シカゴの湖水浴場
浮輪。中谷浮一郎。シカゴは、西岸湖に面しているので、夏になるとビーチは湖水浴の連中で大変なにぎわいである。
特に今年は何十年ぶりとかの暑さで、土曜日曜などは鎌倉の海岸のような騒ぎである。
湖と言っても、本州の半分くらいある大きな湖なので、見たところは全く海の感じである。
対岸はもちろん見えない。波も普段はかなりあって、水難の危険はいつも注意している必要がある。
砂浜で遠浅になっているところは所々にしかない。 そこをビーチ、
サンドビーチの略と称して、シカゴ市民の夏の第一の遊び場である。
水泳を習うというような気持ちはあまりないので、大抵は水に入ってポチャポチャやって遊んでいるわけである。
泳げない連中が多いので、監視は非常に厳重である。 見張りのことを生命護衛、
ライフガードと言っているが、それが数人いて、いつでも注意している。
面白いのは、浮き輪を持って泳いではいけないことになっている点である。
もっとも小さい子供の玩具の浮き輪は別問題である。浮き輪を持った方が安全のように思えるが、実はそうではないと言う。
浮き輪を持つと泳げない人でも、ついウカウカと背の立たないところに行くから、かえって危険だというのである。
なるほど。 聞いてみるとそういうこともありえそうである。
水浴場をきれいにすることもなかなかやかましくて、食物を持って中へ入ることはもちろん厳禁。
砂浜で物を食べることもいけない。
たいてい砂浜のだいぶ上の方にピクニック場が指定してあって、飲食はそこですることになっている。
それで芋の子を転がすような人ごみであるが、水はそのわりにきれいである。
スイカの皮が浮いているようなことは決してない。
アメリカは自由の国というふうに日本では思われているが、「自由」という意味が日本で考えられているのとだいぶ違う。
安全規則の重要性
どんなことにも規則がたくさんあって、それを厳重に守らなければならないことになっている。
浮き輪を持って泳いではいけないという規則などはなかなか傑作である。
少し滑稽味もあるが、しかし真面目に考えてみて、そこまで気を配るのは関心である。
この近年、日本ではいろいろな遭難事故が頻発するが、中でも小学生の交通事故や水死事件はいかにも痛ましい。
こういう事故の予防策にはいろいろな面があるが、
はっきりした安全規則を作り、それを厳守する習慣をつけることも予防策の一つの要素ではなかろうか。
この場合大切なことは、規則を必要以上やかましくしないことである。
安全な範囲で規則は広くしておいて、それを厳守することが大切なのである。