1. LIFE UPDATE │ YOHEI HAYAKAWA
  2. Playback:面白いと感じたこと..
2021-11-14 21:43

Playback:面白いと感じたことを書く|石田衣良さん(小説家)(#2:2019年1月)

▼本パートのインタビュー映像
https://youtu.be/1ZB3qn5Xvvc

「1億総ライター、総クリエイター時代」と言われる現代、誰もが自由に発信できるようになったが、その対価で生計を立てられる人は、ほんの一握り。そんな世の中で、石田さんは、センスの良さと、お金を稼ぐことをトップレベルで両立させている稀有な存在だ。数々のベストセラーを生み出してきた彼の考える「魅力的な文章」や「センス」とは?

【石田衣良さんへのインタビュー】
Talk.1|センスと結果を両立できる人 https://youtu.be/df8hPqMP2X0
Talk.2|面白いと感じたことを書く https://youtu.be/1ZB3qn5Xvvc
〈11月21日(日)公開〉Talk.3|書いて生きる道を歩くには https://youtu.be/HMC2Rsr0GU8
〈11月28日(日)公開〉Talk.4|書く力の鍛え方 https://youtu.be/WtnCoRS6XVw

*この対談は2019年1月に行われたものです。

▼YouTube(映像)
https://www.youtube.com/c/kiqtas
▼Spotify(音声/毎週お気に入りの楽曲も流します)
https://bit.ly/Spotify_INTERVIEW_YH
▼Apple Podcast(音声)
https://bit.ly/Apple_INTERVIEW_YH

【石田衣良】いしだ・いら/1960年東京生まれ。
84年に成蹊大学を卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターとして活躍。97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール読物推理小説新人賞を受賞し作家デビュー。2003年「4TEEN フォーティーン」で直木賞を受賞。06年「眠れぬ真珠」で島清恋愛文学賞、 13年「北斗、ある殺人者の回心」で中央公論文芸賞を受賞。『アキハバラ@DEEP』『美丘』など著書多数。最新刊『獣たちのコロシアム 池袋ウエストゲートパークXⅥ』(文藝春秋)。
http://ishidaira.com/
『石田衣良 大人の放課後ラジオ』
https://www.youtube.com/channel/UCn4Pu8SUfcV3A5FrkwqyguA

▼11/29(月)「月末LIVE」開催中
Q&A、フリートークスペシャルをお届けします

▼番組への感想・早川洋平への質問募集中です。
(いただいた質問は、毎月月末のYoutube Liveでお答えいたします!)
https://bit.ly/INTERVIEW_QandA

▼「QR CAFE」(毎月開催)
「人生を変える一冊」を見つけに行こう
http://life-upd.com/cafe/qr4.html

【聞き手・早川洋平プロフィール】はやかわ・ようへい/新聞記者等を経て2008年キクタス株式会社設立。羽生結弦、髙田賢三ら各界のトップランナーから市井の人々まで広くインタビュー。近年は欧州を中心に海外取材を本格化するいっぽうで、戦争体験者の肉声を発信するプロジェクト『戦争の記憶』にも取り組む。公共機関・企業・作家などのメディアプロデュースも手がけ、キクタス配信全番組のダウンロード数は毎月約200万回。累計は3億回を数える。『石田衣良「大人の放課後ラジオ」』『横浜美術館「ラジオ美術館」』などプロデュース多数。 近年はユニクロやP&GなどのCMのインタビュアーとしても活動している。
https://linktr.ee/yoh.haya

