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2021-10-28 14:46

Playback:波を見抜く感覚|石田衣良さん(作家)(#2:2015年2月)

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【石田衣良さんへのインタビュー一覧】
Talk.1|じっくり待つ生き方
Talk.2|波を見抜く感覚
(10/30公開)Talk.3|本質を見抜く
(11/1公開)Talk.4|1つのテーマを追求すること

『池袋ウエストゲートパーク』『娼年』シリーズなどで知られる直木賞作家・石田衣良さんへのインタビュー。
第1回はセンスよくじっくり待つ生き方についてお話をうかがいました。
(Podcast『キクマガ』2015年2月配信分より再配信)

『オネスティ(集英社)』https://amzn.to/3Ct00jJ

▼10/29(金)「月末LIVE」開催
[URLは後日確定、お楽しみに♪]
Q&A、フリートークスペシャルをお届けします

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(いただいた質問は、毎月月末のYoutube Liveでお答えいたします!)
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「人生を変える一冊」を見つけに行こう
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【聞き手・早川洋平プロフィール】はやかわ・ようへい/新聞記者等を経て2008年キクタス株式会社設立。羽生結弦、髙田賢三ら各界のトップランナーから市井の人々まで広くインタビュー。近年は欧州を中心に海外取材を本格化するいっぽうで、戦争体験者の肉声を発信するプロジェクト『戦争の記憶』にも取り組む。公共機関・企業・作家などのメディアプロデュースも手がけ、キクタス配信全番組のダウンロード数は毎月約200万回。累計は3億回を数える。『石田衣良「大人の放課後ラジオ」』『横浜美術館「ラジオ美術館」』などプロデュース多数。 近年はユニクロやP&GなどのCMのインタビュアーとしても活動している。
https://linktr.ee/yoh.haya

