2025-06-14 18:06

#1476. Caxton がイングランドに初の印刷所を設けた年

▼緊急告知! 2025年6月18日に本が出ます


📙唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一(著),福田 一貴・小河 舜(校閲協力) 『英語語源ハンドブック』 研究社,2025年.


- ぜひ Amazon よりご予約ください:https://amzn.to/4mlxdnQ

- 詳しくは研究社のHPをご覧ください:https://www.kenkyusha.co.jp/book/b10135166.html


▼パーソナリティ,堀田隆一(ほったりゅういち)の詳しいプロフィールはこちらの note 記事よりどうぞ.


- https://note.com/chariderryu/n/na772fcace491


▼heldio のビデオポッドキャスト版を Spotify で始めていますので,そちらのフォローもよろしくお願いします.


https://open.spotify.com/show/0xOyOIXBUrIZbnwSLeJsSb?si=zH5V2CjkS0ekqNz5ro7caw


▼helwa リスナー有志による月刊誌「Helvillian」が2024年10月28日に創刊しています.第4号まで公開されています.


- 創刊号(2024年10月28日):https://note.com/helwa/n/ne2b999d5af72

- 第2号(2024年11月28日):https://note.com/helwa/n/n94e9d9a74706

- 第3号(2024年12月28日):https://note.com/helwa/n/na7394ab1dc4c

- 第4号(2025年1月28日):https://note.com/helwa/n/nb6229eebe391


▼2024年12月30日に『英語史新聞』第11号がウェブ発行されています.


khelf(慶應英語史フォーラム)による『英語史新聞』第11号がウェブ公開されています.こちらよりアクセスしてください


- 第11号:https://keio.box.com/s/kk0jss15l22pz1rpuysa0ys4nkpc3lwr


第11号公開については,khelf 公式ツイッターアカウント @khelf_keio (https://x.com/khelf_keio) を通じても案内しています.

リツイートなどを通じて「英語史をお茶の間に」の英語史活動(hel活)にご協力いただけますと幸いです.


▼2024年第3四半期のリスナー投票による heldio 人気配信回


- 第1位 「#1219. 「はじめての古英語」第10弾 with 小河舜さん&まさにゃん --- 「英語史ライヴ2024」より」 https://voicy.jp/channel/1950/6049608

- 第2位 「#1212. 『英語語源辞典』の「語源学解説」精読 --- 「英語史ライヴ2024」より」 https://voicy.jp/channel/1950/6052858

- 第3位 「#1139. イディオムとイディオム化 --- 秋元実治先生との対談 with 小河舜さん」 https://voicy.jp/channel/1950/1298775

- 詳しくは hellog 記事「#5645. リスナー投票による heldio 2024年第3四半期のランキング」をどうぞ http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2024-10-10-1.html をどうぞ


▼2024年9月8日(日)に12時間連続生放送の「英語史ライヴ2024」を開催しました.英語史界隈では前代未聞のイベントとなりました.詳細は以下の配信回,あるいは khelf の特設ページを! イベント後は,数ヶ月間かけて各番組をアーカイヴで通常配信していきました.


- heldio 「#1119. 9月8日(日)「英語史ライヴ2024」を開催します」 https://voicy.jp/channel/1950/1296042

- khelf 特設ページ: https://sites.google.com/view/khelf-hotta/英語史ライヴ2024特設ページ


▼2024年8月26日より特別企画「helwa コンテンツ for 「英語史ライヴ2024」」が始まっています.ぜひ特設ホームページに訪れて,ライヴ当日まで毎日1つか2つずつ公開される helwa メンバーによる英語史コンテンツをお楽しみください.


- http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/etc/helwa_content_for_hellive2024/


▼X(旧Twitter)上で「heldio コミュニティ」が開設しています.


Voicy 「英語の語源が身につくラジオ (heldio)」のリスナーさんどうしの交流と情報発信の場です.heldio やそこで配信された話題を「待ち合わせ場所」として,英語史やその他の話題について自由にコメント・質問・議論していただければ.heldio が広く知られ「英語史をお茶の間に」届けることができればよいなと.今のところ承認制ですが,お気軽に申請してください.

https://twitter.com/i/communities/1679727671385915392


▼「英語史の古典的名著 Baugh and Cable を読む」シリーズ(有料)を展開しています.


