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2024-03-04 13:01

【著者の声 #19】『小説家としての生き方 100箇条』 │吉本ばななさん(小説家)

▼映像版はこちら
https://youtu.be/-xTiOW-LdOo

【著者の声シリーズ】
人生を豊かにする一冊を書いた著者のお話を届けることで、
ひとりでも多くの人にほんと著者の方の魅力を知ってもらいたい。
そして本の世界を元気にしたい......

石田衣良と編集部の思いから立ち上がったプロジェクトです。

【吉本ばなな】よしもと・ばなな
1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。
87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。
著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。
noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。
『小説家としての生き方 100箇条』(吉本ばなな/NORTH VILLAGE) https://amzn.to/3HzFvFs
note(どくだみちゃん と ふしばな) https://note.com/d_f/m/m91df6ae09447

【吉本ばななさんへのインタビュー(全編)】
再生リスト | https://www.youtube.com/playlist?list=PLh7eiOWS7pygQpjEZicZ7270BjpyqRw13

【聞き手/早川洋平】
はやかわ・ようへい/1980年横浜生まれ。新聞記者等を経て2008年キクタス株式会社設立。羽生結弦、コシノジュンコ、髙田賢三など世界で活躍する著名人、経営者、スポーツ選手等ジャンルを超えて対談。13年からは「世界を生きる人」に現地インタビューするオーディオマガジン『コスモポリタン』を創刊。 海外での取材を本格化するいっぽうで、戦争体験者の肉声を世界へ発信するプロジェクト『戦争の記憶』にも取り組む。
公共機関・企業・作家などのパーソナルメディアのプロデュースも手がけ、キクタス配信全番組のダウンロード数は毎月約200万回。累計は3億回を超える。『We are Netflix Podcast@Tokyo』『横浜美術館「ラジオ美術館」』『石田衣良「大人の放課後ラジオ」』などプロデュース多数。近年はユニクロやネスレ、P&GなどのCMのインタビュアーとしても活躍。 外国人から見た日本を聞く番組『What does Japan mean to you?』で英語での発信もしている。
https://linktr.ee/yoh.haya

【石田衣良 大人の放課後ラジオ】
小説家石田衣良が、若い仲間たちと大人の放課後をテーマにお届けする、自由気ままな番組です。映画・マンガ・本、音楽など最新カルチャーから、恋愛&人生相談、ほんのり下ネタまで、日常のひとときを、まったりにぎやかにするエイジレスでジェンダーフリーなプログラムです。

