インタビュー
ニューヨーク・タイムズ、僕も見てるんですけど、自分で勉強してるつもりでも今も、特にニューヨーク・タイムズはまだわかんないの多いんですよ。そういうのはさっきの話じゃないですけど、目的はどういう情報がっていうことが大事だと思うので、それは全然、例えばディープラーニング翻訳とか使ってもいいんでしょうか?
翻訳はもちろん使ってもいいんですね。ただね、翻訳しただけだと、結局その、例えばニュース報道のコンテクストがわからない、意味合いが。背景がわからないと理解ができないんですよね。
例えばですね、この前、イギリスがAIに対して政府が大規模に投資するというニュースがあったんですよ。だけど、そのニュースだけ読んだら、「あ、イギリスがAIに投資するんだ!」って終わっちゃうんですよ。
終わりますね、ふうに。
だけど、そこで周辺知識があったりすれば、全く理解は違うんですよ。例えば、イギリスの場合は、新しい技術に対して投資するためにこういう税控除があると。それから、イギリスにはこういうヘッジファンドがあって、ヨーロッパでは実はヘッジファンドとか、スタートアップに対する投資額が一番大きいと。
それから、イギリスにはどことどこにAIの研究拠点があって、どういう研究者がいて。
どういう人が働いて、どのくらいの規模か。それから、どういった技術を輩出しているかということですね。それから、イギリス政府は、じゃあ、そこに投資をして、アウトカムとして何を得ようとしようとしているのか。どういう政策があるかという知識が事前にあったら、そのニュース一本を見て、パッと分かるわけですよ、いろんなことが。
だから、結局日本の人が英語のニュースとか、いろんなものを読んでも分からない、分からないと言っているのは、結局その周辺知識がないからですね。
パックグラウンドがないから。だから、正しい会社ができないんですよ。だから、これは日本の一般の人だけじゃなくて、日本の会社もそうなんですけども、日本の会社は海外に投資をして失敗することが本当に多いんですよ、これは。表には出ないです。出せない。出せないですね。
なぜかというと、彼らは投資先の市場とか、それから消費者の消費動向、それから実際の生活レベル、教育レベルとかですね。
それから、その会社が投資中として。
ビジネスがどう位置づけにあるか、どういうふうに消費されているか、どんなコンペティターがいるかとか、そういう周辺情報を全く理解しない、日本の会社の人たちは。非常に有名な会社とかの幹部の人でも知らないんですよ。
今、だいたい顔が見えてますね、会社。
多いですよ。で、その人たちはさらに、例えばイギリスでこういう政策があったり、投資するときに政策なんかも調べたりするんですけどね、この政策ができた背景とかを知らないんですよ。
歴史とか、それから政治経済の背景を知らないんですよ。だから、例えばイギリス政府はこういう政策を作りました。で、その政策はこの会社のビジネスに関わっているみたいなことを見ても、だからその背景が分かってないから、本当にお金を入れていいか、入れちゃダメなのかが分からないんですよ、背景がね。
結局、だからニュースだけ見てたら分からないです。その背景というのは、じゃあどうしたら分かるかというと、例えば歴史ですね。
それからその地位。
その投資するところの社会ですね。社会の状況ですね。例えば人種構成とかデモグラフィーですね。これは人口構成。それから社会問題ですね。どんなところに紛争の種があるかとかですね。
それからそこの土地の人たちの本当の人なりですよね。どんな生活をして、どんなものを食べて、どんなものが好きで、どんな考え方をして、どんなものを好むかということですね。
社会のその状況を。
そういうこととか、それからその、例えば政策の成り立ちですね。これは歴史に関わるんですけども、例えばこの地域は国はこういう問題があった。その問題というのは実はこういう歴史的な経緯がある。じゃあそれを解決するためにできた政策なんだと。そういう知識があれば理解が全然違うわけですね。だけどそういうことは普段の新聞とかテレビのちょっとした海外報道だけ見てても絶対分からないです。
分からないです。
分からないですよ。だからやっぱり普段から歴史とかですね、文化、人類、これはすごい重要なんですね。社会学、政治学ですね、文学ですね、哲学というものをやっぱり幅広く学んでですね、そこから得たエッセンスを持って時事問題とかニュースを見ないと分からないんですよ、背景がね。だから幅広くやっぱり勉強することが大事だと思うんですよね。
そういう意味では言葉。
としては結構リベラルアーツとか教養って、その教養のための教養になっちゃうあれですけど、もちろん大事ってことですね。
