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2022-01-18 26:03

【#65】人工植物、プラスチック。都市にある"当たり前"を作品にする、本多沙映さん

捨てられたプラスティックから人工石を制作する、アムステルダム在住の日本人ジュエリー作家・本多沙映さん。造花をはじめとした人工の植物を学問的に分類し、採集地や生息環境、模倣元の植物などをまとめた『人工植物門』も魅力的です。本エピソードでは、石、プラスチック、人工植物など、普段気に留めることはないものの、当たり前のように都市の日常にある存在に光を当てます。

◉ゲストプロフィール

本多沙映 Sae Honda 

2010年に武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科を卒業後、2013年からアムステルダムのヘリット・リートフェルト・アカデミーのジュエリー学科で学び、2016年に卒業。その後、国内外でジュエリーやアート作品を中心とした作品を発表するほか、コミッションワークも手がけている。作品はアムステルダム市立美術館と、アムステルダム国立美術館に永久所蔵されている。 

HP: https://www.saehonda.com/

◉沙映さんの展示情報

Anthropophyta / 人工植物門 

会期:2022年1月14日(金)〜1月29日(土)
閉廊日:日曜日
時間:
会場:(PLACE) by method
住所:150-0011 東京都渋谷区東1-3-1 カミニート#14
地図:http://goo.gl/maps/nzyvr
電話番号:03-6427-9296
ECサイト:https://placebymethod.com
参加作家:本多沙映 作家在廊日(予定):1月14日、15日、21日、22日、28日、29日
主催:method inc.

部屋の片隅や街角で、水も光も求めず静かに佇む「造花」は、天然植物のように科学的に研究や観察されることなく、ひそやかに、そして確実にわれわれの日常の中で繁殖し続けています。そんな未開の植物群に興味をもった彼女は、独自に身の回りの造花の採集・観察を始め、造花の工場が集まる中国・広州へと渡りました。   そのユニークなリサーチをまとめる一冊として「造花が植物学上で正式に植物と認められた」という、架空のストーリーから始まるセミフィクションの植物図鑑が、2020年にtorch pressより刊行。本展では、同書の世界観をさらに発展させたインスタレーションや、写真作品等が発表されます。ぜひご高覧下さい。

