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2020-06-30 20:17

「ハツカネズミと人間」第2回:映画のお話

みきさんのおすすめで、ジョン・スタインベックの名作戯曲を取り上げます。
他にもおすすめの本の話なんかをしています。

みき(@miki_apreciar) のぞみ(@CobeAssocie

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書籍紹介(Amazonより) 一軒の小さな家と農場を持ち、土地のくれるいちばんいいものを食い、ウサギを飼って静かに暮らす―からだも知恵も対照的なのっぽのレニーとちびのジョージ。渡り鳥のような二人の労働者の、ささやかな夢。カリフォルニアの農場を転々として働く男たちの友情、たくましい生命力、そして苛酷な現実と悲劇を、温かいヒューマニズムの眼差しで描いたスタインベックの永遠の名作。

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00:10
本論とずれちゃうかもしれないんですけど、これまでの、「仕事は楽しいかね?」とか、反応する練習って、なんていうんだろう。
Mikiさんがここだなって思ったところ、私だいたい覚えてるんですけど。
Mikiさんがここをハッとしたシーンとかって、私全然読んでて覚えてないんですよ。
えー、本当ですか?
これが劇のパワーなのか、文脈に自分の経験と照らし合わせてどうするとか。
確かに。
全然、そんなのあったっけな?ぐらいの感じになりがち。
本当ですか?
はい。
じゃあ、私の一番ハッとしたシーン2つ紹介しますけど。
ぜひ。
1個目が本当にすごいドキドキしたシーンで、
怪我をして保険金の多額の貯金を持っている老人が、レニーとジョージがいつか土地買おうってキャッキャーとかしてる中に、
じゃあ貯金とか使ったら買えんじゃんって言って、すごいその夢を現実にグッと引き寄せた瞬間の描写なんですけど。
ありますよね。
3人ともじっと座ったまま、みんなことの美しさに陶酔している。
一人一人の胸がこの素晴らしい夢の実現する未来を思って膨らんでいるって書いてあって。
すごいそこで情景が3人がポーってなって座って陶酔してる姿が浮かんできて、
なんかすごい悲しいじゃないですか、そんな。
ちょっと貯金あっただけでさ、今までそんなこと考えてきたことなかったんだっていうのと、
そんなことでポーっとなれちゃうんだ。
夢の美しさと儚さみたいなのがすごい出てるシーンだなと思って。
ただ3人がずっと座って陶酔しているっていう描写にすごいそれを想像しちゃって、
夢に陶酔する美しさと脆さとみたいなのがすごい美しいシーンだなって思って。
この小説の中で一番綺麗なシーンだと思った、本当に。
それはみんながハッピーっていうか、そこにある切なさ。
切なさっていうのは一瞬の、一瞬っていう意味での切なな感じと。
あとその気持ちの綺麗さっていうか、本当に100%夢の輝きだけがある感じがして、この時だけは。
普段は生活が忙しいとか、仕事が大変だとか、お金欲しい、大酒飲みたいとか、
レニーが嫌だとか、雑念に紛れてると思うんですけど、この時だけはあまりにも考えたことなさすぎた夢がポッと出てきて、
全員キラキラした感じ?夢って。
っていうのがすごい美しいなと思って、すごいハッとしましたね、私はここを読んで。
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へー、面白い。
はい。
全然覚えてない。
そのシーンになったことはもちろん覚えてるんですけど、
その一節の時に自分がどういう感情を覚えていたかを全然覚えていない。
そうか、なるほど、確かにそうか。
感情が2つ、パッて強い感情が出てきた感じがありますね。
悲しみと、なんか、綺麗さと、みたいな。
ですね。
この、私2人がなんかこう、夢で綺麗だなっていうのがすごく、
なんていうんだろう、その時イメージがついてたんですけど、
キャンディって言ったらお金はあるわけじゃないですか。
はいはい。
なんか確かお金のバーターみたいなやつだったと思うんですよ。
このお金をこう、あげる代わりに私をこうしてほしいみたいなやつだったと思うんですよね。
それでこんなになんかこう夢って膨らむのかなーみたいなことをなんか考えていたような気もする、なんか。
そうそう、だから膨らまないですよ、実際は。