そうです。特にね、結構これは意外なんですが、戦前の日本とか戦時中そうなんですけども、師範学校に行く方とかですね、それからその旧正中学とか旧正高校とか、それから軍の学校はですね、意外とリベラルアーツを熱心にやらせたんですよ。
そうなんですか。
それ私は知ったのは海軍機関学校とか。
海軍機関学校のことを私は調べたんですね。
うちのおじいさんは海軍機関学校に行ってたもんですが、海域連はもう調べたんですね。
そうしたらね、文学を勉強する時間が意外と長いんですね。
今の部分だけで流したいですね。やっぱり日本でも空前のじゃないですけど、教養ブームとかね、リベラルアーツブームってありますけど、今みたいに何で本当に教養が必要なのか。
ただちにこうね、仕事に役立つとか儲かるとかっていう話は聞きますけど、今のところをやっぱり知ってるか知らないかというか、何ででしょうかねっていうのもあれですけど、何で日本ってこの一番大事なとこ説明抜けんですかね。語学の大切さもさっきみたいな話ないし。
やっぱり私が思うのは、戦後ですね。
うん。
戦後になって、教育内容がガラッと変わっちゃったんですよ。だから戦前の人たちはそれを知ってたんですね、よくね。
今の話だとね、そうですね。
だと思います。よくご存じでした、それは。だから戦前の教科書とかを見るとそれはわかるんですよ。熱い教養の部分が。
確かに。
あとね、私すごい最近見てびっくりしたのがね、人情小学校の地理の教科書ですね、戦前の。あれ、内容は深いですね。
うん。
うん。
うん。
戦前の人たちっていうのは成績優秀者だから、将来のリーダーを育成するための教育課程だったんですよね。
だから彼らは地理のことをよく知ってないと、会社経営者になったり、軍人になったり、行政官になったりとかしても失敗しちゃいますよね。
うん。
地理って言っても、科学的な地理のほうだけじゃなく、人文地理も入ってる。
へぇー。
詳しく書いてあるんですよ、それは。
はい。
あっ、結局あっちの人のことを知りなさいっていうことだったの。で、それをわかってた、戦前の人たちはね。
うん。
人たちっていうのが第一線から退いちゃったり、それから戦後はその公職から遠ざけられちゃったんですよね。
そうですね。
教職とか、あの、政府の仕事とかね。だからポカってそこに穴が開いちゃった。だから、そういうことを知らない人たちが教育をこうやるようになったから、やり方が変わっちゃったんだと思うんですよね。
うんうん。
だったと思うんですよ。
はい、でも確かにこの前お話聞いた、やっぱ戦争体験者の方が小学校か中学校で、終戦をちょうど真ん中の時に迎えたら、本当にゴロッと教育が変わった。
変わったって言ってました。
うん。だから、戦前の教育がそんなにきちくべいでどうと。
なんかもうそっちのイメージだけだけど、よかった分は。
でもね、教授みたいにそうでもないんですよ。そうでもない。
そうですか。
でね、私もすごくびっくりしたのはですね、イギリスで今子供が学校行ってますけど、こっちの教科書を見るんですね。そうするとね、日本の戦前の教科書が似てるんですよ、内容が。
あ、そうなんですか。
うん。非常に内容はドライですね。淡々としているんだけど。
うん。
ファクトがギシッと入っててね。
はいはい。
よくできてる。で、世界観がなんか、イギリスの歴史とか地理の世界観っていうのが、だから日本戦前のと似てるのよ。
へぇー。
びっくりしました、それはね。
あっ、こんなこと教えんだと思って。
まあでも逆に日本の戦前はそういうファクトちゃんと入ってた。
うん、入ってた。だからレベルの高い人だよ。だから、そんなに勉強が得意じゃない人たちには読み書きを一生懸命教えたわけですけど、だからリーダーになる層の子たちっていうのは本当にね、
本当にね、エリート教育をね、受けてましたよね。
うんうんうん。
で、例えば軍の学校なんかもだから、スポーツもさ、イギリスのその貴族がやるスポーツをやったんですよね。
うんうん。
ボート、ガレッタとかね。
はいはいはい。
クリケットやって、ラグビーやって。
へぇー。
で、イギリスでもそれは軍の学校でもやってましたけども、本当にね、イギリスの貴族レベルの人たちがやるスポーツなんですよ、テニスとかもね。
うんうんうん。
それを軍のこと、軍人になる人たちが教えてたんだね。
うんうん。
だから、スポーツも教養だから。
結局、いくらあっちが敵だとか言っても、もしかしたら同盟になるかもしれない。
そうですね。
お付き合いができないといけないんですよね。
すごいな。
お付き合いが。
あっ、だからこれはお付き合いをできるようになるために教えたなと。
うんうん。
テニスとか。
社交術。
社交術、大事だから。
それから、結局、劇とか詩とかもね、大事なんですね、ヨーロッパでは。
