1. LIFE UPDATE │ YOHEI HAYAKAWA
  2. Playback:本質を見抜く|石田..
2021-10-30 15:25

Playback:本質を見抜く|石田衣良さん(作家)(#3:2015年2月)

▼YouTube(映像)
https://www.youtube.com/c/kiqtas
▼Spotify(音声/毎週お気に入りの楽曲も流します)
https://bit.ly/Spotify_INTERVIEW_YH
▼Apple Podcast(音声)
https://bit.ly/Apple_INTERVIEW_YH

【石田衣良さんへのインタビュー一覧】
Talk.1|じっくり待つ生き方
Talk.2|波を見抜く感覚
Talk.3|本質を見抜く
(11/1公開)Talk.4|1つのテーマを追求すること

『池袋ウエストゲートパーク』『娼年』シリーズなどで知られる直木賞作家・石田衣良さんへのインタビュー。
第1回はセンスよくじっくり待つ生き方についてお話をうかがいました。
(Podcast『キクマガ』2015年2月配信分より再配信)

『オネスティ(集英社)』https://amzn.to/3Ct00jJ

▼10/29(金)「月末LIVE」開催
https://youtu.be/sMnuNewb8oM
Q&A、フリートークスペシャルをお届けします

▼番組への感想・早川洋平への質問募集中です。
(いただいた質問は、毎月月末のYoutube Liveでお答えいたします!)
https://bit.ly/INTERVIEW_QandA

▼「QR CAFE」(毎月開催)
「人生を変える一冊」を見つけに行こう
http://life-upd.com/cafe/qr3.html

【聞き手・早川洋平プロフィール】はやかわ・ようへい/新聞記者等を経て2008年キクタス株式会社設立。羽生結弦、髙田賢三ら各界のトップランナーから市井の人々まで広くインタビュー。近年は欧州を中心に海外取材を本格化するいっぽうで、戦争体験者の肉声を発信するプロジェクト『戦争の記憶』にも取り組む。公共機関・企業・作家などのメディアプロデュースも手がけ、キクタス配信全番組のダウンロード数は毎月約200万回。累計は3億回を数える。『石田衣良「大人の放課後ラジオ」』『横浜美術館「ラジオ美術館」』などプロデュース多数。 近年はユニクロやP&GなどのCMのインタビュアーとしても活動している。
https://linktr.ee/yoh.haya