#会う力
#石田衣良
#オネスティ

Editor : 中江公大

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さっきのセンスっていうところで、待ってる中で葛藤しながら磨けっていう話をもらいましたけど、そうは言っても僕の中でちょっと正直疑いがあって、
やっぱりなんだかんだセンスってある程度生まれ持ったものなんじゃないかなとか、僕はやっぱりイラさんに嫉妬しててですね。
やっぱりセンス、爽やかに言って、しかもセンスいいし、この辺はやっぱり才能なのかなと思うんですけど。
いや、そんなことないと思いますね。特に僕20代の頃とかすごく暗かったですから、引きこもりに近い時期もあったし、その頃必死で読んだり学んだり、音楽や映画もありましたけど、
そういうもので身につけたものが今の骨格になっているので、結局探し続ける人は与えられることなんじゃないですか、そのセンスに関しても。
探し続ける。
はい、そのより良いもの、今生きるべき新しい方法は何だろうって、探し続けているうちに気が付くと身についているっていうもので、
それが後から周囲の人に、あの人は素敵なんだねとか、新しい生き方をしてるねって言われるだけで、実際には答えが見つかっているわけではないと思うんですよね。
なぜなら、もし固定してしまってこれが正しいっていう生き方が出来上がってしまったら、もうそれが出来上がった瞬間に時代から遅れていくわけじゃないですか。
そうですね。
そういうふうに壊していかないといけないですし、なので永遠の探索の過程が、そのセンスだったり良い生き方のシンボルになると思うんですけどね。
終わらないクエストになるっていう仕事がね。
今、さっきの投資も含めてですけど、日常でかなり待つを実感体感されているイラさんだと思うんですけど、
やっぱりどれだけ待てるかって、最終的にはその不安とかよくわかんない怖さとかと、戦うのか、それを要は幻想だと思うのか、その辺ってどうやって普段処してるんですかね。
その辺はね、すごく実は難しいところなんです。
人間って特にものづくりをしている人って、一番の敵は自分なんですよね。
あまりにも疑いすぎて、自分からこれはダメダメだって言って潰れていくっていうパターンが本当に多いので。
なので実は、プロになってでもなんでもいいんですけど、いくつか戦ってみないとその自信はつかないですね。
これだけ頑張るとそこそこいくとか、悪くなっても盛り返せるっていうような実際の経験が一つ二つないと、なかなかしんどい時、下げ波の長い時には持ちこたえられないので、
そこのところは何度かの経験の中から作っていくある種の、今は早寝言葉でレジリエンスみたいな粘りとか耐久性みたいなものを作っていくのは実は経験なんじゃないですかね。
なので、ともかく自分の心を破ってしまわないことだよね。
もうダメだって投げたら終わるので、そこで耐える心を作りながらその次の波を行ったり待つ。
それでうまくいくっていう経験が何度かあると、人生はもちろんいろんなことあるんだけれど、悪いところでもきっと乗り切れるし、その次にはいいことが来る。
逆にある種悪い波が来ると、次には必ずいいことが来るに違いないって、逆に何か上を向いてそこを耐えられるようになるので、そういう力をつけるまで何とかみんなに生き抜いてほしいなと思いますね。
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特に20代の人にはそこが大事だなと。
センスっていうことで話がかかったんですけど、もう一個。
待つっていうのはさっきおっしゃった波とかってことですけど、まさにそれを見抜く。
そこっていうのはどうやるんでしょう?
殴られそうですけど。
実はその波の上下との間隔っていうのは、自分の中に作り上げていくものなんですよね。
自分の中、外じゃない?
外じゃないです。外にあるものでなく。
これが波の上の魔術師って一生の説の中でも書いてあるんですけど、本当に株価の上下像みたいなのを半年、一年とか一つの銘柄に絞って見ていると、胸がズキンとするときがあるんですよ、本当に。
あれ?何でだろう?ここで上がってくるはずなのに急に落ちている。おかしい、おかしい。何だろう?っていう時には、その後すごい詐欺が来たりするので。
そういう感覚を、経験と観察の中から自分の中に作り上げていくっていうのが大事なんですけどね。
なので、それを一回やってほしいんだよな。
もう川瀬でも何でもいいです。ドル円でもいいし、株でもいいし、都心卓でも何でもいいし。実は僕それをいろんなものに応用してるんですよね。
なんか急に落ちました。そこなんですね。
なので、例えばさっきから出版で今すごく良くないっていう話が出てますけど、出版に関しても実はもうこれから何年か落ちるだろうなというふうに読んでるんですよね。まだそこを打ってない。
これから3年、4年ぐらいかけて、前世紀の半分ぐらい、あるいは前世紀の4割ぐらいで打ち止まってそこを打って、そこからダラダラいくかジリジリ上がっていくかになるだろうと。
なので、次の3年ぐらいの生き方っていうのが、出版界とか作家は大事だなっていうふうに思ってるんですけど。
実際、4年前、5年前にお会いした時に、これから電子書籍が云々って話もしまして。