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皆さん、こんにちは。石川由加子と杉田麻里子です。
Good News for Citiesは、都市、建築、まちづくりに関するさまざまなグッドニュースを、ザック・バランに話す番組です。
今日は、ジュエリー作家・アーティストの本多沙耶さんにゲストにお越しいただいています。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
本多さんは、捨てられたプラスチックから人工石を作られていたりとか、
よく街中で見かける増加、人工の植物をテーマに作品を作られていたりとか、
ジュエリー作家でありつつ、アーティスティックな表現をされていて、
私たちが結構前から気になっていた方だったので、今回声をおかけしてみました。
あと共通点として、アムステルダムに結構長いこと住まわれていたということで、
アムステルダム界隈の知り合いも多いので、ちょっとポッドキャストを機に思い切って声をかけてみました。よろしくお願いします。
嬉しいです。よろしくお願いします。
簡単に経歴というか、自己紹介みたいなところをお願いしていいですか。
はい、わかりました。
経歴は、2013年からオランダのアムステルダムのヘリッド・リットフェルトアカデミーというところに留学をして、
そこでジュエリー家というところで、コンテンプラリージュエリーの勉強を3年間しまして、
それで卒業してからそのままオランダに5年くらいついて、今年帰ってきたんですけれども、
ジュエリー作品のみならず、そこから派生して、ジュエリーの概念を持ちながらも、ジュエリーというメディアだけじゃなくて、
いろんな形で作品を作って、国内外で展示発表している感じです。
そもそも私たちが鞘さんの活動を知ったきっかけが、山梨県だったんですよ。
山梨県の藤吉田という街があって、そこのテキスタイル工房、渡辺テキスタイルというすごい素敵なテキスタイル工房があるんですけど、
そこにちょっと邪魔させていただいたときに、渡辺さんというテキスタイル工房をやられているデザイナーの方が、
机の上にたくさんインスピレーションのいろんな素敵なものを載せられていて、
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そのうちの一つに鞘さんが作られた人工石についての本が置いてあって、
藤吉、めっちゃテンション上がって、なんだこの素敵な本は、みたいになって、写真を撮ってたんですよね。
後で帰ってきて、これ作ってるの誰だとか調べて、それでこういう人工植物の本も作っていて、
アメシセレラムに住んでいてっていうのを知って、ストーキングみたいなんですけど、めっちゃ調べて、
そこからこの人面白いなーっていうのでフォローさせていただいてたんです。
えー、そうだったんですね。アムステルダムから来たわけじゃなかったですね。
山梨、まさかの。
そうだったんですね。なるほど。山梨に全然ゆかりがないので、なんでだろうと思ったんですけど。
そうなんだね。本出した藤吉プレスさんが最近山梨に行ったので、それかなと思ったんですけど、それでもなかったですね。
どこでつながるかわからない。
そうですね。
じゃあちょっとその石についてと、その素敵な本についてご紹介いただけますか。
ありがとうございます。まず石のプロジェクトは、そのリートフェルトアカデミーの卒業政策で始めたプロジェクトなんですけども、
ハワイのカミロビーチっていうところで見つかった、実際に見つかったプラスチックが入った石っていうのがあって、それがプラスチックロメレートって呼ばれてるんですけども、
そういう石が見つかったっていう記事をネットで見つけて、それからなんかジュエリーを作ってたので石とかすごい興味があって、
すごくその環境問題に関することである、ネガティブなトピックではあるけど、なんかこういう石が未来に残っていって、それがまた新しく価値を持っているかもしれないみたいな、
そういう想像から、今私たちの生きている地表というか、私たちが作っている地層の中で生まれてくる石みたいなのを作ってみたいなと思って、
プラスチックロメレートができる生成プロセスを実際に真似して、熱でプラスチックのゴミを溶かして、それを固めて、固まったものを宝石と同じようにカットして研磨して、
ジュエリーに仕立てるみたいなことをしていまして、それをかれこれ5年以上やっていて、結構たくさんの人工石コレクションができている感じで、それをまとめた本を見ていただいたんだと思うんですけど、
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それが2018年に標本みたいな感じで、石の標本みたいな感じで、自分が作った人工石の標本を作ってますね。
これなんで本にしようと思ったんですか?
私の方は、石を作っていく段階で、石の成分というかどんなゴミが入っているとか、あとはどこでそのゴミが取れて、どの場所で取れてというのを全部ドキュメントをとっていて、それをちょっと鑑定書みたいな感じでそれぞれの石につけてたんですけど、
それが溜まっていく中で、これはちょっとまとめたら標本みたいになるなっていうのがあったので、それで一回ちょっと石が溜まってきた段階で本にしてみたいなと思って、
で、そのオランダにいるグラフィックデザイナーのお友達の若林明子さんっていう方にそういう話をしたら、トーチプレスさん、出版社さんをつないでくれて、やってみましょうってなったっていう感じで出した感じですね。
誰もに石が必要だ、みたいな名前ついてますよね。
これはどういう思いが込められているんですか?
はい、これは実はそういう絵本がありまして、Everybody needs a rockっていう放題が、みんな石が必要、ちょっと潤声なんですけど、そんな感じの名前で、そういう絵本が実際にありまして、アメリカのバードベイダーさんっていう方が出してる、結構古い絵本なんですけど、