#会う力
#石田衣良
#オネスティ

Editor : 中江公大

00:00
これどのくらいの期間で描いたんですか?
これは1年ちょっとですね。毎月毎月連載なので。
そうかそうか。実際その描き下ろしっていうケースもあるじゃないですか。
描き下ろしだとそれも作品によると思うんですけど、どのくらいで描くんですか?
描き下ろしですか?今は描き下ろしあまりやる時間ないんですけど、
実際描き下ろしでそれを一本に取り掛けられるとしたら、3ヶ月から半年くらいじゃないですかね。
なんか僕の勝手なイメージですけど、すんごいもっと早そうなイメージなんですけど、やっぱそのくらいかかる?
去年1冊描いた時は本当に早かったです。
どのくらいですか?
正味描いたのは本当に2週間くらい。
もうね、でもそんなんじゃなかったの。
その2週間の間の13日で最後の山場くらいまで描いたんですよ。
あと3、40枚で終わるかな。
で、次の日の3時が締め切りだったんです。
いや、でもこれだったら明日の朝早く起きて描けば大丈夫だと思って、寝て朝6時に起きて描き始めたんですよ。
描いても描いても終わらなくて。
で、3時にも終わらなくて、あれ終わらない。
で、夕方の6時くらいかな。
で、送って、終わった、もう死ぬと思って送って、
ねえねえ、何枚描いた?今日すごかったねとか言ったら、石田さん、今日120枚入りました。
それは石田イラ作家記録ですか?
記録です。
朝6時に起きて7時から始めて、お昼ご飯はもう立ちながら食べるぐらいの感じで、
で、夕方描き上がって120枚という記録ですね。
それって、ちょっと疑問かもしれないですけど、どういう思考なんですか?
朝の時点では、いわゆるその残り何ページの。
山場を描けば終わると思ってました。
そこの道筋って何か見えてるんですか?全く見えてない。
あのね、おぼれ毛に見えてるんですけど、わからないんですよね。
やっぱりわからない。
わからないです。小説は毎回毎回、今日何を描くかわからない仕事なんですよ。
こういう風になるだろうなとは思ってるけど、それをどう描くかわからないので、
すごく悲しいシーンが笑えるシーンになってたり、
突然暴力が始まったりみたいなことがあるので。
以前お聞きしたときに、やっぱりそれこそプールに飛び込むような感じだって言ってたんですけど、
その感覚って変わってないですか?
変わってないですね。
あんまり本当に、何でもなくスタッと歩いてきてプールにバシャンって行くような感じがいいんですよね。
なんか準備運動を死ぬほど頑張ってから、なんていうんじゃなく、
なるべく普通のフラッターの状態でポンと入るっていう。
描いてるときって、それこそ極端な話、瞬きしたら描き終わってたみたいな感じなのか?
いや、そんなこともないですけど、ただ集中するのと集中力って2,3時間じゃないですか、続くのが。
それはもう一瞬ですね。調子がいいときは2時間パッと気が付くと、
原稿も上がってるし2時間経ってるみたいな感じです。
そっか。
伊賀さんもともと広告の方ですし、いわゆるプロダクションとか、僕もそっちだったんでわかりますけど、絶対締め切り守りそうですよね?
いや、僕はでも本当に仕事しなかったですよ。
そうなんですか?
もう広告の仕事大嫌いだったの。
もうやだ、こんなのバカバカしいって思いながら、いつももちろん締め切りちゃんと守ってましたけど。
03:00
でも本当にプレゼンのときにクライアントから話を聞いて、机の人にこうやって書いて、
それから2週間何もしないでそれを出すみたいなことをしてましたね。
今までサッカーになってから締め切り守れなかったことってあるんですか?
山のようにあります。
あるんですか?
僕はもう本当に、特に最近の何年かは毎回綱渡りです。
それなんでこの数年で変わったんですかね?
一番はですね、小説ってエンジンをかけないといけないじゃないですか。
そのエンジンのかかりが悪くなるんですよ。
これはもう年を取るとみんなそうです。
要するにその作品の世界に入っていくのに、知的な筋肉みたいなのが必要なんですけど、その筋肉が衰えるんですよね。
なので、さっきみたいにパンって入れないんです。
またグダグダしながらなかなか来ない、なかなか来ないと思って待っているうちに住み切りの日が来る。
そこでようやく入れるみたいな感じになるんですよね。
年を取るっていう企業でありましたけど、僕初めてお会いした9年前と外見的には全く変わってない。
話してるんですけど変わってない感じですけど、年取りました?
取りましたね。
それはどんなところで感じますか?
朝早く目が覚めちゃうところ。
昔、なんでおじいさんってあんなに早く起きるのと思ってましたけど、本当に6時とか7時にパッて一回目が覚めるんですよね。
それからまた頑張って寝るんですけど、びっくりしますね。
体力的な衰えとかもあります?
ありますね。
体力的には特に運動したいっていうのもあるんですけど、長時間の運動とかはしんどいですね。
作家さんってまさに心とか頭を使うから、だからこそ体を一緒に使ってないとかなりきついと思うんですけど、
そういう意味での体、食でもいいですけど、心がけてることは?
いや、もう何にも気にしてないですね。
今はその血圧だけ気にしてるぐらいですね。
うちの母親が高血圧で死んでるので、5時台後半だったんですよ。
いきなり窯から倒れて亡くなったので、家族全員50代になって血圧がグッと上がるという遺伝があるんですよね。
それが上がって去年ちょっと苦しんだので、今年もそこだけ気をつければいいかなと。
