茶話回⑤「続けることに、ゴールはいらないかもしれない」
2026-10-07 19:00

茶話回⑤「続けることに、ゴールはいらないかもしれない」

一冊の本をお茶とともに味わう読書Podcast「本茶本茶」。


今回は10回ごとの雑談回「茶話回」の5回目。オーサワの有機三年番茶を淹れながら、配信50回を迎えて感じている「続ける」ということについて、これまで紹介してきた本を振り返りつつ話しました。


▼ 今回の話題

ゴールのない「続ける」ができるようになった / 毎日の習慣が、その人の人格になる / 誰にも見られない「55分」の積み重ね


▼ 話の中でふれた本

斉須政雄『調理場という戦場』(#9)

千葉雅也『センスの哲学』(#20)

樋口耕太郎『人生とは長い時間をかけて自分を愛する旅である』(#21)


習慣・稽古・何かを淡々と続けることに興味がある方におすすめの回です。


☕ 今回のお茶

オーサワジャパン

「オーサワの有機三年番茶」(三年番茶 / 宮崎県産有機茶)


👤 話し手: Fuyuto

「静けさのデザインとケア」をテーマに、コーチング・プログラム開発を行うStudio Stillness代表。

note → https://note.com/honcha_honcha


▼ コーチング・お仕事のご相談

https://cuboid-search-28c.notion.site/studio-stillness

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サマリー

配信50回を迎え、Fuyutoがポッドキャストや茶道の稽古などを通して「続けること」を振り返る。以前は目標達成まで続ける感覚が強かったが、今はゴールがなくても淡々と積み重ねられるようになったという。斉須政雄『調理場という戦場』から、毎日の習慣が人格として認められるという考えを紹介し、千葉雅也『センスの哲学』の「反復」とも結びつけて考える。さらに樋口耕太郎『人生とは長い時間をかけて自分を愛する旅である』の倍加するウイルスの例を通じ、誰にも注目されない55分の積み重ねが、突然の変化に見える成果を支えると語る。