#会う力
#石田衣良
#文章術

00:01
さっきのポジショニングって言い方も相手一緒なんですけど、そういう話もそうですけど。
やっぱりイラさんって、なんかその辺、すごいきっちり綿密にって感じはないですよね。
ないけどかといってなんかバータリ的って感じでもない感じがするんですけど。
だから自分のタイムペースでやりながら、ここはこうした方がいいのかなみたいなのを微調整しながら進んできたって感じなんじゃないかな。
なんか別に計画表があるとかじゃないですよね。
計画表ある人は大体小説家としてはダメな人が多いよね。
それは何でですか?
だってライブじゃないですか。生き物なので。
要は本を出す、それから世の中のリアクションが来るみたいなことの繰り返しの果てで、その作家の像っていうのがライブで決まっていくんですけど。
例えばラジオのフリートークの番組に自分で書いた台本持ってきて、ずっとその話だけしてる人ってもう二度と呼ばれないでしょ?
終わってますよね。
パーソナリティとして。
やっぱりその時の言葉のやりとりとか生き生きとその場で浮かんだ言葉っていうのがやっぱり一番強いんで。
それは小説なんかもそうなんだよね。ある時代の繁栄だったりもするし、その作家の置かれている状況の繁栄だったりするんで。
それがうまくはまった方がやっぱり基本的に生き生きとしたものになるよね。
仕入れっていう最初の段階に戻りますけど、いかにネタを仕入れるかっていうところですけど。
でもそれはあんまり考えなくていいと思います。
考えなくていい?
うん。ずっとアンテナを張っておいて何かしら引っかかってきますよね。
それこそ週刊誌の記事の一本でも、新聞の本当に5、6行の記事なんかでも短編とかになるし。
それよりは、量を仕入れるよりはそれを面白いと思う心をずっと持ち続けるっていうのが難しいんだよね。
そこですよね。まさにイラさんの池袋もそうですけど読んでて。
普通のことを、普通のことというかありそうなこと、僕ら感じていることを面白く書くというか、その視点。
そう、だからそれは逆に何かを面白がれるっていう心の状態を作っておかないといけないっていうことなんですよね。
僕この前タクシーの中でチラシあるじゃないですか。そのチラシにあれがあったんですよ。
引きこもりを解決する民間団体の。
なんか電話でみたいな。
そうです。要は国は何もしてくれません。
でも私たちがやれば、90何パーセントの確率でお子さんを外に出して仕事、就業するところまでちゃんと支援しますよっていう。
そんなのを見ると、あ、なるほど。そういうのもちゃんとビジネスになってお金を取れるんだ。
でもお金を取れるとなるとまたそこでいろんな問題が発生するでしょ。
というので、そういう団体に、例えば最近のブラック企業とかブラックセミナー系の、
例えば親を洗脳して、親にも子どもにもお金を引っ張ろうとするような設定で池袋の新作を今書いてるんだよね。
本当にちょっとしたことですよね。
そうです。大韓山から恵比寿に行く間のタクシーの中にあったチラシをスッと取って、それが本当に一本になるっていう。
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でもそれこそなんかネタないかなっていう視点じゃないわけですよね。
そうですね。なので逆に、いつでも何か面白いことないかなっていう気持ちはありますけど、
でもそれに必死になりすぎると逆に入ってこなくなっちゃうんで、もうちょっと軽い気持ちでいるっていうのがいいと思いますね。
そうですよね。そこですよね。
頭では、イラさんからも何年か前からこういうお話いただいて、意識とかわかってるんですけど、
だからそれを日々実践してそれを書くことしかないんですかね。
だと思いますね。それが結局仕事の型を作るってことなんで、型を作っておけばそこの中にいろんな素材を投げ込んで小説を書くことはそんなに難しくないんで、
特に池袋みたいに希少転結で最後に解決があるみたいな形ができてると楽は楽ですよね。
池袋って、これ今更の質問ですけど、最初着想したのって何がきっかけだったんですかね。
きっかけはもう本当に、それまでミステリーを一冊も書いてなかったんだよね。
フォロワーものを書いて、わりと純文っぽいのを書いて、ファンタジーを書いていて、
