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どうもお疲れ様です。いかです。この番組では、高校の国語化教育をしている私、いかが、仕事のことや仕事以外のことを緩くおしゃべりしていきます。
今日は、ミブリオバトルもう一クラスも終えました。
原稿の提出が半分ぐらいしかなくて、最初すごい不安でね、担任の先生に朝、ショートホームルームの時間、連絡をいろいろしてくれるんですけど、
その時に言ってもらえるようにメモをお渡ししましたね。
今日の語源、現代の国語でミブリオバトルしますよ、と。準備万端にしておいてね、と。本も用意しておいてね、と。
一応言ったんですけど、いやそれでも大丈夫かなーなんて思いながら、5時間目、5回に上がっていきましたね。
やってみると、前のクラスよりもさらに準備できてましたね。結果的に言うと。
5分ギリギリまで話していた子も何人かいましたし、私の進行もね、ちょっと前より上手くなって、自己評価も、今日はね、入りましたね。
あとは今回発見があったのは、質疑応答の時間が話すこと聞くことという観点から見て有意義でしたね。
2分間撮ったんですけど、1つとは言わずに3つでも4つでも、たくさん質問しようねなんて声をかけながらやっているとですね、
ギャルみたいなね、そういう普段はなんだろう、別に普段もやるか、やるんだけど、一見そんななんか全然真剣にやりませんよーみたいな感じの子も、
はいはいと、ちょっと楽しみながら手を挙げたりしてね、笑顔で質問してたし、
あとは、これこれこれって具体的にはどういう感じなんですかっていうように、より魅力を引き出すための言葉っていうのを使うことができていて、良かったですね。
あと応答する側、答える側も、それまでは厳格に目をやってしまいがちだったし、話すというよりかはね、やっぱり音読している感強めな子も多かったんですよね。
けれど質疑応答の場面ではもう完全にアドリブルになっちゃうじゃないですか。
それが良くて、より自然な形で相手に伝えるためのアウトプットができていましたね。
そんなこんなで、ビブリオバトルを終えた後、6時間目は言語文化の授業がありました。
今日の本題はこの言語文化の授業で感じた私の所感というか感動ですね。
何に感動したのか。
結論だけ言いますと、生徒が過去の助動詞をかっこいい俺も使いたいと言ったことですね。
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ちょっとね経緯を説明しますね。
今の言語文化では、伊勢物語の芥川に入ったところなんですよね。
伊勢物語ね、平安時代に成立した歌物語っていうジャンルに分類される文章なんですけれども、
主人公は実在した貴族有原の成平を思わせる男という人ですね。
有原の成平っていうのは、めちゃくちゃ和歌を読むのが上手なんですよ。
当時のモテテクって言ったらいいんですかね。
モテるためにすごい必須の技能がですね、スキルが和歌を上手に読むことだったんですね。
大人の男女は結婚するまでは基本的に顔を合わせることができなかったんで、
手紙でやりとりすることが多いんですけども、その中に恋をしていることとか愛していることとか、
あとは全然手紙を返してくれなくて悲しい寂しいなどなどですね、様々な気持ちを和歌の中に読み込むわけですね。
その内容で一喜一憂しますし、あとはねやっぱ教養も試されていますね。
で、いい和歌を読めるっていうのはある種ステータスなわけです。
だからもちろん恋愛以外の場面においても非常に重要視されていた技能ですね。
そんな和歌を読むのがもうめちゃくちゃ上手な人、6人を集めて、六カセン、6人の6に、
歌は歌、千は千人の千、千人ぐらい歌が上手い人6人と呼んでいるようなこともあったんですけどね。
で、有原の成平っていうのはその六カセンのうちの一人でもあります。
おまけにね美男だったとも言われておりまして、めちゃくちゃモテるわけですね。
伊勢物語では主人公の男の原服、原服ってあの成人男性になる儀式のことなんですけど、原服から死ぬまでの一生を描いています。
そのモデルになっていると言われているのが今紹介したモテ男の有原の成平なんですね。
当然色恋沙汰がたくさん描かれるわけなんですけれども、各エピソードで和歌が挿入されていることから歌物語というジャンルに分類されています。
で、その中でも教科書によく収録されている話があります。
それが芥川ですね。今回私が扱う話です。
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男は身分が自分よりもとても高い女性に恋をしてしまいます。
旧婚してもやはり当時身分というのは大事な結婚の要素だったんで、ずっと断られ続けてたんですよね。
ついにですね、その女を無理やり盗み出す、連れ去るわけですね、男は。
