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犯人 前編
2025-08-23 16:26

犯人 前編

0148  250823 太宰治 犯人 前編 朗読:植草俊
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00:00
初めてMacを手にした感動は忘れられない。
ネットの声をご紹介します。
ハンドルネーム、ドクターレインさん。
何もかもスムーズで、早くてビビった。
iPhoneとの連携も最高。
続いて、Mr.Incredible4883さん。
Appleシリコンのおかげで、バッテリー切れのストレスから解放された。
初めてのMacで、そう感じたそうです。
次はあなたが体験する番。
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心躍るMacが、うれしいプライスで登場。
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iPhone17e、登場。
早くてパワフルなA19チップを搭載。
長持ちのバッテリーで、心ゆくまでストリーミングを楽しめて。
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セラミックシールド2はこんなことや、こんなことから。
画面をまわる。
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最小ストレージはiPhone16eの2倍に。
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あふれる魅力を手に入れやすく。
新しいiPhone17eを、今すぐ楽天モバイルで。
おしゃべり本棚。
この時間は、福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。
太宰治作。犯人。前編。
なんという平凡。若い男女の恋の会話は、
いや、案外大人同士の恋の会話も、
旗で聞いては、その陳腐。
気ざったらしさに、全身鳥肌の立つ思いがする。
けれども、これは笑ってばかりも済まされぬ。
恐ろしい事件が起こった。
同じ会社に勤めている、若い男と若い女である。
男は26歳。鶴田恵介。
同僚は鶴、鶴と呼んでいる。
女は21歳。小森秀。
同僚は森ちゃんと呼んでいる。
鶴と森ちゃんは付き合っている。
晩週のある日曜日、
二人は東京郊外の猪頭公園で相引きをした。
午前十時。
時刻も悪ければ、場所も悪かった。
けれども二人には金がなかった。
茨の奥深くかきわけて行っても、
すぐそばを、分別顔の子供連れの家族が通る。
二人きりになれない。
二人は、お互いに二人きりになりたくてたまらないのに、
でもそれを相手に見破られるのが恥ずかしいので、
03:01
空の青さ、紅葉の儚さ、美しさ、
空気の清浄、社会の混沌、
正直者は馬鹿を見る、
などということをすべて上の空で語り合い、
お弁当は分け合って食べ、
死以外には何も念頭にないという、
あどけない表情をつとめて、
晩週の寒さをこらえ、
午後三時にはさすがに男は浮かぬ顔になり、
帰ろうか、という、
そうね、と女は云い、
それから一言、つまらぬことを口走った。
一緒に帰れるお家があったら、
幸せね、
帰って火を起して三畳一間でも、
笑ってはいけない恋の会話は、
必ずこのように陳腐なものだが、
しかしこの一言が、
若い男の胸をつかもう通れと突き刺した。
部屋。
鶴は会社の世田谷の寮にいた。
六畳一間に同僚と三人の貴居である。
森ちゃんは高円寺のおばの家に貴偶う。
会社から帰るとお手伝いとして立ち働く。
鶴の姉は三畳の小さい肉屋に届いている。
あそこの家の二階が二間。
鶴はその日、森ちゃんを吉祥寺駅まで送って、
森ちゃんには高円寺駅の切符を、
自分は三畳駅の切符を買い、
プラットフォームの混雑に紛れて、
そっと森ちゃんの手を握ってから別れた。
部屋を見つけるという意味で手を握ったのである。
や、いらっしゃい。
店では小僧が一人肉切り包丁を研いでいる。
兄さんは。
お出かけです。
どこへ。
寄り合い。
また飲みだな。
貴居は大酒飲みである。
家で神妙に働いていることが珍しい。
姉さんはいるだろう。
ええ、二階でしょ。
あがるぜ。
姉は今年の春に生まれた女の子に、
父を含ませ添い寝していた。
貸してもいいって兄さんは言っていたんだよ。
そりゃそう言ったかもしれないけど、
あの人の一存では決められませんよ。
私の方にも都合があります。
ど、どんな都合。
そんなことはお前さんに言う必要はない。
丈夫に貸すのか。
そうでしょ。
06:01
姉さん。
僕は今度結婚するんだぜ。
頼むから貸してくれ。
お前さんの月給はいくらなの。
自分一人でも食べていけないくせに。
部屋代が今どれくらいか知ってるのかい。
そりゃ女の人にもいくらか助けてもらって。
鏡を見たことがある。
