彼は刺激Sと反応Rの関連を研究するS-R理論を提唱して、この理論を応用すれば教育や訓練次第で能力を身につけることができるというふうに主張しました。パブロフの犬の実験で有名な古典的条件付けというのもS-R理論の代表例として紹介されました。
その後にSとRの間に、認知判断を挟むSOR理論、刺激・認知判断・反応という理論が主流となって、これが認知心理学へと発展していきます。続いて3つ目の大分類、ゲシュタルト心理学。ここでは理論家は2名ご紹介しました。
ベルトハイマーさんとケーラーさんです。ゲシュタルトはドイツ語で全体を意味する言葉で、全体を構成する要素の相和以上のことを生み出すという考え方がゲシュタルトです。ベルトハイマーさんは、バラバラな全体を単純な形として認識しようとする人間の心理をプレグナンツの法則として整理しました。
また、ケーラーさんが類人猿の実験を通じて、全体を俯瞰したときに対決法を瞬間的に見出す動作学習・覇体験の概念を提唱しました。続いて大分類の4つ目、精神分析。ここではフロイットさん、アンナ・フロイットさん、ユングさんという3名の理論家をご紹介しました。
フロイットさんは、人間の行動は無意識に支配されているという考え方を提唱しました。心の構造として、本能的欲動のS、現実原則に従ってバランスをとる自我、道徳や理想の超自我の3層構造を紹介しました。自我が崩壊を防ぐためにとる無意識の働きは防衛規制と呼ばれ、その代表的な10個のパターンを娘さんであるアンナ・フロイットさんが整理しました。
無意識を意識化する手法として、自由連想法と夢判断が用いられました。フロイットの弟子であったユングさんは、個人を超えた人類共通の記憶である集合的無意識の存在を提唱し、その表現パターンを原型、アーキタイプとして分類しました。
これ9種類あるんですけども、代表的なもので言うと、グレートマザー、大きな聖母みたいなイメージだったり、アニマ・アムニス、男性の中にある女性像と女性の中にある男性像ですね、とか影だったり、合計9種類の原型を提唱しました。
またユングさんは、外向型・内向型だったり、思考型・感情型・感覚型・直感型といった4つの機能の組み合わせで、性格を捉えるタイプ論を提唱しました。続いて5つ目の大分類、臨床心理学について、理論家はアドラーさん、ロジャーズさん、エリスさん、ベックさん、この4名を中心にご紹介をしました。
アドラーさん、嫌われる勇気という本で有名ですけども、行動は過去の経験や感情が原因ではなくて、目的を達成するために経験や感情を利用するというふうに考える目的論を提唱しました。
彼は、対人関係上の問題を課題の分離、自分と他人の課題を分けることを通じて整理したり、共同体感覚、他者への貢献を通じて幸せを感じることを持って生きることを説きました。
ロジャーズさんは、人は自己概念、自分のイメージと実際の体験が一致している自己一致の状態でいるほどストレスが少ないというふうに考えて、クライアントの自己一致する力を信じるクライアント中心療法、非支持的療法を創設しました。
この療法には、カウンセラーの無条件の肯定的配慮と共感的理解が不可欠とされています。また、認知行動療法の核となる考え方として、エリスさんのABC理論と論理療法、これは不合理な信念、イラショナルビリフを変えることで、AからCの繋がりが変わっていくという理論でしたよね。
また、ベックさんの提唱された認知療法、うつ病の患者さんの自動思考、勝手に思考してしまうことの歪みを訂正していくという療法なんかも紹介されました。
6つ目の大分類が認知心理学でした。理論科7名ご紹介していて、ミラーさん、ブロードベントさん、チェリーさん、バートレットさん、カーネマンズさん、ロフタスさん、シャクターさんをご紹介しました。
そもそも認知心理学とは、SとRの間にO、認知判断を挟む、先ほどご紹介したSOR理論を基本として情報処理の過程を扱う心理学です。
中でもミラーさんは、人間が一時的に記憶できる情報量に限界があるというマジカルナンバー7のプラスマイナス2チャンプという考え方を提唱したり、
ブロードベントさんは、情報が短期記憶に入るまでの間に処理される量が制限されるボトルネックモデルだったり、重要な情報だけを選択するフィルター理論、選択的注意という概念を提唱しました。
