非常にこの真空乗着装置、真空乗着機と言われるんですけども、非常に高価です。
高い。
高い。お値段高い。
ですので弊社の工程の中で唯一、その装置のない機械になりますね。
今は乗着を頼んでいる。
外注さんにお願いしているような状態になっています。
むちゃくちゃ高いです。
何億円です。
手が出ないですね。
なかなかね。
僕らの業界って本当にこの真空乗着がないと、フィルムに金属光沢を付与できないので。
真空乗着機と呼ばれている真空乗着方法以外は、その乗着というのは存在しないんですか?
いやいや、スパッタリングとかそういうものも、いわゆる薄膜コーティングって言われるものの中に入りますね。
スパッタリング方式ではダメってことですね。
ダメなことはないです。
ただ速度がやっぱり真空乗着の方が圧倒的に速いので。
生産性。
生産性の問題等々で、やっぱり今一番向いている。
僕らの業界、そもそも以前にも説明しましたが、和紙に漆塗って金箔を貼り付けて、それを細切って糸にしてたという業界なんですけど、
昭和の30年代半ばぐらいにポリエステルフィルムっていうものが出来上がって、それに伴ってこの真空乗着という技術が確立をして、
飛躍的に僕らの業界っていうのは、工業製品として大量生産できるようになった。
それが僕らの業界のいわゆる第一変革期みたいな状態ですね。
今まで手工業をやったものが工業製品としてできるようになった。
ほんまに大量に生産できるようになったっていう形ですね。
この真空乗着という技術が確立しなかったら、今でも手工業ってことはないかもしれんけど。
ここまでの大量生産はできなかったよね。
その真空乗着ですが、金属は特別この金属じゃないとダメということはないんですが、
僕らの業界で流通させる金属としてはやっぱりアルミニウムというのが安価で加工しやすいっていうのがあって、非常にポピュラーに使われてますね。
うちの場合は後染めがメインということもあって、金属は銀ですね。純銀。
AGを使うことが非常に多いです。
前回も説明したように、透明フィルムにアルミ乗着を施した、いわゆる銀のフィルム。
これが先染め用なんかで使われるラメ糸に使われてます。
これはフィルム商社さんから僕らはフィルムを買うんですけど、
透明のフィルムのものを買ったり、あるいはアルミ乗着されているフィルムを買ったりというような形ですね。
アルミ、僕ら泉工業では後染め用のラメやから銀を使う。
それはなんで銀を使う必要があるんですか?
繊維製品って、特にポリエステルなんかはそうなんですが、アルカリ処理されることが非常に多いんです。
アルミニウムってアルカリに対して極めて弱いので、溶けよるんで。
ですので銀を使う。
アルミでアルカリ処理をすると、もう透明のフィルムに戻っちゃうってことですか?
そうそう。アルミが溶けてしまってなくなるようになって、
透明のフィルムになっちゃうので、後染めとか極端に言うと晒しでもそうやし、原料処理とかでもそうやし、
あと反応染色とかもアルカリを結構使いますから、
そういうときはアルミのワンプライの先染め用なんかを使っちゃうと、金属光沢がなくなっちゃう。
そういうときは後染めのものを使っていただく。
そのために銀が使われている。
あと一部鈴も使われてますね。
アルミよりは鈴の方がアルカリに対しては強いので、
鈴なんかもそれなりかな、そんなに多くはないですけども、使われている場合がありますね。
そのどのくらいの加工やったら耐えられるみたいなのが、鈴はまだちょっと強い?
うん、ちょっと強い。
強さ的にはアルミが弱くて真ん中に鈴がいて銀がいる?
そう。
それよりも強い銀はいるんですか?銀というかシルバー色は。
シルバー色か、ないんちゃう?
現状ではわからへん。ない。
銀色の金属だけでも限定されるんで、あとはその流通量っていうのかな、金属のね。
あまりにも希少性な金属やと、確かに銀よりも強いのかもしれないけど、手に入れるのが大変とかさ。
値段がすごいとか。
あと国家レベルの打ち合わせが必要とかさ。
しがらみがすごい。
大変そうなんで、そうなるとやっぱり手に入らないので、一般的には流通している銀を使うことが多いですね。
なるほど。真空乗着の個体から液体になって、それがフィルムにくっつくじゃないですか。
それがどれくらいのスピードで?
乗着は秒速何十メーターとかっていうような速度で。
めちゃめちゃ速いってこと?
めちゃめちゃ速いですよ。見えへんですよ。
じゃあ速度を変えるとそれだけトフ量多くなるってことですね。
そうそう、ゆっくり速度を落とすことによって爆発を上げるっていう。
速度を上げることによって爆発を薄くするっていう。
当然金属使用量が少ない方が単価は安くなるので、なるだけちゃんと銀色に見えて薄くっていうのは蒸着メーカーさんは一生懸命されてますね。
もう一つ、フィルムが通るじゃないですか。
上にフィルムが通ってるところに上に上がってきた機体がつく。
これはフィルムの上側って完全に壁に密着した状態に進んでるんですか。
マスクと呼ばれている、フィルムが通るところっていうのが限られた場所なんです。
そこだけ通ってきてるんで、きゅーっと上がってきて、言うたらどうみたいな、マスクやな。
穴の開いてる箇所がきゅーっと上がってきて、銀がくっつき寄るところの穴を通るよってやつだけがフィルムにつくんですよ。
それ以外は蒸着機の下側の窯の壁にピチャコンってくっつき寄るんですよ。他のやつらは。
その穴を通過したやつだけがフィルムにつき寄るね。
もうほんまに小さいってことですか。
細いって言うかな。
その上、これもうほんまに何百度何千度みたいな温度になってるから、フィルムを溶けてもらうから。
穴の上側に冷却ロールって呼ばれている。フィルムを冷やすためのロールがいて、
そのロールを接触したところの下に穴が開いてて、そこを通った金属だけがフィルムにつく。
口で言うの難しいな。
要するにその上の面はロールに引っ付いてるってことでしょ。
冷却ロールに当たったんですよ。
だから銀は突破されることはないってことですよね。
下側はその穴の開いたやつたちが来てそこについてくれる。
僕はもうあのすごいでっかい長いところを秒速で走ってるもんやと思ってた。
こんな小っちゃい、そんな細いんですね。
僕ら、特に僕なんかもそうやけど、子供の時からこの着色、前回説明させてもらった着色っていう工程になっている機械のコーターっていうものを見てるんで、
機械ってああいうもんやっていうイメージがあるんですよ。
初めて乗着機見たとき、ちっちゃって思ったからね。
ちっちゃいんですか。
それが見えてる部分って氷山の一角で、そこで作業してるんやけど、その下に氷河の大部分がいるみたいな。
下行くみたいな感じなんですか。
下が主装置なんですよ。
地上におるちょろんってした機械がそのフィルムに乗着してる。
秘密基地みたいな感じですね。
もう言うたら砂漠の中にスーパーハウスがポンってあって、その下に地底人がいるみたいな。
大都市みたいな。
そんな感じなんです。
そこで乗着されるわけですね。
そうなんです。
そのスーパーハウスの中で乗着されるんです。
でもその装置を動かしてる下が地底人が住んでいるところが州になるんですね。
本日お届けした内容は、
皇帝の中の乗着でした。
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この番組は提供後染めラメイトメーカー泉工業株式会社製作ジョブオールでお届けしました。