交通事故と治療費
私のキタガワです。YouTubeやTikTok、あとはテレビ番組などで法律の解説をさせていただいております。
さて、はじめての交通事故シリーズと題しまして、交通事故に関する知識を皆さんに提供させていただいております。
怪我をした時の人身損害の細かい弁償の項目について、解説を続けているところでございます。
前回は、通院することになった、入院することになった交通費を払ってほしい ということです。
何が何でも全部認めてもらえるわけではなく、乗り物や交通手段等の必要性・相当性も考慮して、病院に行くとしたら、こういった交通手段を使うのが一般的・普通だと考えます。
その金額に関しては、弁償をしてあげますよ、みたいな形で、加害者側の保険会社が面倒を見てくれるということでございます。
例えば、自分の家からその病院まで100メートルぐらいしか離れていないのに、タクシーとかで行ったら、それはさすがにダメですよ、ということですね。
バスと電車乗り継いで、自家用車で行く場合は、ガソリン代、道乗り1キロメートルあたり15円という、少ない金額ですけども、それぐらいの認めてくれるよ、みたいなお話でございました。
タクシーで行く時とか、コインパーキングに車を停める時は、領収書をきちんと確保してくださいよ、みたいなお話をさせていただきました。
さて、今回は、治療関係に関する細かいところの項目を、パパッとお話をさせていただきたいなと思います。
細かいですけども、まずは、お医者さんに対する謝礼をお渡しする場合があることもあるかもしれません。
今は、そんななくなってきたかな。入院をして、無事退院することになったということで、お医者さんとか、お世話になった看護師さんに対して、金一分みたいなものがあるのかな、そしなみたいな感じですかね。
お渡しするっていうことは、なくはないのかなと思います。
これも、事故に遭わなければ、支払うことがなかった、出費をすることがなかったわけだから、
これも費用の加害者側の保険会社の弁償の対象にしてほしい、というふうに思うかもしれません。
これは、一部の裁判所の判決においては、入院の期間とか症状とか、治療の状況とかを総合的に判断して、
社会通年上、相当な金額、費用であれば、謝礼とか、そしなみたいな贈答品の金額も、損害として認めた判決が、実はあるということです。
裁判所基準の書籍や本によっても、一般的に相当な金額であれば、損害として認められると書かれていました。
ただ、今は、お医者さんとか看護師さんの方で、謝礼を受け取るというところは、そんなにないのかなと思いますので、そこまで議論にならないのかなという感じです。
あとは、直接治療費というよりも、事故との関係性というのは、そしなとか謝礼は、関連性が弱いじゃないですか。
言ってみれば、謝礼を渡す渡さないというのは、患者さん、入院していた人の自由ですから、それって本当に必要なのというのは、加害者側の保険会社は、わりと厳しい目でチェックするのではないかと思います。
なので、本当に大きな怪我で、入院がしばらく続いたみたいな、月切りで看護師さん、お医者さんが面倒を見てくれた、大きな手術をやってくれた、みたいな場合は、まあまあ認められる可能性もありますけども、そうじゃない場合は、基本的には、相手の保険会社としては、払わないという方向になっていくんじゃないかなと思いますので、
後で払ってくれるだろうと思って、豪華なものをあまり渡さない方がいいんじゃないかなと思います。
あとは、お見舞いに来てくれたお友達とか、会社の方に対して、会期祝いとして、いろんな方に物を贈るとか、そういった風習もありますけども、これは裁判所も一般的には認めませんよという感じの判断になっています。
これはやっぱり、会期祝いとかお見舞い返しみたいなものなのかな、そういったのは事故と直接の関連性の高い損害とは言いにくいので、なかなか認められにくいというところでございます。気をつけていただきたいなということですね。
次ですね。例えば、学生さんが事故にあって長期、長い間、入院せざるを得なくなった。例えば1年間、大学生が事故にあって1年間、大学を休学せざるを得なくなったみたいな、そういった場合の学習費みたいな、これも議論がされているんですね。
例えば、新級、1年生から2年生に上がることができなかった、卒業することができなかった、休学するためになって授業料がパーになっちゃった、みたいなものとか、あとは中学生とか小学生であれば、入院して勉強がやらないと学業が遅くなっちゃうので、
例えば、個別指導の家庭教師、先生なんかが病院に来てもらって教えてもらうことにしたとか、専門の学習教材をかわざるを得なかった、そういった諸々の学習に関する費用、これも認めてくれるかどうかというのが議論になっています。