英語史の古典的名著 Baugh, Albert C. and Thomas Cable. *A History of the English Language*. 6th ed. London: Routledge, 2013. のオンライン講座です.毎回1セクションンずつゆっくりと進んでいき,内容について縦横無尽にコメントしていきます.シリーズについて自由にご意見,ご感想,ご質問をください.皆さんで議論しながら読んでいきましょう.1回200円です.

https://voicy.jp/channel/1950/570931


▼プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」 (helwa) も毎週火木土の午後6時に配信しています


「英語史の輪」にこめる想い


1. レギュラー放送は,これまで通り,最大限に良質な内容を毎朝お届けしていきます.プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」のための課金の余裕がない方々(例えば中高生や英語史を真剣に学びたい苦学生など)は,無料のレギュラー放送のみを聴き続けていただければと思います.レギュラー放送では,皆さんに最良の放送をお届けし続けます.


2. プレミアムリスナー限定配信チャンネル「英語史の輪」で得た収益の一部は,レギュラー放送の質を保ち,毎日円滑にお届けするための原資とします.


3. また,収益の一部は,Voicy 以外でのhel活をさらに拡大・発展させるための原資とします.


4. ときに khelf(慶應英語史フォーラム)やプレミアムリスナーにも協力していただき,hel活の新機軸を打ち出していきたいと思っています.企画本部としての「英語史の輪」です.

5. ぜひとも「英語史の輪」のプレミアムリスナーになっていただきたい方


 ・ hel活を応援したい方(資金援助,広報支援,盛り上げ係りなど.研究者,学生,一般の社会人など職種や専門は問いません.)

 ・ 毎日もっともっと英語史に触れたい方,レギュラー放送では足りない方

 ・ 私(堀田隆一)の話をもっと聴いてみたい方

 ・ レギュラー放送のような一般向けの話題にとどまらず,もっと専門的な英語史の話題も聴いてみたいという方

 ・ レギュラー放送で言えない/配信できないような「低い」話題(対談のアフタートークや飲み会での雑談など)も聴きたいという方

 ・ パーソナリティおよびリスナーさんどうしで,もっと交流したい方


以上,よろしくお願いいたします.