あ、そうか、オール読みものの生理新人賞がある。
そういえば小説現代の新人賞もやっぱ短編100枚ぐらいまでで、どっちもわりとミステリー系が強いよなっていうのがあったんですよね。
なので、じゃあ初めてミステリーでも書いてみるかみたいな感じの一本目だったんです。
だからあんまり謎解きも関係ないし、っていうところなのよね。
わりとよくできた精神小説に、一つ事件が絡んでいるぐらいのつもりで書いてたんです。
でもそうですよね。読んでる方としても。
アクションはあるけど、ミステリーはそんなないっていうね。
でもさっきの話ですが、幅っていうところだけど、まさにエンターテイメントあり、恋愛あり。
ほら、少年ものがあり、エロいのがあり、性愛も書きますし。
犯罪者、犯罪の4年ぐらい前に賞を取った北東。
そして今回リリースされる頃、不死鳥少年、戦争ものありっていうことですけど。
最新刊の不死鳥少年、毎日新聞の連載ですよね。
あれは、ずっとご自身の中で戦争ものを書きたいとかあったんですか?
あったんですよね。もう本当に昔なんですけど。
僕が高校生の時、高校2年ぐらいだったかな。将来の進路どうしよう。大学どっち方面がいいかなみたいなことを話しに、
うちの母親が僕の部屋に来たんですよ。わりとあったかい土曜日か日曜日の午後かなんかで。
話しているときにふと、うちの母親が東京大屈守の夜は本当にすごかったっていきなり言い始めて。
もう最初のうちは、東京に住んでいると十五の世界ですし、
まだその頃うちの母親は高校1年生か2年生なんで、そこの2年生でもう炎の中を逃げまくって、
要は戦争で死んだ人を最初に見たのがその日なんだよね。ずっと内地にいるわけだから。
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で、一人見た。二人見た。気が付けばもう毎回、
ねえ、なんでしょう、成仏してくださいとか、すみませんとかって言って通り過ぎていたのに、
もうその夜のうちに百二百っていう死体を見ることになるんで。
もう最後の頃には手を合わせるどころか、道に落ちている丸田んぼを越えるみたいにぴょんぴょん飛び跳ねながら、
死体を越えて逃げたっていう風なのを知るをチラッとしてたんです。
で、それを聞いて、ああなるほどなあ、ちょっといつかそれはきちんと書いておいてもいいなあみたいな気持ちがあったんですよね。
それはなぜ去年というか。
いや、それはもう実は40年、今から10年ぐらい前から資料をコツコツ集めてはいたんですよ。
ああ、そうなんですか。
本屋さんに行くたびに東京大工市のコーナーに行って、こんな面白い本があるなあみたいな感じで集めて、
で、そうなっていたときにちょうど毎日新聞から連載をしないかって言われたんで、
ああ、でも新聞連載にそういう大きなテーマはぴったりだよなあっていう感じで書き始めたんですね。
今ね、その仕入れのところの話とちょうどリンクで聞きたかったんですけど、
そういう意味ではもうはるか数十年前にその種があって、
で、その後10年ぐらい前からイラさんの中でなんとなく資料を集めてて、
なんかその寝かせるというか泳がせるというか、
そうですね。
そういうものってなんか僕なんかやっぱりどうしてもビジネスビジネスの考えになっちゃうから、
すぐ仕入れたらすぐ使うとか、なんかそういう何かを考えちゃうんですけど、
そういう視点だと物を書いていろいろ作っていくのってちょっと難しいのかなと思っちゃうんですけど。
そうですね。だからリアルタイムで例えばレイヤーマンとか池袋とか、
その時の事件だったりで書きますよね。
でも今回のみたいにその歴史的に確定してしまっている事実を素材に書くっていうのは調べ事もたくさんあるし、
特に戦争に対するスタンスだったり、空襲に対する差別迫撃とかね、
そういうものに対するスタンスを決めてちゃんと書かないといけないんで、
そういう意味では焦るよりは時間をたっぷりかけた方がいいよな、
もうちょっと余裕ができてからの方がいいなと思って書いてるんですよね、今回は。
一応良かったんじゃないかな。面白かったですよ、すごく。
そうですよね。
なんかこう、基本的にイラーさんに作品いろいろお話聞く時に、
いわゆるザ取材みたいな感じで、なんかそういうのはあんまりやってないっていう風に昔聞いたんですよね。