配信50回と、ゴールのない継続
こんにちは。本茶本茶へようこそ。
毎回一つのお茶を味わいながら、一冊の本をきっかけに、生き方の問いを一つ持ち帰る時間です。
静けさのデザインとケアを通して、創造性の器を育む、スタジオステルネスのFuyutoがお送りします。
毎週水曜日19時に更新しています。
前回の配信で50回目を迎えたということで、今日は10回ごとの雑談会、騒会にしたいなと思います。
さっきですね、ポッドキャストを自分の番組調べてたんですが、一番初めの配信が2025年の9月9日ということで、
そこから1年ちょっとですね、回数にして50回。途中の騒会も含めるともうちょっとになるのかな、続けてくることができました。
初めは本当に自分の話すことのリハビリのような位置づけで、1年前始めたものだったんですけれども、
なんとか途中1週間あいたり1ヶ月あいたりありましたが、毎週ほとんどの期間は続けることができて、
かつ途中にはポッドキャストウィーケンドに出させていただいたりもしながら、皆さんに聞いていただけるようになってとてもありがたく思っています。
いつも聞いてくださってありがとうございます。
今日は雑談会ということで、この続ける、何かを続けるということについて少し本を引用しながら考えてみたいなと思っております。
その前にまずは一緒に楽しむお茶から。
有機三年番茶と穂高養生園
本日は大沢の有機三年番茶というものをいただいています。
確か過去にも一回これを飲みながらポッドキャストを撮ったことがあるかなと思うんですけれども、
これは有機栽培で育成した茶の茎と葉っぱを釜入りしてから熟成させて焙煎させたお茶になっています。
おそらく三年と書いてあるので、これは何の三年なんですかね。
熟成が3年間だったのかな。そんなようなお茶になっています。
これはですね、今年の夏前、初夏ですかね、梅雨かな。
6月の下旬に、穂高養生園という、長野の穂高という場所にある養生園。
宿泊施設なんですけれども、食事だったり運動だったり、そういういろんなプログラムを通して養生する、健康に暮らすための宿泊施設があるんですが、
そこでですね、館内にいつもこの大沢の有機三年番茶というものが置いてあって、飲んだり、
あとは、ハーブ園があってですね、そこでハーブを摘んで、それにお湯を入れてハーブティーにして飲んだり、
そんなことができる施設があるんですが、そこでですね、出会ったものをそれ以降家に常備しているものになります。
会で言うと、42回ですね、安西有機さんの静かな時間の使い方という本を切り口に話した会があるんですけれども、
ちょうどその会がこの穂高養生園に行きながら、ハーブを摘んでお茶にする様子を撮っている、そんな会になります。
もう今日は本当シンプルにですね、続けるっていうテーマなので、
まあなんか長く熟成されたものがいいなと思ってこの三年番茶をいただいております。
ここからまた本編の方に戻っていこうと思いますので、皆様もよろしければお気に入りの飲み物と一緒にお聞きください。
目標なしに積み重ねるポッドキャストと稽古
さて、今日はこの続けるということを題材に少し雑談会をしていきたいなと思うんですけれども、
どうでしょう?皆さんは何か続けることとか続けていることと聞いて、どんなことが思い浮かびますかね?
僕はどうだろうな、確かにこのポッドキャストもまあ1年続けたことっていう風に入るし、
何回かこのポッドキャストでもお話ししたかもしれないですけど、
コロナ禍ですね、に茶道のお稽古を始めて、
まあそれももちろんその月に3回の月もあれば月に1回だけの月もあるんですけど、
ポッドキャストを今まで続けてきている5年間かな、次6年目に入った、そんなようなことが思い浮かんだり、
まあ人によってはお仕事をずっと続けてきているっていう方もいるでしょうし、
それが趣味だったり、いろんなことをいろんな期間皆さん続けているかななんて想像しています。
このポッドキャストを続けてきて何が変わったかなっていう風に思うとですね、
さっきの茶道の話ともちょっと近いんですけど、何かを目的とせず続けるみたいなことが最近できるようになったっていうと、
ちょっとニュアンスが違うかもしれないですが、するようになった、できるようになった、そんな感覚を持っています。
例えばですね、学生の頃とか、もしかしたら社会人の初めのうちもそうだったですかね、
に続けることって何かしらゴールがあってそこまで続けるっていうニュアンスが多かった気がするんですよね。
例えば学校で言えばテスト勉強があってそこまでずっと勉強を続けるとか、
あるいは目指している大会があってそこに向けてスポーツの練習を続けるとか、
何かそういう目標に対して続けるっていう要素が僕の場合はですね、多かった気がします。
それがスポーツであったり、学校であったり、
例えば体育大会みたいなことであったり、あるいは受験であったり、
何かどっか終わりに向けてそこまで続ける?
就職活動もそれこそ納得いく結果の就職先が見つかるまで続けるとか、
途中で行った留学なんかも合格するまで続ける。
その先に何があるかっていうこととセットで続けてきたことって多かったなと思います。
でも一方で最近の続ける?
それこそこのポッドキャストもそうでしょうし、
茶道のお稽古もそうでしょうし、
あるいはちょっと個人で2ヶ月に1回ぐらい開いているワークショップというか探究会みたいなこともそうかもしれないんですけれども、
どこにも終わりはない感じはありますよね。
じゃあポッドキャスト50回続けた、100回続けたから何かになるかと言われると、
別にそういう何かを目指しているわけでもない。
一方でそういう目指すものがないから続けないかと言われると、
そうでもないと。
ただ毎週毎週続いていく、積み重なっていく。
そんなようなことも続けられるようになったっていうのかな。
そんな印象を何か持っています。
『調理場という戦場』と習慣が表す人格
そんなことを考えながら思い出すのは、これもだいぶ前ですね。
もしかしたら1年ぐらい前かもしれないですね。
第9回でご紹介したコートドールというレストランをやっていたか。
サイズマサオさんという方が書かれた調理場という線上という一冊。
