養育費の基本
弁護士のキタガワです。YouTubeやTikTok、テレビ番組などで 法律の解説をさせていただいております。
歌って踊れる金髪弁護士をさせていただいております。よろしくお願いいたします。
歌えるかは分かりませんが、頑張ります。よろしくお願いいたします。
男女のトラブルシリーズ、離婚編をお話ししています。
ここ最近は、養育費についてお話をさせていただいております。
前回お話ししたのは、決めた養育費です。
例えば、月額5万円、10万円、15万円のように 離婚の時に一度決めたということです。
その後に、色々な事情が変わります。
例えば、旦那さんが奥さんに対して 養育費を支払っています。
毎月15万円としましょうか。
そういった状況の時に、例えば旦那さんが リストラにあってしまって、年収が思い切り減ってしまった。
生活保護になってしまった、みたいな状況が あるかもしれません。
そういった時に、当然収入がないので 月額15万円も払えないので、
現額を奥さん側にお願いすることが できるかということです。
反対に、例えば旦那さんが離婚の時は 年収600万円のサラリーマンでした。
その後、事業で1年復帰して 大成功しました。
今では、年収2000万円、3000万円の 大金持ちになっていました。
旦那さんは、そんなにお金が あるので、年収600万円の時よりも 経済的な余裕があるでしょう。
だから、養育費を増やしてくださいと、奥さん側が 申し立てお願いをすることができるのか、
という話をさせていただきました。
もちろん、お互いに納得した上で、増額を 認めることや、お金がないような状況だったら、
現額、低い金額、月5万円でいいと お互いに合意ができれば問題ありません。
やはり、もらえるものは もらいたいし、払うものは なるべく少なく払いたいというのが、人の心情です。
合意ができない時は、現額をしたい側、増額をしたい側が、家庭裁判所に 養育費の金額の変更の申し立て、
具体的には増額の申し立て、現額の申し立てを していくということです。
経済的な状況、増額をする場合、子どもが病気になって、 医療費が今以上にかかるようになってしまったというような事情を、
資料を出して証明していって、裁判所に ジャッジをしてもらうことになってくるのかなと思います。
気をつけていただきたいのは、多少の増額ぐらいになる程度の 経済状況の変動では、そこまで変わらないという感じです。
例えば、旦那さんの年収が600万円から700万円ぐらいになったとしても、
正直言うと、一度決めた養育費を1万円、2万円上がる程度だと、
裁判所も、ジャッジはしにくいのかなという感じです。
もちろん、そういった場合もありますが、といった状況です。
あとは、例えば、習い事が増えちゃったから、その分の増額をしてくれと言ったとしても、
それがよっぽどの事情がない限りは、やはり難しいということです。
逆に、旦那さんの年収が下がったとしても、
例えば、ボーナスがカットされちゃったから、減額をしてくれと言われたとしても、
その程度では減額を減らすことは難しいのかなと思います。
よっぽど大きな経済状況の変化がないとダメということです。
そういうふうに、いちいち細かい数字でも、ちょっとでも変わってしまうと、
一度しっかり決めた養育費の合意が無限になってしまいます。
そこは、それを変更するほどの大きな事情が必要だと覚えておいてください。
今日は、婚姻費用の時も少しお話をさせていただきました。
請求の実例
さかのぼってもらえなかった分の養育費を まとめて請求できるか、みたいなお話をさせていただきます。
例えば、具体例をお伝えします。
旦那さんと奥さんの子供が 離婚することになりました。
奥さんが親権者となって 子供を養っていくというような状況です。
離婚した当時、旦那さんは生活保護を受けざるを得なかった。
つまり、本当に収入がほぼほぼなかったというような状況です。
これが2015年としましょうか。
2015年に離婚しました。
その時に生活保護を受けていました。
そのため、養育費はほぼもらえませんでした。
そのため、養育費は0円になりました。
5年後の2020年に、旦那さんの元夫が事業を当てて 年収が1,000万円から2,000万円ぐらいになりました。
さらに5年後の2025年に、旦那さんの元夫が仕事で成功して 生活保護受給者からYouTubeやSNSをやって めちゃくちゃ儲かっているらしいという話を聞きました。
2015年に離婚しました。
その時、旦那さんは生活保護受給者でした。
そして5年後の2020年に、旦那さんは年収が1,000万円から2,000万円ぐらいになりました。
そのことをさらに5年後の2025年に、奥さんが知りました。
奥さんとしては、5年前からあなたはすごくお金を 儲けていたの?ふざけないでよということで、
大急ぎで2025年に、今までは0円で納得していました。
年収1,000万円から2,000万円を基準に、養育費をもう一度決めたいです。
なぜなら、2020年から1発当てて、そのぐらいからあったので、5年後と遡って 養育費を請求したいと言えることができるかどうかです。
これは、いろいろな考え方があります。
奥さん側としては、5年間、損をしていた、もらえなかった、それを救済してほしいという 奥さん側の事情と、
旦那さんとしては、養育費が0円というふうに取り決めされていて、それがいきなり 遡って5年分も請求されちゃうという不足の事態を回避したいという思いがあります。
そのバランスをどうとるかということです。
これは、基本的な考えとしては、遡って請求というのは、結構ハードルが高いと思っていただいた方がいいんじゃないかなと思います。
今まで合意していなかった養育費を、過去分遡って請求されると言われちゃうと、
やはりそれはちょっとしんどいと、養育費が0円だと思っていたのに、それはここだよねという考え方が基本的にはあるんじゃないかなと思います。
いくら払わなきゃいけないのかは、事前に明確になっていないと困ります。
そういった基本的な考え方で遡ってというのは、基本的に難しいというような状況です。
他方で、100%を突き詰めてしまうと、奥さんは情報を知らなかっただけで、ずっと我慢していたわけですよ、0円で5年間も。
そういった事情をしっかり裁判官に主張していって、5年間分遡れないんだけども、個別具体的に判断して、
例えば2年間分とか、100%じゃないにしても何割分かをもらう、柔軟な形でジャッジを求めていく感じになるのかなと思います。
婚姻費用の時も言いましたが、基本的には申し立てたタイミング、養育費を増額してください、みたいな婚姻費用もそうですが、
損失と救済
申し立てたタイミング以降のお金を請求できるというのが、基本的な考え方だと思った方が いいのではないかと思います。
この辺は、やはりもめたりはしますが、奥さんと元旦那さんと、どちらを救済すべきかという バランスです。
10年前に、お金持ちになって、例えば年収1億円になっていて、
奥さんは養育費を全然もらえなくて、子供を3人、4人育てなきゃいけなかった、年収100万円、200万円でだとしたら、それはやっぱりかわいそうですよね。
そうしたら、奥さんを保護するという気持ちが働きやすくなるんじゃないかなと思います。
以上、遡って請求できるかについてお話をさせていただきました。
最後までお聞きくださりありがとうございました。
それでは、今日も元気にいってらっしゃいます。