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2024-09-11 04:09

『艸千里浜』三好達治

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『艸千里浜』三好達治


われ 嘗(かつて)この国を旅せしことあり

あけがたのこの山上に われ嘗て立ちしことあり

肥(ひ)の国の 大阿蘇(おほあそ)の山

裾野には 青艸(あおくさ)しげり

尾上をのへにはなびかふ 山の姿は

そのかみの日にもかはらず

環(たまき)なす 外輪山(そとがきやま)

今日もかも

思出の 藍(あゐ)にかげろふ

うつつなき眺めなるかな

しかはあれ

若き日のわれの 希望(のぞみ)

二十年(はたとせ)の月日と 友と

われをおきていづちゆきけむ

そのかみの思はれ人と

ゆく春のこの曇り日や

われひとり 齡(よはひ)かたむき

はるばると旅をまた 来(き)

杖により 四方(よも)をし眺む

肥の国の大阿蘇の山

駒(こま)あそぶ 高原(たかはら) 牧(まき)

名もかなし 艸千里浜


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夜の帳がおりる頃、

しじまにまたたく星のささやき。

光年の孤独の叫びを、夜風が柔らかく溶かす。

今宵 ひっそりと夜ふかし。

サマリー

三好達治の詩『艸千里浜』は、旅の思い出と自然の美しさを語りつつ、人間の孤独と希望を描いています。

夜の静けさと星
夜の帳が降りる頃
静まに瞬く星のささやき
光年の孤独の叫びを夜風が柔らかく溶かす
今宵ひっそりと夜更かし
群読のある夜
艸千里浜 三好達治
我かつてこの国を旅せしことあり
明け方のこの山上に
我かつて立ちしことあり
我かつて立ちしことあり
火の国の大麻の山
須園には青草茂り
己には煙なびかふ
山の姿は
その神の日にも変わらず
魂なず外垣山は
今日もかも
思い出の愛にかげろう
愛にかげろう
うつつなき眺めなるから
しかはあれ
若き日の我の望みと
旗と手の月日と友と
我を起きて伊津玉県
我を起きて伊津玉県
その神の思われ人と
行く春のこの曇り日や
我ひとり弱い傾き
はるばると旅をまたきつ
杖により夜も惜し眺む
杖により夜も惜し眺む
火の国の大麻の山
駒あそぶ高原の薪
草千里浜の景色
名も悲しい草千里浜
名も悲しい草千里浜
04:09

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