本という窓から吹く風|青木海青子『本が語ること、語らせること』#50
2026-09-30 17:54

本という窓から吹く風|青木海青子『本が語ること、語らせること』#50

一冊の本をお茶とともに味わう読書Podcast「本茶本茶」。

今回はうの茶園のウーノン茶を淹れながら、青木海青子・青木真兵『本が語ること、語らせること』を紹介します。

▼ 今回のテーマ

司書席での対話/自助を助ける/本の語りに耳を澄ませる

奈良の山あいで自宅を私設図書館として開くご夫妻が、お悩みに答えではなく3冊の本で応える。本や図書館、読書会が好きな方、誰かの隣に立つ仕事をしている方におすすめのエピソードです。
▼ Still Reading Book Club(東京・月1回の読書会)https://srbc.framer.website/Instagram → https://www.instagram.com/still_reading_book_club/

🍵 本日のお茶

うの茶園「ウーノン茶」(静岡・浜松市春野町)

https://uno-chaen.studio.site/Product

📕 本日の本

『本が語ること、語らせること』

青木海青子・青木真兵(著)

👤 話し手

Fuyuto「静けさのデザインとケア」をテーマに、コーチング・プログラム開発を行うStudio Stillness代表。

note → https://note.com/honcha_honcha

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サマリー

Fuyutoが、青木海青子・青木真兵『本が語ること、語らせること』を、宇野茶園の「ウーノン茶」とともに紹介する。奈良・東吉野で自宅を私設図書館ルチャ・リブロとして開く夫妻の活動や、本を介した相談への応答が語られる。婚活への違和感をめぐる相談に、『猫町』『東洋的な見方』『フィオナの海』の3冊を紹介する例から、本との対話が自分の違和感や社会規範との関係を見つめる助けになることを考える。さらに、レファレンスを「自助を助ける」方法として捉え、本のかすかな声に耳を澄ます静かな場所の大切さや、読書会で本を窓にして人の物語が語られる体験について話す。