だけど、もうなんていうんですか、環境とか思考力とかの問題で膨らんじゃってるわけじゃないですか。
あー、なるほど。
とかいう切なさもあるなって思いました。
実際お金はあるだけでさ、夢は実現できなくてクリアすべきかなっていっぱいあるんだけど、
一旦そういうの全部吹き飛ばしてパーンってこう、
倒水してる感じっていうのがすごい美しいなって思いました。
うまくいきそうじゃんみたいなシーンってことですね。
そうそうそう。
あー。
そうか、そうか、そうか、はい、はい。
面白い。
本当に好きだった。
あとはなんか本当ラストシーンのラストの一文が本当にこの小説をすごいリアルなものにしてるって思って、
もうこれはラストの一文だから読み上げることはできないんですけど、
最後ラストに事件が起こって、最後にこの一文があるおかげで、
この現実世界を描いている小説なんだっていうふうに引き戻される感じがあるって思ってるんですよね。
この一文がなくても物語としては全然展開が問題ないじゃないですか。
そうですね、そうですね。
で、普通にそういう少し悲しい小説として終われるんですけど、
この一文が本当にすごいなと思って。
起承転結っていうこのことだけで書こうと思ったら、別にこの一文なくても結してますもんね。
結して、本当になくても全く問題ない普通に起承転結してる小説なんですけど、
この一文が本当にすごいなと思って。めちゃくちゃハッとしました。
これ舞台でやるとしたら、これ言って終わるんですかね。どうやって暗転するんだろう、これ。
それも演出家の次第で多分いろんな舞台があるからどうなるかは、いろんなのが見れると思うんですけど、
でも普通にそれを言って歩き去っていって暗転とかがありそうですよね。
普通の顔をして言って去るみたいな。
舞台も映画とかもそうですけど、終わった後気持ちよく帰れるものと、
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ちょっと一杯飲まないと帰れないやつってあるじゃないですか。
あるある。ザラザラした気持ちになるやつ。
ザラザラしながら帰る系っていうことなのかな。
ちょっと噛み締めながらやる感じですよね。
でもこの一文が私たちのことをザラザラされた気持ちにしてくれるから、
いいザラザラというか、いいと思いますけどね。
でも小説家ってこういうことだなってめっちゃ思いました。
この一文入れられるのセンス良すぎじゃないですか。
そうですね。
これって練習して書けるようになるものなのかな。
これすごいんですよね。
本当にすごい、本当に。
最後の一文のために読んでもいいぐらい、すごい一文だと思ってるんですよ。
確かにそうかもしれない。
私、まだ妻と、将来妻になる女性と付き合うか付き合わないかぐらいの時に。
何?突然恋の話が始まりました。
二人で映画を見に行ったんですよ。
切ない恋の話じゃなかった。
チョコレートドーナツっていう映画を渋谷に見に行って、
なんでこの話をしてるかっていうと、ザラザラしたラストシーンの重みというか、
最後の感じがいいよねっていう、すごい頭の悪いこと言ってるんですけど。
大丈夫、そんなことないです。
チョコレートドーナツってどういう映画かというと、結構売れた映画、単館ものなんですけど、
今回のこのハツカネズミと人間と同じように舞台はカリフォルニアなんですけど、
1970年代、違うか。
カリフォルニアだった気がするけど、舞台もアメリカが舞台なんですよ。
逆に成長中みたいな。
カリフォルニアで、今ってすごくカリフォルニアはオープンな土地柄で、
いろんな人に対して寛容でってあると思うんですけど、
その当時のカリフォルニアは当然、いろんな偏見がまだ残っていて、
主人公はゲイのカップルなんですよ。
片方は、一人は、検事なのかなあれは、裁判所?法律の分野で働いている検事さん。
相手はシンガー、歌を歌う人なんですよ。
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2人が付き合い始めるんだけど、ある日シンガーの方が、
街で困っているダウン症の男の子を保護するんですよね。
保護をして、2人で育て始めるっていう。
ゲイのカップルとして、ダウン症の男の子を育て始めた。
12、13歳なのかな。
それを育て始めて、その後、
その中にも本当にいろんな、まさに暴力じゃないですけど、
いろんな難しさがあるんですよ。
とてもつらいお話なんですけど。
それも同じように、最後の最後が、