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00:00
考えるっていう感じとも違うんですか?やっぱり感じるんですか?
考えるとはちょっと違いますね。考えたら考えるほど大丈夫なことでも絶対ダメなことってあるし、どう考えても大丈夫に見えても、すごく困ることってあるし。
なんかその辺の判断は本当に難しいんですけど、特に仕事だと、それぞれの人たちがそれぞれの視点からすごく固く見てるから、物事、本当に難しくなるときあると思う。
さあ、今日は事務所にお伺いして、吉本ばななさんにお話をお伺いしたいと思います。
ばななさん、よろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
個人的な話で恐縮ですが、10年ぶりにここにお邪魔してお話を伺うということで、大変緊張しているんですけども。
ばななさん、今まで10年ごとに誰かにインタビューを受けるとか、何年ごとにとかっていう機会ってあります?
あんまりないですね、そう言われてみると。でも全然変わらないですね、10年経っても。
本当ですか?誰かと勘違いしてるとかないですか?
してないので覚えてます。
光栄です。ありがとうございます。
今日はですね、昨年リリースされた、「小説家としての生き方100カ条」について、メインでいろいろお話を伺っていきたいと思うんですけども。
小説家としての生き方っていうタイトルを見た時に、やっぱり小説家死亡者の人の本なのかなって、何のバイアスもなしに僕は受け取らせていただいたんですけど。
実際配読すると、やっぱり当然小説家を目指している方はもちろん、個人的には良い意味でイメージがちょっと違ってて。
バナナさんがいかに人生において身体性とか、もっと言うと肌感とか、そういったものを大切にしてるのかなっていうことを、いろんな角度から語った本じゃないかなっていう風に個人的には思ったんですけど。
その辺りってのはどんな感じだったんですかね?
やっぱり作ってる子たちが、出版社とか編集者じゃなかったから、物事の見方が実業家的っていうのかな。
一番近い感じで言うと、実業家的というか、自由人っていうか、そういう子たちだったから、その角度から入ってくるんですよね、本を作る時。それはすごい新しかったです。
タイトルがまずありきだったのか、もしくは何かテーマで。
タイトルありきだと思います。
それでやっぱりバナナさんが、いろいろ100箇所本当に出したみたいな。
適当に100箇所書いて、それに対して彼らが思うことを質問してもらって作った感じですよね。
なるほど。その中で私なりには、先ほど話した身体性とか肌感っていうことがすごく刺さったんですけど、
その中でもちょうどページ36のトピック16で、
違うことをしないこと、身体と自然がそれは違うことなのかどうなのか、いつも必ず教えてくれるってありますけども。
この違うことをしないことって、これだけでタイトルで別の本にもなってると思うんですけど、そういう意味ではバナナさんにとって自然とこれ出てくることなのかなと思いつつなんですけど、
03:02
この中の本文をいろいろ読んでいった時に、本能的な身体の判断を信じることっていうふうにあるんですね。
全体としては個人的にはすごく納得なんですけど、ただ明らかに自分に合わない人とか物っていうのは極端にその場でわかると思うんですけど、
何重にも厚着をして、違和感を感じさせないようにやってくる人とか物事ってあると思うんですよ。
いや、ないです。
ないですか。
ないです。
すみません、そうすると僕としてはもうちょっと粘っちゃいますけど、個人的な話で恐縮なんですけど、
なんかこの体感とか違和感とか肌感っていうのも、私なりには結構まさにバナナさんほどじゃないにしてもすごく不自然に感じることはやらないとか、すごく大事にしてきたつもりなんですけど、
例えば仕事の重要な判断とか、結構外すんですね。
それは仕事だからじゃないですか。プライベートじゃないからじゃないですか。
っていうところをもしもうちょっと補足していただくとどういうことなんですかね。
わからないけど、大体プライベートだったらわかることも仕事だとわかんなくなることって結構あると思います。
それはプライベートだとあんまり関わる人とか、例えばお金があんまり絡まないとか、そういったことだけど仕事だといろんなものが絡むから。
そうで、付随してくるから誰々さんの紹介とか、そういうのでやっぱりもうちょっとわかりにくくはなると思います。
だからプライベートの時みたいに臨むと、それはそれで間違ってるっていうか、
仕事って基本的にその場で一生懸命一緒に仕事をして、あとは解散っていうのが前提だから、別に多少会わなくても大丈夫だと思うんですね。
それを別にそんな神経質になる必要はないかなとは思うんですけど、プライベートに関してはちょっと本当に大切なことだと思うし、
違うことをしないことって言うと、結構みなさん、「じゃあ嫌なこととか嫌いなことを避けるってことなんですね。」っていう返事が返ってくるんだけど、
そういうことじゃなくて、その場においての適切な行動って本当は一つしか無限にはなくて、
その選択を間違えないことって意味なんですね、私の言ってる違うことをしないことは。
だから嫌だと思うことはやめましょうみたいな意味ではないんですよ。
そうですね、表層的にとらえるとそういうふうに思っちゃう方もいますよね。
そして、それで捉えられて、それで解決できれば楽ですけど、世の中はそんなに簡単じゃないので。
今のところで言うと、プライベートにおいて、一つそういうことはあるんじゃないかっていう話をいただきましたけど、
それを感じ尽くすところまでいかないと、きちんとその一つまでいけないというか。
たぶんバナナさんもいろんな方から相談を受けたりとかあると思うんですけど、僕の今のちょっと相談みたいな感じですけど、
仕事は置いといて、プライベートだとしても、その辺が感じることを忘れちゃってたり麻痺してたり焦りや不安から感じ尽くすところまでいってないから、その一つにたどり着かないみたいな。
あらゆる要素をフォルダみたいにバーって入れて、出てきた結論みたいなものを実行するみたいな。
06:05
実に言っちゃうと簡単ですけど。
考えるっていう感じとも違うんですか?やっぱり感じるに近いんですか?
考えるとはちょっと違いますね。考えたら考えるほど大丈夫なことでも絶対ダメなことってあるし、どう考えても大丈夫に見えてもすごく困ることってあるし。
