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こがらしのふくばん 小川みめ 夜が長くなりました。
お母さんは、お仕事をなさっています。
そのそばで、きょうだいは、ひばちにあたりながら、 くりをたべていました。
りりんりんって、なんの音だろう。
ふいにしょうちゃんは、あたまをあげました。
ねずみが、おかってえでて、 なべにさわったのでしょう。
と、お母さんは、おっしゃいました。
「たけちゃんが、さんりんしゃにのっているのよ。」
と、つねこさんが、いいました。
いまじぶん、だれが、あそんでいるものか。
しばらくすると、また、 りりんりんという音が、かすかにきこえました。
ほら、ほんとうだわ。
お母さんとさんにんが、とをあけて、そとをながめました。
こがらしがふいて、すみわたった、いい月よでした。
かどのたばこやのまえに、ちょうちんのひがみえて、 じんりきしゃが、みちをきいているようすです。
そのうち、こちらへかけだしてくると、
りりんりんと、しんぼうにはめた、かねのわがなりました。
かさをかぶった、おじいさんのしゃふです。
そして、くるまのうえには、
それは、きれいなおよめさんがのっていました。
さむくなって、さんにんは、とをしめました。
あれは、おばけでない?
と、しょうちゃんが、いいました。
きっと、きつねよ。
と、つねこさんが、いいました。
いいえ、あのおじいさんはいつも、 ていしゃばのまえにいるおじいさんです。
と、おかあさんがおっしゃいました。
きょうだいは、とこのなかへはいりました。
そのとき、また、うちのまえを、
りりんりんと、とうるおとがしました。
いま、くるまやさんがかえるのです。
あとは、こがらしのこえが、きこえました。