チェリーさんは、この選択的注意の例として、雑談の多い場所でも重要な情報に注意が向くカクテルパーティ効果を提唱しています。
また、バートレットさんは、経験に基づく価値観や枠組みであるスキーマが記憶や認知に影響を与えるというふうに論じました。
カーネマンさんたちは、論理的思考に見えても個人的な思い込みから生じる思考の偏りである認知バイアス、これは13種類あったんですけれども、代表的なもんだと現状維持バイアス、サンクコスト効果、事故防止バイアスなど、こういったバイアスの存在を提唱しました。
記憶の曖昧さについて、ロフタスさんという方が、記憶が簡単に書き換えられる虚偽記憶を提唱したり、シャクターさんは、人間は経験を正確に記憶することを求めていないという立場をとって、記憶の7つの罪、物忘れだったり妨害暗示などの記憶のエラーのパターンを整理しました。
続いて7つ目の大分類ですが、発達心理学、ここでは7名の理論家をご紹介しています。ピアージェさん、ギルフォードさん、キャッテルさん、エリクソンさん、ボールビーさん、デシーさん、バンデューラさんです。
ピアージェさんの認知発達理論では、子どもの思考を感覚運動器、0から2歳から形式的操作器、11歳以降までの4段階に分けて、発達段階ごとの世界観の違いを解説されました。
知能に関しては、ギルフォードが、情報処理を収束的思考一つの正解に到達すると、拡散的思考、アイデアを広げるなどに分類する知能構造論を提唱しました。
キャッテルさんは、知能を過励とともに衰える流動性知能、暗記力、計算力などを経験とともに上昇し続ける結晶性知能、知識や理解、言語力などに区分しました。
エリクソンさんは、人生全般の発達段階を8つのライフサイクルとして定義して、特に青年期12歳から20歳代前半のアイデンティティの確立、モラトリアムの重要性を説きました。
オールビーさんは、入院時期に養育者との間に築く愛情的な信頼関係を愛着と呼び、その欠如は母性剥奪と定義されました。
愛着障害の克服には安全基地の形成が必要とされます。
動機づけに関しては、弟子が行動そのものの魅力によって動機づけられる内発的動機づけが持続性を持つと述べました。
バンデューラさんは、他者の行動を観察することで学習する観察学習モデリングを提唱されたりしています。
続いて8つ目の大分類ですね。
人間関係の心理学、理論家は7名で、バスさん、ハイダーさん、ロスさん、フェニングスタインさん、スナイダーさん、ベスティンガーさん、ローゼン・パールさんです。
バスさんは、自分自身の内面を意識する指摘自己意識と、他者から見た自分を意識する公的自己意識の2種類の自己意識を提唱しました。
ハイダーさんは、出来事の原因を求める動きを貴族とし、原因を自分自身に求める内的貴族と、外部に求める外的貴族に分類しました。
ロスさんは、自分の貢献度を他者よりも高く評価してしまう自己中心性バイアスを提唱しました。
フェニングスタインさんは、自分が周囲から注目を集めていると感じる自己標的バイアス、自識過剰の概念を提唱しました。
スナイダーさんは、周囲の状況や相手に合わせて振る舞いを調整する度合いをセルフモニタリングとして、周囲に合わせる高モニターと、自分の信念を重視する低モニターに分類したりしています。
また、フェスティンガーさんは、他者との比較で自己を評価する社会的比較相対評価について論じました。
ローゼン・パールさんは、教師の期待が生徒の学習結果に、好影響をもたらすピグマリオン効果を実験で証明しました。
また、第一印象などの初期期待が実現化する現象を、予言の自己成就と呼びました。
続いて9つ目ですね。社会心理学については、理論家は2名ご紹介しています。レビンさんとフロムさんですね。
レビンさんは、人間の行動は個人の性格だけでなく、集団や環境、場に影響を受けるという場の理論を提唱し、その発展として集団力学を考察しました。
また、彼はどちらを選ぶか決められない状態をコンフリクト、対立というふうに呼び、接近と接近、回避と回避、接近と回避、この3つの対立パターンに分類をしました。
フロムさんは、特定の社会集団の文化の中で形成される性格傾向を社会的性格というふうに呼びました。