その絵本は道端とかに落ちているその辺の小石の中で、自分だけの特別の石を探そうみたいなテーマの絵本で、子供向けの本なんですけど、
自分なりにスペシャルに感じる石を見つける方法みたいなのが、10個のルールブックみたいな感じで、どんな方法で見つけたら見つかるよ、みたいなのがちょっとポエティックな形でまとめてある絵本で、
それの絵本を見た時に、もうその前からプロジェクト始まってたんですけど、すごくリンクするなと思って、身の回りの価値のないものにどうやって価値をつけていくかみたいな、どうやって価値を見出すかみたいなことが、
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私のプロジェクトのテーマでもあったので、それがすごくその絵本のテーマとつながるなと思ったので、そのタイトルを借りてきてつけたっていう感じです。
石いいですよね。私の周りの建築家とかデザイナーの子たちで、石をやたら集めたがる人たちが多いんですけど、何か惹かれるものありますよね。
そうですね、結構このプロジェクトに関しては、おじさんとかもすごく興味を持ってくれたりとか、結構年齢、性別関係なくいろんな方が興味を持ってくれるっていう印象ですね。
ぜひ次のプロジェクトの人工植物の話も聞きたいなと思ったんです。これ14日から東京で展示もやられる感じなんでしょうか。
ちょっとそこらへんのお話、ぜひ聞かせてください。
はい、そうですね、造花の方もちょっとその石のプロジェクトとつながっている感じはあるんですけど、造花ってよく観察してみると身の回りにたくさんあって、
植物って生物なので、いろんなリサーチがされて、標本も作られて、科学的にいろいろドキュメントされているものだけど、造花ってすごくありふれて、生活の中にありふれているのにもかかわらず、
なんかもう観察されることもなく、ちょっとこう静かに潜んでいる感じがあって、それがなんかちょっと面白いなと思って、実際にちょっと観察してみると結構一つ一つの葉っぱとか、
印刷ずれがあったりとか、茎がすごい斜めについてたりとか、結構一つ一つに個性的で多様性があって、それが面白いなと思ったところから造花の葉っぱを集め出しまして、
基本的にはその日常で使われている葉っぱ、カフェとかレストランとか、あとはボランダだと墓地とかにも結構造花があったんで、落ちちゃってるやつとかをもらってきたりとか、そういう感じで集め始めて、
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それを石と同じように観察日記みたいなのを書いて、ドキュメント集めてたところで、これ標本にしたら面白いかなと思って、
標本というか本、図鑑みたいな形でまとめてみようと思って、まとめ始めまして、そこからさらに造花が来ているルーツというか造花が作られている場所も見てみたいなと思って、
中国の甲州の方にその工場がたくさん集まっているってことがリサーチでわかったので、中国の方まで行って、どんな環境でどんな風にこういうものが作られているのかなっていうのを見てきて、
作ってる人の話を聞いたり、いろいろしたストーリーも一緒にその本にまとめて、ちょっとセミフィクショナルな植物図鑑みたいなものを作ったんですけども、それが2020年に出したんですけど、
ずっとコロナでお披露目というか、観光記念みたいなのを日本でできてなくて、オランダではできたんですけど日本でできてなかったので、帰ってきたタイミングでやりたいなと思っていて、
今回1月14日からプレイスパイメソッドさんギャラリーで展示をできることになりまして、本の中に出てくる葉っぱのコレクションの展示だったりとか、
あとはそこからさらにこう本の世界観を発展させて、その葉っぱの顕微鏡写真、造花の葉っぱの顕微鏡写真みたいなのとか、あとは造花を使ったクラフトというか、造花を使った工芸品みたいなのも考えてみようと思って、いくつかちょっとオブジを作ってみたりとか、そういうものを作って展示をするのが来週からですね。
そんなのでドタバタしております。
なるほど、中国まで行ったんですね。
そうなんです。
甲州はそういったメッカというか、本当にそういった造花の生産工場が凝縮されている場所なんですか。
調べたところによると、やっぱり中国、例えばアリババとかって、アリババ.コムでその製造会社とか調べてると、全部甲州だったりとかしたんで、私のリサーチによると多分甲州に固まってるみたいなんですけど、他にもあるのかもしれないんですけど、
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私が行った町は本当にもう何十軒も隣り合わせていろんな工場がある感じでした。
彼らはどうやってこう作る花を選んでるんですか。
どうやって、あらゆるものを作ってて、すごいたくさんの種類作ってるので、多分選んでるとかはわからないですけど、
でもオーダー的には中東の方とかが多いらしくて、最近は。
向こうで咲かない桜の木とか、大きいショッピングモールの中に立て付ける大きい木みたいなの。
実際の自然界にはありえないスケールの桜の木とか、そういうものが結構需要があるらしくて、そこはすぐガンガンシャーシャー作ってました。
チェーンソーみたいなのもあって、そこは忙しそうでした。
面白いな。
ヤシの木とか、ヤシの木系はすごいめっちゃ稼働してました。
人工植物って本当にいろんなところで改めて見るなっていうのを、この作品を通して自分も観察するようになって、
アフリカにもあるんですよ。サボテンの人工植物とかあったりして、
なんでみんなどのタイミングで人工植物欲しいって思うのかなとか、
なんでそもそもプラスチックで植物を作ろうと人間は思ったんだろうみたいな、そこの動機のところとか、すごい気になります。
うんうんうんうん。
そうですよね、なんかその動機も気になるし、なんかその、なんだろうな、単純にもともとある植物を真似したもの、
