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こぞうさんのおきょう、にいみなんきち。
山寺の和尚さんが病気になりましたので、
かわりにこぞうさんが、段下へおきょうを読みに行きました。
おきょうを忘れないように、こぞうさんはみちみち読んで行きました。
きみょ、むりょ、じゅうの、らい。
すると、なたね畑の中にうさぎがいて、
こぼうず、あおぼうず、と呼びました。
なんだい?
あそんでおいきよ。
そこで、こぞうさんは、うさぎとあそびました。
しばらくすると、
やあ、しまった。おきょうを忘れちゃった。
すると、うさぎは、
そんなら、おきょうのかわりに、
むこうのほそみち、ぽたんがさいた、
とうたよ、とおしえました。
こぞうさんは、段下へ行きました。
そして、うさぎのおしえてくれたように、
ほとけさまのまえで、
むこうのほそみち、ぽたんがさいた、
さいた、さいた、ぽたんがさいた。
と、かわいいこえでうたいました。
きいていたひとびとはびっくりして、
めをぱちくりさせました。
それから、くすくすわらいだしました。
こんなかわいいおきょうは、きいたことがありません。
そこで、ごほうじさまがすむと、
段下のごしゅじんはすましたかおで、
はい、ごくろうさま。
と、おまんじゅうをこぞうさんにあげました。
ごちそうさま。
と、こぞうさんはおまんじゅうをいただいて、
たもとにいれました。
こぞうさんはかえりにそのおまんじゅうを、
さっきのうさぎにわけてやることを、
わすれませんでした。