夜の静けさと星
夜の帳が降りる頃
静まに瞬く星のささやき
光年の孤独の叫びを夜風が柔らかく溶かす
今宵ひっそりと夜更かし
群読のある夜
艸千里浜 三好達治
我かつてこの国を旅せしことあり
明け方のこの山上に
我かつて立ちしことあり
我かつて立ちしことあり
火の国の大麻の山
須園には青草茂り
己には煙なびかふ
山の姿は
その神の日にも変わらず
魂なず外垣山は
今日もかも
思い出の愛にかげろう
愛にかげろう
うつつなき眺めなるから
しかはあれ
若き日の我の望みと
旗と手の月日と友と
我を起きて伊津玉県
我を起きて伊津玉県
その神の思われ人と
行く春のこの曇り日や
我ひとり弱い傾き
はるばると旅をまたきつ
杖により夜も惜し眺む
杖により夜も惜し眺む
火の国の大麻の山
駒あそぶ高原の薪
草千里浜の景色
名も悲しい草千里浜
名も悲しい草千里浜