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2025-08-25 04:20

#209【青空文庫】きりぎりすのかひもの

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村山籌子「きりぎりすのかひもの」

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サマリー

『きりぎりすのかひもの』では、きゅうりを巡るきりぎりすと八百屋のやりとりが描かれています。

きゅうりの山ときりぎりす
きりぎりすのかひもの、むらやまかずこ。 あるやおやさんのみせに、きゅうりがやまのようにつんでありました。
そのやまのてっぺんで、いっぽのおおきなきゅうりが、ぐうぐうねむっていました。 はじめは、いちばんしたにいたのですけれども、
どんどんなかまをおしのけて、いつのまにかてっぺんによじのぼり、いいばしょをとって、おひるねをしていたのです。
こういうきゅうりを、おおちゃくきゅうりといいます。 そこへ、
いっぴきのきりぎりすがきゅうりをかいにきました。 きりぎりすがきゅうりをだいすきなことをしているやおやさんは、
「いっぽんよんせんよりやすいきゅうりは、いっぽんもありません。」 と、
ばいくらいもたかくいいました。 きりぎりすはこまってしまいました。
なぜといって、きりぎりすは、いっせんどうかをにまいきりしかもっていませんでしたから、 そこできりぎりすはやおやさんに、
「どうか、にせんにまけてくださいませんか。」 と、たのみました。
やおやさんは、 「えや、どうしてもよんせんよりまけられませんわい。」
と、ぷりぷりしてことわりました。 それからきりぎりすとやおやのしゅじんはくちぐちに、
「どうぞ、まけてくださいませんか。」 「えや、まけられませんわい。」
「どうぞどうぞ、まけてくださいませんか。」 「えやえや、まけられませんわい。」
騒動と結末
と、いいあらそいました。 やおやさんはもともとたいそうきのみじかいひとでしたから、
とうとうかんしゃくをおこして、いきなりあしのさきで、
「えい、かのめんどくせいきりぎりすめ。」 と、きりぎりすをちからまかせにけっとばしました。
けれども、かぜのようにみのかるいきりぎりすは、 そのとき、えいっ
とみをかわしたので、 やおやさんのあしはきゅうりのやまのうえのてっぺんで、
きもちおさそうにさっきからおひるねをしていた あのおおちゃくきゅうりのよこっぱらに、
ドカンとぶつかりました。 びっくりしたおおちゃくきゅうりはめをさまして、
おおきなこえをはりあげました。 きのどくなことに、おおちゃくきゅうりはまんなかから、
ポッキンとふたつにおれてしまいました。 きりぎりすはふたつにおれたきゅうりのはんぶんをひろって、
やおやさんにいいました。 「いっぽんがよんせんなら、はんぶんはにせんでしょう。
ですから、にせんおしはらいして、 このはんぶんをいただいてまいります。」
「わたしはうまれつきすこししかたべられませんから、 これだけでもおおすぎるくらいです。」
そしてきりぎりすは、 やおやさんににせんどうかをにまいちんちんとわたして、
おおちゃくきゅうりのはんぶんを かいものかごのなかへいれて、かえっていきました。
やおやさんははらがたってわめきたくなりましたけれども、 いくらゆびをおってかぞえてみても、
よんせんのはんぶんはにせんですから、 おこるわけにはいきませんでした。
なかなかりこうなきりぎりすですね。 そうおもいませんか?
04:20

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