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あし、にいみなんきち、にひきの馬が窓のところで、ぐーるぐーるとひるねをしていました。
すると、すずしい風が出てきたので、一ぴきがくしゃめをして、目をさましました。
ところが、あしが一本しびれていたので、よろよろとよろけてしまいました。
おやおや。
そのあしにちからをいれようとしても、さっぱりはいりません。
そこで、ともだちの馬をゆりおこしました。
たいへんだ。あとあしを一本、だれかにぬすまれてしまった。
だって、ちゃんとついてるじゃないか。
いや、これはちがう。だれかのあしだ。
どうして?
ぼくのおもうままにあるかないもの。ちょっとこのあしをけとばしてくれ。
そこで、ともだちの馬はひずめでそのあしをぽーんとけとばしました。
やっぱりこれはぼくのじゃない。いたくないもの。ぼくのあしならいたいはずだ。
よし、はやくぬすまれたあしをみつけてこよう。
そこでその馬はよろよろとあるいてゆきました。
いや、いすがある。いすがぼくのあしをぬすんだのかもしれない。
よし、けとばしてやろう。ぼくのあしならいたいはずだ。
馬はかたあしでいすのあしをけとばしました。
いすはいたいともなんともいわないでこわれてしまいました。
馬はテーブルのあしやベッドのあしをぽんぽんけってまわりました。
けれどどれもいたいといわなくてこわれてしまいました。
いくらさがしてもぬすまれたあしはありません。
ひょっとしたらあいつがとったのかもしれない。
と馬はおもいました。
そこで馬はともだちの馬のところへかえってきました。
そしてすきをみてともだちのあとあしをぽーんとけとばしました。
するとともだちは、
いたいとさけんでとびあがりました。
そらみろ、それがぼくのあしだ。きみだろぬすんだのは。
このとんまなが。
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ともだちの馬はちからいっぱいけかえしました。
しびれがなおっていたのでその馬も、
いたいととびあがりました。
そしてやっとのことで、
じぶんのあしはぬすまれたのではなく、
しびれていたのだとわかりました。