あくまで一般論ですが、例えば、1年間入院せざるを得なくなって、授業料がもったいないことになっちゃった、入学金であれば支払わずに済んだのに、みたいなところは、損害として認められて、これは弁償の対象になり得る、というような解説になっています。
あとは、学校に行けずに学習が遅れてしまったということで、個別に学習教材を買わなければいけなかった、そういったことについても、必要性・相当性が高ければ、認められれば損害賠償の対象になる、ということでございます。
謝礼と授業料について
ただ、この辺は、加害者側の保険会社としては、なかなか一筋縄に、大学の授業料全額払いますよ、多分数十万円とか、普通にかかりますもんね。相手の保険会社としては、首を縦に振るというのは、かなりハードルが高いんじゃないかなと思います。
なので、裁判でバチバチに戦って、判決で勝ち取る、という流れになりそうな感じがしますね。
事故にあった被害者側としては、非常に不合理な話ですが、交渉がスムーズに行くか、行かないかは、各項目を弁償してもらう、損害の項目の内容によって変わってきますので、仕方のないところだと思います。
ただ、さっきも言った通り、事故と直接の関連性がある、1年間休学をせざるを得なかった、学習教材を買わざるを得なかった、みたいな状況があるときは、そういったことをしっかりと証明、立証していって、裁判所に認めてもらうようなアプローチをしていくということが大切ですね。
この辺は、本当に弁護士と相談しながら、どういった事情を、どういった資料を揃えれば、勝ちやすいだろう、みたいなのを考えていく感じですね。
あとは、通学です。
学校に行きますが、通学の時に、どうしても車椅子で移動しなければならない。
当然、お母さんがついていかなければならない。
通学に関する、付き添い費などもあります。
これも、仕方ない、どうしても付き添いが必要な状況だよ、というような場合であれば、認められる、という感じです。
ただ、車椅子で行く必要はないのではないか。タクシーを使う必要はないのではないか。
松葉杖で十分行けるぐらいのレベルであれば、なかなか難しかったりするのかなと思います。
通院の付き添い費ではなく、通学の付き添い費というのも、状況によっては認められるケースがあるよ、というのも、頭の片隅に入れておいていただきたいなと思います。
あとは、被害者が国内にいて、海外にご親族がいて、家族がいて、
例えば、息子が大学生になる子供が怪我しちゃったと、これも一大事だということで、海外にいる親御さんが帰国しなければいけない、という場合があるかもしれません。
その場合の、帰国費用が認められるかどうか、ということでございます。
これも予想はつくと思いますが、怪我の程度とか、ご家族、親御さんが本当に、介護とか様子を見るために日本に帰国しなければいけないのか、
そういった必要性とか相当性を総合的に考えて、これはどう考えても仕方のない状況だよね。
旅行キャンセルと付き添い費用
帰国せざるを得ないような一大事な状況だよね、という場合によっては、
帰国費用が損害として弁償してください、と認められるケースがあるということでございます。
ただ、これはハードルが相当高いと思います。
あとは、事故前に予定していた旅行があったとしましょうか。
これを事故にあったせいで、キャンセルせざるを得なくなった、みたいなことがあると思います。
家族旅行に行くときに、一人が怪我をしてしまったことによって、さすがに、もう一大事だから全員キャンセルみたいな、せざるを得ないということもあると思います。
その家族全員分のキャンセル料を、加害者側の保険会社に請求する、みたいなことがあるかもしれません。
これも個別具体的に判断なのかなと思います。
かわいそうですけど、例えば弟くんが怪我をしちゃって、他の家族で行くことができる場合とかっていうのは、全員キャンセルは認められないかもしれないんだけども、
あとは、お父さんが絶対にいなきゃいけないキャンプ、みたいな車の運転とかもあったりしますよね。
お父さんが怪我しちゃったときに、やむを得ずお母さんとか子供がキャンプ、車も運転できないし、
もう全員キャンセルせざるを得なかったね、みたいな時は、全額認められるとか、そういった誰が怪我をしたのか、
全員分キャンセルすることに、理由が認められるのか合理的なのか、そういったところも判断の要素となってくるよ、ということでございます。
こういった個別具体的な事情を総合的に判断しながら、認められる損害、認められない損害があるよ、というお話をさせていただきました。
以上、治療に関するもろもろの関連、細かいところも含めてお話をさせていただきました。
治療費はもちろんのこと、細かい文書を作った、診断書を作った作成料とかもそうかもしれないし、
あとは交通費とか、今日説明したところとかも、認められる、認められないが厳しく分かれる場合がありますので、この辺は注意していただきたいなと思います。
最後までお聞きくださり ありがとうございました。また次回一緒に 勉強していきましょう。