アーキテクチャの重要性
ハイパーコラボレーションをお届けするポッドキャスト、組織の未来地図、ナビゲーターの寺嶋です。
ナビゲーターの吉田です。
この番組では、デジタル時代における組織の経営やマネジメントは、どのような視点で考え、デザインするのか、また、それをどのように導入していくのか、皆さんと一緒に少しずつ地図を描いていくように趣向していきます。
吉田さん、こんにちは。
こんにちは。
今回も前回に続いて、高田さんによるハイパーチームマネジメント勉強会第8回の内容を受けてのお話となります。
前回は、アーキテクチャを描く意義として、サービスの経営を動かしている軸であり、その存在を忘れてしまうと、スピードの速い時代の流れ、変化の渦に巻き込まれて組織の輪郭が崩れてしまうことになりかねない。
だからこそ、変化の速さに対応するだけではなく、軸に着目することが大切であり、そのためにアーキテクチャが必要となるというお話でした。
すごく感じるのは、やっぱり流れが速いとか、変化の流れに乗らなければっていう気持ちの中核に恐れがあると思うんです。
私たちは人なので。どんどん変わっていく、どこに寄って立てばいいんだろうっていうのが見えにくいからこそ、恐れという気持ちが浮かび上がってくるのは、人なので当たり前で、
その恐れの気持ちがより一層変化の速い方に視点を動かしてしまうんですよね。
さっき寺嶋さんが言っていた流れに乗らないとみたいな話は、なんでそこに人の視点が動くかって言ったら、
怖いから見えにくいものを見に行こう。一体それはどういうもので、自分はどんな波に乗らなきゃいけないんだろうっていうことに混乱されるのは、人だから仕方がないことで当たり前なんだと思うんですけども、
そういうときにやっぱり経営側が見せなければいけないのは、確かに速い、我々は速い波に乗らなきゃいけない、あるいはそれを乗り越えてさらに前に立っていかなきゃいけないのはあるんですけど、
絶対にその恐れている人たちに見せなきゃいけないのが「軸」の方で、その波にどうやって乗るんですか、は企業のパーパスであったり、中核となるサービスが何か、どんな形してるのかっていうことを見せなきゃいけない。
で、それが見せられると、どんなに速い流れがそこにあったとしても立ち止まって考えるっていうことができますし、速い流れに翻弄されるのではなくて、そこに立っていながら流れを分析するっていうことが可能になってくるんだと思うんです。
アーキテクチャーが非常に重要になってきている理由はそこで、どんなに流れが速かったとしても、その流れの中で我々はどんな姿で立っているのかっていうのを、経営もそこで働く社員の方々も一緒にそれが見えるようになる。
価値の流れと経営戦略
まさに福岡伸一さんの描像のような、描像の人の絵のような部分が、「これ、うちの会社こうやって立ってるよね。」と言えるものがあって初めて、変化に対応する議論ができるようになるはずなんですね。
私たちがアーキテクトとして貢献しなきゃいけないのが、その流れを捉えるための、この人の形の部分は今現在はどんな形になっていて、そこにどんな流れが来ているのか、どんな流れでそれを抑えようとしているのか、抑えるっていうと言葉のニュアンスが違うふうに伝わるかもしれませんが、その流れをどういうふうに形作りながらビジネスとして、
価値を生み出しているのかっていうのを、きちんと伝わり合えるような形で共有していかなきゃいけないと思うんです。
アーキテクチャの言葉の中に、バリューチェーンとかバリューストリームっていう言葉がありますけれども、組織図で見たときに、このバリューの流れが見えなくなるっていうのが、一番、経営していく上ではよろしくない部分で、
もちろん組織図は必要ですけれども、組織図よりもっと上位概念として、私たちはどうやって価値を生み出しているのか、そしてそれを市場に投入しているのかっていう、バリューの流れを捉えていかない限り、どんな流れをつかもうとしているのかっていうことすら、わからなくなっちゃうんじゃないかなとは思いますね。
その流れがないというような経営が作り出してしまったのが、2025年の崖、そういうことも言えますか。