さて、そんな連れ去られている女性はですね、この男におぶわれながら、川のほとりにある草の上に乗っている梅雨、水滴みたいなやつありますよね。
それを指差してね、こう言います。
あれは何?とね。
なんと呑気なことを言うんでしょうね。
自分は連れ去られている身でありながら、あまり危機感がないんでしょうかね。
まあこれあの梅雨というものを知らないぐらい、ずっと家の中で大切に育てられてきたということが分かる記述でもあるんですね。
で男はですね、この女の質問に対して何も答えることなくずんずん進んでいきます。
で、たどり着いたのはある蔵、家みたいな蔵なんですけどね。
人が入れるようなところ。その時にはすごい雨とか雷とかがめっちゃ降ってる、鳴ってる状態です。
で男は女をね、守るために女をその蔵に押し込めておいて、で自分は蔵の外で門番みたいなことをしてるんですね。
守るんですとりあえず。で弓とか戦えるアイテムみたいなのを持ってるんですね。
普通ね、せっかく連れ去って好きな女の人ですよ。やっと二人きりになれたんですよね。
じゃあその夜はもう一緒に二人で過ごすんですよね。
まあゲンジ物語でもよくありますよね。で一緒にこう寝たりするんですよ。大体ね。
でも男はそれほど女が大事っていうかプラトニックな感じなんですかね。大切にしたいと。で守ると。
でもその女を押し込めておいた蔵、実は鬼の住処だったんですね。
で男も女もねそんなことは全然知らずにですね。
まあ女はその中にいるわけですね。
で案の定女は夜中鬼に食べられてしまいます。
その時女はああと声を上げたんですけれども雷雨の音が大きくて男はその声が聞こえなかったんですね。
でだんだん夜が明けてきて蔵を男が見ると女がいなくなっていると。
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でいくらジダンダを踏んでも泣いても仕方がないと。
でそして最後に和歌が入りますよと。
あれは真珠ですか何ですかとあの人が尋ねた時にあれは梅雨だよと答えてその梅雨が消えるように私も消えてしまえばよかったのに。
はいざっくり言うとこんな話でございます。
でねこれの導入をどうしようかなーとね思ってたんですけど今回はせっかく歌物語だし和歌に着目させてみようかなと思いまして。
まずはそのステップとして古文に入らずにちょっと古文やっぱり急にねドーンと言っちゃうとみんなヒーってなっちゃうんでね。
なんで桃太郎を読んでその登場人物の立場になって和歌を作ろうというのから始めました。
4人組版を作らせて桃太郎おじいさんおばあさん鬼それぞれちょっと分担を決めてもらってで歌物語桃太郎っていうのを版で完成させましょうという課題ですね。
桃太郎の原文を私用意しましてでどの部分の気持ちを読んだ和歌なのかを示しながら和歌を提出してもらいました。
で結構ね時間かかってたっていうか難しいって言いながらでも真剣にやってる子が多かったですね。
一応その桃太郎の和歌が完成したのが前回の授業でした。
今回はその和歌を私が公表するところから始めたんですね。
今日の授業ね。
今日ちょっと大げさぐらい褒めたんですよね。
例えば桃太郎で鬼の立場だった子がね。
生意気な小僧が来たぞ鬼ヶ島。
金棒ぶんぶん懲らしめてやる。
こんな和歌を読みました。
あの和歌って言ってもねもう57577現代語okのはいもう現代語で書きのねって言ったやつなんですけどね。
でそしたらまあぶんぶんっていうオノマトペが入ってるっていうのがいいですよねと。
情景がより具体的に想像できますよね。
金棒を回してる子の情景が思い浮かべられますとかね。
あとは次はこれはね桃太郎役の人ですね。
桃太郎が生まれた部分を取り上げてますね。
こんにちは桃の中からこんにちは自分が一番驚いてますとかね。
これ面白くて好きだったんだけど。
ここで褒めたのはねこんにちはが2回繰り返されてますよね。
これさすがですよね。
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リフレインっていう技法これあえて使ったんですよね。
さすがもうこれ超絶技巧こんなん和歌で読めるなんて使えるなんてすごいですねとかね。
あとはあの古語を使ってる生徒もいましたね。
驚きし桃よりわらは飛び入れし小さき命大きにもゆかぞ。
なんかね文法むちゃくちゃですよね。
最後のもゆかぞとかちょっとよくわかんないんですけど。
でもあの驚きしのしこれ過去の助動詞のきこれの連体形っていうのを使ってるんですよね。
なんでそんなの知ってるの。
あとはわらわっていうのも出てきてましたね。
これ幼い子供っていう意味がありますけれども今回の桃太郎が生まれてきたのも小さな子供が桃から生まれているわけだから。
これあってますよねと。
古語使えてるの知ってるのなんでこんなの知ってるのすごすぎんみたいな感じで。