プラスなんかどんどんイリュージョンな感じの植物もたくさんできてて、ピンクだったり、
なんかこうありえないような色の植物が作られてたりとか、
なんか植物からなんか照明がついてなんか、照明型の造花みたいなのとか、なんか噴水になっちゃってるとか、
なんかすごいいろんな二次産物みたいなのもできていて、なんか今は図鑑という形で終わってるんですけど、なんかもっと惚れそうだなっていう感じがありました。
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なんか何かができる人工植物とか確かに面白いですね、なんか人間だからこそ生み出せた新しい植物の形みたいな、
なんか人間と植物の何なんだろう、コラボレーションみたいな、
何か新しい機能を持った人工植物とかがあると面白いのかなとか思いました。
今後はあれなんですか、日本で活動されていくんですか、なんか気になっている都市とか国とかあったりするんでしょうか。
とりあえずはちょっと日本に腰を据えようと思って帰ってきてるんですけど、
そうですね、気になる都市か、なんかでもオランダすごい住みやすかったし、なんか帰るとしたらオランダなのかなっていう感じはしますね。
その前にロンドンにも半年とか住んでたんですけど、なんかなんとなくオランダの方がリラックスしてて、
あとは何だろう、結構アーティストとかクリエイターとして活動していきやすいっていうのは、
向こうの方が日本よりも活動していきやすいなって感じは帰ってきてから思ったので、
もしなんか動くとしたらまたオランダとかなのかなって感じです。
今のところはあんまりそんなに他を知ってるわけじゃないんですけど。
石とかプラスチックとか人工植物みたいに普段街中にあって、
でも気に留めることはないような日常のマテリアルみたいなものに結構注目されてると思うんですけど、
他に最近気になっている、そういった注目は集めてはいないけれども、
よくある街中のマテリアルで気になっているものとかあるんですか?
そうですね、なんか言葉とかもすごく興味があって、
例えば日本とか特にちょっとおかしな英語みたいなのがたくさんあったりとか、
あとはイメージとかもそうだけど、100円ショップとか例えば行くと、
なんでこのコップにこの柄なんだろうとか、このコラージュって誰が作ったんだろうとか、
どういう意図でこれが作られたのか、意図がなさそうなんだけど、
なさすぎて新しいものになってるみたいなものとかにちょっと興味はあって、
それをどうしたらいいのかちょっと分かってないんですけど、
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そういうものはすごく興味があって、写真を撮って集めてたりとかはして、
それは作品にするかちょっと分からないんですけど、
そういうものはすごく好きです。
結構収集癖があるんですか?
それそうかもしれないですね。
トマソンとかすごい好きで、長谷川限定の、
ああいう感じ、観察が好きなんですかね。
だからそういう不思議な言葉とか、変な感じの柄とかがある、
そういうものって結構特に100円ショップとかそういうチープなところに多いんですけど、
そういうものを見つけるとすごいテンションが上がったりします。
そういうものって結構日本とか中国とか、
日本はまだあんまないかもしれないんですけど、
中国とかちょっと発展、途上というわけじゃないけど、
ちょっとカオスな街に多いなと思ってて、ベルギーとかもすごく多かったし、
ベルギーもありましたか?
ベルギーもなんかすごいカオスらしく、
行ってみたら確かにブルセルとかすごいカオスで、
そういうものがたくさんあったんで、
そういうこともできたらなって思ってます。
収集プロジェクトみたいな。
いいですね。
なんか今日さえさんと話して、
街のいろんなものを観察して集めたくなりました。
集めてください。
今後この展示の次にやろうと思っているプロジェクトとか、
リサーチみたいなのあったりするんですか?
ちょっと今はまだ造花の展示でいっぱいいっぱいなんですけど、
なんかちょっと友達と、
なんか経年変化について、
なんかいろいろやってみたいねって言って、
素材の経年変化を使って、
それをもうちょっと短縮して、
例えばゴムとか、
劣化すると割れたりとか、
なんかすごく固くなったりとかするじゃないですか、
ああいうのをなんか自分で、
なんかああいう劣化させてというか、
その劣化のスパンを短くして、
あえてあの劣化を作って、
なんか面白い表情を作れないかなとか、
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そういうネガティブな、
劣化っていうものを、
ちょっとテクニックじゃないけど、
加工技術みたいな形で、
新しく使えないかなみたいなことを、
建築系の友達と話してて、
それはまだ全然アイデアベースなんですけど、
そういうマテリアルリサーチみたいなことも、
やろうかとは言ってます。
なるほど、なるほど。
自然現象と人工的なものが掛け合わさって、
どうなるかみたいなものが、
植物にも、
今おっしゃったことにも通じてるなと思って、
ぜひ次のプロジェクトを見てみたいなと思いました。
展示なんですけど、
これは予約をしていったほうがいいんですか?
もうフラッといける感じなんですか?
展示はフラッといける感じです。
サイさんはいついるとかあるんですか?
あります。
基本金曜日と土曜日にいる予定です。
土曜日にいる予定です。
開期中、14日から29日までなんですけど、
日曜日がクローズでして、
金曜と土曜はおります。
行きます。
ぜひ来てください。
皆さんもぜひ、東京ですもんね。
行ってみてください。
ありがとうございました。
グッドニュース・フォーシティーズでは、
毎週新しいエピソードを配信しています。
次回もお楽しみに。
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