女に見つがせる顔かね。
そうか。
いい。
頼まない。
立って二階から降り、
あきらめきれず、
むらむらと憎しみが燃えて客情し、
店の肉切り包丁を一本手に取って。
姉さんがいるそうだ。
貸して。
と言い捨て、
階段を駆け上がり、
いきなりやった。
姉は声も立てずに倒れ、
血は噴出して鶴の顔にかかる。
部屋の隅にあった子供のおしめで顔を拭き、
洗い呼吸をしながら下の部屋へ行き、
店の売り上げを入れてある手分庫から
数千円わしづかみにして
ジャンパーのポケットにねじ込み。
店にはそのとき、
お客が二三人固まって入ってきて、
小僧は忙しく。
お帰りですか。
そう。
兄さんによろしく。
外へ出る。
黄昏たそがれて霧が立ち込め、
会社のひけどきの混雑。
かきわけて駅に進む。
東京までの切符を買う。
ほんの四五分待っていただけなのだが、
少なくとも三十分が待った心地である。
電車が来た。
混んでいる。
乗る。
電車の中は人の体温で生暖かく、
そしてひどく速力が鈍い。
電車の中で走りたい気持ち。
吉祥寺。
西大木窪。
遅い。
実に呪い。
電車の窓のひび割れたガラスの、
そのひびの波状の線の通りに指先をたどらせ、
なでさすって、
思わず悲しい思いため息をもらした。
激しく動揺して、
一歩戸口のほうに向って踏み出した時、
公園時発車。
すっと扉が閉じられる。
09:03
ジャンパーのポケットに手を突っ込むと、
おびただしい紙くずが指先にあたる。
なんだろう。
はっと気がつく。
金だ。
ほのぼのとすくわれる。
よし、あそぼう。
鶴は若い男である。
東京駅下車。
今年の春、
よその会社と野球の試合をして、
勝って。
その時、
上役に連れられて、
日本橋のさくら、
という町合いに行き、
すずめという鶴よりも、
二つ三つ年上の芸者にもてた。
それから、
飲食店閉鎖の命令の出る直前に、
もう一度、
上役のお供で、
さくらに行き、
すずめに会った。
閉鎖になっても、
この家へおいでになって、
私を呼んで下さったら、
いつでも会えますわよ。
鶴はそれを思い出し、
午後七時、
日本橋のさくらの玄関に立ち、
落ちついて、
彼の会社の名を告げ、
すずめに用事がある。
と、
少し顔を若くしていい。
お手伝いにも、
誰にも怪しまれず、
奥の二階の部屋に通され、
さっそく土寺にきかえながら、
お風呂は、
とたずね、
どうぞ。
と、
案内せられ、
その時、
ひとり者は、
つらいよ。
ついでにお洗濯だ。
と、
はにかんだ顔をしていって、
少し血痕のついているワイシャツとカラーを抱え込み、
あら、
こちらでいたしますわ。
とお手伝いに言われて、
いや、
まれているんです。
うまいものです。
と、
きわめて自然に断る。
血痕はなかなか落ちなかった。
洗濯をすまし、
ひげを剃って、
いい男になり、
部屋へ帰って、
洗濯物は意向にかけ、
ほかの衣類を丹念に調べて、
血痕のついていないのを見届け、
それからお茶を、
続けさまに三杯飲み、
ごろりと寝ころがって目を閉じたが、
寝ておられず、
むっくりと起きあがったところへ、
素人風によそったスズメがやってきて、
おや、しばらく。
酒が手にはいらないかね。
はいりますでしょう。
ウイスキーでもいいの。
たまわない。
買ってくれ。
ジャンパーのポケットから、
ひとつかみの百円紙幣を取り出して、
投げてやる。
こんなにたくさんいらないわよ。
いるだけ取ればいいじゃないか。
お預かりいたします。
ついでに煙草もね。
12:02
煙草は?
軽いのがいい。
手巻きはごめんだよ。
こんばんは、ケイちゃん。
鶴の名はケイスケである。
蚊の鳴くような細い女の声で、
そういうのを確かに聞き、
髪の逆立つ思いで狂ったように跳ね起き、
襖ふすまをあけて廊下に飛び出た。
廊下は真の闇で、
遠くからかすかに電車の音が聞えた。
階段の下がほの明るくなり、
豆ランプを持ったスズメが現れ、
鶴を見て驚き、
まあ、あなた何をしていらっしゃる。
豆ランプの光で見るスズメの顔は、
みにくかった。
森ちゃんが恋しい。
ひとりで怖かったんだよ。
闇屋さん闇に驚く。
自分があのお金を何か闇商売でもやって
儲けたものとスズメが思い込んでいるらしいのを知って、
鶴はちょっと気が軽くなりはしゃぎたくなった。
酒は。
お手伝いさんに頼みました。
すぐ持って参りますって。
このごろはへんにややこしくって。
いやねえ。
ウイスキー、つまみ物、たばこ。
お手伝いは盗人のごとく足音をしのばせて持ち運んできた。
お静かにお飲みになってくださいよ。
心得ている。
鶴は大闇氏のように大全とそう答えて笑った。
これから始まる新生活。
悩みに悩みぬいた。
そして今やってきた。
ワクワクする大特化。
目移りする品揃え。
僕たち。
私たちは。
山田の家電で充実した新生活を送ります。
山田へ急げ。
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16:26

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