イラさんご自身も結構Kindleでも出されてますけど、その辺ってどう見てますか?
あんまり読めないと思いますね。
あとちょっとデリケートな質問ですけど、具体的な数字はもちろん聞きませんけど、売り上げって全然少ないですか?紙より。
まだ紙より少ないですね。
ただ、昔、電子書籍の始まりの頃はそれこそ数千円とか数万円みたいになったのが、2桁ぐらい変わりましたね。
100万円台には乗りました。
でもやっぱり全然紙の方が。
アメリカと同じにはならないと思います?日本は。
アメリカと同じにはならないと思いますね。
ジェフリーディーバーの話を聞いたことあるんですけど、紙と電子の売り上げはほぼ半々だと言ってましたから、日本ではそこはならないでしょうね。
日本ではならないっていうのは何ででしょうね?
一つはアメリカのように、広い国土に本屋が少ないっていうパターンじゃなく、どこにでも本屋があるっていうのが一つと、
あとは日本人は新しい技術に対する新しいもの好きな割には結構頑固ですね。
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外に出ないっていうのは関係あるかもしれないですね。
そうですね。紙の本が好きなんじゃないですか。
あとは文庫っていうすごく強いものがあるから、本の値段がやっぱり外々は高いんですよね。
確かに。
情報に関してはお金を払うっていう考え方があるので、
日本人は今あんまり情報にはお金を払わない、エンターテインメントにもお金を使わない、それはただのものだっていう擦り込みができ始めているので、
その時代に本を売ってるのが本当に大変だなと思いますけどね。
電子も同じですね。
イラさんの中でも電子で出しているものと紙で出しているものなんですけど、それはやっぱりいろんな出版社の意向とか。
僕は基本的には出版社が出したいと言えば構わないよっていうだけですね。
読者はどこにいるかわからないので、なるべく新しいこともやってみたいですし、電子でやるのが嫌だとは言わないですね。
今のところでちょっとハッと思ったんですけど、イラさんと僕も3回しかお会いしていないんですけど、
感覚ですけど、今も基本的に話があれば断らない。
それは仕事に関しても何でも当然断らないわけじゃないと思うんですけど、逆にこういうことだけはやらないとか決めてることってあるんですか?
それは仕事だけじゃなくてもいいんですか?
いや、例えば電力会社から原子力発電所を見て好きなことを書いてくださいっていうのはやっぱりやらないよね。
そういうオファーがあるわけですね。
僕自身は技術をなくなるっていうことはもうないので、原子力発電所を全部閉じるのは難しいと思ってるんですよ。
石油も将来少なくなってくるのは目に見えてるから。
なので反原発ではなくて、嫌だけど容認派なんだけど、それでもそれで受けてお金をもらうわけにはいかないので、原発は認めるけれどそういう仕事はやらないし、
でも僕のところには来ないからね、そういう欲系の人たちは。なのでそういうのはあまりやらないかな。
僕は個人的に感謝なんですけど、今以上に無名な時から、最初お会いした時に朝日新聞の看板があってインタビューさせてもらったんですけど、その後全くの無名で、
もう全然だった時にもインタビュー受けてくださったじゃないですか、その辺のスタンスっていうのが本当にフラッと。
だからそれすごく大事なことなんですよね。
僕これある銀座で働いている女の子に聞いたんですけど、銀座でダメな人ってどういう人って聞いたんですよ。
そしたら相手によって態度を変える人は、会社の社長でも政治家でもそうなんだけど、小物で人気がないし、実際その後よくならないと。
だから例えばそれこそ衆議院議員みたいなのでも、大臣にもクラブで働いているホステスの女の子にもフラットに接する人がいいし、その後よくなるって聞いて、それだと思いました。
それっていくつぐらいの時ですか?
それは40ぐらいの時かな。
最近じゃ最近ですね、長い人生で。
でもそういうことなんですね、結局。
お店で働いている若い男の子のスタッフとかホステスさんとかにもフラットだし、偉い人、自分の上司なんかにもフラットに行ける人っていうのが、やっぱり人間的に魅力があるし、周りからあの人はいいよねって言われるんじゃないかなと思うんですけど。
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こういう言葉は僕もあんまり好きじゃないですか、成功する、あとし続ける。
短期的に成功する人っていろんな要素あると思うんですけど、平田さんもそうですけど、し続けてる人ってやっぱり皆さんそこを実践されてるなと思うんですけど。
だからあんまり、なんて言うんでしょうね、こう言いにくいですけど、首相のお友達になってさ、なんか変な委員とかなんない方がいいと思うんだけどね。
作家だってさ、あんま選ぶらないでね。小説家なんてさ、っていう仕事だと思うんだよね。そこの部分はなんか忘れない方がいいと思うんだけどな。
でもやっぱりフラットってキーワードを一言で僕はすいません、平田さん切るのもちょっと失礼ですけど、例えばメディアに対しても結構辛口で、愛があるからでしょうけど言いますけど、メディアにもすごく出てるじゃないですか。
