岡の家
2023-12-30 16:21

岡の家

0066 231230 岡の家 鈴木三重吉 朗読:池尻和佳子
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おしゃべり本棚 この時間は福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします 鈴木美恵吉作
岡の家 岡の上にお百姓さんのお家がありました
家が貧乏で手伝いの人を雇うこともできないので、 小さな男の子がお父さんと一緒に働いていました。
男の子は毎日農へ出たり、 穀物小屋の中で仕事をしたりして、
一日中休みなく働きました。 そして夕方になるとやっと1時間だけ勝手に遊ぶ時間をもらいました。
その時には男の子はいつも決まって、もう一つ後ろの丘の上へ出かけました。 そこへ上がると何十丁か向うの丘の上に
金の窓のついたお家が見えました。 男の子は毎日そのきれいな窓を見に行きました。
窓はいつもしばらくの間キラキラと眩しいほど光っています。 そのうちに家の人が灯を閉めると見えて、
急にひょいっと光が消えます。 そしてもうただのお家とちっとも変わらなくなってしまいます。
男の子は日暮れだから金の窓も閉めるのだなと思って、 自分もお家へ帰って牛乳とパンを食べて寝るのでした。
ある日お父さんは男の子を呼んで、 お前は本当によく働いておくれだ。
そのご褒美に今日は一日お暇をあげるから どこへでも行っておいで。
ただこのお休みは神様がくださったのだということを忘れてはいけないよ。
うかうか暮らしてしまわないで何かいいことを覚えてこなければと言いました。 男の子は大層喜びました。
03:11
では今日こそはあの金の窓の家へ行ってみようと思って、 お母様からパンを一切れもらってそれをポケットに押し込んで出て行きました。
男の子には楽しい遠足でした。 裸足のまま歩いていくと
往来の白い埃の上に足の跡がつきました。 後ろを振り返ってみると
自分のその足跡が長く続いています。 足跡はどこまでも自分についてきてくれるように見えました。
それから自分の影帽子も自分のする通りに一緒に踊り上がったり走ったりしてついてきました。
男の子にはそれが愉快でたまりませんでした。 そのうちにだんだんにお腹が空いてきました。
男の子は道端の池垣の前を流れている小さな川の淵に座ってパンを食べました。
そしてすき通ったきれいな水をすくって飲みました。 それから食べ余した固いパンの皮は小さく砕いてあたりへ振り巻いておきました。
そうしておけば小鳥が来て食べます。
これはお母さんから教わったことでした。 男の子は再びどんどん歩きました。
そしてようやくのことで高い真っ青ないつも見る丘の下へ着きました。
男の子はその丘を上がって行きますと例のお家がありました。
しかしそばへ来てみるとそのお家の窓はただのガラス窓で金なぞはどこにもはまっていませんでした。
男の子はすっかりあてが外れたのでそれこそ泣き出したいくらいにがっかりしました。
とお家からおばさんが出てきました。
06:00
そして何か御用ですかと優しく聞いてくれました。
男の子は私はうちの後ろの丘の上から見えるこのお家の金の窓を見に来たのです。
でもそんな窓はなくてただガラスがはまっているだけですねと言いました。
おばさんは首を振って
私のうちは貧乏ですもの金などが窓についているはずはありません。
金よりもガラスの方が明るくていいんですよ
とこう言って笑いながら男の子を戸口の石段に腰をかけさせてお父を一杯とパンを一切れ持ってきてくれました。
おばさんはそれから男の子とちょうど同い年ぐらいの女の子を呼び出しました。
そして二人でお遊びなさいというようにうなずいて見せて再びお家へ入って仕事をしました。
その小さな女の子も自分と同じように裸足のままで黒っちゃけたもめんの上着を着ていました。
しかしその髪の毛はちょうど男の子がいつも見ている光った窓のようにきれいな金色をしていました。
それから目は真昼の空のように真っ青に澄んでいました。
女の子はにこにこしながら男の子を誘ってお家の牛を見せてくれました。
それは額に白い星のある黒い子牛でした。
男の子は自分のお家の栗の皮のような赤色の牛のことを話しました。
女の子はそこいらになっているリンゴを一つもいで二人で食べました。
二人はすっかり仲良しになりました。
男の子は金の窓のことを女の子に話しました。
女の子はええ私も毎日見ていますわ。
でもそれはあっちの方にあるんですよ。
あなたはあべこべの方へ来たんですわと言いました。
いらっしゃいこっちへ来ると見えるのよと女の子はお家のそばの少し高いところへ男の子を連れて行きました。
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そして金の窓は見えるときが決まっているのだと言いました。
男の子はああ決まっているお日様が映えるときに見えるのだと答えました。
二人は小高いところへ登りました。
女の子はああ今ちょうど見えますほらご覧なさいと言いながら向こうの丘の方を指差しました。
あああんなところにもあると男の子はびっくりして見入りました。
しかしよく見るとそれは丘の上の自分の家でした。
男の子はびっくりして私はもうお家へ帰ると言い出しました。
そしてもう一年も大事にポケットにしまっていた赤い筋が一筋入った白いきれいな小さな石を女の子にやりました。
それから土地の実を3つ、ビロードのような艶のある赤いのとポチポチのついたのと牛乳のような白い色をしたのとその3つをやりました。
そしてまた今度来るからと言って大急ぎで走って帰りました。
女の子は男の子が慌てて駆けて帰るのをびっくりして見送っていました。
キラキラした夕日の中にいつまでも立って見ていました。
男の子は息をも休めないでどんどん走って帰りました。
しかし道がずいぶん遠いのでお家へ着いた時にはもうすっかり暗くなっていました。
自分のお家の窓からはランプの明かりと炉の焚き人が黄色く赤く見えていました。
ちょうどさっき丘の上から見た時と同じようにきれいに輝いていました。
男の子は戸を開けて入りました。
お母さんは立ってきて頬ずりをして迎えました。
小さな妹もよちよちかけて来ました。
お父さんは炉のそばに座ったままにこにこしていました。
お母さんはどこへ行ってきたの面白かったと聞きました。
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ええずいぶん愉快でしたよと男の子はうれしそうに言いました。
何かいいことを覚えてきたかいとお父さんが聞きました。
私は自分たちのこのお家にも金の窓がついているということを教わってきました。
と男の子は答えました。
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