特別何かすごいご飯気使ってるとか?
そういうのやったらご飯楽しくないし、健康のために体を動かそうと思ったら運動も楽しくないじゃないですか。
何かの枠っていうのは嫌いなんでしょうね。
嫌いです。
好きな人いないでしょうけど。
だからもうほんとにみんなやめてね。ふくらはぎをもっと長生きするみたいな。
そんないい加減な話の本買うのよくないよ。
そっかー。
それで長生きするのは統計を出してくれって言いたいね。
そうですね。統計あるかないかってところですよね。
あとほら、おでこに1円玉を貼るとどんな病気も治るみたいなさ。
健康雑誌とかにそういうのあるんですよ。
何かラップを体に巻くとかさ。
もうほんとにいい加減な嘘な。何の根拠もないのに騙されるのやめてほしいな。
何かそういうのに騙されちゃう人って、やっぱり時代が不確実だったり、縋りたくなったら増えてくると思うんですけど、
井田さん感じますか?今増えてます?
ものすごく感じますね。
それはどういうところに感じますか?
やっぱり一番はその日本最高みたいな人に感じますね。
06:02
外の世界に関心がなくなっているのに、なぜそんな日本最高になっちゃうの?と。
あと、あれこれと言いたい気持ちはわかるけれど、
中国や韓国ともなるべくうまく仲良くしていった方がいいよ、これからはともちろん思いますね。
今のね、その小説っていうところで、
さっき取材基本的にそんなしてない、したくないって話だったじゃないですか。
でもどう考えてもこれしてるだろうって僕思ったのが、
久しぶりに3年半ぶりでしたっけ?復活した池袋ウエストゲート、
楽しみに読ませていただいて、
ちょっと言いたくないんですけど、2話目ぐらいでノマドの話があるじゃないですか。
その最初の描写で、
MacBookにiPhoneに、そこまでは取材しなくても書けると思うんですよ。
今出しませんけど、モバイルバッテリーのハイパージュースって俺持ってるんですよ。
おかげさまで、なんとか生きられてるノマドなんですけど、
そこは取材したんじゃないかなと。
そうですね、そこら辺は資料を読んだり、ネットでそういうの書いてる人いるじゃないですか。
そういうのをある子で見たりはしましたね。
でもそれって、そういう意味ではすごい街歩き回ったりとか、徹底的に何かやってるんじゃなくて、
ある意味結構効率的に取材っていうか。
そうですね、自分の中でですね。
あとはもちろんそういう仕事してる人がいるので、ちょっと聞いたりしてっていう。
裏取っているわけですよね。
だからちょっとドキッとして、一番聞きたいのが、このオネエスティもそうですけど、
特に他の方以上にいらさんって、何をもってして普通かはわかんないですけど、
の人の描写を、僕からすると普通じゃないと思うんですよ。
いろんな意味で、作家ということもそうだし、社会的な地位とかも全部含めて普通じゃない。
でもその中でなんであんな普通なことを書けるのかな。
何でしょう。だからやっぱり偉くはならないタイプだからじゃないですか。
ある意味偉いじゃないですか。
でも先生っぽくなれないんですよね。
だからあれこれ、例えば新人の文学者の専攻院とかやってますけど、
その中ではやっぱり一番何か普通に見れると思うんだよな。
その辺っていうのは、さっきの偉い人には偉くなく、逆にそうじゃない人にはむしろリスペクトしてるみたいなところが根幹なのかな。
それ以外にも何かご自身で。
僕ですら、やっぱりある程度仕事がうまくいってくると、いろいろチェア増やされたりとか、いろんなものがあって、
絶対俺なんか調子に乗るわけないって思ってもやっぱり足元疲れそうになったことあるんですよ。
本当に?
失敗したこともあるし。
僕の何万倍そういう引き合いある中で、それこそ失敗したこととかないんですか?調子に乗りすぎたとか。
だからさ、人間なんて、どんなすごい人でも本当に。
ほら、マヤクソウルレスとかなんかだったじゃない?
自分のローマ軍の何十万という軍図を見て、ここにいるこいつらはみんな100年したら誰も生きていないって言って泣いたっていう。
そこなんじゃない?そこのすごい虚無とか無常感みたいなのが、僕の根っこにあるので、そんなにすごい人でもすごくない人でも大して変わらないのしか見えないんだよね。
09:02
自分もその変わらない一人でしかないしって。
なので、どんな人と会っても緊張しないし。
テレビ番組なんかで司会やってるんですけど、いろんなゲストに会っても全くフラットになれるのが、そこかもしれないと思うんだけど。
それって昔からですか?
昔からだね。
もう少年の時から?
子供の頃からそういうところがあったと思うな。
でも生意気な感じしないですよね、きっと。
ほら、そういうのに慣れてても子生意気な少年じゃない?
それはやっぱり学生時代は生意気だったんじゃないですか?
やっぱりちょっと孤独だったので、大学参ってディスコ行って、でも家に帰って哲学の本読んでるみたいなところがあったので。
フラットで社会とも上手く調和して、下脱したヨガの業者じゃないんですけど、でもアウトサイダーでもありますよね。
そうですね。だから何かいいポジションを自分なりに上手く作れたのかもしれませんね。
すごい嫉妬しますね。
いやでも、ここは実は良くないんですよ。
良くない?なぜ?
アウトサイダーのように社会全体の価値観から離れると一つダメなんです。
例えば僕、レーンシャツ書くじゃないですか。
渡辺さんの本みたいには売れないじゃないですか。