その辺ってやっぱりご自身なんか考えてるんですか?
いや、考えてないです。
それかなんか社会的なもの?
ことでもないんですけど、テレビみたいなものって、あんまり本当は本には良くないんですよね。編集者さんにもよく言われました。あんまりテレビとか出ると本は入れなくなるから。
そうなんですか?関係は?
だから作家って難しい顔してやらそうなこと言っている方が、なんか憧れたりして良かったりすることもあるんですよ。でもなんかそういうのもバカバカしい虚像だし、そういうの作るの嫌だなと思って適当にやってるんですけど。
いいんじゃないですかね、なんでも。広い目で見れば、まあ小説家だって時代だってどんどん変わるし、いつかみんな死んじゃうんだから好きなように楽しく生きればいいのにっていうだけですね。
ただ、なるべく僕の思うより良い社会になるような形での発信をしたいなとはいつも思ってますよね。
より良い社会ってどんな社会ですか?
簡単に言えば、どんな人でも生きやすい社会です。
例えば去年の年末にエルトン・ジョンが同性婚したじゃないですか。
あんなのも考えてみたらね、テレビで見て外人のやつを見ると良かったねってみんな言いますけど、いやそれだったら日本だって同性婚を認めてあげなよ。
辛いこといっぱいあるんだからさって思いますね。
それを作ることで誰も不幸にならない。幸せな人が増えるのに、例えば与党の政治家のおばちゃんおじさんみんな言いますよね。
日本の結婚制度が崩れるとか、日本の家庭を崩壊させるみたいな。
いやいやそんなことないだろうと思いません?別に男として女として結婚したって思いますけど。
確かに。でもすごくさっきの話だけど、日本にいるとやっぱりまだまだ表に出れないじゃないですか。
でもね、それこそカリフォルニアとかもおっしゃる通りそうですし、
こないだスペインのイビサ行った時もゲイロードがあって、普通に楽しかったんですけど、
あれが日常で見てればやっぱり普通になりますよね。
だからそういうふうに言うと、なんでそんなふうに変わった人たちが結婚するしないぐらいのことが問題なんだ。
日本にはちゃんとした家庭っていうのがあるじゃないかみたいなこと言いますけど、結構大変なんですよね。
例えば遺産相続だったり、年金の問題だったり。
例えばさ、僕たちが付き合ってるとして、20年一緒に暮らしたのに片方が出先で倒れる。
そうすると同性婚とかないと家族じゃないから、面会遮断なので病室には入れないとかなるんだよね。
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家族になってないってことですもんね。
そう、でもそんなのはあまりにもひどすぎるじゃないですか。
そう考えるとね。
あの話、この新刊、ホネスティ。
本の話、本当に苦手なんだよな。
自分の本ってテレビで一回も宣伝したことあるんだけど。
じゃあそういう切り口じゃいかないようにと思ってますけど、
これね、幼馴染のカイとミノリが交わした約束。
どんな秘密も作らない。お互い大好きだけど恋愛も結婚もしないっていう。
そこからですけど、これって、要はネタバレしちゃいけないですけど、
その幼い時からかなり後の方までのこの二人主人公について書かれてますけど、
これって何から着想したんですかね?
着想というかきっかけで。
なんかね、みんなでお酒飲んでる時に思ったんですよね、ふと。
本当に恋愛の形って今、幸せに結婚するとか一緒になるみたいなことばっかりになってるんだけど、
そうでないねじれた人がもっといるんじゃないかと。
それに、例えば自分の家庭が複雑だったりすると、
恋愛では人を信じられないっていう人もいるじゃないですか。
なので、恋愛しないけれど、でもお互いに対しては一生誠実でいようというような、
すごくねじ曲がった恋というか、ある種の純愛みたいなものが誠実するんじゃないかと思って。
で、その時に誠実さっていうそのところからHonestyってタイトルもできたんですよね。
個人的にはですけど、これ一気に、ちょっと寝ませんでしょ?
体調崩して倒れてる時に1時間半で楽しく読ませていただいて。
すごい共感する反面、これ実際はこんな人いるのかなと思ったんですけど、
その辺、伊賀さんどうでしょう?
僕は人間が想像するような普通のことが絶対にいますね。
いる?
とんでもないようなことが本当にいるので、そうやったまま死んでいった人もたくさんいると思いますね。
幼馴染とかで、ある種お互いに愛情を隠したまま付き合わずに死んでいった人なんてやむのよくいると思いますね。
結婚して別々ででも。
あるいは身分違いの恋なんかもありましたから、お互いに愛してるけど手は触れもしないっていうパターンは。
そうですよね。
昔だったらそれこそいっぱいあるし、今でもあるか。
あると思いますね。
それに良い悪いってないと思うんですけど、愛っていうのは伊賀さんそういうのはどう思います?
人間って自分の運命は選べないので、そこの運命になってしまったらそこでもう全力で生きるしかないんだなって気がします。
なので2人でそうやって約束をしてお互いに信じられるのであれば、本当に最後まで守るしかないなっていう。
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