00:03
このコーナーは、公益財団法人自然農法国際研究開発センターの提供でお送りします。
今週も原田課長にお越しいただいております。お願いします。
よろしくお願いします。
先週伺っていたお話の中で、自然農法センターの品種として固定種が46品種、交配種が18品種あると伺ったんですけど、
固定種と後輩種の違い
そもそも固定種、交配種とは何ぞやっていう人は世の中の大半だと思うので、その辺をちょっとざっくりとご説明いただけますか?
ざっくりですけど、固定種っていうのは、固定っていう言葉のイメージだと、どうしても全部揃ってるって意味があると思うんですけど。
文字がそうですもんね、固定っていう。
でも実際にはね、それぞればらつきがある品種なんですよ。
で、その選抜、純系っていう意味ではないんですよ、固定代。
だから、例えば株だったら株の色が紫であるとか、丸いとか、その選抜を受けている特定のその性質が一定の揃いを持っているグループのことを固定種っていうふうに言われています。
で、それと近いものであれば在来種っていうのもあるんですけども、在来種って英語で言うとローカルバラエティーっていうんですよ。地方品種っていう。
地方品種、わかりやすいですね。
英語の方が実はわかりやすくて、さっきの固定種もOP種って言って、オープンポリネイティとバラエティって言うんですよ。直訳したら自然交雑なんですよ。自然に混ざってる品種なんですよ。
英語の方が親切ですね。
英語の方が実はわかりやすくて。
在来種はローカルなんで、本当に地方の特定の地域に適応してきた品種ですね。さらに固定種よりもより狭まった感じのイメージを持ってもらったらいいと思います。
例えば九条ネギとか松本一本ネギとか。
そう、長野県いっぱい在来種が多いですけども、そういう品種なんで。後輩種は、これはF1品種とも言われてますんで、ハイブリッド品種なんですね。
掛け合わせってことですよね。牛でもF1って言ったりしますよね、品種を。
親が、両親がいて、それを掛け合わせることによって生まれた品種なんですね。
そういう意味で言うと、悟空と父の息子のご飯ってことですね。強いですもんね、F1のご飯は。
まさに強くなるんです。
そういうことですよね。
だから固定種に比べて揃いも良いし、特性としたら耐病性がもっと強化されてるとか。
病気に強いんだ。
収量がもっと良くなるとか、栽培の適応性が、適地がどんどん広がるとか、そういう特徴を持ったのが後輩種で。
後輩種の欠点と優劣のなさ
ただ、欠点としては、よく自家採取っていうのがありますけど、種を採ることがね。後輩種は、種を採った月の瀬で同じものができないんですよ。
同じものを受け継ぎにくいってことですね、性質を。
そう、ばらついてしまうので。ただ、その中で選んでいけば、自分のオリジナルは採れるんですけども。
そうなんですか。
へー。
じゃあ、家庭菜園でたまたまどっかで買った後輩種を植えて、すごく美味しいんですよね。
うんうん。
美味しいから、来年もこれ作りたいから、この種を採って来年も植えようって思ったら、同じものはできません。
でも、残念ながらできないんですよね。
それが後輩種の欠点。
欠点ですね。
で、その後輩種を作る時にも、いろんな技術があって、昔、メンデルの法則ってありましたけど、人工的に手で後輩させるやり方もあれば、今で言えば、ゲノム育種とか、遺伝子組み換えとか、いろんな技術があるので。
ただ、それ、いろんな技術があるんで、どういう家庭で育成されたかっていうのは、消費者にはちょっとわからない面があるんで。
なるほど。
まあ、その点がちょっと後輩種の、なんかちょっと悪いイメージを持たれてるかなと思うんですけども。
後輩種を敵視する人、世の中にいますよね、一部。
うん。
固定種、市場主義みたいな。
そう。
いますけど、それはちょっと違うってことですね。
なあ、と思いますね。
うん。
で、このセンターでも、この在来種、固定種やったり、後輩種を実は育成してるんですね。
そうですよね。
で、なんでかって、その有機の栽培の農家さんの、そろい性を良くしたいものっていう品種、求められてるのもあるので。
で、市販の品種って、固定種であっても後輩種であっても、実は、化学肥料とか農薬使ってることも多いんですよ。
その種を作る時点で。
それでは。でも、私のうちの方は、それを全く使ってないので。
はい。
むしろ、そういう固定種、在来種と後輩種の種の種類の区別よりも、種がどういうふうな形態で育ってきたかのが、僕たちは大事だなとは思ってます。
なるほど。じゃあ有機農家の人は、その固定種、在来種で選ぶんじゃなくて、有機の環境で育てられた種を使った方が、自分の有機の。
地元のその地域の品種を使うのであれば、そっちの方がいいかなと思うんですね。
うんうん。あ、なるほど。その視点は、新鮮な感じがしますね。
うん。
新鮮な感じがします。何か、後輩種は悪っていう人が一部世の中にいて、何でだろうなっていう。
全然不思議に思うんですけどね。
で、一般のその有機の農家さんであっても、市販の種を使って栽培してますから、で、市販の品種を抱える人は悪いわけではないんですよ。
そりゃそうですよね。
うんうん。
で、実際ここで育種してる素材も、市販の品種を使ったりもしてますし、
うんうん。
市販の品種でも、こう有機の栽培に関係無く品種である。
うんうん。
育種を携わっている実としては、別に後輩種、市販の品種と有機の種とのどちらが優れてるっていうものはないと思うんですね。
うんうん。
それぞれの特徴があるんで、その特徴をうまく活かすような栽培を、環境を整えてあげれば、それでもう寸法となる。
うんうん。
あんまりその固定後輩とかに囚われすぎても意味がないってことですよね。農産物を生産する上では。
うんうん。
それでも同じ種は、もう全部命持ってるもんなんで、それぞれにそういうなんか優劣をつけるのもどうかなというのがありますね。
確かにそうですね。優劣っぽい話し方をする人いますからね。固定種の方が上みたいな。そういうわけでは必ずしもないってことですよね。
だって固定種だって、さっきおっしゃってましたけど、性質が、例えば見た目同じだけど、実はちょっとずつ味が、特質が違ったりするわけじゃないですか。
うん、あります。
いろいろ。それにも目を向けて欲しいですよね。
そう。結構固定種でも味であったりとか、色が濃かったり薄かったりとかあるので、種を取る立場によっては、選び方によっては色の濃い固定種を選ぶ人もいれば、押す色を選ぶってこともできるんですよ。
そうかそうか。
意外と固定種って、よく見るとそれぞれバラツエがあるので。
はい。
だから選び方によって固定種っていうのは、結構品種としては変わってくることもあるので。
長野県で言うと、木曽何株でしたっけ、スンキに使われる。
ああ。
木曽、何、紅株?