流れがないって言うとちょっと誤解を生むかもしれないんですけど、ビジネスをしている以上、価値の流れは必ず組織の中にあるんですよね。
必ずあるんですけれども、経営の方針とか戦略として、それを捉えきれていない状態で、一番流れが速いところだけをシステム化してしまったっていうのが、2025年の崖を作った根本的な理由だと私は思ってます。
もうちょっと具体的に言うとどういうことかっていうと、経営の中核にあるものはさっき言った通り流れはゆっくりですし、パーパスみたいなものはそんな頻繁に変わるもので、しっかりと軸として、動かないものとして置いておかなければならないものですけれども。
じゃあ流れが速い方って何?って言ったら、一番現場で仕事をしてる人たちですよね。
私も、そういった2025年の崖の大元になるくらいの時代にシステム開発を盛んにやっていて、行き通りを感じた部分ではありますけれども、
たくさん言われたことが、一番フロントで仕事をしている人たちが一番仕事を知っているので、そのやってることをシステム化してくれって言われた。
これが、要は構造的な設計思想みたいなものを省いてしまったシステム設計になってしまうだろうと、その頃から恐れは抱いてましたけど、
案の定、それが日本国内のありとあらゆるところで作り上げられて、それに苦しめられてるっていう状況じゃないかなと思いますね。
とはいえ、組織だとどうしても境界線、バウンダリーみたいなものがどこかに存在している必要性はあるんですけども、
そのバウンダリー、境界線っていうのをどういうふうに考えるべきだというふうに、吉田さんは思いますか。
いい質問ですね。境界は必ずあると思うんですよね。
AさんとBさんは違う人だとか、A社とB社は違う会社だ。
もうちょっと会社で言えば、例えば営業と設計は違う部門だっていうような境界線は必ずあって。
よくそこで衝突が起きたり、軋轢があったりっていうのはありますよね。
ありますね。今自分が認識している境界線が、どの流れの中で捉えている境界なのかっていうのを、いま一度認識すべきだと思うんですね。
一回引いた境界線が常に変わらない境界なのかっていうと、おそらく例えば事業部という境界線があったとすると、
事業部の中で考えなきゃいけないことに関しては、そこに境界線を引いていていいんだと思うんですけど、
例えばその事業部がどのようにバリューチェーンの中で貢献しているのかって考えたら、引くべき境界線が変わってくるはずなんですね。
一度引いた境界が常に変わらない境界だと捉えるのではなくて、多様な視点で捉え直すということが可能な構造的なものの見方が必要で、
今何を捉えようとしてるから、ここに境界を一旦引こう、あるいは今はこういう境界線になってるね、
だから境界の内と外の情報の流れっていうのは、こういう構造にしておかないと意思決定が進まない。
あるいはパフォーマンスが上がらない不安を感じる人がいるっていうことがわかってくるようになると思うんです。
やっぱりそこにもアーキテクチャーの果たす役割はあって、構造的なものの見方を助けてくれるのがアーキテクチャーの役割でもあるので、
そうしたものの見せ方、多面的なものの見せ方をしながら、
境界が今ここどこにあるんだろうっていうのを理解したい人たちに支援の手を差し伸べるっていうのが、アーキテクトの役割じゃないかなとは思います。
境界があるからこそ有機的に物事が捉えられるようになるように境界を作るってことですね。境界を認識するってことですね。
その通りその通りです。
そうですよね。僕は狛江市に住んでるんですけども、何百メートルか歩くと川崎市になるんですが、そこの境界ってないですけどあるっていう話ですよね。
ないと自治ができないみたいなところがあるので、境界線は必要だけれども、でも捉え方によってもしかしたら寺嶋さんのランニングコースっていうもので物を捉えたら、
狛江市、川崎市っていうのは全く関係ない境界線だと思う。
前回、今回と高田さんによるハイパーチームマネジメント勉強会第8回の内容を振り返りながら、組織、変革、スピード、軸、境界線などの観点からエンタープライズアーキテクチャーのお話をしてみました。
吉田さんありがとうございました。
ありがとうございました。
ではまた皆さんお耳にかかりましょう。
また次回。