、コンストラクション、 脱構築、デ、コンストラクション、構築、コンストラクションという3つの展開を クライアントとカウンセラーが共同して行うということですね。
この共構築というのが、まずはクライアントとカウンセラーが ライフストーリーに織り込まれた意味を一緒に明らかにしていく。
そしてそこから次、脱構築。ストーリーに他者の視点が入り込む余地を開き、 異なる視点で確認してその捉え方の余地を広げていくんですね、クライアントとカウンセラー。
最後にまた構築、クライアントの未来の章を語ってもらう。 自尊心と能力に基づいた新しくより生産的なストーリーの構築を目指すというのがストーリードアプローチでした。
過去を読み解いて、新たな視点で意味を加えて、 その意味も踏まえた上で新たな物語を語るということなんですね。
そしてこの章で最後にご紹介されているのがサビカスさんです。 ホランドスーパーと並んでむちゃくちゃよく紹介されていたなというのが印象的です。
サビカスのキャリア構築理論ですね。 ナラティブ構築理論系のキャリア理論の中では一番よく知られている方だとこの参考書籍にも書かれています。
そんなサビカスさんが提唱された理論はいくつもあるんですけれども、 順に紹介していくと、まずはキャリアアダプタビリティという考え方です。
日本語にするとキャリア的合成とかキャリア的応勢と言います。 キャリアアダプタビリティは繰り返される職業選択、職業の変遷、仕事上のトラウマに対処するための個人のレディネスとリソース。
レディネスというのは準備、リソースというのは資源と定義されます。 キャリアアダプタビリティは目まぐるしく環境が変化する時代においてはいかなる環境にあっても、状況に合わせて適応してキャリアを作り上げていく能力が重要となるという前提に立っています。
なので繰り返される職業選択に対処するために準備と資源をあらかじめ明らかにしておきましょうねということかなと思います。 そんなキャリアアダプタビリティの具体の概念として、関心、コントロール、好奇心、自信、この4つが重要であるとされています。
キャリアに関心を持って、コントロールして、好奇心を持って、自信を持っている人は環境の変化や移行にも対応し、変化し続ける状況に適応できる可能性が高いというふうにされています。
先にダヴィスとロフキッドさんがPE Fitの理論を提唱されたということをお伝えしたと思うんですけど、サビカスさんによると、このPE Fitの注目していたパーソンとかエンバイロメント、人だったり環境ではなくて、その間ですね、ダッシュのところに焦点を当てるというのが重要だというふうに言っています。
というのも、PとEが完全にフィットすることはなくて、継続的にPとEに対する意味付けと解釈を変化させていきながら、次第に両者を近づけていくということを重視しているのが、このサビカスさんのキャリアアダプタビリティ、適応性、適応性の理論でした。
続いてサビカスさんの提唱されたのが、ライフデザインという言葉です。ライフデザインの考え方では、クライアントは言葉を選んで事故を構成し、事故概念を形成していく。人は事故を語るときに事故を構成するという考え方を大事にしたんですね。
具体的には、小さなストーリーを通じてキャリアを構築する。これらのストーリーを脱構築して、アイデンティティナラティブあるいはライフポートレートとなる語りを再構築する。現実の世界で次の行動へのエピソードへと繋がる糸を再構築する。
これもさっきのブロットさんのストーリードアプローチとちょっと近いところがありますよね。まずはキャリアを語って、その語りをいろいろな見方から見直して、その結果次なる新たなキャリアへのストーリー、将来像を共に作り上げて現実の行動へと移していく。