スンキは何だろう。
何だったっけ、何かあそこから出さない品種あるじゃないですか。
前に出したね。
とか木曽紫株もあるし。
うんうんうん。
そう、あの辺りは何だったっけな、ちょっと忘れた。
何だったっけな、忘れちゃったんですけど、あれも固定種ではあるけれども。
うんうん。
やっぱその種を持ってる農家さんの好みで選抜されているってことですかね。
そうですね。
ああ、なるほど。えー、面白いな。
有機の種子の需要と有機食料の市場
だから種の生産される環境が大事ってことですね。固定だろうが交配だろうが。
原田さんはずっと有機の種を開発してきてるわけですけど、今後どういう有機種子の世の中になってほしいですかね。
まあ種、今後伸びてくるとは思ってはいるんですよ。
うん。
特に今国ではその緑のショフロシステム戦略っていうのを掲げてますんで、これがちょっと2050年までっていうかなり遠もない計画ですけど。
だいぶ先だな。
これ私はもうほんと70代なんですよ。大丈夫かって思ったけど、でもこれが本当に本格的に施策されて、で技術が定着して人材も増えていけば、確実に有機が広まってくると思いますし、
その時にまあ種の需要も増えると思いますんで。
有機の種子の需要が。
でまあ有機に含めてそうですけども、有機の食料の市場って日本もだんだん増えてはいるんですけど、実は海外のが多くて。
農水省が出してる統計だったら、2020年だったら大体有機の食品の売り上げは約14兆円。
14兆円。
はい。
でそのうちアメリカの売り上げは5兆円を超えてるんです。
半端じゃないな。
あんだけ遺伝子組み換えをしてるんだけど。
確かに。
すごい国だ。
アメリカってやっぱ面白い国ですね。
すごい国です。
やっぱ多様性があるってことだな。
で続いてまあヨーロッパですね、ドイツとかフランスが続いて、でアジアで1位は中国がまあ1兆円超えてて、で2位は、えーとね、アジアの中で2位は日本って言われてるんですけども。
えーそうなんですか。
それでも実は2000億円ぐらいなんですよ、まだ。
アメリカの25分の1?
全然もうマーケットは小さいんですよ。
うんうん。
だからこれから本当法整備も含めてやっていかないと日本はまあこの有機においてもまあ遅れていくなというのはありますんで。
日本の有機化の遅れと課題
日本ってなんで遅れてるんですかね、有機化が。
なんでなんですか。
一つはまあ人材。
まあこれまあ観光の農家さんもそうですけど人材不足もありますし、有機の場合ですとその技術がまあここ定着してないっていうのもあります。
あーそうなんですか。
でまあ種自体もまだ少ないっていうのもあります。
あーそうかそうか、有機栽培用の種自体が。
あー確かにそうですね。
そんな種、そういう風な宣伝文句で売ってる種って見たことないです。
ないんですよね。
まったくないですね。自然農法センターぐらいかな。
ここ、国内でまあ育種して生産販売してるのはここだけなので。
そうですよね。
まあこういう団体がどんどん増えていくような活動をまあしていきたいなと思います。
あーなるほど。
まだまだこの有機の種の認知度ってのは低いもんなんで。
低いですよね。
じゃあ他の種の生産者に技術供与したりもするんですか。
まあできることならそういうこともやっぱりしていきたいなと思いますね。
あーそうですね。
そうでないとこの日本の有機の市場っていうのは活性化していかないのかと思ってますね。
そうですよね。だってスーパーにたまになんか申し訳程度にオーガニック。
まだね。
高くて手が出ないんですよ。高いんだよな。
あれがもうちょっとこう手に届く価格帯ででも量も増えるようにしていかないとなかなか広まらないなと思うんで。
技術が復旧してそれで農家さんが普通に食えるようになれば価格も当然下がっていくわけですよね。
うん。
そうなるといいんですけどね。
やっぱりそういうためにはうちのこのセンターだけでは力でないのでいろんな団体とこう手を組んでそういう活動を進めていきたいなと思いますね。
そうですね。公益財団法人っぽい事業ですね。
いかにも。
公益に即している。いい話でした。
うん。
今日は固定種交配種から有機農業の展望まで伺いました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
このコーナーは公益財団法人自然農法国際研究開発センターの提供でお送りしました。