知らないと、雑談ができないから、絵とかね。
あっ、それも教えてたね。
で、軍の学校に、当時行ってた人たちの学業でね、
うんうん。
選抜されたんだけど、家が倒産しちゃったとかね。
うんうん。
田舎の農家の息子の人とか、いっぱいいたんですよ。
うちのおじいさんとかも、家が倒産しちゃったから。
うんうん。
それで、まあ、勉強はよくできたから、それで入ったんですけど。
だから、決してその恵まれた環境の人じゃないんですね。
うんうん。
そういう子たちにも、教えてた、そういうことをね。
うんうん。
で、とても西洋式の立派なレンガ造りのビルの中で、勉強させてあげて。
で、コースメニューのマナーも教えてたね。
へえ。
だから、食べてるものがヨーロッパ式のコースですよね。
うんうん。
朝食はイギリス式。
うんうん。
それも勉強のためですよね、あれね。
はいはいはい。
ああと思って、ああ、そうだったなと思って。
だから、そういうことを教える。だから、ただ単に勉強を教えるんじゃなくて、お付き合いの部分、教養の部分も大事だということを戦前の人に教えてあげたこと。
なるほど。
じゃあ、本当に、なんか改めてですけど、教育、教養、勉強って何なんだろうって考えさせるやつ、やっぱり大事ですね。
いや、大事ですね、これはね。
個人としても、国としてもね。
うん。私はこれを自覚したんだ。自分がね、あの、実務にいて、まああの、いろんな国でビジネスやって、失敗しちゃうね、日本の会社とか、いっぱい見てきたんですよ、実例を。
ああ、こんなのダメだよと思っても、お金入れちゃったりとかね。
うんうん。
それから、その日本の、政府の仕事とかもやってたんですね、傾向した時代で。
ええ。
で、その時も、やっぱその、海外で、もう、再選考。
うん。
こうしてる政策を日本に持ってこようとするんですよ。
うん。
だけど、持ってこようとする人たちっていうのが、その背景を知らないわけですよ。
やっぱさっきのとこですね。
うん。さっきのとこなんですよ。だから、社会の状況が全く違うのに、外国の政策を日本に持ってきちゃうから、それはうまくいかないですよね。
うんうん。
人が違うわけですから、考え方が違うし、状況が違うからね。
はい。
あっ、なんでそうなるのかなと思ったら、やっぱり、その方たちっていうのは、周辺情報を知らないからなんですね。
うん。
そんなの知識がないからなんですね。
はいはいはい。
それから、実感としてわかんないですね。体験してないから。
うん。
外国の人だと、実際に同じ釜の飯を食ってるわけじゃないし、一緒にスポーツやったりとか、なんか旅行したりとかね、遊んだりしてるわけじゃないから、感覚的にわかんないですよね。
うんうんうん。
そういう意味では、ちょっと具体的にですけど、今の語学はまずちゃんと学ぶということで、もう一個の情報、そして周辺のいろんなものを学ぶときに、もちろん世界全体で学ぶのもいいかもしれないですね。
うん。
あまり広すぎるんで、せっかくだったら、例えば僕だったら、今回このロンドンに来る前に、例えばポルトガルがすごくよかった。じゃあポルトガルでビジネスしたいと。
うん。
なったとき、まあ言葉もですけど、ポルトガルの情報を得るっていうときには、いわゆるニュースもですけど、そのファクトベースもだったり、あと実際、やっぱりできればポルトガルの人と実際につながったりとか、なんて言うんでしょう、ファクトとあとリアルでのつながりとか、そういうのも含めてちゃんと学んでいくことが大事になってくるんですよね。
そうですね。コンプレヘンシブに、総括的に。
うん。
いろんな側面から情報を得て、分析するのが大事ですよね。
うんうんうん。
やっぱり二次情報だけだと、新聞とか雑誌とか二次情報だけだとわかんないですね。
そうなんですよ。はい。
結局書き手のやっぱり主観が入っちゃってますから。
うんうん。
で、悪魔である事件とか起こったりこういうのはスナップショットに過ぎないですね。
うん。
スナップショットの中でも、本当にその一部しか表現ができないですね、文字っていうのは。
うん。
だからそうじゃなくて、もう実際にそこの土地の人とお付き合いしたり、やり取りしたりね。
はい。
もう商売やったり、まあただ単に友達になるわけでもいいと思うんですけど。
うん。全然違いますよね。
うん。で、全然入ってくる情報とやっぱり理解がね、レベルが違いますよね。
うんうんうん。
で、これもっと究極的なレベルでの理解は、そこの土地の人と一緒になることですね。結婚する際にも。
ああ、そりゃそうか。
一緒に住むということ。
はいはいはい。
もうこれはレベルが違いますね、理解のね。
うん。
本当、私は自分が実体験してるから思うんですけど。