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おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語詩ブログの管理者、英語のなぜに答える初めての英語詩の著者、そして2025年6月18日に発売予定の英語語源ハンドブックの著者のホッタリュウイチです。
英語の語源が身につくラジオheldio。英語詩をお茶の間にをモットーに英語の歴史の面白さを伝え、裾野を広げるべく毎朝6時に配信しています。
本日は6月14日土曜日です。英語語源ハンドブック発売まであと4日です。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
いやー、もう間近になってまいりました。本当にそわそわしてきたんですけれども、来週半ば以降はですね、
英語語源ハンドブック発売後ということになりますので、これまたですね、広報活動その他頑張っていこうかなと思っている次第です。
さあ、その前の静けさというような時間帯なんですけれども、本日の話題なんですが、1476回なんですよね。
1476、この年何が起こったかというふうに年代と引っ掛けて英語詩を語るシリーズというほどのことでもないんですが、たまにやっております。
と言っても本当にたまにですね。前回は1066回だったんではないでしょうか。もちろんノルマン制服でした。
今日1476回は久しぶりなんですが、英語詩に非常に関係の深い年代ということでお話ししたいと思います。
キャクストンがイングランドに初の印刷所を設けた年ということで、ウィリアム・キャクストンのお話をしたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
1476年と言いますと、英語詩上ではなかなか名高い年となっているんですね。
ウィリアム・キャクストン、日本語ではカクストンと言い習わすことも多いんですけれども、このキャクストンさん何をしたかと言いますと、
なんとイングランドに初の印刷所、活版印刷所を設けた年ということで、英語詩上も名高いんですね。
これによって本格的に英語が印刷に付されるようになったわけです。
その後、英語は世界的な言語へ発展していくことになるわけですね。
本が書かれ、新聞が書かれ、雑誌が書かれ、それが世界中にまかれるという契機を作った、その最初の一歩ということになりますね。
03:07
これは文明史上と言いますかね、英語史上も含めまして、かなり大きい出来事だということでですね、中英語と近代英語を分ける年というふうに考えられることも非常に多いんですね。
1476年、ざっと丸めて1500年くらいがだいたいですね、中世と近代の境目と、英語史的には考えることが多いわけですが、もう少し細かく象徴的な年を挙げるんであれば、今回の1476年ということになるんですね。
さあ、このウィリアム・キャクストンなる人物、何者だったんでしょうか、ということなんですけれども、このキャクストンは1422年頃にイングランドのケントで生まれたんではないかと考えられています。
キャクストンは現在のベルギーのブリュージュという都市ですね、こちらに30年以上滞在して、付近一帯ですね、フランドル地方とオランダ地方、この辺りの商人の頭領として長らく影響力を誇っていました。
商人ということだったんですよね。そうする間に文学への関心を深めまして、自らフランス語の作品を英語に翻訳するなどの活動を1469年から1471年にかけて行っていたんですね。
フランス語のRecueil des histoires de Troyes、トロイシのお話を集めたものですね、これを英訳したんですね。
ちょうどこの辺りの時期にキャクストンはケルンで印刷術を学んでいたんです。印刷術といえば当時最先端の技術です。
15世紀半ばにグーテンベルクが活版印刷術を発明したわけなんですよね。それをいち早くこのキャクストンはケルンにて学んでいたっていうことなんですね。
そしてブリュージュに戻ると印刷所を設立して1475年に先ほどのフランス語の本を英訳したもの、これを印刷したんですね。
The Recueil of the Histories of Troyes、トロイシ和集ということでですね、これが歴史に残る一番最初の史上初の英語の印刷物ということになったんです。
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ですので英語が初めて活版印刷に付された年ということであれば1475年なんですね。
ただですね、これ自体ももちろんシンボリックなんですが、その翌年1476年にキャクストンはイングランドに帰ったんですね。
そしてロンドンのウェストミンスターに印刷所を設立しました。これがイングランド初の印刷所ということで歴史に刻まれているということなんです。
厳密に言いますと英語史上はですね、英語が印刷に付された初めての年ということで1475の方が重要という見方もあり得ます。
ですがもう一つの印刷所設立という、これまた象徴的シンボリックな意味を持つ出来事ですので1476、この年もまた
と言いますかこちらの方がより有名な年としてですね、歴史に刻まれているということなんですね。
後にキャクストンは非常に多くの印刷物を出しました。英語で書かれた本を出版し続けたんですね。
最も有名なものとしましては約100年前にチョーサーが書きましたカンタベリー物語、キャンタベリーテイルス
これをですね印刷してますね。他にはチョーサーの友人であったジョンガワーのコンフェスティオアマンティス
恋人の告白という本ですね。そしてもう一つ非常に有名なのがルモルトダルティル
アーサー王の死です。アーサー王伝説の集大成ですね。サートマスマロリーの書いたこの英語の本
こちらを印刷したということでキャクストンの名前も英文学史上残ることになったということなんですね。
すでに写本の形で出回っていたものを印刷に付したということもありましたし、最初の作品のように自ら翻訳を手がけてそれを英語で印刷したということもありました。
結果として約100本の印刷物を出したということで非常に英語史上も英文学史上も名高い人物となっているわけです。
英語史上の意義と言いますとこれまたいろいろとあるんですけれども一般に広く言われているのは
この印刷の確率によってその後のつづり字、標準つづり字が広く留付したというものです。
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活版印刷術というのは活字を用いるわけですから一回一つの定まったスペリングである単語を綴ればそれが一斉に何千も何万もコピーされる