まあちょっとこう間違ってるというかなんだこれっていうのもあったんだけどとりあえずめっちゃ褒めまくりました。
でそんなこんなで桃太郎和歌がですね一段落した後、
芥川に入っていきましたね。
これもね桃太郎と同じような課題を今日はね課しました。
この芥川の物語、現代語訳ですね。現代語訳を読んで男の心情を和歌にするという課題でした。
ほぼやることは一緒だし文章量はちょっと減ったぐらいなんですけどね。
で今回はどこでもいいよっていう感じではなくて文章の最後につける和歌として
あなたが最後に和歌をつけるならどんな和歌を作りますかっていう課題ですね。
現代語訳は和歌の部分抜いているわけですね。
で教科書にその物語を元に描かれた絵巻きもの載ってるんですけど
それを見て情景を思い浮かべながら書いてねーというふうにも言いました。
ただね、現代語訳を読んでもその絵巻きものを見ても
いかんせんその芥川の内容がキテレツすぎて物語その絵巻きものを見ても
わけわかりませんっていう子がもうめちゃくちゃたくさんいて
なんで結局黒板に絵を描きながらあの関西弁バリバリでね解説してようやく
あーみたいなちょっとこうなんだそれみたいな鬼おるんかーいみたいな
結構反応もみんな良くてねあの笑いながらその話聞いてましたね。
で和歌を作り始めてまた前と同じより難しい難しい言いながら頑張ってましたけども
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で7文字にしたいけど一字足りないんですよねーと困っている子がいたので
さっき出てた誰かが使ってた官僚の助動詞のリとか入れてもいいよとか言ってみたら
なるほどねーなんて生徒もそれを書いたりしていて
でその会話が聞こえていた席の離れた他の生徒がですね言ったんですよ
えーいいなそれかっこいい俺も使いたいってね
でその雰囲気がちょっとこう全体に広がった感じがあったんですね
私もこれ感動しちゃってっていうのもね
古典の助動詞ってもうほんと嫌われ者で生徒にとって覚えるの大変だし
いろんな種類があって難しいし
しかもうちの学校の子たちはもう受験で古典なんてもう9割ぐらいの生徒が使わないんですよね
なんでもう何のためにやってるのかもよくわからんのですけど
まあとりあえずやってるけどやる気起きないと
でそんなね助動詞とか古文とかっていうのがかっこいいとされる時代が来るのかと
だから私も嬉しくなっちゃって
じゃあ使えそうなら使ってみなよみんなと
かっこよくなるアイテムこれみんなに紹介してあげるよとか言って
あの黒板にけりとかきとか書いて
これはね過去の助動詞って言うんだけど何々たとかって訳すのねと
であとはねたりとかりとかいうのもあるんだけどこれは完了の助動詞っていうのと
同じようにたって訳すときもあれば何々てしまったっていう風に訳すときもあって
どっちかというと時間のね何かが完了した動作が完了したことと
この過去の助動詞のけりとかきの方は時間のことを表してるんだよとかね
あとはそうだね
あとあれか打ち消しの助動詞とかも紹介したかな
こんな感じで簡単に黒板にざっと書いたんですね
今はロイロノートの提出箱その和歌の創作を出してもらったんですけど
ロイロノート見てみると鬼がありけりとかねけりを使ってる子いましたね
びっくりですよ
古文っぽくするとかっこよくなるという価値観が生まれてるっていうね
多分ね最初の桃太郎の和歌の好評ですごい面白おかしく
でもすごそうに聞こえるように評価したこととか
あとはねまだ古文が全然しんどいところに入っていない
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難しすぎ無理っていうことになってないとかね
いろんな要素が今日は重なったとは思うんですけど
でも古文や和歌に興味を持たせるっていう意味では
すごいいい活動いい導入になったなと思いました
ここからじゃあ異性物語の中で実際に読まれてる和歌ってどんなものなのかなと
もっと本文全体を精読して
この和歌で読まれた男の気持ちがどんなものだったのかも
ちゃんと理解していこうねと
さらにそのために必要な文法
今回はちょっとね助動詞じゃなくて
用言の活用をしないといけないんですけど
あのら行変格活用とかね余談活用とかね
そういうのをじゃあまずは勉強していこう
古典の入り口やからねみたいな感じで進めていければなっていう感じですね
授業終わった後ね
階段5階から降りながらもにまにま笑っちゃいそうなぐらいね
いい時間になりましたね
嬉しかったです
だから残しておきたいなと思いまして
今日はだいぶたくさん喋っちゃいましたけれど
はい
まあ皆さんもぜひ
古典の授業をやっていて
嬉しかった瞬間とか
こういうことをすれば
すごい生徒たち興味を持ちましたよ
なんていうことがあれば
ぜひ教えていただきたいなと思います
ではこれで終わります
ありがとうございました