その資料集めたり、間接的にさっきみたいな感じで多分話聞いているとかあると思うんですけど、
今回のこの作品もそんな感じなんですか?
つまり戦争体験者の方にまた取材したとか。
ないですね。戦争体験者に関してはね、東京大空襲の手記は山のように出てるの。
なのでそれを読めば足りるのと、ただ今回の場合はその夜逃げる、
主人公たちがですね、家族みんなで逃げる道っていうのがあるんですけど、
その道をもう一回歩き直して、禁止庁、禁止公園の周りなんかは取材に行きましたね。
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やっぱりそういうロケ版とはちょっと違うけど、その空気を感じるみたいな、
そういうのは結構大事にしてるんですか?
大事ですね。それは例えば北朝鮮の時の裁判官、裁判所の傍聴とか、
明日のマーチの時なんかは山形に行って、山形から海沿いに戻って、
新潟から東京に戻るっていうルートの旅をしましたね。
歩いてそこを帰ってくることになるんで。
やっぱりその感じた、感じることが大事なんですよね。
その場に行って本当に空気感だったり、雰囲気だけちゃんと見てくればいいんですよね。
その細かいことは別に後で調べられるんで。
ただ、例えば夏の山形の温度の感じ、日本海側の海の色の感じとかっていうのは、
ネットとかで見ても全然わかんないじゃないですか。
山形の人口何万人、山形から新潟まで海沿いに歩いて何キロみたいなのが
すぐ調べられるけど、日本海の海の色ってね、
ちょっとやっぱり独特の鉄色っていうか、ちょっと暗い青なので、
そういうとんなんかは見に行かないとダメですよね、写真ではね。
もし取材というか、資料はOKだとしても、
実際現場に一個も行っちゃいけないみたいな括りの小説書けって言われたら書けますか?
書けますよ。
ネムネムシンジの最後のシーンはタヒチのホテルで再開するんですけど、
あれなんかは行けたら行きたいなと思ったんだけど、
すぐにもう最終的に締め切りが来ちゃって行けなかったんだよね。
なのであれこれ調べたのと、
あとは実はうちの姉がエイルフランスでタヒチ便に飛んでるんですよ。
毎月のようにタヒチに行っていたんで、
タヒチのシンジ売りの感じの人たちってどんなの?みたいなのを聞いたら、
いや本当に街にいるアロハ来たお兄ちゃんが銀のアタッシュケースを持って、
パカッと開けると中にシンジがずらりと入ってるんだって。
で、その男たちもみんな、
日本みたいに金属で綺麗な留め金で留めるみたいなものじゃなくて、
ごっついシンジに真ん中にグーンってドリルで穴を開けて、
そこに革の紐を通してつけてるの。
それは基本的に真よけの思いなんだって。
悪いことを避けるための宝飾品というよりは。
なので、そういう感じのシンジの首飾りいいよねみたいなのは話で聞いて取り入れたりしながら、
あとはもう観光ガイドを読んで、こんな感じだねっていうので書けちゃいますね。
そうか、だから究極的には体験しなくても書けるってことですね。
いやもう全然書けます。
だって火星の話みんな書いてるじゃないですか、アメリカの作家。
火星探検団、火星基地が危機に陥って一人生き残ったみたいな話を書いてるけど、
全部空想ですからね。
そうすると、やっぱりこうなんですかね。
特に小説はそうでしょうけど。
ネタ仕入れるって僕切り技使いましたけど、
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やっぱりどこまで行っても基本的には自分の中にあるというか、もしくは自分の周りにあるものからどう作るか。
あとはそれこそ自分の想像力ですよね。
いかに生々しく作るか。
ミステリーの作家も誰も殺人はしていないんで、
みんなその気分だけで書いてるわけですよ、想像力と。
こういう理由で人を殺すだろうとか、殺したらこんな手応えだろうみたいなことを書いているんで。
そういう点では、あんまり取材をするとか体験談を聞くとか、
自分で体験するみたいなことを重視しない方がいいと思いますね。
そうすると逆に、確かにそれは悪くないんですけど、
それありきでは頼りすぎて自分の中から出なくなりそうですよね。
だいたいそういう人はデビューから5年ぐらい潰れちゃいますね。