間違いなくコピーされるということですよね。それまでは写本文化です。手書きで写しているという文化なんですね。
それが機械によって基本的には間違うことなく同じものがコピーされる、これが約束されるというのが非常に大きいことなんですね。
とするとですね、一回キャクストンがあるスペリングである単語をきちっと書いたらですね、これが何千文何万文と一気に国中に留付することになりますので
人々が同じ、同一のスペリングを見る機会が多くなる。それに慣れてくる、馴染んでくるということでつづり字の標準化に非常に大きな貢献を成したというのが一般的な解釈なんですね。
ですがですね、これ異なる解釈、見方がありまして、キャクストンの時期にはまだ写本文化でしたから様々なスペリングが共存していたわけですね。
このヘルディオでもスルーの516通りのつづり字という話題はよく挙げているんですけれども、キャクストンの時代までにそこまで極端にひどくはなくなっていましたが、それでも一つの単語について複数のつづり方があるというのがまだまだ当たり前の時代でした。
そのような時代にカッパー印刷ができてですね、じゃあ一気に一つの決まったスペリングで書かれ、それが国中に巻かれるかというと、そう簡単でもないんですね。
むしろつづり字の多様性というその状況がコピーされて国中に巻かれるということでもあるので、混乱が国中に巻かれていると、そういう見方もできるわけですよね。
実際ですね、キャクストンは一つの単語にかっちりと一つの決まったスペリングをあてがうというような基調面差は必ずしも持ち合わせていませんでしたので、我々が理想的に思い描くようなキャクストンこそが一つのスペリングを定め、それが国中に巻かれるようになったんだというのは、これはですね、実は現実とは異なるんですね。
混乱がコピーされて国中に巻かれた、これもちょっと言い過ぎなところはあるんですけれども、ただですね、予想されるような一つの定まったスペリングが国中に巻かれたというようなことにはならなかったというのがポイントなんですね。
12:13
実際ですね、その後100年くらいはですね、つづり字の標準化というのははかばかしく進むということはなかったんです。
確かにその100年くらいの時間を置いた後はですね、割と急速にググッとですね、標準化が進んだ、この背景には活版印刷術の技術があったということは確かだと思います。
ですが、活版印刷術が1476年にイングランドに持ち込まれて、その次の瞬間にでは簡単につづり字が標準したかというと、そういう簡単な話ではなかったというのが事実なんですね。
この辺りがキャクストンの評価、特につづり字標準化においてキャクストンがどれだけの役割を果たしたのかという、この評価について色々と意見が割れている、様々な評価がある理由になっているんですよね。
そのような評価をめぐる問題というのは残っていますが、それにしてもこの1476年というのが英語史上画期的な年だったということは間違いありません。
1476年、キャクストンがイングランドに初の印刷所を設けた年、これはぜひ皆さんに覚えておいていただきたいと思います。
このヘルディオではキャクストンの話、非常に重要な話をしております。183回エッゲス・エイレーン、卵をめぐるキャクストンの有名な逸話ということで、この話ぜひ聞いておいてください。
大変有名なキャクストンに関するお話なんですね。 リンクを貼っておきますので、そちらも併せてお聞きいただければと思います。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。いかがでしたでしょうか。今日は1476回ということで、1476年の非常に重要な出来事、英語史上の画期的な年として明記されています。
キャクストンがイングランドに初の印刷所を設けた年、ということでした。
さあ、活版印刷というところからですね、英語語源ハンドブック、こちらの話につなげたいと思います。強引そうに思われますか。いや、そんなこともないんです。
15:01
西洋で活版印刷術が発明された、あるいは中国あたりから持ち込まれた、再発見されたというのが適切かもしれないんですが、これが15世紀半ばのことですね。
そして、後に世界的な言語となる英語が初めてその活版印刷術に付されたのが1475年。そしてキャクストンがイングランドに印刷所を設けたのが、今日お話ししたように翌年1476年ということだったんですね。
それから英語はみるみるうちに世界語に成長しまして、たくさん印刷されてきました。20世紀後半になるとコンピューターの時代となりまして、活版印刷の勢いも、特に世紀後半からこの21世紀にかけては少し勢いが落ちてきているかなと思われるところもあるんですが、実はですね、研究者から出版されております英語語源辞典。
このヘルディオでも推しに推している辞典なんですが、これは実は最後の研究者による活版印刷術による辞典なんですよね。
そしてこの最後の活版印刷術に基づいた辞典を親辞典として、今回企画されたのが研究者から出ます。英語語源ハンドブックということなんですね。もちろん既にデジタル時代に入っている段階での本作りということで、作り方はデジタルになっているわけなんですが、
そのような流れでですね、4日後、6月18日水曜日に英語語源ハンドブックが出ると。そんな流れでですね、ざっと550年ぐらいの歴史、今日は辿ってみたと言えなくもないということなんですね。
親辞典である英語語源辞典、こちらも今後合わせて進めていきますが、沖のヘルディオでも英語語源辞典のメイキングに関するお話、実はいろいろしてきました。研究者さんに押しかけてインタビューしたりもしました。
関連するリンクをこのチャプターに貼っておきますので、英語語源ハンドブックが発売される直前のこのタイミングで改めてお聞きいただければと思います。
このチャンネル、英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、あなたからのご意見ご感想をお待ちしています。
Voicyのコメント機能を通じてお寄せいただけますと幸いです。SNSでのシェアもよろしくお願いいたします。
それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますように。英語史研究者のほったりうちがお届けしました。
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また明日!
18:06

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