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浦島太郎 後編
2025-08-02 16:38

浦島太郎 後編

0147 250802 楠山正雄 浦島太郎 後編 朗読:橋本由紀
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おしゃべり本棚。この時間は福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。 楠山雅雄作
浦島太郎後編 毎日面白い珍しいことがそれからそれと続いて
あまり流宮が楽しいのでなんということも思わずにウカウカ遊んで暮らすうち 3年の月日が経ちました。3年目の春になった時
浦島は時々久しく忘れていた 故郷の夢を見るようになりました。春の日のポカポカ当たっている水の江の浜辺で漁師たちが
元気よく船歌を歌いながら 網を引いたり船を漕いだりしているところを夢に見るようになりました
浦島は今更のように お父さんやお母さんは今頃どうしておいでになるだろう
こう思い出すともう いてもたってもいられなくなるような気がしました
なんでも早く家へ帰りたいとばかり思うようになりました ですからもうこの頃では
歌を聴いても踊りを見ても面白くない顔をして塞ぎ込んでばかりいました その様子を見ると音姫様は心配して
浦島さんご気分でもお悪いのですか とお聞きになりました
浦島はもじもじしながら いいえそうではありません
実は 家へ帰りたくなったものですから
と言いますと 音姫様は急に体操をがっかりした様子をなさいました
まあ それは残念でございますこと
でもあなたのお顔を拝見いたしますと この上を引き留め申しても
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無駄のように思われます では
いたしかたございません 行ってらっしゃいまし
こう悲しそうに言って 音姫様は奥から綺麗な宝石で飾った箱を持ってお入れになって
これは玉手箱と言って 中には人間の一番大事な宝が込めてございます
これをお別れの印に差し上げますからお持ち帰りください ですが
あなたがもう一度竜宮へ帰ってきたいとお示すなら どんなことがあっても決して
この箱を開けてご覧になってはいけません くれぐれも念をして玉手箱をお渡しになりました
浦島は ええ
消してあげません と言って
玉手箱を小脇に抱えたまま竜宮の門を出ますと 音姫様はまた
大勢の腰元を連れて 門の外までお見送りになりました
もうそこには 例の亀が来て待っていました
浦島は嬉しいのと悲しいのとで胸がいっぱいになっていました そして亀の背中に乗りますと
亀はすぐ波を切って上がっていって まもなく
元の浜辺に着きました では浦島さん
ごきげんよろしゅ 亀は言って
水の中に潜って行きました 浦島はしばらく亀の行方を見送っていました
浦島は海端に立ったまましばらくそこらを見回しました 春の日がポカポカ当たって一面に霞んだ海の上に
どこからともなく賑やかな船歌が聞こえました それは夢の中で見た
ふるさとの浜辺の景色とちっとも違ったところはありませんでした けれどよく見ると
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そこらの様子がなんとなく変わっていて 会う人も会う人も
一向に見知らない顔ばかりで 向こうでも妙な顔をしてじろじろ見ながら
言葉もかけずに澄まして行ってしまいます おかしなこともあるものだ
たった3年の間にみんなどこかへ行ってしまうはずはない まあなんでも早く家へ行ってみよう
こう独り言を言いながら 浦島は自分の家の方角へ歩き出しました
ところが そこと思うあたりには
草や葦がぼうぼうと茂って 家なぞは影も形もありません
昔家の建っていたらしい跡さえも残ってはいませんでした 一体お父さんやお母さんはどうなったのでしょうか
浦島は不思議だ不思議だと繰り返しながら 狐につままれたようなキョトンとした顔をしていました
するとそこへ よぼよぼのおばあさんが一人杖にすがってやってきました
浦島は早速 もしもしおばあさん
浦島太郎の家はどこでしょうと声をかけますと おばあさんはけげんそうにしょぼしょぼした目で
浦島の顔を眺めながら へえ
浦島太郎 そんな人は聞いたことがありませんよ
と言いました 浦島はやっきとなって
そんなはずはありません確かにこの辺に住んでいたのです と言いました
そう言われておばあさんは はてね
と首をかしげながら 杖で背伸びして
しばらく考え込んでいましたが やがてポンと膝を叩いて
ああそうそう 浦島太郎さんというと
あれはもう300年も前の人ですよ なんでも私が子供の自分聞いた話に
昔々この水の江の浜に浦島太郎という人があって ある日
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船に乗って釣りに出たまま帰ってこなくなりました たぶん竜宮へでも行ったのだろうということです
何しろ昔の話だからねぇ こう言って
また腰をかがめてよぼよぼ歩いて行ってしまいました 浦島はびっくりしてしまいました
はて300年 おかしなこともあるものだ
たった3年竜宮にいたつもりなのに それが300年とは
すると竜宮の3年は人間の300年にあたるのかしら それでは家もなくなるはずだしお父さんやお母さんがいらっしゃらないのも不思議はない
こう思うと浦島は急に悲しくなって 寂しくなって
目の前が暗くなりました 今さら竜宮が恋しくてたまらなくなりました
潮潮とまた浜辺へ出てみましたが 海の水は満々とたたえていて
どこが果てとも知れません もう亀も出てきませんからどうして竜宮へ渡ろう
手立てもありませんでした その時浦島はふと抱えていた玉手箱に気がつきました
そうだこの箱を開けてみたらばわかるかもしれない こう思うと嬉しくなって浦島はうっかり
乙姫様に言われたことは忘れて箱の蓋を取りました すると紫色の雲が中からむくむく立ち上って
それが顔にかかったかと思うとすっと消えていって 箱の中には何にも残っていませんでした
その代わり いつの間にか顔中シワシワになって
手も足も縮まって綺麗な身際の水に映った影を見ると 髪もひげも真っ白な
可愛いおじいさんになっていました 浦島は空になった箱の中を覗いて
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なるほど 乙姫様が人間の一番大事な宝を入れておくとおっしゃったあれは
人間の寿命だったのだなぁ 残念そうにつぶやきました
春の海はどこまでも遠く霞んでいました どこからかいい声で船歌を歌うのがまた聞こえてきました
浦島はぼんやりと昔のことを思い出していました
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