その辺の判断は本当に難しいんですけど、特に仕事だとそれぞれの人たちがそれぞれの視点からすごく固く見てるから、物事を。
本当に難しくなるときはあると思います。
それはバナナさんでもいまだにやっぱりありますか?
ありますね、やっぱり。
その時っていうのはちょっと仕事に入っちゃいますけど、バナナさんなりにいろいろ人生を歩まれてきてでも大事にしてることとかってあるんですか?
あと金額では見ない。
この本にもありましたね。
金額に惑わされたらいけないっていうのは、つまり金額が大きいっていうことは強制力も大きいってことなんですよ、戦法の。
あと果てしなく無料に近い仕事も同じくらい強制力があるんですね。
もうちょっと解説してもらって。
つまり、例えば5,000円って来てくれとか、5,000円でコメントしてくれとか、限りなく無料に近い仕事っていうのも、どうして無料に近いかっていう強烈な理由があるわけで、やっぱり強制力がある。
だから、できればどちらでもない適正価格のものを普通にやっていくのが一番いいんじゃないかなと。
これはフリーランスの話ですけどね。
そうですね。その中で今、違うことをしないことっていうところも少しお話を伺いましたけど、やっぱり初っ端に戻って001の人の言葉で書かない、自分の体から出た言葉だけを書くっていうところがあって。
この中で、例えば村上春樹さんの文体で書けと言われたら書けるけど、リズムに合わないっていう話で。
長くは書けないですね。3枚ぐらいなら行けるんじゃないかな。
バナナさんに10年前にインタビューさせていただいた時に、いろいろバナナさんの本だったり、衛生読ませていただいて、その時も春樹さんのこともいろいろ書かれてたりして。
そこから春樹さんの本も読んだり、あとそれこそランニングもするようになって、春樹さんがそういう意味でリズムとかいろんなことを大事にされてるっていうのがあったので。
体の持っているリズムが大事っていうふうに書いてあるんですけど、小説家としてバナナさんの持っている文体とか、ボイスっていう言い方もあるんですかね。
密接に身体とか身体制とつながっていると思うんですけど、バナナさんがご自身のリズムとか文体っていうのをどう獲得していったのかなっていう、ちょっと大きな話になっちゃいますけど。
何に読ませたいかっていうところから考えていったんですけど。
はじめは、若い時というか子供の時は、困ってる人に読んでもらいたい。だから、今どうしていいのかわからないような人に読んでもらいたいなと思ってたんだけれども。
結局、どうしていいかわからないような人って、どうしていいかわからないってことは頭がいっぱいで、そんなにそこにアプローチしちゃうと、かえって力になることができないなっていうことがわかってきて。
09:07
何を目指したかっていうと、読む人の潜在意識というか、表に出てない意識の方に読んでもらいたいっていうふうに思ったんですね。
そうしたら、本人が気がつかないうちに、勝手に事情作用が動き始めるはずだから、そう思ったので、潜在意識に読ませるというような文体を考えたんですけど。
そうすると、やっぱりリズムとかは恐ろしいことに、身体的なリズムは人それぞれ違いますけど、たぶん潜在意識のリズムってほとんど一緒なんですね。男でも女でも人間である限り。
なので、そこに着目して、苦闘典の打ち方とか、それから入れない言葉、入れる言葉とか、そういうのを考えていったような気がします。
10年前にお話が上がった時も、潜在意識のところを大事にされてると話されてて、その時にストレートにこうって書くんじゃなくて、読んだ人に自分で気づいてもらいたいとか、そういったことをすごく大事にされてる話をされてる。やっぱりそれは今も変わってない。
そうですね。読んだ人の潜在意識が勝手にその人をこう、事情作用を動かし始めるというか、それを狙ってるっていう、狙っちゃいけないけど、そう思ってますね。
そういうものは徐々にとかなのか、ある時、例えばデビューして10年ぐらいの時に、なんかカチッとそういう風になったのかとか。
うーん、なんか一人一人のケースに対応したらキリがないから、多分そこでキリがなく小説を書けるようになる人もいると思うんですね。
一人一人の困った話を解決する話を書いていけば、もしかして世の中の役に立つんじゃんみたいなところに落ち着く作家はたくさんいると思うんですけど。
私はそうじゃなくて、やっぱり国籍とか性別とかそういうのをないところに持ってきたかったので、どうしてもそうするとこういう文体になっちゃいますね。
これも結構聞きたかったんですけど、150ページと151ページなんですけども、これシンプルにニーズのないものを書かないと。
そして次の方が、しかし決してニーズに合わせて書かないと。
- これは痺れたんですけど、ニーズっていうところでまずいくと、バナナさんの場合は基本は読者の方だと思うんですけど、とはいえ大衆全員ではないと思うので、バナナさんの読者っていうのは、10年前にお話を伺った時は、かつての自分のように辛かった人?
- そうですね、初めの頃はそうでしたけど。
- けどっていうことは今はちょっと違う?
- なんかやっぱり実績が積み重なってくると、どういう人がどういう時に役立てたっていうふうに教えてくれるから、みんなが。
そうか、こういうのは本当に役立つんだなと思って、そのことを頭に入れておくんだけど、それに合わせたりはやっぱりしないです。
- 頭に入れておくけど、ニーズに合わせて書かないっていうところ。それはその真理というか、ニーズのないものは書かない、しかし決してニーズに合わせて書かない、それはニーズを超えるものを書くっていうのともちょっと違う?
12:05
- ただ、そうですね、ニーズを超えるものを書くのとはちょっと違うけれども、新しいものを、だから本を一冊出して、前の本と違うところ、なんか新しいっていうところがなかったら出さない方がいいと思うんで。
そこだけはいつも、ちょっとどっか新しいな、これ前になかったら考えたなっていうところを必ず、例え誰にも理解できなくても入れるようにしてます。
- それは小説だけじゃなくて、例えばエッセイとかも?
- それはエッセイは全然副業だから。
- じゃあ小説においては必ず?
- エッセイこそがニーズがあって書くものだから、ほっといても自分でエッセイを書くってことはあんまりある意味ない。メルマガはメルマガ用の文体で書いてるからエッセイと違うし。
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