『本が語ること、語らせること』とルチャ・リブロ
こんにちは。本茶本茶へようこそ。
毎回一つのお茶を味わいながら、一冊の本をきっかけに、生き方の問いを一つ持ち帰る時間です。
静けさのデザインとケアを通して創造性の器を育む、スタジオステルネスのFuyutoがお送りします。
毎週水曜日19時に更新しています。
今日ご紹介するのは、青木みやこさんの書かれた、「本が語ること、語らせること」という一冊になります。
過去ですね、このポッドキャストでも、資本主義を半分捨てるという、青木新平さんの心象をご紹介したことがあったと思うんですが、
この青木みやこさんは、その新平さんのパートナーの方です。
青木さんご夫妻はお二人で、奈良県の東吉野というところで、人文系施設図書館、私の説の施設ですね、ルチャリブロというものを開いています。
自宅の一部を図書館として開放して、誰でも立ち寄ったり、本を借りられる、そんな場所を作っている方たちです。
そしてこの著者のみやこさんは、もともと大学の図書館で師匠として働いていたような経歴をお持ちなんですが、この施設図書館のルチャリブロでも師匠を務めていらっしゃいます。
この本はですね、ルチャリブロを6年だったかな、7年だったかな、それくらいの期間開いてきた日々のエッセイと、
あとはですね、様々な方から寄せられたお悩みに対して、この青木さん夫妻、みやこさんと新平さんが合計で本を3冊ずつですね、紹介してお答えをする、そんなやり取りの記録が8つほどまとまった、そんな1冊になっています。
今回この本を選んだのはですね、繰り返しになってしまうんですけれども、最近月1回ずつスティールリーディングブッククラブというブッククラブを東京で開催をしているんですけれども、
それをやる中でですね、やはりこの本があることで語れること、本の内容そのものを語るというよりも、それをきっかけにそれぞれの人の物語が語られていく、そんな体験をしていることもあって、今日はこの1冊を選んでみました。
もしブッククラブご興味ある方いらっしゃいましたら、概要欄の方からぜひホームページやインスタグラムを覗いていただけたら嬉しいです。
紹介したいポイントは3つあって、
四書籍での対話、そして事情を助ける、最後に本の語りに耳をすませる、その前にまずは一緒に楽しむお茶から。
宇野茶園のウーノン茶
本日はウーロン茶をいただいています。
宇野茶園さんという日本の茶農家さんのウーノン茶、ウーロンではなくて宇野さんなのでウーノン茶というお茶を入れてみました。
この宇野茶園さんというのは浜松ですね、静岡県浜松市にある農園になります。
この宇野さんというのはご夫妻でもご家族もいらっしゃるんですが、移住をしてここでお茶作りをしている方。
台湾旅行を行った際にウーロン茶にとても惹かれて、そこから製品ウーロンという台湾品種を育てながら自前でウーロン茶を作っているというような方たちになります。
2024年の日本茶アワードでウーロン茶部門の最優秀賞というんですかね、プラチナ賞というものを取られていて、そこで僕はこの茶園さんのことを知りました。
何か夫婦で移住をしながら新しいチャレンジをしているというところで思いついて、今日はこのお茶を飲んでみています。
茶葉は大きくて力強い感じなんですけれども、確か無農薬とか消費量のようなことだったと思うんですけれども、
すごい力強い茶葉ではあるものの、味はすごい花の香りというか優しい香りがするお茶で、
かつやっぱりウーロン茶は茶葉がちっちゃくちょびちょびいただくので、とてもありがたくあったかい気持ちになるなと。そんなお茶になっております。
ではここから本の紹介に戻ろうと思いますので、皆様もお気に入りの飲み物と一緒にお楽しみください。
本という窓と、3冊で答える相談
このポッドキャストでも何度かお話をしているこの施設図書館ルチャリブロというもの。
僕もずっと行きたくて、うまく予定を立てないといけないなと思っているんですけれども、とてもきっと素敵なところなんだろうといつも想像しながら読んでいます。
自宅を図書館として開くとどういうことが起きるのか。
この本の中で宮子さんはこんな風に書いているんですね。
本を真ん中にした空間は自然と人の心を開放していくようです。
これはおそらく図書館という場の紅葉で、本という窓から風が吹き込み、まだ見ぬ世界の風景が伺えることに由来しているのだと思います。
この風のおかげで心が開放され、お互いが窓から同じ風景を見ていることに気づくからこそ、不意に自らを開示できるというようなことが起こるわけです。
本ということが窓なんだという話をされているんですよね。
おそらくもうそこからすぐにでも外に出られるような扉とかドアということではなく、ちょっとその窓越しに普段見慣れない新しい風景に出会える場所。
それが必ずしも一人で見るというだけじゃなくて、何人かで一緒に外を眺める。
そんなようなことがこのルチャリブロでは起きているんじゃないかなというふうに思います。
そんなですね、ルチャリブロにて行われている四書籍での対話というものが一つ目の切り口になります。
これは先ほどいろんな人のお悩みに本を提示することで解決というかお返事をしていく、そんな対話が8つほど収録されていると言いましたが、
そのうちの一つをご紹介してみようと思います。
ご相談の趣旨はですね、婚活を始めた女性の方が、婚活を始めたんだけれども何か小さな違和感を抱えている。
相手の方と前に進もうと思ってもちょっとそれにブレーキがかかったりとか、自分が何を大切にしていて何に違和感を感じているのかがわからない。
そんなことが相談の内容になります。
それに対して3冊の本というものがお返事されるんですね。
まず一冊目は宮子さんが萩原作太郎の猫町という物語。
二冊目が新平さんから鈴木大雪の東洋的な見方という一冊。
最後にもう一度宮子さんからフィオーナの海というファンタジーの一冊。
こんなものが提示されながら少しずつそのお悩みに対するコメントが書かれていく、そんなパートになります。