自分の体験したことが吐けないとなると、もう本当に辛いんで。
やっぱりどこかで小説かフィクション、想像力をもとに
嘘の世界を全部作り上げる自分でっていう、それが必要なんですよね、そういう覚悟が。
なのでそれはでも、書き手はみんなそうなんじゃないかな。
まさにそこの対極かなと思うんですよ。
僕その新聞記者やってて、何年かライターもやってて、
ちょうどそういう自分でエッセイとか、小説じゃないですけど、
書くときにまさにそこが決定的に正反対だったから、
全然出せないというか、ネタがないと書けないみたいな感じがあると思うんですよ。
それをやってないからっていうこともある。
だからそれはあれですよね。ベクトルが事実に行くか、想像に行くかって逆ですけど、
でも書くっていう上では僕そんなに本当は変わらないと思うんですけどね。
事実を調べるって言うけれど、その事実も本当の本当のところはなかなか難しいじゃないですか。
見方によって本当に変わってしまうし。
あるいは事件であれば被害者とか害者からだったら見え方は全く違いますから、
実際殺人事件ってよく起こりますけれど、
殺される方がこれはひどいよなみたいな事件は山のようにあるんだよね。
そうかそうですね。
イラさんがよくさっきもおっしゃったキーワードで自分を話す。話さないと小説書けない。
他の小説家の方も近いことを言ってたんですけど、
自分を話すって言うと逆に大局にあるジャーナリストが記事を書く時もそういうふうに思うんですけど、
今の話でいくと、そういうことじゃないってことですよね。
もうちょっと事実である、想像であるみたいな括りに縛られなくていいような気がするんですけどね。
どっちでもいいので。
正直これを読んでる人でビジネスマンだったら企画書書くじゃないですか。
企画書ってどれだけ事実に基づいてるかって言われたら、
これをやったらこれいい商品ですから、絶対面白いしヒットしますよみたいなこと言ってるけど、
そんな別に事実じゃないですからね。
統計的にこういう人が何万人います、クライアントになり得るかもしれませんぐらいは言えるけれど、
300万人のお客がいたらこれ300万個入れますなんて大嘘だし、
そうすると商品の企画書でさえ、やっぱりもうはっきり言って創作とか妄想に近い世界ではあるよね。
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例えがいいか分かんないですけど、
ちょうど僕も今いつもお風呂にバッソルトというかエクストームソルトというものを入れてて、
やっぱりすごいいいって言われてて、形あるものは商品あっていいなと思って、
僕結構無形のものがサービスなので思ったんですけど、
ついでに朝考えたら、このエクストームソルトもある意味無形だなと思って、
形としては仕様だけど、効果があるかっていうのは、皆さんお知らせです。
統計的にあるかもしれないけど、究極的には分からないですよね。
もう漢方薬と一緒ですね。その漢方が合ってる人は飲めばいいし、
ほとんどの場合は飲んではあんまり効かないし、はっきりしないよねみたいなね。
そういう広い意味で言うと、小説はもちろんですけど、いわゆるノンフィクションと言われているものも、
誤解を恐れずに言えば、ある意味創作的なところはありますか?
ありますね。ノンフィクションほど、その人の個性とか作家性が出ません?
例えば沢木さんのエッセイ、あるいは石井孝太さんだっけ?
もうみんなそれぞれの人が選ぶテーマも、この人だったらこういうの選ぶよなって思うし、
文体にもものすごく個性が出てるよね。
逆にアノニマスな小説、無機名なやつあるじゃないですか。
駅のホームの売店で売っている2時間ドラマを本にしたようなミステリー。
ああいうものの方が無機名だよね。個性が出てないような気がする。
確かにそうだよな。その中で、どこまでも難しいにしても考えざるを得ないんですけど、
ネタ仕入れてる時もそうですけど、やっぱりそれが受け入れられるかとか、
その辺は無理です。
自分が面白いと思ったんだから、誰かが面白いと思ってくれるに違いないと思って書くしかないんだよね。
そこを意識せずにというか、ある意味プレイせずにというか。
それよりは自分なりの面白さの世界をどんどん深く豊かにしていくしかないんじゃないかな。
あんまり尖りすぎても良くないからね。