あつかねずみと人間みたいに、
全然ハッピーエンドにならないんですよ。
全然ハッピーエンドにならない話を、
これから付き合うか付き合わないかみたいな女性と見に行ってる時の、
私の気持ちたるや。
本当ですよ。全然デート向きの映画じゃないじゃん。
なんでそんなに選んだんですか。
すごい見たかったんですよ。
しかし、やっぱりデート向きじゃなかったですね。
全然、その後、何食べてもすごい映画だったねって。
うんって言って終わっちゃいましたね。
2人で終わった後、ワインを飲みながら、
すごい映画だったねって話しながら。
結局結婚してるので、もしかしたら長期的に見るといい映画だったのかもしれない。
いいかもしれない。最初の方で主要な価値観をシェアしておくっていう意味では良かったかもしれない。
こういう物語を読んだ時に、どう感じるかっていう感性が合う人とかって、
そういう意味では、別にパートナーだけじゃなくて、
友人とかっていう意味でもいいのかもしれないですよね。
そうですね。
同じかどうかっていうだけじゃなくて、刺激になるかどうかとか、
どういう気づきをその人はしてたのかとか。
確かに。
同じ意見を持たなくてもいいですけど、
そこから気づきを得ようとする姿勢があるかどうかとかだけでも全然違う気がしますよね。
すごい最悪な気持ちになる映画だったらもう二度と見たくないで終わってしまうのか、
こういうところが良かったって言う気持ちになれる映画なのかっていうのは全然ありますよね。
どういう風に向けてるのかっていうのは。
そうっすよね。
私これを読んだ後にどんな風に思ったかなっていうと、
孤独っていうことが一つ、私の中ではこれを読んだ後のテーマだったんですよ。
一人になるっていうことってすごく怖いことなんだよなーっていうのを改めて思った。
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多分最初私も序盤ずっとジョージなんでこいつ居るんだろうみたいなことばっかり考えたから、
結局本の感想もそれに引っ張られてるんですけど多分。
はいはいはい。
結局みんななんて言うんだろう、本質的には一人じゃないですか。
そうですね。
結婚したってことによって安心感じゃないけどとりあえず結婚したぜみたいになっている、
農場主の息子の感じとか。
確かに。
結婚してるんだけどいろんな人にちょちょっとやっていく奥さんとか。
一人でいるっていうことって多分人間根源的にすごい怖いことなんだろうなーっていうことをすごい読んでいて感じて、
だからその中での誰かと一緒にいたいとか、だから一人から二人になって、
二人からもしかしたら腕を失ってしまったキャンティーのお金を使うと二人が三人になるかもしれなくて、
そうすると少しずつ多分こうなんて言うんだろう、
一人でいることの辛さとか難しさみたいなのが覆い隠されていくような気がする。
最後の最後に、最後のラストシーンのこれ難しすね、言わずに伝えるってやつ。
そうですね。
ある時、ジョージが主人公の方がどっちにつくんだみたいなのを問われるっていうか、どうすんだみたいなことを言われる時があるじゃないですか。
で、問われる方法を取ると一人になるリスクがものすごく高まっているように個人的には読めて、
結局そうじゃない方法を取る。
あーなるほどな。
そういう文脈で私は読んでいて、
だから自分はそうじゃない方法を取るって、だから孤独って難しいなと思いながら、一方でそのなんて言うんだろう、
完全なる孤独の中で終わっていこうとする何かがある時に、
なんて言うんですか、生まれて死んでいくっていうことがある時に、それを誰がどういう形でそれに関わるのかっていう、
めっちゃ伝えるの難しいですね、これ。
ジョージなりに誰かの孤独に対して自分はこうコミットするっていう方向性、やり方を示すシーンが最後の最後にあると思うんですけど、
それに対する、誰かの孤独に対する自分自身の向き合い方、みたいなことを読んでいて、なるほどなー、
みたいなことを思っていた独語感でしたね。
のぞみさんのメモにも書いてありますけど、相手があるから語らうことができて夢がある。
人間の根本だと思ってて、他人がいるから自分の考えを言葉にして話そうって思ったりとか、
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他人がいるだけで頑張る理由になったりとかするようなところがありますよね、末に人って。
本当そう、本当そうなんですよね。本当そうなんですよ。