全部はもちろんご紹介できないんですが、少しずつその本でどういうことが語られているかをご紹介すると、
一冊目、萩原作太郎の猫町という一冊ですけれども、
これは主人公がいつも遊びに行く町に遊びに行こうとしたところを道に迷ってしまうと、
諦めて家に帰ろうと歩いていくと何やら今までに出会ったことのないきらびやかな町に出会うんですね。
その新しい町を歩きながらその町に魅了されるんですが、
ふと気づくと実はそれがいつも言っているもともと遊びに行こうと思っていた町だったという結果だそうです。
つまりてっきり同じ町にたどり着いていたんだけれども、違う町としてその町を楽しんでいた。
そんな物語だそうです。
その内容を説明しながら、一冊、宮子さんのコメントを引用すると、
一つの世界に居続けると、見方が固まって身動きができなくなってしまうことがままあります。
そんなときは、猫町のような身近な異界へのお出かけをお勧めします。
不思議な世界ではなくとも、いつもとは違った道を使ってみたり、反対方向に歩いてみたり、
立ち止まったときにそこにあるような場所でいいのです。
そういう場所を自分の中に持っておくのも、東漢がよく言う、悲願と志願を行き来することです。
そして二冊目、青木新平さんは、続き大説の東洋的な見方を挙げながら、
人の悩みの根っこというのは、人と比較してしまうということだったり、
相手が望んでいるであろう像に自分を当てはめてしまうことだというふうに言いながら、
東洋的な見方が役に立つかもしれません。そんなアドバイスをしていました。
一文用すると、東洋的な見方とは、一言で言うと、分析してもよくわからないということです。
自分と合う合わないとか、好き嫌いというものを比較によって行わないこと、そんなことが語られています。
最後に宮子さんからフィオナの海というファンタジーを例に挙げながら、
これはですね、登場人物が複数いるのですが、その中に違和感を素直に見つめられる登場人物と、
どちらかというと社会規範に寄せて、そう気づいているんだけど、それを制御しようとする、そんなキャラクターが出てくるものなんですね。
そんな物語を引きながら、この相談者の方の中にも、違和感に対して素直でいたいという人格と、
それを制御しようとする人格が同居しているんじゃないかと。
純粋で素朴な違和感を持ちながらも、一方では常識や社会規範に寄せる、そういう思考も自分の中に同居しているんだ、
そんなことに自覚的であるということも一つなんじゃないか、そんなアドバイスがされます。
本を通じて自助を助ける
こんなようにですね、様々なお悩み事に対して、本3冊でお答えをしていくというものが続いていくのですが、
なぜこういうことを青木さんたちはやっているんだろうかと。
その答えがですね、切り口の2つ目、事情を助けるというものになります。
一箇所を引用させていただくと、生活の困難や知らないこと、わからないことを抱えて生きるのはその人自身であり、
これらに自ら向き合うことが本来的な事情だと思います。
その道、その願いを真ん中に据え、天気を伝えたり、道をならしたり、飲み物を手渡したりしながら少しでも歩きやすくする。
その方法の一つとして、図書館でのレファレンスがあるのだと考えています。
このレファレンスというのは、図書館の人が人と本の間に入りながらマッチングをしていくことだそうです。
土着への一歩という後書きのような最終章の中で、誰かのお悩みに答えるという企画を始めるにあたり、
自分のように挫折ばかりの人間がそんなことをしていいのだろうかという自問が幾度となく頭をかすめたというような話をしています。
ただ、そんな中でも、この本とのマッチング、レファレンスであったり、本を中心にしたお悩みへの回答ということを続けているというのは、
何かこの事情を助けるというところにあるんじゃないかなと僕は感じました。
本来その問題に向き合うということ自体を周りの人がどうこうということではなくて、
それには自分自身が向き合っていく、事情をするということを前提に置きながら、
少しでも天気を伝えたり、飲み物を手渡したり、何かそこにサポートであったり、少しでも歩きやすくできるんじゃないか、
そんなところが受け取れた一文になります。
本の語りに耳を澄ませる
最後の切り口は、この本の名前にもなった一つの場所から。
切り口は、本の語りに耳をすませる。
少しまた引用させていただくと、書物には声を発さずとも、人に語りかけ、また語らせる力があるのです。
けれど、本の声は周囲の声よりずっとかすかで、めまぐるしく波立つ日常の海を泳ぐことに一生懸命になっていると、すぐに書き消されてしまいます。
そんなときには、時間が緩やかに流れる静かな場所で、本が語る声に耳を傾け、感覚を開き直してみてください。
本の声が体にじわじわとしみわたってきたとき、使えながらも少しずつこぼれてくる言葉こそ、あなたがあなた自身を内側から表現するものなのではないでしょうか。
なかなか周囲の音であったりノイズが大きくて、どうしても本の声に耳をすませられないときに、行く場所、逃げ込む場所、
時間が穏やかに流れる静かな場所が、青木さん夫妻がやっているルチャリブロというところなんだなと思うとともに、
それが自分にしみわたったとき、少しずつこぼれてくる言葉、もしかしたらそれが僕にとってはこのポッドキャストなのかもしれないですし、
いろんな人とその時間を味わうということが、ブッククラブでやりたいことなのかなというふうに思って読んでいた部分になります。
皆さんは最近どんな窓としての本と出会ったり、その本がどんなことを皆さんに語らせてくれたでしょうか。
ということで、今日は宇野茶苑さんの宇野茶をいただきながら、青木みやこさんとしんぺいさんの書かれた、
本が語ること、語らせることという一冊をご紹介しました。
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それではまた。
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