まあその母数とか実際それでどのくらい経済的に売ろうかはさておいて、
でもある意味そういうふうに自分でブレずにというか、狙いすぎたり、どっちつかずになるよりは突き進んだ方が。
だから要はそれこそ淡々と書いて、
自分なりの本屋さんだったり、出版の本の大きな世界の中でも自分のボリュームをちょっとずつ増やしていけばいいんじゃないってことだと思うんだけどね。
仕入れっていう今切り口もちょっと来ましたけど、漢字のより具体的な料理というか、
執筆するときっていろんな大事にしなきゃいけないことあると思うんですけど、
構成、それは小説で。
いや僕ね構成あんまり得意じゃないんだよね。
そうなんですか。
18:01
だからそれこそ海外の作家はプロットを半年考えて書くのは半年とかってあるじゃないですか。
日本人の場合はそういう場合書くのは半年で書いたって言うんだよね。
プロットを考えている半年とかはあんまりね、創作の中に入れないの。
要はなぜかというと、プロットを緻密に組んで書くタイプの人が本当に少ないから。
日本人はなんかそういうの苦手みたいね。
じゃあそういうふうに作り込んだものが面白くないってわけじゃないってことですか。
じゃないです。
それは論伝外資の素晴らしいやつとか、
なんだこんな新しいトリックがあったのかっていうのは、
成り行き任せで書いてたら絶対出てこないんで、最初に考えておかなきゃいけないんですから。
でも何らかの、いわゆる構成はなくても、
僕何かで見たんですよね。
オースのDVDで見ましたけど、キャラクター設定書みたいな。
ああ、ありますね。
それはほぼ毎回それに近いものを作ってるんですか。
そうですね。こんな人が出る。で、この人たちがどう絡む。
要はその人物同士の間に、事件でも対立でもいいんですけど、
何かしらの葛藤が生まれていないと、小説って前に進まなくなるんで。
それは恋愛でも事件でもいいんですけど、何かしら欲しいよね。
それはストーリーとか、大枠固まってるにしても、見えてない中で人をまず決めるっていうのは何なんでしょう。
いや、でもそれは逆に、書いていくうちに、だんだんとこの人が分かってくるっていうのもあるんですよね。
で、その書いていくうちにキャラクターが進化するし、
あ、こいついい奴だなみたいなのをみんなに分かってくると、
最初のうちは分からないけど、この人物のことを好きになってくれるわけだし。
例えば三岡みたいなものでも、最初は分かんないよね。
この女の子何なんだろうみたいな感じで書いてるから。
平田さんも分かんない。
それを書く中で、自分で感じて動いていくみたいな。
そうですね。だから小説は本当にちょっと、書き手にとっても予測がつかないところがあって、
本当にどう来るのか分かんないんだよね。
そこは面白いとも言えるんでしょうけど。
逆にエッセイとかは、長さも全然違いますけど、
エッセイエッセイで構成すら考えない?
あんまりエッセイの場合は逆に考えないよね。
どういう感じで作るんですか?
エッセイはその時、つれつれになるままに思ったこと、考えたこと、感じたこと、体験したことを、
スルッと面白おかしく一息で読めるように書いて、
結論を出さずにブツッと終わっちゃっていいんですよ。
結論出さない?
結論出さないで放り投げてもいいし、結論出してもいい。それは自由なので。
だからそういう意味では、文章の流れとか感情だったり、
気持ちの流れみたいなものをあんまり途切れせずに書いた方がいいのかなぐらいの感じですかね。
ただその面白おかしくってポイントじゃないですか。
そこの何か大切なことってあるんですかね。
思いのままに書くだけだと独りよがりになるかもしれないし。
エッセイの場合は何としてもユーモアがほんと欲しいんですよね。
21:03
そのユーモアっていうのは、自分の置かれている状況だったり、自分の考えだったり、
自分の感覚をちゃんと笑えて受け入れられる。
よく外国の人がしょうがないよって言ってこうやって肩をすくめますよね。
そういうのをちゃんと自分にもこの世界に対しても持っている人が、
エッセイっていいんじゃないですかね。
次の動画でお会いしましょう。
またね!
21:43

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