心の中のコミュニケーションの重要性
こんにちは。明治大学で生涯学習講座の講師をしています、遠藤美保です。この番組では、社会人や学生向けの生涯学習講座を10年以上行ってきた私が、日常生活でも活かせる心理学を、ポッドキャストでお伝えしていきます。
今回のテーマは、こちら。
「本物の親とは違う、心の中の「親」とのコミュニケーション」。
今回は、「本物の親とは違う、心の中の「親」とのコミュニケーション」のお話です。
お伝えしている心理学ですが、皆様にとっての日常的で身近な話題とも、自然とつながっています。
その見方・活かし方を、ご紹介します。
今回は、「本物の親とは違う、心の中の「親」とのコミュニケーション」について。
コミュニケーションは、自分以外の他の人とのものだけではない。自分の中で繰り広げられることもある。
心の中の「親」とのものは、本物とは違う。その仕組みを知ることで、何が起きているか、どうしたら良いのか、気づくヒントが得られます。
第1回目「承認欲求は、誰もが持っている原点」。
第2回目「心の仕組みは世界共通。誰もが持つ、親・成人・子ども」。
第8回目「承認欲求を満たし合う、コミュニケーション3つの法則」。
第32回目「コミュニケーションを一時停止する方法とメリット」ともリンクするお話です。
皆様は、自分に厳しいタイプですか?甘いタイプですか?そもそも、自分に厳しい、甘い、というのはどういうことだと思われますか?
いろいろな見方があると思いますが、今回は、心の中の親とのコミュニケーションに焦点を絞ってみます。
よくある学生時代、テストを受けた後の会話。
どうだった?できた?そう聞かれてこんな答え。
全然できなかった。すごくよくできた。
全然できなかった。という人もいろいろ。
謙遜してそう言っている人もいれば、具体的にできなかった箇所をあげて反省しまくっている人もいる。
すごくよくできた。という人もいろいろ。
根拠なく、なぜか自信満々の人もいれば、実際にチェックした上でよくできたと自信を持っている人もいる。
人にもよりますが、学生時代、一般的にはテストはそれなりのストレス、大人からのプレッシャーもある。
心の中で無意識のうちに自分なりの考えを巡らせているのではないでしょうか。
ああ、どうしてもっと問題をよく読まなかったの。
あそこ、もう少し注意を払えばできたんじゃない。
わからない問題に時間を使いすぎた。後回しにすればよかった。
事前の勉強が足りなかった。油断した。うん、頑張った。
とりあえず全部かけた。よかったんじゃない。やっと終わった。やった。などなど。
こんなよくある場面から考えてみることにします。
私たちの心の中には、親・成人・子ども、3つの状態があります。
誰でも、まずは生まれて育てられ、成長して大人になる。
その過程で心の中に出来上がるのが、親・成人・子ども。
親は、育てられた親や親的な役割の人から取り入れている状態。
成人は、<今、ここ>にふさわしい状態。
子どもは、子どもの頃の経験や決断が入っている状態。
ポイントは、親と子どもの中身は過去のデータ、成人の中身は現在のデータということです。
その時や場面、相手に応じて自然と使い分けています。
そしてコミュニケーションを取っているわけです。
このコミュニケーション、他の人とのやりとりだけではなく、
問題と対策の法則
自分の心の中の親・成人・子どもを使って、自分の心の中でお互いにやりとりをしたりもします。
先ほどの学生時代のテストの例。
ああ、どうしてもっと問題をよく読まなかったの?
あそこ、もう少し注意を払えばできたんじゃない?
このあたり、自分の心の中の親の声のように思えます。
わからない問題に時間を使いすぎた。後回しにすればよかった。
事前の勉強が足りなかった。
このあたり、自分の心の中の成人の声でしょうか。
油断した。うん、頑張った。
とりあえず全部書けた。よかったんじゃない?
やっと終わったよ。
このあたり、自分の心の中の子どもの声かもしれません。
自然と心の中でしてしまう会話。
登場する親・成人・子ども。
負担にならない程度の建設的な会話なら、特に気にする必要もないかもしれません。
ただ、延々と自分の中の親が子どもを責め続けたり、自分の中の子どもが親に反抗し続けたり、建設的ではないやりとりを繰り返してしまうなら、それは問題がありそうです。
というのも、現実の本物の相手とは違うからです。
自分の心の中の親も子どもも24時間ずっと一緒にいます。
その心の中のコミュニケーションに問題があった場合、とてもきつい。そう感じます。
対策としては、コミュニケーションの法則のうち2つ、1つ目と2つ目の法則を使ってみてはいかがでしょうか。
改めて振り返ってみます。
1つ目の法則は、親・成人・子ども、狙い、狙われた部分で反応し合う、やりとりをする法則。ストレートに続く、いつまでも続く可能性のある交流、やりとりです。相互交流とも呼ばれるやりとり。相互に補うと書いて相互交流です。
2つ目の法則は、私たちが心の中に持つ親・成人・子どもの中で、狙い、狙われた部分ではないところから反応する法則。ストレートに続かない、止まってしまうやりとり。交差交流とも呼ばれるやりとり。交差点の交差という字を使います。
親と子どもが延々と狙い、狙われた部分で反応し合うのは、1つ目の法則が当てはまります。
いつまでも続く可能性のある交流、やりとり。本物の相手であれば、物理的に離れている時間にお休みできるかもしれませんが、心の中の相手とはそうもいきません。だからこそきついわけです。
2つ目の法則を活用することで、ぜひ一時停止したい、させたい、心も休ませたいという場合、そんな場合はコミュニケーションの2つ目の法則、交差交流を活用することです。
どうすればいいか。狙い、狙われた部分ではないところから反応する、そうすればやりとりが止まってしまう一時停止。この場合、心の中の成人を活用する方法が安全かもしれません。
例えば、自分の心の中の声を、親・成人・子どもに分類してみる。これなどは、無意識のうちに成人を活用することになります。成人の比率も上がり、自然と親と子どもの会話を一時停止させることにつながりやすくなります。
私たちの原点、承認欲求を満たす刺激ストローク。ストロークの点から見ても、ストロークはそれを受けた行動を強化するわけなので、成人を刺激、ストロークを与えることでその比率が上がれば、それに伴う行動、引いては、思考感情も強化され、親と子どもの「行動・思考・感情」、コミュニケーション比率が下がります。
また、別の方法、他のアプローチとしては、心の中の親も子どもも過去のデータなので、そこに取り組んでみる、そんな方法もあります。
これらのデータは、取り入れた時点のものが基本的には入っています。現実は変わっている可能性も高いのに、入れ替えないで、ずっとそのデータを信じて使い続けているかもしれません。
そのことに気づくだけでも、成人が刺激されます。
例えば、現在の本物の親と素で会話をしてみる。
過去のデータの親とはこんなに違うのか。そんな気づきが得られるようになれば、それもまた成人が刺激され、心の中で延々と続く問題のある親と子どものコミュニケーションを一時停止させることにつながります。
心の中の親、そして成人、子どもについて、今一度意識してみることをお勧めします。
では、今回覚えていただきたいポイントは、
本物とは違う、心の中の親とのコミュニケーション、まずは気づくこと、そしていつもと違う変化を味わってみませんか。
ここまで聞いていただきありがとうございます。
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お相手は遠藤美保でした。
ありがとうございました。