1. 群読のある夜
  2. 『サーカス』中原..
2024-12-31 04:25

『サーカス』中原中也

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『サーカス』中原中也


幾時代かがありまして

茶色い戦争ありました


幾時代かがありまして

冬は疾風(しっぷう)吹きました


幾時代かがありまして

今夜此処での一盛り


サーカス小屋は高い梁(はり)

そこに一つのブランコだ

見えるともないブランコだ


頭倒(あたまさか)さに手を垂れて

汚れ木綿(もめん)の屋蓋(やね)のもと

ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん


それの近くの白い灯(ひ)が

安値(やす)いリボンと息を吐(は)き


観客様はみな鰯(いわし)

咽喉(のんど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)と

ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん


屋外(やがい)は真ッ闇(くら) 闇の闇

夜は劫々と更けまする

落下傘奴(らっかがさめ)のノスタルジアと

ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん


夜の帳がおりる頃、

しじまにまたたく星のささやき

光年の孤独の叫びを、夜風が柔らかく溶かす。

今宵 ひっそりと夜ふかし。

00:05
夜の帳が降りる頃、 静まに瞬く星のささやき。
光年の孤独の叫びを、 夜風が柔らかく溶かす。
今宵、ひっそりと夜更かし。 群読のある夜。
サーカス 中原中也
幾時代化がありまして、 茶色い戦争ありました。
幾時代化がありまして、 冬は湿風吹きました。
幾時代化がありまして、 今夜ここでの人盛り。
サーカス小屋は高い梁。 そこに一つのブランコだ。
見えるともないブランコだ。
頭逆さに手を垂れて、 汚れもめんの屋根の下。
ゆわーん、ゆよーん、ゆやゆよん。
それの近くの白い陽が。
安いリボンと息を吐き、 観客様は皆いわし。
ノンドが鳴ります。 柿柄と。
ゆわーん、ゆよーん、ゆやゆよん。
03:15
野外は真っ暗、暗の暗。
夜は高校と。
ふけまする。
かがさめのノスタルジアと。
ゆわーん、ゆよーん、ゆやゆよん。
04:25

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