亡き子への歌
在りし日の歌 亡き子 文也の霊に捧ぐ
中原忠也 北の海
海にいるのは、あれは人魚ではないのです。
海にいるのは、あれは波ばかり、
曇った北海の空の下。
波は所々歯を剥いて、空を呪っているのです。
いつ果てるとも知れない呪い。
海にいるのは、あれは人魚ではないのです。
海にいるのは、あれは波ばかり。