渡辺さんの本って要は、社会の道徳の中で不倫はいけないことだと信じている人が書くとあえて苦しい本になるんですよ。
不倫も大変だし、そこで結婚している人の辛さみたいなことも書いてるし。
でも僕が不倫とか書いても、もうサラサラになるので、一部の人にしか読まれないんですね。
まあ僕はそれでいいんですけど、やっぱりそこで葛藤がないですから。
要は対社会に出る葛藤とか苦しみが小説の中に現れなくなる。
アウトサイダーだから完全に。
だから逆に人間の道徳みたいなものを信じていないんですよね。
要はさっき言った箱の中にいないってことなんですよね。
でも箱の中にいる人は、箱の中にいない人のことを微妙に書き付けるので、やっぱり離れてしまいますね。
だからマスは狙えないです。
まあ十分マスだと思いますけどね。
いやでも、僕はそれに言う心地がいいのはいいんですけど。
そういう意味では変な話ですけど、マスを狙っていればもっと違う存在にはなっている?
いい割合は別として。
いや、それはならないですね。
マスの中にいる人って、僕が見ていて、この人はいるなって思う。
例えば三宅さんなんかはマスの中にいると思うんですよ。
下町の職人のおじいさんみたいなのを書くのすごく上手ですから。
そういう真っ当な人間の価値観とか生き方みたいなものを信じてるし、定めてると思うんだけど、
僕はそういうところも全部相対化しちゃうので、アウトサイダーですね。
なのでアウトサイダーって、センスが良くなかったらもう生きる価値がないのでね、ほとんど。
そうか、俺アウトサイダーだけど、じゃあセンスが良くないとってことですよね。
結構大変ですね。
自分はわかんないけど、生き残ってるアウトサイダーじゃ、やっぱりセンスの逆折的質がいいってことなんですか?
あるいは、あるもの、何かの本質を射抜く力があったというかね。
やっぱりそういうある種の警告みたいなものを発し続けるっていうのが外側にいる人の力なので、
12:00
まず全体がやっぱりこうやって右に左にフラフラ揺れているのでね、
その中にいる人はギューギューに吉倉万事で苦しんでますから、
そうでない、もっと楽な生き方あるよっていうアドバイスもできるし、
そんな風な不思議なポジションですね。
僕なんかはなんとか5,6年アウトサイダーで生きてきて、
やっぱり答えは自分の中にあるとか、いろいろわかってても弱いので、
僕的には意図的じゃないんですけど、こうやっていろんな方にお話を伺うことで、
結果的に鏡のようにいろいろ勉強させてもらったり、
それでなんとかアウトサイダーの中で生きてきてるんですけど、
イヤさんはどういう感じなんですかね?
いわゆるもう本当に完全に自分で客観してできるのか、できたのか?
ちょっとビジネス主張的な言葉になっちゃいますけど、メンター。
いないですね。
編集者も正直言ってこういうのを書いたらみたいなことを言う人は全然いないですね。
デビューした時から好きなものを書いてくれっていうのがほとんどだったので。
どうやってひたすら自分と向き合って。
だからなんだろうな、巨人の星の花見たりじゃないですか。
果てしなくこうやって壁に向かってボールを投げている1人で。
だから取材とかでいろんな質問をもちろん受けるんだけれど、
その質問はすでに自分の中ではもう何度か考えたことのある答えばっかりなので、
瞬時に答えが出てくるんですよね。
なので果てしなく自分の存在みたいなことを考え続けて生きてきているっていう感じかな。
それはもう癖になっているからしょうがないので。
でもいわゆる別に座禅とか瞑想をしているわけじゃないわけですね。
でもそこを考えるのが実は本当に仕事なんですよね。
今どう生きるといいのかとか、どういうことが楽しいかっていうのを果てしなく続けるっていう。
それがやっぱり今日の最初のテーマで、じっくりのんびり先生を送っているところと重なりますよね。
ただでもそれは働いていると優雅に言えますけど、やっている時には結構苦しいよね。
答えがないし。
孤独だし。
それに勝った時もたまたま勝っちゃったみたいな勝ち方になるじゃない。
それはもちろん正しくそこの位置にいたのが正解だったんだけど、
そこで波を待つのは結構長いからね。
でもなんか、手法、how toって言い方したくないですけど、やっぱりそういう意味ではその磨き方って、
それぞれの今いるところで仕事とかもありますけど、
そういう意味では投資というか、さっきのマーケットの動きを見るっていうのは、
そのマーケットとかお金儲けとかそういうことだけじゃないってことですね。
全部に応用できます。
運の大きな流れとか波とか、そういうものはありますよね。
だから例えば今学校でいじめられているとする。
そうすると波で言えばそこの方に来てるわけじゃないですか。
でもみんなね、今見えている世界が全てだって思い込むんだよね。
いい時と悪い時とあって、悪い時は特に。
なのでそこでちょっと視点を変えられていいんだけどね。
学校にいるのはあと2年だ。
社会に出てしまえば何でもない。別な学校に移れるかもしれない。
あるいは学校なんて休んでしまっていかなくてもいい。
いろんな選択肢があるんだけど、
みんなそこで目の前のことが全てって本当に苦しく思ってしまうので、
それをもうちょっと人生全体の波みたいなのが見えるといいけどね。
15:04
そうですね。
それは本当に仕事なんかでもそうで、
悪い時は本当に悪い時だけは続かないので、
必ずいいことが来ますから、
その次の上げ潮に向かって耐えていればいいんだけどなと思う時はありますよね。
15:25

コメント

スクロール