その中でもしかしたら当時もこの場所を引用していたかもしれないですが、
思い浮かんだ一節があるので少しご紹介をさせてください。
毎日やっている習慣を他人はその人の人格として認めてくれるという法則のようなものを、
僕はずっと後になって知ることになりました。
これを読みながら面白いなと思ったのは、
この世の中は結構その人の人格って達成したことによって測られる、
そんな一面もありそうな気がしていたんですよね。
何々大学卒業とか、どんなことを達成したかとか、
どういう仕事でどんな異業を成し遂げたかとか、
そういう点として達成したものでその人の人格が現れるという考えもあるかもしれないですが、
ここで斎藤さんがおっしゃっているのは、もっと線とか面として続けていること、
ただひたすら淡々と続けていることがその人の人格を表す、
なんかそんなような視点なんだろうと受け取りました。
『センスの哲学』の反復
そしてもう一冊、これは第20回で取り上げた千葉雅也さんの
センスの哲学という一冊にも何か通ずる部分があるような気がしていて、
こちらも少しご紹介をさせていただきます。
個性とは何かを反復してしまうことではないでしょうか。
個性的な反復、それは何らかの問題の表現です。
その問題が結局何を意味するのかは曖昧なままです。
ここで言われている反復というのは、どちらかというとその芸術の中における
その人のリズムとか何か繰り返し現れてくるパターンみたいなものの話から入っているパートだと思うので、
少し今回のポッドキャストが続くとか作動の稽古が続くというものを
直接的に語っていることではない気もするんですけれども、
ただ一方で何かこの反復というものが何らかの問題の表現であるというところは
少し気になる部分でもあります。
何かゴールがあるわけでもないかもしれないのに、
淡々と続いていくこと、続けられていること、続けてしまっていること、
それがもしかしたら人格の破片なのかもしれないし、何かしらの問題の表質なのかもしれない。
というのは何かこの続けるということを味わうために面白い視点だなと思いました。
『人生とは長い時間をかけて自分を愛する旅である』の55分
さらにそのもう一回後、21回目にご紹介した樋口幸太郎さんの
人生とは長い時間をかけて自分を愛する旅であるという一冊にも
少しこの続けるということに絡んだ部分があったなと思い起こしています。
この本、皆さんお読みになったことありますかね?
多分僕がご紹介してきた本の中で一番他の方と話題に上るというか
これ読みましたっていう話が多いのがこの樋口さんの本な気がしたりとか
あるいは結構そうですね、この本を読書会で読まれている方って多いなという印象を
僕の周りでは感じてしまうんですけれども、その中に続けるというよりも
福利ですかね、福利のパワーみたいなことを書いた場所があります。
ボトルの中のウイルスっていう話なんですけれども
これはバートレッド教授という方が福利のインパクトっていうものを示すために
説明をしたものを樋口さんが引用しているものになります。
ウイルスの増殖で例えているんですよね。
このウイルスは1分間経つと倍になると。
1つのウイルスが2つになり、2つのウイルスが4つになり、4つが8つになりっていう風に倍々ゲームで増殖していくウイルスだと。
ここで事例として挙げられているのは、例えば午前11時、お昼の1時間前にこのウイルスが1つだけ大きな空のボトルに入れられると。
そうすると1分経った11時1分にはウイルスが2つになり、11時2分、2分経つと4つになり、60分経つとボトルが完全にいっぱいになると。
そんなようなシミュレーションをしてみると。
そうするとですね、12時にボトルいっぱいになるとしても、その1分前の11時59分の時点ではまだボトルの半分しか埋まっていないということになる。
そうですよね、最後11時59分から12時までの1分間でボトルの半分からボトルのいっぱい一杯に変わるっていう、そういう倍々ゲームだと思うので。
そうやって逆算していくと、2分前の11時58分にはまだボトルの25%、もう1分前の11時57分では12%みたいな形でですね、逆算ができると。
そうすると、5分前、11時からウイルスが倍々ゲームで増えているんだけど、12時まであと5分の11時55分の時点ではウイルスって全体のわずか3%なんだそうです。
ボトルの中にまだ3%しかいないってほぼ見えてないですよね。
5分前にはほぼ見えなかったはずのウイルスが11時55分から12時までの最後の5分で倍々に増えていって、最終的にはボトルがいっぱいのウイルスであふれると。
これこそがですね、ティッピングポイントと呼ばれるものが何の前触れもなくある日突然起こったように見える。
11時55分には全く何も見えなかったはずのウイルスが5分後には瓶の中にパンパンになっていると。
そんなようなことを解説をしています。
と同時に、そういうある日突然起きるブラックスワンは突然社会に登場して強烈なインパクトを与えているように見えるんだけど、
そこまでの55分、11時から11時55分まで、約3%に育つまでは誰にも注目されない55分を過ごしている。
一文をしてみると、「社会の常識から逸脱し、誰からも注目されず、人に見くびられ、自分自身を信じ続ける苦しみに向け合いながら、たった一人で小さな一歩一歩を積み重ねる55分である。」
そんなことを樋口さんは書いています。
もちろん何かを続けるということが必ずしも、冒頭話したみたいに何かを成し遂げるために続けているだけじゃないことも多いと思いますが、
何かこの地味でも誰からも見えなくても続けていくものが、自分の55分を形作っているみたいなことも言えるのかもしれないなと思って、ちょうどこの場と思い出したのでご紹介させていただきました。
とまぁ少し取り留めのない話になってしまいましたが、続けるという一つの切り口をベースにちょっと思い出した、かつこれまでご紹介をしてきたいくつかの本をもう一度振り返る、そんな時間にしてみました。
来週からはまた本のご紹介を継続しようと思いますので、よろしければ聞いていただけると嬉しいです。
それではまた。
19:00

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