みきさんも、私も別に100人200人いる大企業で働いているわけじゃないじゃないですか。
そうですね。
そう考えると、会社にいるってここでいうところの、自分を認識しやすくするっていう機能がものすごくあるんだなっていうのを改めて読んで思ったんですよ。
確かに。
あの人と違う自分とかって、めっちゃ会社にいる時ってわかりやすいじゃないですか。
会社組織に属さなくなると、会社って別に想像上のものだから、別にあってもなくても人間という根源的な線にあまり関係がないはずなんだけど、会社辞めると途端に自分の認識って難しくなるなみたいなことを。
本当そうですね。そうなんですよ。
意識的に自分の居場所を線を引くような感じで決めたりとかするような行為をしてます。
なんかここに、私はこのためにここにいる、このためにここにいるみたいなことをすごい言い聞かせながら仕事をするような感覚がちょっとあるなって今思いました。
一人になってから、独立してから。会社員の時はふわっと仕事をして、なんとなくやられたことをやってたけど。
独立して、上司とかがいなくなったからセルフコントロールとしてやってるもんだって思ってたんですけど、根本としては自分を確認する術がなくなっちゃったから本能で自分を確認しようとしてたのかもしれないって思った。
思った。
そうかもって、すごい新しい発見ですね。
だから全然たぶんやっぱり、自分が属している文脈を小説に投影しながら読んでるんだなってことがわかりますよね、こういう本を読むと。
確かに。のぞみさんはこの小説を他人とどう関わるかっていう要素強みに読んでるじゃない、実際その面も強いんですけど、私はどっちかって言ったらさ、暴力とどう向き合うか。だから暴力とは、みたいなのをすごい読んでて。
みきさんはどういう社会文脈に属してるんですか?
たぶん最近コロナで自粛でお出かけに行ったら敏感になってるだけかもしれないです。
なるほど。
周りに結構合理的で優しい人が多いから、結構強い感情を剥き出してくる人とかがすごい嫌いというか苦手なんですよね。電車でぶつかってくる人とかもすごい苦手で。
いや苦手、わかる。苦手。そんな起こることあるかねって思うんですよね。
そうなんですよ。だから自粛で電車でぶつかってくる人とかが超増えてるみたいな感じの世界を認識しちゃって、みんなストレスが溜まって。
怖い!外出たくない!みたいな感じになってたかもしれない、最近。今週は全然出てますけどね。
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そうだよな。この本の中でもいろんな人いますけど、この農場経営してる人の息子のカーリーとか絶対近くに置きたくないなって思っちゃいます。
本当そうなんですよ。物理的なパワーイコール権力って思って、自分の正義を堂々振りかざしてくるっていう、精神的にも肉体的にもマッチョっていう最悪の人間、私からすると。
これはしんどいよな。これはしんどい。
このハツカネズミと人間、普通に舞台でやったらどんな感じになるのか見てみたいですけど、それを意識して書きました?みたいなのがどっかで。
そうなんですよ。儀曲を意識して書かれた小説。
私、日本でもたまにやられてますよね。きっと10年以内で誰かがやりますよ。どっかで。
本読むと中に結構、今の時代非常に発言しにくい、黒人に対する呼び方とか出てくるじゃないですか。
あと女性ベース的なところもありますよね。
こういうのって舞台化するときって、すごい難しいなと思うのが、そう読んでいることを通じて伝えたいメッセージとかあるわけじゃないですか。
例えば黒人の方が強いてあげられている環境とか、女性っていうのがあんまり社会参加がまだ進んでいないっていうことを示すためにはそのまま伝えたほうがいい気もするけど、
とはいえ公の場でそれを口にすることそのものがはばかられる文化みたいなのがあるときに、どうするんですかね、こういうのって。
逆に舞台だとクローズドだから言っちゃってること多いですけど。
やっちゃうんだ。
今までだと多いなって思います。
実際お金を払って見たいと思った人だけに公開してるし、コピーとかできないし。
一番不謹慎なことを言いやすいメディアが演劇だと思いますけど。
そうかそうか、そういうことか。
不謹慎っていうか一番伝えたいメッセージをダイレクトな表現で伝えやすいというか。
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